ディア・ペイシェント

著者 :
  • 幻冬舎
3.51
  • (5)
  • (17)
  • (19)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 111
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344032477

作品紹介・あらすじ

病院を「サービス業」と捉える佐々井記念病院の常勤内科医・千晶は、押し寄せる患者の診察に追われる日々を送っていた。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。病める人の気持ちに寄り添いたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。なのに、患者と分かり合うことはこんなにも難しいのか-。現役医師が医療に携わる人々の苦悩と喜びを綴る、感涙長篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 病院を「サービス業」と捉え「患者様プライオリティー」を唱える
    佐々井記念病院の常勤内科医になって半年の千晶。
    千晶は、押し寄せる患者の診察に追われる日々を送っていた。
    そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。
    病める人の気持ちに寄り添いたいと思う一方、座間をはじめ
    様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は
    先輩医師の陽子。
    しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。
    失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。
    なのに、患者と分かり合う事はことはこんなにも難しいのかーー。

    前回の「サイレントブレス」にとても感動したので期待して読み始めました。
    今回は現代日本の医療界の現実を切々と訴えていた。

    お医者様と尊敬と感謝を込めて呼ばれていたのは古き良き時代だったのか
    学校の先生もそうですね。
    今や患者様の時代なのか…。
    外来患者にはS・М・Lがあるという。
    Sとは「スムーズ」要領よく病状を伝えてくれて、説明もすぐに理解してくれる患者
    Мとは「まだるっこしい」病状説明の手際が良いとは言えず、世話の焼ける患者。
    Lとは来院した瞬間から災厄を振りまく台風そのものといったタイプや
    気付いた時には手に負えないほどに成長するタイプ
    何かあれば訴えてやると身構えているタイプ
    これを読んだ時に、とっても嫌な気持ちになった。
    読み進めているうちにそう思いたくなる医師の気持ちもわかって来ましたが、
    やはり患者の立場の私からは侮辱されている様に感じた。
    大きな病院にいくと、信じられない位の長時間の待ち時間。3分診察。
    予約しているのに3時間なんて当たり前。5時間6時間なんてのもありますが、
    態度にも言葉にも出さず、お医者様には丁寧に接するのは当たり前。
    診察室には挨拶をして入り、宜しくお願いしますと頭を下げ、
    必ずありがとうございましたと言って診察室をでます。
    でも心の中では色んな不満が渦巻いています。
    前回の結果を全く覚えていない…目が一度もあわない…etc.

    しかし、お医者様の方も深い悩みを抱いている事がわかりました。
    現役の医師である南さんが書かれているからこそ、
    医師が追い詰められていく様子が苦しくなるほど伝わってくる。
    こんなにも医療現場が過酷な状況になっていたとは…。

    主人公の千晶のお父さんの言葉が心に沁みました。
    人は必ず死ぬ。
    治すための医療だけじゃなくて、幸せに生きる為の医療を考える。

    千晶の様な患者に寄り添えるお医者様に出会いたい。
    心の通わせられるお医者様に出会いたいって思った。

    色んな事を考えさせられました。


    犬が吠える、風が伝える。だがキャラバンは進む。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    病院を「サービス業」と捉える佐々井記念病院の常勤内科医・千晶は、押し寄せる患者の診察に追われる日々を送っていた。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。病める人の気持ちに寄り添いたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。なのに、患者と分かり合うことはこんなにも難しいのか―。現役医師が医療に携わる人々の苦悩と喜びを綴る、感涙長篇。

    医師というと、人間が思いつく職業の中でトップクラスに尊敬され、社会的信用も高く、前途も洋々で人生の勝ち組というイメージが有ります。僕自身もそうだし世の中のほとんどの人はそう思っていると思います。でも自分自身がこんなに重大な責任を背負う陽な職に就くかと言われたら、絶対に就かない職業のダントツトップになります。人の命を左右する重大な決断を一個人が決め、相手の全幅の信頼を受けて治療する。そんな事とてもじゃないけれど考えられない。
    毎回小説を読んでいて思うのは、ずさんな医療を正す小説を読んでいるときは医者に対して酷いと言い、無責任な教師に苦しめられる小説を読むと子供たちの気持ちに寄り添う。はたまたモンスターペアレントに苦しめられる教師の苦悩を描いた話では、教師の苦悩に心を寄せる。それぞれ一辺通りではなくそれぞれの事情に対して寄り添う事が出来るので、自己矛盾を見つめて、それに対して真摯に考える材料を与えてくれるのが小説の尊い所だと思っています。
    この本は医者が患者の為を思って動いても、患者にはそれが伝わらず訴訟やクレームという手段で医者の心と尊厳を削り取っていく様が、医者の側の視点で切々と描かれています。読んでいて胸が苦しくなるような気がしました。この苦しい感じの原因を探そうと、心の中をぐっと覗き込んでみると、自分も医療行為で家族に何かあったら、医者を責めるのではないかという自己矛盾で、すっきり医者に肩入れ出来ない痛みだったような気がしました。
    私の身の回りのお医者さんは皆親切で、一生懸命治療してくれているので感謝しかないのですが、それでも時に納得できない時に湧き上がる悲しみともあきらめとも言えないあの感情。本当にこの人を信じてよいのかという猜疑。それを無数に向けられる医者という職業の苦しみがこれでもかと描かれます。
    医者でないと書けない本だと思いました。ある意味現在進行形で治療している人はどう感じるのだろうかと思わせる本でした。

  •  著者第2作
    第1作の「サイレント・ブレス」がすごく良かったので、期待して読み過ぎた感があります。
     今作は、今の医療現場のお医者さんの過重労働や、患者のモンスター化などの問題を、自分の理想の医療をなんとか目指そうと頑張っている、女性医師真野千晶とその同僚の医師達や、地域医療で頑張っている、千晶の父の姿を通して訴えています。
     実際36時間労働がざら、という現実は大変過ぎて重かった。
    お医者さんが忙しすぎたら、現実的に良い医療なんて出来ない。
     でも、治して欲しい患者さんも一杯いる。
    そして、待ち時間が長いと特に自分の体が辛い時は、辛いのも本音。
     いろいろ考えさせられた一冊でした。

    • しのさん
      お久しぶりです( ´∀`)
      変わらずお元気でいらっしゃいますか?

      やはり読まれていたのですね( ´ ▽ ` )
      私も今、丁度この作品読んで...
      お久しぶりです( ´∀`)
      変わらずお元気でいらっしゃいますか?

      やはり読まれていたのですね( ´ ▽ ` )
      私も今、丁度この作品読んでいます。
      まだ半分位しか読めていないのですが、
      ロッキーさんと同じな感想を抱いていますd( ̄  ̄)
      でも、後半分読むのがとても楽しみです。
      優しい 文章温かみのある文章いいですね
      2018/05/09
  • 初めて読む作家さん。ノンフィクションなんじゃないかと思うほどのリアリティ。
    父が約1年の間、4つの病院に入退院したが、どの病院の医師も忙しさのあまり疲弊していたように思う。
    次々と運ばれてくる急患の処置に追われ、手術をこなすだけで精一杯、いつ医療ミスが起こっても不思議ではない、といった具合だ。特に中央の大病院で顕著だった。
    志の高い医師ほど、現実とのギャップに苦しむのではないだろうか。
    こうなったのは誰のせいなのか?
    では、どうすればよいのか?
    医療を受ける多くの人に考えてもらいたいテーマだった。

  • 病院をサービス業と捉えるやり方は、そこに勤める医師のストレスは半端ないと思った。医師の過労働と睡眠不足、医療訴訟があり、そしてクレマーにも患者様として対応していかなければならないマニュアルがあり、患者様第一主義は医者が患者さんに恐れを抱く。対等でなければ質の良い医療を提供できないのではと思う。大きな病院が抱える問題を提議してるようで胸が締め付けられた。最後、主人公の千晶先生のお父さんの助言が心に沁みた。

  • いつからだろう。病院で患者が「様」付けで呼ばれるようになったのは。
    それまでの、患者は病院に対して何も言えない、医療者の言うがまま、という状況から、きちんと質問ができる、不満があれば伝えられる対等な立場になったことは良いと思う。が、この小説にあるようなまさにモンスターペイシェントへの対応に医療従事者が疲弊しているなんて、あり得ない。なにか勘違いしているんじゃないか。過剰に下に出る必要はないけれど、けれどやはり自分の身体や心を診てくれる医者たちへ最低限の敬意は持つべきだろう。患者が傲慢になることで、最終的に自分たちへの医療の質が落ちていくのだ、となぜわからないのだろう。
    医者や看護師、その他コメディカルの人たちが、一般的なサラリーマンとは違う「矜持」で働いているのは確かだ。けれど、それに対してそれを当然だと思ってしまうのは患者の身勝手以外の何ものでもない。医者だって看護師だって、人間なのだから。
    医者が患者の求める医療を求める範囲できちんと対処できること、その当たり前が当たり前にできる医療で会って欲しい、そう思った。

  • サイレント・ブレスが良かったので本書も読んだ。
    なんとかきちんと全部読んだが、不快感でいっぱい。
    その理由を書く気にもならない。

  • 内容は面白いとは思うけどイライラする。
    話の進み方?

  • 少し前に読んだ『サイレント・ブレス』が良かったので同じ作家さんの本を借りてくる。
    こちらも別の意味で心苦しい話だった。
    自分の気持ちが相手(患者さん)に伝わらない、別の意味で捉えられているって気持ち悪そう。最初から、100%伝わるってことはないと思って、伝える努力をしないといけないということね。医師と患者という関係だけでなく、友人や家族間でも。

  • 暑くて他することないからクーラー効いた部屋で一気に読んだ
    医者にはならないでおこうと思える内容だけど、最後はちょっぴり医者になってよかったねって締めくくられる
    クレーマー患者の中にミステリーを加えてくるところがなかなか面白く、最後の顛末が気になってしまういい引きだった

全24件中 1 - 10件を表示

ディア・ペイシェントのその他の作品

南杏子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
塩田 武士
佐藤 正午
奥田 英朗
東野 圭吾
辻村 深月
柚月 裕子
角田光代
伊坂 幸太郎
湊 かなえ
今村 昌弘
柚月 裕子
又吉 直樹
湊 かなえ
恩田 陸
薬丸 岳
柚月 裕子
村田 沙耶香
東野 圭吾
湊 かなえ
雫井 脩介
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする