- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344032170
感想・レビュー・書評
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「日本再興戦略」落合陽一著、幻冬舎、2018.01.30
254p ¥1,512 C0095 (2019.06.23読了)(2019.06.14借入)(2018.02.15/4刷)
読売新聞の「平成時代名著50」の中の一冊に選ばれていました。図書館にあったので借りてきて読んでみました。
日本は、明治維新後欧州を手本に近代化を進め、1945年以降は、アメリカを手本に国作りをしてきました。1990年代にバブルがはじけてからは、手本が無くなり日本のめざすデザインが見えなくなりました。
日本が再び元気を取り戻すにはどうしたらいいのか、を考えるヒントを提言しているのがこの本です。
「我々はテクノロジーによって知を外在化し、生活を拡張し、人間存在それ自体の自己認識を更新し続けてきたのです。」(3頁)
著者は、テクノロジーに重点を置いて考えようとしています。
「教育・研究・経営・アートのすべてに影響を与えるのがテクノロジーです。AI、AR・VR、5G(第5世代移動通信システム)、ブロックチェーンなどのテクノロジーは、これからの世界を大きく変えていきます。これらの本質を理解していないと、日本再興戦略を描くことはできません。」(17頁) AR:拡張現実 英: Augmented Reality
第3章の「テクノロジーは世界をどう変えるか」でテクノロジーで何ができるようになるのかを50頁ほど費やして詳しく解説しています。
第1章、第2章、はこのような見方もあるのかと新鮮な気持ちで読めました。第3章は、色んなテクノロジーが実用化されて、世の中は変わりつつあるということがわかります。ただ、利用するのに腰が引けてどんなものかがわかっていないものが多いので、…。
第4章以降は、議論が荒削りで、たたき台の一歩手前といったところでしょうか?
この本以後の物を読んでいけば、だんだん具体化していくものと思われます。
パソコンやスマホのオペレーティングシステムに日本製のものがないというのは、確かに残念なことです。
「ぼくらは日本をIT鎖国できなかったせいで、中国のようにアリババやテンセントやバイドゥを生むことができませんでした。」(56頁)
アメリカは現在、閉じこもり中のようですが、その状態が続けば、世界はアメリカなしで生きてゆく方法を考えることになります。アメリカがあとでどこにも相手にされず、うろたえることが無いよう気をつけたほうがいいのでは。余計なことですね。
インドのカーストについて
「カーストというと、悪いイメージがあるかもしれませんが、インド人にとっては必ずしも悪ではありません。」(74頁)
と言っていますが、不利益もあるわけなので、手放しで賛意を表するわけにはいきません。
日本の士農工商もよくできた序列だ、(75頁)と言っています。制度をほめているわけではないのは分かりますが、あまり感心した論とは言えません。
「ロボット、自動運転、自動翻訳、ブロックチェーン、トークンエコノミーといった新しいテクノロジーも日本の強力な武器になります。」(182頁)
ブロックチェーン、トークンエコノミー…ついていけません。
仮想通過、暗号通貨は、通貨とは、言い難いようで、暗号資産に呼称が変更されました。これも分からない世界の一つです。
新しい時代に磨くべき能力は
「ポートフォリオマネジメントと金融的投資能力です。」(204頁)
と言っています。困りましたね。
【目次】
はじめに:なぜ今、僕は日本再興戦略を語るのか?
「欧米」という概念を見直す
高度経済成長の3点セット
落合陽一の3つの再興戦略
第1章 欧米とは何か 29
「欧米」というユートピア
公平にこだわり、平等にこだわらない日本人
「西洋的な個人」の時代不適合性
「ワークライフバランス」から「ワークアズライフ」へ
「わかりやすさ」の対極にある東洋思想
日本というブロックチェーン的な国家
日本型イノベーションを定義する
2000年に日本が変われなかった理由
平成という破壊の時代を超えて
第2章 日本とは何か 67
日本の統治構造を考える
イノベーティブな日本の宗教
日本にはカーストが向いている
百姓という「多動力」
中流マスメディアの罪
日本は超拝金主義
日本を蝕むトレンディードラマ的世界観
「ものづくり」へのリスペクトを回復せよ
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか 99
コンビニに行かなくなる日
エジソンとフォードが20世紀をつくった
「人工知能と呼ばれているもの」の本質/最適化・統計・創発
近代とは何か
自動翻訳が劇的に普及する
日本のサービスが世界で売れる
自動運転タクシーを安く使えるようになる
東洋のイメージをブランディングする
5Gでテレプレゼンスへ
5Gで自動運転車がつながる
5Gで3次元のリアルタイム中経
5Gで触覚伝達を
「デジタルネイチャー」とは何か
人と機械が融合する自然
テクノロジー恐怖症との折り合い
第4章 日本再興のグランドデザイン 153
人口減少・高齢化がチャンスである3つの理由
ゲートのない世界へ
アジアにロボットを売りたい放題
機会と人間の融合が進む
日本は機械親和性が高い
ブロックチェーンと日本再興
日本はトークンエコノミー先進国
地方自治体によるICOの可能性
ICOは新しい「国の形」をつくる戦略
シリコンバレーによる搾取の終わり
世界VSカリフォルニア帝国
ビットコインの未来を占う「3つの問い」
人類史上稀有なチャンス
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー) 187
日本だからこそ持てる機械化自衛軍
インド・中国・北朝鮮
揺らぐ民主主義
民主主義をアップデート
リーダー2.0とは何か
次の10年に向けて
第6章 教育 203
新しい日本で必要な2つの能力
幼稚園には行かなくてもいい
小学校でするべきこと
センター試験をやめよ
大学生には、研究をさせよ
MBA よりもアート
英語力よりも日本語力
第7章 会社・仕事・コミュニティ 221
「ワークアズライフ」の時代
恐竜型企業と哺乳類型企業
兼業解禁と解雇緩和をセットにせよ
士農工商を復活させよ
「ホワイトカラーおじさん」の生かし方
フランスの男女平等を真似するな
年功序列との決別
「近代的人間」からの卒業
「自分探し」より「自分ができること」から始める
モチベーション格差の時代
おわりに:日本再興は教育から始まる 246
僕が筑波大学を辞めて大学に再就職した理由
僕が学生に投資をする理由
僕がポジションを取る理由
●高度経済成長(15頁)
高度経済成長の正体とは、「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の3点セットだと僕は考えています。
☆関連図書(既読)
「AI VS. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子著、東洋経済新報社、2018.02.15
「日本辺境論」内田樹著、新潮新書、2009.11.20
「格差社会」橘木俊詔著、岩波新書、2006.09.20
「動物化するポストモダン」東浩紀著、講談社現代新書、2001.11.20
「終わりなき日常を生きろ」宮台真司著、ちくま文庫、1998.03.24
(2019年6月28日・記)
内容紹介(amazon)
「情熱大陸」出演で大反響! 落合陽一の最新作!
【本書概要】
AI、ブロックチェーンなどテクノロジーの進化、少子高齢化、人口減少などにより、世界と日本が大きく変わりつつある。
今後、世界の中で日本が再興するにはどんな戦略が必要なのか。
テクノロジー、政治、経済、外交、教育、リーダーなどの切り口から日本と日本人のグランドデザインを描く。
「日本再興戦略」とは、改革や革命ではなく、アップデートです。
必要なことは、「過去において日本は何が機能したのか、何が時代と合わなくなったのか」を検証すること。
本書がポジションを取って未来を作る皆さんの一助となることを祈っています。
(著者より)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めてこの方の本を読みました。正直、もうちょっと分かりやすく書けるだろって思う箇所がなくはないですが、切れ味ある示唆と熱量には圧倒されます。
1,2章では、日本の歴史を振り返りつつ、日本とは何か?に独自の考察を載せています。支離滅裂とは言わないまでも、何度も読まないと理解するのは難しい。日本にはブロックチェーン的な非中央集権が合ってるというのは納得感があります。「商」なんて本質価値を生み出していない、という言葉はぶっ刺さりました。
3章では、テクノロジーが世界にどう影響を与えるか、独自の考察を述べています。これがめったくそに面白い。テクノロジーへの造詣が深くない方(私含め)には超刺激的な内容だったはず。5Gの時代は、低遅延化。宇宙兄弟で描かれた遠隔手術は、もう絵空事ではなくなるんだな。大事なのは、それを踏まえて何をつくるか、ですね。
という壮大な前振りを経て、4章以降でようやく日本再興のデザインが語られます。
どういう形にせよ、自分なりの示唆を発信されることには価値があるなと思わされました。どういう人生歩んできたらこうなれるのか。著者の主張に対して、ここはこうだろう、と自分なりの意見を言えるようになりたい。残念ながら、今の自分は全くそのレベルにない。
私は典型的な「やりたいことが見つからない」人間でしたが、まずは、できることを多くやっていかなければならないなと思いました。モチベートされました。 -
18.2.20
モーニングサテライト
ビジネス書 ランキング2位 -
落合陽一先生による提言。日本の未来をポジティブに描いている。江戸時代における「百姓(=百の生業を持つ)」を目指すという考え方には共感できた。百は極端だとしても、今みたいに1つの会社にしがみついたまま中年や老後を迎えるのは危なすぎる。インドと仲良くしようという提言は、中国への対抗という意味での大局的な戦略としては極めて正しいし、インドの文化や多様性に関して日本と親和性があるという主張も、その通りなのかもしれない。
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・PASMOも仮想通貨のひとつ
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これからの日本を考える上で、最先端の考えを記載。
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日本(東洋)と西洋は考え方が違うので日本と東洋に会ったやり方を追ってく必要があると思う。
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面白い。若い世代はもちろん、おじさん世代にこそ、凝り固まった価値観を見直すために読んで欲しい一冊。
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他の本と書いてあることは一緒。
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まさに日本をより良くする戦略を描いた本、価値があるかどうかはわからない。
読んでるといい気分にはなれそう。自分は合わなかった。
社会の中でここまで深く考えて生きている人はまずいないし生きれる人もいないと思う。
だからこれをやってくなら制度か製品で人を無理にでも変える必要がある。
そのための宣言書なのかな
「欧米」ではなく日本流に生きましょうと言うのが主題か。
向いてる向いてないを恣意的に決め過ぎでは
この人と同じ能力を持つ人たちにとってはこうした方が住みやすいだろう。
語るのが楽しそうなので頑張ってほしい
意図的にスルーしてるところが多そうで気になるところは多いけど、これにツッコミを入れるのではなくありそうだなを探す本か。
作者の思想による切り取りが強すぎて、考えさせる本ですらないのが読んでてきつい。 -
大学の問題
設置理念⇨欧州式、設置理念もアメリカ式のように研究資金を競争によって配分。大学の構造もアメリカ式にして人材を流動的にするべき
資金運用面⇨アメリカ式
法律
日本の刑法⇨ドイツ式
民法⇨フランス民法
大日本帝国憲法⇨ドイツ
日本国憲法⇨アメリカ
欧米というユートピアは、存在しない世界
日本のバックグラウンドには馴染まない
日本は中央集権的社会ではなく、ブロックチェーン型社会
一つのコミュニティに所属し、一生勤め上げるという旧来型の仕事は今後馴染まない
ワークライフバランスではなく、ワークアズライフ
いかにストレスのかかる時間を減らすかという問題であり、残業代を制限するのは本末転倒
人口減少という、AI化とマッチする社会的ムーブメント
大企業における使えない団塊世代は、人材流動化により外に排除していくべき
中小企業には、仕事を教える教育係が必要である場面が多く、需要はある
一人一人の価値を高め、プロジェクト毎に集まり、解散するという働き方 -
やっぱり落合先生、すごく面白い。
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様々なワラジを履かれているからこその、俯瞰した視点での論調で興味を絶やさずに読めました。
日本の人達にフィットするやり方を模索しながら、やって行ったら良いですね。 -
落合陽一さんの講演を聴いた時と同じくらい盛りだくさんで、結果、自分のできることからやろうと思う。
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ブックカフェにて一冊読み切ろうと思ったが、なかなかに重たい内容だったので一章だけ読み終えて一旦閉じた。
さまざまな面において第一線で活躍している人の考えは、多角的に物事を捉えているため、今までになかったような視点を与えてくれるような気がした。
今後必ず改めて読み直すつもり。 -
確かな根拠の元に前向きな気持ちになれる。未来を見据えながらも今を大切にしようと思える。自分の好きなことをとことんやっていこう。
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読んだけど、入力忘れ。
Unlimitedで無料だったし、懐古感が。
・日本は戦後、政府や官が主体となって、国策によって急激に近代化を果たしたバックグラウンドを持っている。これが、現代日本の基盤となっていて、足かせになっているのではないか。
⇒企業や組織などが、小さな状態から急激に発展していくにあたって、”個を重視すること”は効果的なのだろうか。
・29歳で亡くなった吉田松陰の言葉で「諸君、狂いたまえ。」というのがあるそうな。
・落合さんが思う高度経済成長の招待とは、「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の3点セット。
・各分野を変えていくのではなく、同時並行的にパッケージとして変えていくことが重要である。 -
落合陽一は難解すぎて彼のゼミ生も、一度録音してから、繰り返し講義を聞くらしい。ただこの本は注釈も多く、かなり分かりやすく書いてあって読みやすかった。
日本の今後を理論立ててポジティブに語っている。少子高齢化に対するソリューションを海外に輸出することがチャンスになるとか、ホワイトカラーおじさんをベンチャーで活用するなど、思ってなかったけど確かにそうだと感じることが多かった。
自分もこの変化の激しい時代に対して学び続けようと思う。 -
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・教育を変えて日本人の意識を変え、地方自治を強化して、ローカルな問題を自分たちで解決できるようにする。
・「タイムマネジメント」から「ストレスマネジメント」の時代へ。
・「仕事のポートフォリオマネジメント」を一人一人が持つ。 -
初の落合本。多能工化の必要性や日本人としての同質性による強みなど、大枠共感できる。もう少しラディカルかと思ったが総じて現実的かつそう言われているよな、という内容で気づきは少なかった
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テクノロジーの進化と著者の予想を書いた本。幅広い知見を持ってそうですが一部はそんなに詳しくないので論理が飛躍してる感じもして後半少し読むのが億劫
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まず、英語を単に覚えるのでは無く、発信するために覚えるという考え方そのものが役に立つ!
多くの人は英語を喋れたら、年収が高ければみたいなステータス的な考えを持ってるけど、全く遅れた考え方だと思った。
幼稚園には行かなくてもいいなど、今ある「常識」というものを否定するわけではなく、本質を捉えようという内容だった! -
目の届く範囲が、びっくりするほど広い!。異常に多い註は、情報量を見せつけることでプレステージアップを狙うマーケティングの一環だろう。
ナマの落合氏をシンポジウムで一度見たが、物腰は(意識的になのか)明らかに変わっている、と思わせるものだったが、発言内容は、マトモすぎるくらいマトモで高潔な印象だった。かねがね、落合信彦のほうは、ハッタリ屋だと思ってきたのだが、息子がこういうふうに育っているところを見ると、信彦氏も本当にスゴイ人物だったのだろうか。 -
日本の歴史から日本人に適した成長モデルを提案。
拝金主義、士農工商の商は生産性がなくAIに取って代わる職種。
時代の流れが読みづらく、また流れが速いため目の前のことをまずやってみる。チャレンジできないと同質化し、ベーシックインカムの波に飲まれてしまう -
【所要時間】120分(2倍速)
【メモ】東洋感と西洋感の違い、拝金主義からの脱却、ポジション
【感想】とにかくエッセンスが盛りだくさん。筆者の本気で日本を再興したいという熱意が活字に現れている。ただ自分の考えを提示するだけでなく、歴史や思想感を根拠として理屈立って未来の日本を暗示している。決して科学脳から出るSF的思考ではなく、地に足のついた現実的な思考であることがこの本を通して理解できた。自分ができる分野にポジションを取って逐次的に行動せよ。という言葉からも筆者が誰よりも努力を積み重ねてきたことが伺える。ただ、やはり注釈が非常に多く、サクサク読むには難しかったため星は4つとさせていただきました。。 -
ユニークではっとする、原落ちする視点が散見される。
一方、仮想通貨/ブロックチェーンの話はちょっと難しかった。。
以下、適宜に抜粋。
・日本人は、work-life balance ではなく、work as life
・ストレス少なく、生活の一部として働く。
・無理なく続けられることを生活の中に入れ込み複数行う
・日本人は個人として異端になりくいが、集団として異端になるのは得意
・これからの日本に大事なのは、複数のコミュニティに所属しつつそのコミュニティを自由に変えられること。
・帰属意識と参加意識。自分の選択が意味を持っている実感を感じ、相互に依存することから日本再興は始まる。
・「ものづくり」へのリスペクトの回復が必要。
・「ナウイスト」になる。今、即自的に必要なものをちゃんとリスクを取ってやれるかどうか。 -
全てがその通り、だとは思わないけど節々で同意する部分があり、また、自分にできることを、という背中も押された。しっかり実行されている人なので、やっていることも面白いし、これからもこの人の作る世界を見てみたいと思う。自分も見ているだけでなく、自分にできることを実行せねばなぁ。
2018.12.23