ありえないほどうるさいオルゴール店

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344032927

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『あなただけのオルゴールを作ってみませんか?』と言われたら、どんな曲を選びますか?

    『櫛のかたちをした櫛歯と、円筒形のシリンダーが組みこまれ』、『櫛歯を、シリンダーにつけた突起ではじいて音を出』すという仕組みのオルゴール。その優しく、どこか懐かしい、そしてロマンティックな響きには心癒されるものがあると思います。そんなオルゴールは既製品を買うだけではなく、専門店に行くことで外箱や曲目を自由に組み合わせて自分だけのオルゴールを作ることができるのだそうです。しかし、自由に曲目が選べるというのはなかなかに難しいものです。そんなことを言われて、あの曲にしたいという具体的な曲目をパッと思い浮かべることが、あなたにはできるでしょうか?

    でも、安心してください。そんな迷いの極地にいるあなたを救ってくれる店員さんがいるお店が『北の街』にあるのだそうです。『お任せいただければ、ふさわしい曲をおすすめできます』と、優しく語りかけるその店員さん。そして彼はこう続けます。

    『お客様の心の中に流れている曲を聴かせていただいて、それを使います』。

    えっ?というあなたの戸惑いの声が聞こえました。『うさんくさい』、そのように思う方もいるかもしれません。今の時代、それが正しい処し方とも言えます。しかし、そんな一見常識的な対応を取ることであなたが手にしていたかもしれない大切な音を聞き逃してしまう、一方でそんな展開もあるかもしれません。

    そう、そんなあなたに是非読んでいただきたい作品がここにあります。瀧羽麻子さん「ありえないほどうるさいオルゴール店」。それは、あなたが今まで気づかなかった、もしくは忘れかけていた、あなたの心に流れる大切な音楽の存在に気づくことになる物語です。

    『静かな店だった』という『三、四坪ほどのこじんまりとした店内』へと悠人と手をつないで入ったのは主人公の美咲。『天井から床まで細かく区切られた棚には、どの段にも透明な箱がびっしりと並んでいた』というその店内。『そのひとつひとつに金色の器械が入っている』のを見て、『誘われるように』手を伸ばした悠人に『さわったらだめ』と『思わず声を出し』、手を引いた美咲。その時、『いらっしゃいませ』と『黒いエプロンをつけた男がいつのまにか立ってい』ることに気付きます。『どうぞ、ごゆっくり』と作業をはじめた店員を気にしながら美咲は棚に置いてある紙に目を落とします。それは『世界にたったひとつ、あなただけのオルゴールを作ってみませんか?』とオルゴールについての説明が書かれた手作りチラシでした。その時、『不意に、なつかしい』音色が流れてきたのにハッとした美咲は悠人がいないのに気付きます。『自由にさわっていただいてかまわないんです』と言う店員の横で不安そうな顔をする悠人を見つけ『すみません』と謝る美咲。そして美咲は『ひとつ、いただけますか』と『気づいたら』そう言っていました。『お母さんに?それとも、お子さんに?』という問いに『息子に』と悠人を見る美咲は、『悠人の耳は大きい』、『こんなに立派な耳がその機能を果たしていないなんて、本当に信じられない』と思います。『なにかお好きな曲はありますか?』と続ける店員は、続く会話の中で、『お任せいただければ、ふさわしい曲をおすすめできますが』と提案してきました。『お客様の心の中に流れている曲を聴かせていただいて、それを使います』とも説明する店員に『明らかにうさんくさい』と感じる美咲。しかし、気に入らなかったら返品もできるという説明に、押し問答を面倒に感じた美咲は注文を決めました。『悠人の耳が聞こえていないとわかったのは、二歳半のとき』と、『先天性の難聴』の診断を受け『医者からは手術をすすめられている』という悠人。そして、店員は五線紙を取り出し、そんな『悠人の顔をまじまじと見据え』目をつぶりました。そして目を開け、『猛然とペンを走らせ』ます。『あっというまに一ページ分を埋めてしまうと』ぱたんとノートを閉じた店員は『月曜日にはできあがりますので取りにいらしてください』と告げました。『それらしい身ぶりをしてみせたとはいえ、冷静に考えればかなり眉唾ものだ』と思いながら店を後にする美咲。そして、翌週再び店を訪れた美咲に『いらっしゃいませ。お待ちしておりました』と愛想よく現れた店員。そんな店員は青い小箱を取り出します。そして、そこから流れてきたのは…という最初の短編〈よりみち〉。じわじわと湧き上がってくる感動の前触れが頬にあたたかいものとなってつたう瞬間…。いきなり冒頭からこんな感動に襲われるとは予想もしなかった絶品!でした。

    七つの短編から構成されるこの作品。都市名は一切登場しませんが、『北の街』、『運河に沿った石畳の小路』、『異国情緒の漂う石造りの建物や倉庫が並び』、『昔は海運で栄えた』といった記述、そして短編間で共通の舞台となるのが『オルゴール店』ということで、間違いなく北海道の”小樽”を舞台にした物語と言ってよいと思います。そんな物語は、『オルゴール店』が必ず登場するということで繋がる連作短編の形式をとっています。そんなこの作品同様にお店などひとつの場所を共通に物語が連作短編の形式を取る作品というと、図書室の選書コーナーが必ず登場する青山美智子さん「お探し物は図書室まで」、隠れ家的レストランが必ず登場する古内一絵さん「マカン・マラン」、そして『心の底からほしいと思っている人だけが』辿り着けるコンビニが必ず登場する村山早紀さん「コンビニたそがれ堂」など名作と呼ばれる作品が多々あります。それらに共通するのは”必ず登場する”それらの場所を訪れることをきっかけとして、その場所を訪れた主人公たちは何かを掴み、人生の”起点”としていくというものです。私はこの”起点もの”というジャンルの作品群をこの上なく愛し、どこかにまだ見知らず眠っているものがないかを日々探し求めています。そんな私が偶然にも出会ったこの作品は、金鉱、というより、ダイヤモンドの鉱脈を掘り当てた感さえある傑作でした。

    そんな“起点もの”の作品群には、次のような共通点があります。
    ①”必ず登場する舞台”は、隠れ家的存在である。
    ②”①”にはインパクトのある人物が必ずセットで登場する。
    ③”②”の人物に視点が移動することはなく、謎多き人物として据え置かれる。
    ④各短編に登場する人物達は基本的に関係性はないが、それぞれの人生において何かしらの停滞状態にある。
    ⑤”④”の人物たちは、”①”を訪れたことによって何かを掴み、再び前を向いて歩き始める。
    ⑥”⑤”によって”①”の場所は、”起点”を与える場所の役割を結果的に果たすことになる。
    まとめるとこんな感じでしょうか。冷静に考えると、”起点もの”とは、ある意味でパターン化された構成の作品であり、人によっては”飽きた”と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このパターンを快感に感じることができたなら、そう、私のように脳がこの快感なイメージを欲するようになってしまうと、これらの”起点もの”の作品群はかけがえのない宝の山にも見えてくるのです。

    そんな”起点もの”の一つとも言えるこの作品は、『世界にたったひとつ、あなただけのオルゴールを作ってみませんか?』というお店の宣伝文句にある通り、『オルゴール店』を舞台にした物語です。そして、そこに登場する男性店員は謎に満ちています。最後まで名前が語られることはありませんし、素性もはっきりしません。しかもお店で作る『オルゴール』の曲を『お客様の心の中に流れている曲を聴かせていただいて、それを使います』、ともう怪しさ満点の説明を真面目にするという強烈さです。『意味がわからない』、『うさんくさい』、そして『変な店に入ってしまった』と主人公たちが共通して感じるのは当然のこととも言えます。このうさんくさい店員が選ぶのはどんな曲なのか、そしてその選曲が読者をどんな感動へと導いていくのか、七つの短編はいずれ劣らぬ傑作揃いです。ただし、それぞれの作品の登場人物たちはいずれも人生の中でひとつの迷いの時期にあったことは間違いありません。

    『ひとつのお店を舞台に、そこを訪れるいろんなお客さんの人生の一部を、短篇として切りとっています』と語る瀧羽麻子さん。そんな瀧羽さんが『皆それぞれに悩みや屈託を抱えながらも、オルゴールに託された音楽を通して、少しだけ前向きになれるというお話です』と語るこの作品では、『心の中に流れている曲』に人生の歩みを進めるためのヒントが隠されていました。漁師だった父と激しくぶつかり故郷を捨てるように東京へと出た主人公が法事で故郷へと戻る途中に店に立ち寄り出来上がったオルゴールから流れてきたまさかの音楽を聴く〈ふるさと〉。周囲に溶け込むことの出来なかった少女がピアノと出会い、上達していく中でひとつの転機を迎えた場面で店に立ち寄り、もらったオルゴールから流れてきたまさかの音楽を聴く〈バイエル〉。そして、妻が脳卒中で入院、大事には至らなかったものの記憶に問題がある懸念が発覚。退院祝いを探す中で夫が店に立ち寄って買い、プレゼントしたオルゴールから流れてきたまさかの音楽を二人で聴く〈おさきに〉、といったようにそれぞれの短編では、『オルゴール店』はあくまで偶然に、場合によっては意図せず訪れたという結果論で行き着いた場所でした。長い人生色々なことがあります。必ずしも前へ前へと順風満帆な人生が送れる人などいないでしょう。でも、そんな時ほど、人はどこか冷静で自分が進むべき道というものを持っているものです。進むべき先が見えているものです。しかし、その道への第一歩がどうしても踏み出せない、躊躇してしまう、それは、その道に進むことが未知であればあるほどにその戸惑いは大きくなりがちです。そんな時に大切なのは”きっかけ”、”起点”です。七つの物語において、主人公たちは『オルゴール店』を訪れたことによって何かを掴んでいきました。それは、振り返ってみればそんな『オルゴール店』が人生の”起点”となった瞬間でもありました。そんな”起点もの”の名作とも言えるこの作品は、もう一つ共通するポイントが非常に秀逸であることを最後に書いておきたいと思います。

    ⑦登場人物たちのそれからをはっきりとは書かない。その先に進むであろう道をふわっと暗示して終わる。

    短編は文字数が限られています。はっきりわかるような結末は短編には相応しくない一方で、プツッと放り投げたような結末には不満が残ります。瀧羽さんのこの作品はこの点の秀逸さが群を抜いています。あっさり切っているにも関わらず登場人物たちのその後の人生が鮮やかなくらいに目の前に浮かび上がる結末、そしてそれは読者の顔をも笑顔にし、清々しさの極地な気分に気持ちを高めてくれる、そんな読後へと読者を導いてくれるものでもありました。

    『世の中はひどい事件がたくさん起きていますし、ふわふわと楽しいことばかり書いていても現実味がないですが、せっかく物語を作るからには、ひと筋でもいいから光がほしい』と語る瀧羽さん。そんな瀧羽さんが『オルゴール店』を舞台に魅せてくれた七つの短編は、人生を先に進んでいくための”きっかけ”、”起点”を得る瞬間を待つ主人公たちの物語でもありました。そう、人生の中で迷いの時間を過ごす人たちに”ひと筋の光”射す瞬間を垣間見るこの作品。

    『人生の大事な場面でたまたま流れていた曲が、心に残ることもある。音楽は印象的な思い出を呼び起こす』。

    人の心の中に流れる旋律とそれが人生の中で持つ意味合いを鮮やかに物語世界に描き出したこの作品。オルゴールが紡ぎ出す優しい調べの中に、あたたかく包まれるような優しさを感じるこの作品。”起点もの”の連作短編の傑作だと思いました。

  • 第一話から泣きそうになり、最後まで泣きっぱなしかと思ったけど、そういう訳ではなかった。でも、ジーンとくる心温まる話ばかり。心温まる話なんだけど、各話の終わりはなんか淡々としていると思った。余韻に浸る前にスパッと終わる感じ。でもよく考えると、それがかえって良いのかな?読者は、あとの展開はハッピーエンドなんだろうと、どれも想像してしまうと思う。
    オルゴール店の店主の正体が気になり、そこがモヤモヤする。もうちょっと説明が欲しかった。でも、はっきりわかるより少し謎がある方がいいのかな?

    私だったら店主はどういうメロディーをオルゴールにしてくれるのか?それを考えると楽しい。

    オルゴール店が北の町にある設定なんだけど、私はどうしても広島の尾道や鞆の浦を思い浮かべてしまう。たぶん、旅行に行きたいからだと思う…。

  • 世界にたったひとつ 、あなただけのオルゴ ールを作ってみませんか ?

    耳の聞こえない少年。
    音楽の夢をあきらめたバンド少女。
    不仲だった父の法事で帰郷した男性。
    長年連れ添った妻が倒れ、途方に暮れる老人。
    彼らの心には、どんな音楽が流れているのでしょうかーー。

    心の音楽が聴こえるというイケメンの店主が、傷ついた人の心にやさしい魔法をかけてくれます。

    耳の聞こえない3歳の悠人くんが健気。
    こんな小さな子に耳の手術を受けさせるべきか迷う母親。
    「耳が聞こえる子に産んであげられなかったのは 、わたしなのだ 。」
    自分を責めて追い詰められる。
    大声で叫びたくなる。
    悠人くんの心に流れる音楽がお母さんに届きますように。
    泣いちゃったなぁ。

    老夫婦の話も素敵だった。
    70過ぎてもあんなにお互いを思い合えるなんて。
    素敵な記念日、素敵な告白に心がときめいた。
    私も記念日を増やしたいな。

    「でも音楽ってそういうものかもしれません 。印象的な思い出の後ろで 、鳴っている 。反対に 、その思い出を呼び起こすこともできる 」

    • もとごんさん
      けいたんさん
      こんばんは、もとごんです。
      コメントでは初めましてです。
      けいたんさんのレビューを読んで、この本を読みたいと思って、図書...
      けいたんさん
      こんばんは、もとごんです。
      コメントでは初めましてです。
      けいたんさんのレビューを読んで、この本を読みたいと思って、図書館ですぐに予約しました。温かい話ばかりで、新しい年を優しい気持ちで迎えられそうです。ありがとうございました。
      2019/12/26
    • あいさん
      もとごんさん♪

      こんにちは(^-^)/
      コメントでは初めましてですね!
      いつも丁寧に「いいね」ありがとうございます。
      年賀状が...
      もとごんさん♪

      こんにちは(^-^)/
      コメントでは初めましてですね!
      いつも丁寧に「いいね」ありがとうございます。
      年賀状が出来ず、読書がなかなか進まない日々。
      もとごんさんの優しい言葉が心に染みます。
      こちらこそありがとうございます♪
      今夜からまた読書に頑張ります!
      今年最後にもとごんさんとお話できたこととても嬉しかったです(⁎˃ᴗ˂⁎)
      本の事はもとごんさんのレビューで返信させてください。
      2019/12/27
    • もとごんさん
      けいたんさん

      こちらにもおじゃまします。
      こちらこそ、いつも私の他愛ない本の感想を読み「いいね」してくださって、ありがとうございます...
      けいたんさん

      こちらにもおじゃまします。
      こちらこそ、いつも私の他愛ない本の感想を読み「いいね」してくださって、ありがとうございます。

      今年の後半は、ブクログユーザーさんの本棚やレビューで、たくさんの本を知り、もっとたくさんの本を読みたくなりました(^^♪
      本を通して、けいたんさんとこうしてつながれたことも、とても嬉しいです。
      けいたんさんの今年最後の本は、何になりそうですか?私はアンソロジーになりそうです。

      よいお年をお迎えください。
      年賀状、素敵に仕上がりますように!



      2019/12/27
  • まず、表紙の感じがすごく好み。

    題名は、ありえないほどうるさいオルゴール店だけど、内容は優しい気持ちになれるほっこり系だった。


  • 北海道・小樽の運河沿いが舞台かなーと思いながら読んだ。
    北国だし観光地だし、有名な洋菓子屋さんもあるしお寿司屋さんもあるし、観光で行った時には結構立派なオルゴール屋さんもあった。(本作品とはおそらく無関係)

    運河の街にあるオルゴール屋さんのお話。
    お客さんの心の中で流れているメロディーを聴き取って、不思議とお客さんにぴったり合う曲のオルゴールをオーダーメイドで作ってくれる。

    静かな店内なのに「ありえないほどうるさい」とはどういうことなんだろうと読み進めて、後半でその意味となるものが書かれていて、なるほどと思わず頬が緩んだ。
    オルゴールの音色って神秘的で素敵。
    オルゴールの店主も謎めいていて多くを語らない感じで素敵だった。
    私もオルゴール作ってもらいたいな。何の曲になるだろう。

    何となく手に取った本だけど良かった。
    優しくて温かくて、好きな感じの文章と物語だった。
    特に「おそろい」がすき。
    続編があればぜひ読みたいし、この人のほかの作品も読んでみたくなった。

    久しぶりに時間を忘れて読書して、夜更かしする夜になった。

  • 北のとある観光地に埋もれるようにひっそりと営業しているオルゴール店。
    店内はぎっしりとあらゆるタイプで様々なジャンルの曲をそなえたオルゴールが並べられ、自由に視聴出来るように店内は一切の音楽は流していない。
    そんなオルゴール店の店長は、客の心の中に強く印象付けられた曲を聴き取りオルゴールにすることが出来ると言う。
    『ありえないほどうるさい』とは真逆の、静かで穏やかに進む物語。
    将来を憂い迷う母親が見つめる難聴の息子、年上の恋人との関係が破綻しようとしている男性、卒業を前に分裂してしまったガールズバンド、自分のピアノ演奏の方向に悩む少女、自分と真逆の父親への反抗心を抱えたまま故郷に帰る途中の男性。
    様々な客の心にある音楽と、それをきっかけに再生していく人々。
    短編なので、その後の顛末は殆ど描かれない。ただ何らかの形で新たな一歩を進めるのだろうとは思う。
    また終盤にはこのミステリアスな店長にせまる話も出てくる。こちらも向かいの喫茶店ウエイトレス視点なので一歩引いているが、意外な人間らしさも見えてホッとした。
    この話でなぜ『ありえないほどうるさい』のかが理解できた。

  • 「よりみち」、「はなうた」、「おそろい」、「ふるさと」、「バイエル」、「おむかい」、「おさきに」の7つの連作短編集。
    あるオルゴール店の店主が、人生の岐路にある登場人物たちの背中を押す思い出の一曲を不思議な力で聴き出してオルゴールを制作する。
    いつもの柔らかい文体に優しい物語がマッチしていて良い作品ではあるのだが、あらすじのこの形はすべての短編に共通していて、同じ展開の話ばかりで飽きてくる。
    連作ではなく毛色の違う短編集の中にどれか一つがあればちょうどいいくらいだ。

  • 心の中にある音楽、オルゴールで聴いてみたい。思い出だったり誰かと共有した曲だったり。子どもたちが小さい頃の寝かしつけで使っていた曲がふと心に再現され、なんだか子どもたちが赤ちゃんだった頃が懐かしい。物語に出てくる人たちも素敵なオルゴールで自分の心の中の大切な部分に触れる事ができ、そんな素敵な曲と共にまた人生を歩いて行く姿も素敵だと思う。

  • 私の音も聴いて欲しいな

  • 小樽が舞台。温かいお話し。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀧羽麻子の作品

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