お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 幻冬舎 (2017年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344032156
感想・レビュー・書評
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先週(2017.12)の一週間で、ビットコインが150-250万円の間で乱高下しました、先ほど確認したら170万円程度でした(レビュー書き終わった12.17では217万円)が、そのレベルでも数か月前の数倍以上です。私も少し持っていたので、上がる度に喜んでいたのですが、ふと、これは通貨の信用が失われ始めているのでは、と思いました。
この愁いは外れてくれることを祈るばかりですが、そのような私にとって「今まさに、経済、のあり方が変わろうとしている」という、この本の1ページ目に書かれていた部分が最も強烈なメッセージでした。
2017年という年は、私が初めてビットコインを持ち、さらにそれを送金手段として使った、記念すべき年となりました。私の頭の中で何かが変わった、若しくは、追加された気分です。このような味わいは、1999年に初めてアマゾンで本を購入して、宅急便で本当に送られて来たとき、これがコンピュータを使ってモノを買うことなのだ、と実感して以来です。
まだビットコインを持っている人は少ないですが、相手が了解すれば、法定通貨ではなくても、お金のやりとり・価値のやりとり、ができる手段として、仮想通貨という手段がある、という認識ができたのは、私にとって大きな一歩だったと思います。そのような私にとって、この本は衝撃的でした。
以下は気になったポイントです。
・現実は3つの異なるベクトルが併存し相互に影響を及ぼしている、それらが未来の方向性を決めている、それは、お金・感情・テクノロジー、引っ張る力は、お金が一番強く、感情、テクノロジーの順。ただ必ず3つのベクトルが揃っていないと現実ではうまく機能しない(p22、26)
・Fintech 2.0は、近代に作られた金融の枠組み自体を無視して、全くのゼロベースから再構築するタイプ。典型がビットコイン(p29)
・以前は各銀行が、それぞれの預かり証書である銀行券を発行して、それをバラバラに流通させていた、今の仮想通貨における、アルトコインのような状況(p35)
・現代の欲求は、本能的欲求・金銭欲求・承認欲求(社会で存在を認められたい)の3つに分けられる(p45)
・手軽にネットでサービスを作って世界中の人に使ってもらえるようになった時代である今の経済は、読み解く対象から、創り上げていく対象に変化しつつある(p49)
・よくできた企業やサービスは個人に依存していない、仕組みで動く。フェイスブックの成功は、人が人を呼ぶ仕組みがうまくつくられているから。上手くいく経済システムとは、1)インセンティブ(儲けたい、モテたい、認められたい)、2)リアルタイム、3)不確実性(運と実力の要素がバランス)、4)ヒエラルキー、5)コミュニケーション(p51)
・更に2つ追加するとすれば、1)寿命があることを考慮しておく、2)共同幻想(参加者が共同の幻想=会社でいう、ビジョン・経営理念)が寿命を長くする(p58、69)
・ドイツ経済学者のシルビオ・ゲゼルは、自然界の中のあらゆるものが時間の経過と共に価値が減っていくのに、通貨のみは減らないどころか金利によって増えていくことを指摘、それは欠陥だと主張した。それを解決するアイデアとして、価値が時間と共に減る自由貨幣(スタンプ貨幣)を考え出した、ピケティが資産所有に対して税金をかけるべきといった資産税に近い概念(p62)
・ビットコインの特徴として、この経済システムに参加する人々が、どういった利益が得られるか、という報酬が明確に設計されている点(p63)
・いいね、はユーザー間でやりとりされる「通貨」のような役割を担っている、拡散によって増えていくフォローワーは、貯金のように貯まっていく「資産」に近い(p72)
・フェイスブックが大きくユーザーを増やしたキラーアプリは、写真であった。タイムラインに写真を投稿したときのユーザーの反応はテキストの場合とは全く異なっていた(p73)
・快感は他人との比較によって高まる、ヒトの脳は周囲と自分を比較する物差しがあったほうが、より刺激や快楽を感じやすい性質を持っている(p86)
・脳は疲れない器官とされているが、脳の司令によって動く身体や、その環境にさらされ続ける精神は間違いなく消耗する。脳は快楽物質の分泌によって喜んで次の行動を指示するが、身体や心は休息が必要(p91)
・自然が経済に似ている、のではなく、経済が自然に似ていたからこそ、資本主義がここまで広く普及した、ということ歴史から考えてもそうである。経済のベクトルは、自然にもともと内在していた力が形を変えて表に出てきたもので、自然は経済の大先輩である(p93)
・絶えずエネルギーが流れるような環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、代謝をしながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記憶することでその秩序をより強固なものにする(p96)
・分散化の流れの一部として現れた新しい経済システムとは、共有経済(UBER、Airbnb)、トークンエコノミー(仮想通貨やブロックチェーン)、評価経済(Yutuber、インフルエンサー、ファンが作る)、これら3つは分散化が引き起こした大きな流れの一部である(p115)
・日本ではメルカリが急成長して、日本初のユニコーンとなった、個人が余ったリソースを直接的に共有し合うことでコストを削減するサービス(p117)
・シェアリングエコノミーとは、ネットワーク化した個人を束ねて1つの経済システムを作り、人間には煩雑な支払い、中立性を求められるレビューのような最低限の機能を代理人として提供する、近代の「代理人型社会」と、これからの「ネットワーク型社会」の良い処を混ぜたハイブリッド型モデルといえる(p118)
・中国には、ユーザーは面白いと思ったら、有料のアイテムを購入してその人に送ることができる「投げ銭」機能がある(p122)
・トークンエコノミーの例としては、メッセンジャーアプリ「Kik」が発行する「Kin」が期待される。Kikはアプリ内で活用できる独自の仮想通貨を発行して、コミュニケーションを起点に独自の経済圏を作ることを計画している、ユーザーの活性化に貢献するようなコンテンツをアップしてくれたクリエーターには、Kinを報酬として払う、広告が表示されるとKinが貰える(p125)
・中国のマイナーが自分たちの都合の良いように改変しようとしたが、それに反対する人たちが別の仕組みを提唱して、ビットコインキャッシュに分裂した(p133)
・ディープランニングとは、膨大なデータを機械に学習させることで、特徴量の抽出を自動で行うことが可能になる。猫を認識させるのに、猫の概念を人間が教える必要がなくなる(p135)
・Numeraiは、データサイエンティストが機械学習などを用いて投資モデルを作って、Numeraiにアップして実際に収益を挙げた場合には、発行するトークンが貰える(p138)
・知識は完全にコモディティ化して「物知り」であることに価値はなくなった、これらの変化は全て、グーテンベルクが活版印刷技術を発明して「知識の民主化」をしたことで引き起こされた、これと同様に「お金」もコモディティ化して、今ほど貴重なものとは考えられなくなると予想される(p144)
・今は、消費経済に対する資産経済の割合はどんどん大きくなって、経済はより不安定、縮小すらし始めている(p152)
・資金調達が容易であるので、相対的にお金の価値が下がり続けている、逆に増やすことが難しい、信頼・時間・個性のようなお金では買えないものの価値が相対的に上がってきている、今起きているのは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつある。(p153、155)
・ネットの普及で、自分の価値をどんな方法で保存しておくか選べるようになってきた、1億円の貯金と、100万人のフォロワーがいるのとどちらが良いかは人によって異なる(p156)
・ものを扱わないネット企業で、財務諸表上の価値として認識されないもののとして、人材および「データ」がある(p159)
・グーグルは、情報(検索エンジン、Yutubeで得られる情報)を、広告システムで好きな時に売り上げ利益といった資本に転換する手段を持っている。これは資産として計上できない(p161)
・これから資本主義から「価値主義」となる、価値を最大化しておくことが重要である、価値とは、経済的には人間の欲望を満たす実世界での実用性(使用価値、利用価値)を指す場合や、倫理的・精神的な観点から、真・善・美・愛など人間社会の存続にプラスになるような概念を指すこともある(p164)
・お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎない、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎない(p164)
・価値の3分類とは、1)有用性、2)内面的、3)社会的価値がある、資本主義は「有用性」のみを価値をして認識して、他の2つの価値を無視してきた点にある、価値主義とは、資本主義が認識できなかった領域もテクノロジーの力を使ってカバーする、資本主義の発展系と考えた方がよい(p169)
・いくつかの会社で導入されている仕組みに、社内通貨がある、社員が毎月一定の社内通貨を保有していて、それを同僚に感謝の印として付与できる仕組み(p171)
・数十年後には、営利と非営利の区別はなくなっていて、活動は全て「価値」という観点から捉えられるようになっているだろう(p182)
・ベーシックインカムを導入する国が増えるだろう、これは、生活するための必要最低限の生活コストを国民全員に支給する仕組み、もしくは巨大企業が公共サービスに近いものをほぼ無償で提供して生活コストを下げるということも考えられる(p185)
・ベーシックインカムは、お金のコモディティ化を急速に推し進める一手になると思われる(p188)
・沖縄が琉球コインを発行して地域経済を盛り上げていくというニュースがあった、このような流れは、地方公共団体にとどまらず、銀行・民間企業・非営利組織・商店街・学校・ファンクラブ・個人にまで及ぶ。誰でも容易に通貨を発行して独自の経済システムを作れるようなるだろう(p190)
・分散化が進むと、自分の資産をビットコイン、日本円、楽天ポイントに分けて保有して、シェアリングエコノミーのサービス上で自分で働いて得た報酬をトークンとして受け取り、個人間のネットワーク上で誰かから服を買ってそのトークンで払っているかもしれない(p191)
・お金と時間の2つの特徴を混ぜた「時間経済」を作ってみることにした、実験しているのは、1)経済を選べる時代を作る、2)個人が主役・時間を通貨とする経済ができるかどうか(p195)
・金融資本は時間が経つほど価値が増大していくという性質がある、時間は経過するほど保有量は自然と減っていくので、自分が優位なうちに(若いうち)に行動しようという、インセンティブが強くなる、保存できないし使わなければ自然消滅するので、これを使ってなにかしようと考える人が増えるはず(p199、200)
・トークンネイティブとは、生まれた瞬間からビットコイン・ブロックチェーンがあるので、今の私達とは全く違った視点で、お金や経済のことをとらえていて、私達が思いつきもしないサービスが生まれるはず、デジタルネイティブ世代は、トークンネイティブ世代が作るサービスが理解できなくなり、規制が必要だと思うかもしれない(p206)
・人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15-35歳に発明されたテクノロジーを新しくエキサイティングなものと感じ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる、日本の常識は、日本の人口分布でボリュームゾーンである45歳前後の概念(p206、210)
・価値主義の世界では、好きなことに熱中している人ほどうまくいきやすい、世の中に変わっている、それを探す方法として、あなたが1日中やっていても苦痛ではないことを探すのがいい(p218、226)
・価値の具体例として、1)スキル経験のゆな実用性としての価値、2)共感・好意のような内面的な価値、3)信頼・人脈のような繋がりとしての社会的な価値(p229)
・エストニアが独自の仮想通貨「エストコイン」を発行して、仮想通貨ベースの資金調達法ICOを実施する可能性を示唆した(p240)
・BMI(ブレインマシン・インターフェース)は、脳とコンピュータを直接繋ぎ、脳そのものを制御したり、脳を使ってコンピュータを動かしたりすることを可能にする技術(p247)
・視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚などは、脳が作り出している感覚なので、ここを直接制御できれば、まるで本物が存在しているかのように五感で感じられるようになる。(p247)
・VR、AR、BMIが発達してくると、人間は「現実」そのものを選ぶことができる、自分が最も居心地の良い世界を自分にとっての「現実」と選択するようになる、今の私達からしたら到底受けれがたい環境であるが、それは私達がそれが無かった世界を知っているから、生まれた瞬間からその技術が存在している場合は、便利なツールとして受け入れることができる(p248)
・一番居心地が良い仮想空間で1日のうち最も長い時間を費やすことになるだろう、そこを「現実」と考えるようになるだろう(p250)
・テクノロジーには興味深い性質がある、1)人間の能力を拡張させる、蒸気機関やエンジンは人間の身体能力の拡張、コンピュータ・AI・VRは、人間の精神の拡張、2)普及すると人間そのものを教育し始める、お金に縛られたり、コンピュータに判断をゆだねる、3)身体の近い処から、空間的に遠い処に拡張していく(p252)
・お金や経済を扱うためには、お金と感情を切り離して1つの「道具」として見つめなおすことが近道(p257)
2017年12月17日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これからの経済の変化を著者の考察で描いた本。お金の本質を捉え、人の感情と、社会の変化と技術革新により、これからどんな経済社会が展開されていくのかを描いている。私達が求める価値の変化に伴い、経済活動も技術の進歩とともに変化していく。これからどんな世界が広がっていくのかを説得感ある言葉で語るので、一気に読んでしまった。佐藤航陽さんの他の書籍も読んでみよう。
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お金の話かと思ったら、いい意味で裏切られた。
この著者の本は他にも読んだことがあるのですが、
言っていることが深いのでうまく消化するのに時間がかかる。。
ソフトカバーの気楽な本だと油断していたら、全然太刀打ちできない。
本の内容が完全に理解できたかどうかは怪しいけれど、
著者の「市場経済から価値経済へ移行していくのでは?」という仮説はとても興味深く読ませて頂きました。
自分も資本主義に少し疑問を感じていた時期があって、
「次の考え方(主義)って何だろう?」と悩んでいたので、
一つの解決策として十分あり得る主義だなと思いながら読んでいました。
お金というより、
「経済や世の中がテクノロジーを通じて、どう変わっていくのか?(変わっていく可能性があるのか?)」
について興味のある人が読むとドンピシャかと思います。
著者は物事の抽象化と(一見無関係に見える事象同士を)繋げる力が飛び抜けていて、
一つ一つの事象やファクトはどこにでもある情報かもしれませんが、
それらを消化して料理するのがとてもお上手。
この本を元にして、元ネタの概念について深く学びたいという気にさせてくれます。 -
お金好きなので、ずっと読んでみたかった本でした笑
とりあえず、タイトルが気になりました。
Amazonレビューでは賛否両論あるようですが、僕は面白くて一気に読みました。
お金についての考え方や価値観が変わりました。
僕のようにお金が好きな人には、面白い本かもしれないです笑 -
最近テレビCMで耳にするようになったタイムバンクの社長でもある佐藤航陽氏。
評論家でなく実業家だけに本書の内容に説得力がある。
内容的には最近読んだ「日本再興戦略」や「AIとBIはいかに人間を変えるのか」と同質。
上記2冊を先に読んでいたからかも知れないが、本書は章立ても良く非常に分かりやすく多くの部分で共感する。
タイムバンクはまだ利用していないが、自分にとって価値があるか注目していこうと思う。 -
発展する経済の5つの要素と価値主義の具現化
・ 世の中は連立方程式のようなもの(竹中平蔵)
・ 実務の中で再現できないことは本当に「理解した」とはいえない
・ 現代は生物的な欲望よりも社会的な欲望が目立ってきていて、中でも頭文字をとって3M(儲けたい・もてたい・認められたい)の3つが欲望としては特に強く、これらを満たすようなシステムは急速に発展しやすい
・ 常に状況が変化するということを参加者が知っていることが重要
・ 優位なポジションを手に入れたものはその地位を守ろうとするので新陳代謝を強制的に促す仕組みを組み込んでおく必要がある
・ 参加者が恊働の幻想を抱いている場合、システムの寿命は飛躍的に延びる
・ 「寿命」がきたら別のシステムに移動してもらう(facebookのInstagramやwhatsapp)
・ 脳は予測が難しいリスクのある不確実な環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすい
・ テクノロジーの変化を「線」で捉えるとは、現在の社会システムがどんな課題を解決するために作られたものなのかの「原理」を正しく理解し、最新のテクノロジーはそこにどのような変化を起こすのかを1つの「現象」として理解することを意味します
・ 10年以内に誰でも安価に自律分散の仕組みを構築できるようになる
・ お金そのものには価値がなくなっていき、むしろどのように経済圏をつくってまわしていくかというノウハウこそが重要な時代に変わっていくと考えています
・ 統計上の数字では間違いなく多くの人がなじみのある消費経済ではなく、少数の人が回す資産経済が大半のお金の流れをつくっている
・ 今後は可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます
・ なぜ多くの人が評価経済や信用経済に対して違和感を抱くのかというと、今話題になっている大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく、「注目」や「関心」にすぎないから
・ 価値主義では、提供する価値と経済的成功が密接に結びつくので、より多くの人に価値を提供しようと考えると、ビジネスは必然的に「公益性」を帯びるようになります。一方、民間組織が貧困撲滅などの政治的な目的を実現しようと思えば、寄付金や税金に頼らないビジネスとしての「持続可能性」が求められるようになってくるでしょう
・ 価値主義では新たなテクノロジーの誕生によって、内面的な価値や社会的な価値をも可視化して、それらも経済として成り立たせることで、資本主義の欠点を補完することができるようになっています
・ 誰もが自分の人生の意義や目標を持てることは当然として、それを他人に与えられる存在そのものの価値がどんどんあがっていくことになります
・ 人が感じてくれた興味や共感などが貴重な「資産」となる
・ 発展する経済システムの5つの要素
1) インセンティブ:社会的な欲望が明確に満たされる
2) リアルタイム:状況が変化することを参加者が知っている
3) 不確実性:実力と運の要素がいいバランスで混在する
4) ヒエラルキー:自分と他人の距離感や関係性をつかみやすくする
5) コミュニケーション:助け合ったり議論したりする場
・ 持続性を持たせる2つの要素
1) 寿命を意識する
2) 共同幻想を抱かせる -
2018年が訪れる前に読んで欲しい良書です。
これからのお金についての考え方、どのように生活が変わっていくのか。
そしてFinTechとのお話もわかりやすく書いており、佐藤さんが予想するお金の世界の流れが理解できます。 -
これからの経済を支える可能性があるものについて記している本。資本主義の形態はこれまでどうであり、これからどう変わるのか、これから大事なのはなにか、書かれています。次世代テクノロジーや世界的なトレンドなども紹介しているので、ビジネスに関わりのある方は読んだ方がいいかもしれません。自分には結構参考ささりましたね。
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ビットコインに代表される仮想通貨は、中央集権の国家を担保とする通貨とは全く別次元で独自の経済圏を作れるというところが非常に革新的である。
ということを分かりやすく書いてある。
あまり、仮想通貨に興味はなかったんだけど、確かに今の風潮、分散化(Uberなど)、モノから場への要求の変換などとも相まって、非常に時流にのった必然的なムーブメントであるということが理解できたことが、この本を読んで収穫;
特に前半部分が興味深い。
・3つのベクトル
お金、感情、テクノロジー
・動的ネットワークの特徴
極端な偏り、 不安定性と不確実性
・持続的、自動的に発展する経済システム
インセンティブ、リアルタイム、不確実性、ヒエラルキー、コミュニケーション
後半はいわゆる資本主義=今のお金が無価値化し、働かなくてよい社会という前提で話が進むので、少し実感よりも進みすぎた極端な話を聴いているような気分になる。
けれど、筆者の今の世の中の変革、イノベーションに対する興奮が伝わりつつ、理路整然と簡易に説明してくれるところが良いです。 -
経済システムは以下の5つで成り立っている
1.インセンティブ
報酬が明確であること
生理的欲求から社会的欲求
2.リアルタイム
常に動いていて、
3.不確実性
確実な未来はわからない
4.ヒエラルキー
立ち位置が明確であること。
5.コミュニケーション
参加者同士のコミュニケーション
追加 寿命がある。共同幻想で寿命を長くする(ビジョンの浸透)
今起きていることは、分散化。
シェアリングエコノミー、評価経済、トークンエコノミー(ブロックチェーン、仮想通貨)
誰かが介在するビジネスのあり方が変わっていく。
人々の幸せの実現方法が、資本主義によって得なくてもよくなった。お金を持って、それで価値を買う世界から、自分達から価値を創造消費できる世界になり、価値主義に切り替わる。
個人の価値をたかめること。スキル、好意、信頼人脈。
お金が相対的に価値を生み出す資産だったのに対して、これからは個人が価値を生み出す主体となれるため、お金の相対的なメリットがなくなり、ひとつのツール、コモディティになる。どちらを選ぶかは、自分次第。 -
久々の自分でもヒットした本である。
シェアリングエコノミー、仮想通貨、ブロックチェー、インフルエンサーなど異なる現象に普遍性、フラクタルのようなパターンが見られる。
テクノロジーにより「中央集権化」→「自律分散」への移行する。いままで企業→個人というお金の動きが個人→個人という動きになる(B to CからC to Cへ)
自律分散の動きはより自然界に近い形になる。
価値とは何か。佐藤氏は価値を3種類に分類している
①有用性としての価値②内面の価値③社会性の価値
資本主義経済では「役に立つ事」「儲かる事」であるので
①が優先される。
今まではそれが正解であったがではテクノロジーにより豊かになった結果※お金の相対的な価値が下がった。またテクノロジーの発達により内面的な価値(熱狂、共感など)が可視化、流通できるようになった。
現在の社会は企業が資本を蓄積しているので個人では対応出来ない。お金がお金を増幅させる仕組み(手段の目的化)により世の中が歪になった。
そこで評価経済が立ち現れつつありそれはクラウドファンディング(「他者からの注目」をお金にかえる)などにもう既に見られる。「内面的な価値」(データ、ファン)は財務諸表に現れない。
法定通貨が支配する資本主義経済とは違い、評価経済では「個性」「独自性」が評価され「住む」ものでなく「仕組みを創り出す側」となる。 -
資本主義と価値主義。ミレニアル世代以降の価値観というのは資本への囚われから解放されているという点で本来的には生きやすくなるはずのところ、半ば解放されてしまっていることで資本主義の重力が強く意識されてしまうと生きることが難しくも感じやすい振れ幅がある様に思う。ザッカーバーグのスピーチの通り、誰もが人生の中で目的(意義)を持てる世界を創り出すことがミッションだと強く感じますね。価値主義の先にはその世界があると信じて、進んでいくのみです。
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本全体としては流れが掴みづらい印象だけど、個々のパートにとても興味深い主張や気付きが散りばめられているので、読後に自分なりに考えを深めるにはとても良い教材になる。面白かった
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人間社会は
①経済、②感情、③社会
の3つのベクトルが引っ張っている。
経済によって社会は発展し、感情によって大小の共同体がつながり、テクノロジーによって社会は進化してきた。
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お金に対する考え方と価値の在り方について考えが変わった。資本主義経済から価値経済へ移行の最中にあるのもこの本を読んで納得感がある。
以下、印象的な三文
・企業が定めた肩書きは、退職した場合はその価値は次の人に受け継がれ、その人の資産にはならない。仕事を通して独自のスキルや経験などを身につけていない限りは自分の「価値」にはなりません。
・あくまで重要なのは自分自身と向きあった上で、自分の情熱を発見し、自らの価値を大事に育てていくこと。
・お金がうまく扱えず困っている人ほど、お金に特別な感情を抱いていることが多い。それがないことによって起きる困窮や不安から、お金に感情をくっつけてしまい、道具以上の意味を感じてしまいがち。