- Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344032705
感想・レビュー・書評
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高校に入学したばかりの15歳の少年が東欧・ソ連を旅した1975年の物語。
もちろん15歳なのでヒッピーのような旅ではなく、きちんとしたホテルに泊まりながらの比較的安全な旅といえる。しかし、当時、観光客を受け入れる態勢が十分に整っていないルーマニアやチェコスロバキアの様な国にも訪れる。
それらを支えているのは博識と旺盛な好奇心だ。
「知らないものを知りたい」という欲求をひしひしと感じる。
社会主義国と資本主義国の違い、社会主義国内での違いが佐藤少年を通じて明瞭に伝わる。
主義の違いはあれども人間とのつながりは万国共通である。
妙に丁寧な会話が当時の佐藤少年の不十分な英語力を表している様に感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作家で元外交官の佐藤優氏は、15歳の夏、高校合格のご褒美にソ連・東欧を一人旅した。知的好奇心が旺盛で、15歳とは思えない行動力、意志の強さに驚かされる。旅先での出会いやペンフレンドとの交流は心温まり、国や文化・言語は違えど、人間は同じなんだと感じる。若い世代の人に是非とも読んでほしい。
佐藤少年が旅先で出会ったマルガリータへのトキメキは微笑ましくもあり、また行動力に脱帽した。 -
1975年の夏。当時15歳だった著者が難関高校入学のお祝いにと両親から東欧・ソ連一人旅をプレゼントされる。旅の目的はハンガリーのペンフレンドに会うことと、日本とは違う社会体制の国を見て見聞を広めること。
上巻は旅行会社でのやり取りから始まり、スイスやチェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー・マルギット島、ルーマニア等を経てソ連入国までが綴られている。
出会った人々との些細な会話の内容や印象、その他料理のメニューや食べた感想に至るまで、つい昨日の出来事を語るような克明な描写に驚いた。
先日、ラジオに佐藤優さんがリモート出演されていて、この本のことを話していた。「高校一年生で海外一人旅(しかも社会主義国)。凄いなあ」と興味を持ち、翌日早速本屋で購入して読み始めたのだけれど、読んでいて何より凄いと思ったのは、積極的に現地の人とコミュニケーションを取る姿勢。困ったことやわからないことを聞くだけじゃなくて、どんな家族構成でどんな暮らしをしているのか、人となりを知ろうとする人懐こさ。
フィフィとの別れやルーマニアでのトラブルの場面では一緒に旅している気分になって、読みながら泣いた。一番好きなのはマルギット島でのゆったりした数日間。ホテルの人や周辺で出会った人々が温かくて素敵だった。
紀行文は滅多に読まないし、つまらないと思っていたけれど(太宰の津軽とか佐渡は別)、これは面白いし勉強になる。下巻を読むのが楽しみ。 -
昔の事なのに
彼の驚きと発見
食レポの充足感
続きが楽しみです -
素晴らしい作品です。
佐藤優氏が何と高校一年生であった1975年の
夏休みに、冷戦真っ只中の東欧諸国やソ連を
旅する紀行本です。
何かであの沢木耕太郎氏の深夜特急と対比して
「21世紀の深夜特急」と銘打たれていましたが
まさしくその通りの内容です。
観光ではなく、そこに暮らす人々と触れ合う
ことを重視した行動や、国籍を問わず行き交う
人々と話し合う、理解しようとする積極性は
もっと早く若い時に読んでいたかった、と思わ
せます。
本当に高校生は必読の一冊です。 -
それにしても、佐藤氏、40年近く前の旅行の細部を、よくもまあここまで覚えているもんだ。
もちろん日記やメモなどで記録していたのだろうけれど、この長大な旅行記を書くまでの記憶を残しているというが本当に驚きだ。
こだま号の車内で読んでいたが、ルーマニアからソ連に入る列車に比べたら、まさに天国だろうな、と。
それが楽しいというのが、若いってことのエネルギーだろうかね。 -
とても面白い。自分は東欧諸国には行ったことがないし、15歳で一人旅というのは思いもよらなかった。でも、大学生の時に欧州をウロウロした時のことを思い出すことができるし、若い佐藤さんの旅行から何かを学んでやろうという態度、行動力、心の通った態度にも胸を打たれるものがある。
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旅行したくなった。
それぞれの国の生活、著者が感じたことがとてもよく伝わってくる。 -
「先生と私」を読んでいたので期待していたが、期待以上だった。
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第2の深夜特急。
こんなに集中して、知的好奇心をくすぐられながらページをめくり続けたのは久しぶり。あっという間に読み終わる