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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784344031470
感想・レビュー・書評
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・薄いのに 濃い川柳が 次々と
せっかくなので、この本を川柳であらわしてみました。
一か月半ほど前から川柳を詠み始めたのですが、創作のヒントになれば…という気持ちで手に取ったのがこちら「健康川柳」でした。
この本は毎日放送ラジオ「しあわせの五・七・五」に投句されたものを選句し作られた句集だそうです。
番組は2007年にスタートした長寿番組!!
しかもなんともありがたいことにradikoでエリア外でも、なんとSpotifyのポッドキャストで過去回が聞きまくれてしまうのです!!ラッキー!
この本にはでっかい文字で、ユーモアと目頭が熱くなる川柳がページ“広し”と載っています。
なんという贅沢。
ときにはイラストも添えられており、またそれが笑いを誘います。
選者の近藤勝重さん、番組キャスターの水野晶子さんによるページもほどよい間隔で収録されており、川柳の“読み方”も、学ぶことができます。
なかでも水野晶子さんによる“川柳な人々”のうち、「元気です それだけ書こう年賀状(モンブランさん)」(46〜47ページ)と「ふるさとへ電話一本子にもどる(くりママさん)」(84〜85ページ)のエピソードに、ぐっときてしまいました。
“川柳な人々”では、はじめに句を紹介し、それを詠まれた投稿者さんの背景について書かれています。
もちろん投稿者さんの背景を知らなくても十分に魅力的な句ではあるのですが、投稿者さんがその句を作られた背景を知ることで、もう涙なしには読めない句へと変化してしまうのでした。
「嫌なことがあるとき、しんどきときこそ、川柳にしてしまうと気持ちに変化が訪れる。(中略)
物事を客観的に観ることができて、独りよがりになっていたなあ、と気づくこともあるとか。あれこれ言葉を選んでいるうちに、ふっと笑えるところまで心が軽くなっているって、不思議ですよね。」(85ページ)
このコトバを読んで、「かっこいい句を作ってやるぜ!!」と意気込んでいた自分を反省しました。
読め!と押しつけなくても読んでもらえる句が、カッコイイ言葉を並べたてた、見栄っ張りの句であるはずがありませんよね。
素朴であたたかだからこそユーモアが光るし、ほろっともしてしまう…
そんな川柳こそ、心の底から湧いてくる自分だけの句なんだなあ…とおもいました。
【お気に入りの収録句】
・リモコンを妻のいびきに向けてみる
(力丸規子さん)52ページ
・まな板の音で許してないと知る
(徳留節さん)88ページ
・ゴミ出しの度に感じる生きている
(りんご姫)128ページ
・悩んでも悩まなくても朝は来る
(たるちゃん)156ページ→この句が、本書のいちばん最後に掲載されている句なところがニクイ!!
ちなみに本書の他にも既刊があるようなので、読んでみたいとおもっています!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
選者によれば生き抜く力になる句を選んだという。言われるとおり、どの句にも強い力が宿っている。多くの秀句から大きな元気がもらえた。一番響いたのはこれ。「ゴミ出しの度に感じる生きている」。日々の流れの中で否応なくしなければならないゴミ出し。来る日も来る日も仕方なくやっている中、こんな捉え方があろうとは。目を瞠った。大自然の中で健やかに生かされている有難さをしみじみ感じさせられた。
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