- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344033306
感想・レビュー・書評
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北斎の生涯や画業に関する本は数あれど、この本は北斎が如何にパリで評価されるようになり国内でも認められるようになったのかがテーマ。
明治開国間もない頃にパリで画商をした林忠三。彼によって印象派の画家達に浮世絵が広がった。浮世絵を海外に流出させた売国奴的な評価されていた忠三が、本作では真逆の評価に。
晩年の肉筆画のパトロンとなった信州小布施の豪商高井鴻山。彼が江戸から北斎を呼びよせ庇護した事で、かの地に沢山の北斎の作品が残された。そして近代になり鴻山の子孫が、今の小布施の街づくりに携わってきた経緯が克明に書かれている。
美術書と言うよりも経済的なノンフィクション。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
葛飾北斎をテーマにしたルポルタージュだ。
読み始めてからしばらくして違和感を感じ、著者略歴を改めて見返して、本作が美術を専門とする学者や歴史家の本ではなく、ノンフィクション作家が取材をして書いたルポなのだと気づいた。
そのため、林忠正というヨーロッパに北斎を知らしめた歴史上の人物を知るまでの経緯などがやたらに大仰に語られていて、単純に北斎のことを知りたいだけで読み始めるとびっくりした。
テーマは北斎であるけれど、彼の業績や生涯のみでなく、北斎を町おこしに使って成功した小布施の事例や、墨田区のすみだ北斎美術館ができるまでの話などにも話題はとび、むしろ後半はそちらに対しての記述が多い。
単純に北斎や、林忠正のことをもっと知りたい、と思って手に取ったので、自分の嗜好とはやや的が外れてしまった印象を受ける。 -
北斎ブームはなぜ起こったのか。19世紀末西欧のジャポニスムの原因から今の日本におけるブームまでを追ったルポルタージュ。巨匠として認識している北斎は全然扱いが違う時代があった。町おこしや地域振興の話が厚いのは著者の神山さんの関心が深いからだと思う。
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今、小布施にいてこの本を読み終えた。
北斎の絵がさらに好きになれる本だ。
誰かに対して絵を描く、売れるために絵を描くことも、
自分の描きたいことを描くことも、大事だったんだなぁと。
沁みました。 -
日本の芸術家を日本からではなく海外からの評価として捉えるアプローチは非常に興味深い。
明治政府によって抹殺されようとした江戸時代の芸術が偶然か必然か救われたのはそれだけの力や価値が本当にあったからなのだろう。
もしかしたら、同時期に本当に消されてしまった価値あるものもあるのかも知れない。 -
小布施と北斎館、すみだ北斎美術館に行きたくなりました。
事実をまとめた部分も多いですが、理想の人口規模やまちづくりなど学ぶ部分もあり。 -
北斎大好きなのになぜか本の内容にほとんど興味が持てなかった。
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2019.1.17
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北斎のことが書かれているというより,北斎の評価の推移と小布施の町おこし発展と墨田区の北斎美術館の取り組みといったサイドストーリー的なあれこれが書かれていて,思っていた内容とは違った.小布施の行政のあり方としては興味深くもあった.ただ北斎と銘打ったならば絵の一つも挿入するべきだはなかったのかと残念な体裁だった.