凍てつく太陽

  • 幻冬舎 (2018年8月23日発売)
3.95
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本棚登録 : 557
感想 : 115
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  • 本 ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344033443

感想・レビュー・書評

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  • 読み応え抜群!上質で重厚なサスペンス・ミステリー。
    陰謀やスパイものが好きな方には絶対におすすめです。エンタメ的にもめちゃくちゃ面白かった。

    ときは太平洋戦争末期の1944年。場所は北海道。ある殺人事件は、国家規模の巨大な陰謀へと繋がっていた。
    亡国の危機に彼らはそれぞれの「使命」を果たすため、命を賭ける。

    主人公は日崎八尋。北海道庁の特高刑事。
    思想犯を取り締まる特別高等警察は、国民から恐れられ、忌み嫌われている。
    ライバルは同じ特高の三影美智雄。拷問王の異名をとり、何人も拷問で殺している。

    日崎は父が日本人、母がアイヌ。当時、同化政策の推進により、アイヌや朝鮮人を皇国臣民として日本人へと組み入れていた。しかし、厳然たる差別があったことは皆さんもご存知の通りだ。

    戦時体制下、日崎ら警察は道内の治安維持に努めていたが、ある殺人事件が発生する。それは単なる殺人なのか、それとも・・・。
    そして、それをキッカケにして軍は不可解な動きを見せ始め、日崎と三影は陰謀の渦に巻き込まれていく。

    読み応え抜群!長編だがダレるところが一切なく、本当に面白かった。
    アイヌ、朝鮮、共産主義、皇統思想、全体主義、戦争の壮絶さ。重いテーマを盛り込みながらも、めちゃくちゃ読ませるエンタメ的サスペンス・ミステリーに仕上がっている。

    人物描写も巧みで、それぞれが抱える苦悩や葛藤がありありと伝わってくる。
    拷問王・三影も、はじめはイヤな悪役に過ぎなかったが、やがて「こいつダブル主役やん…」ぐらい、感情移入してしまった(私にとっては)。
    そして〇〇。コイツが良いやつなんだよなぁ・・・。

    ミステリーとしての純粋なワクワク感。謎に包まれた巨悪サスペンスのスリル。クライマックスでの驚き。そして、〇〇なラストシーン。

    よくばりセット大満足の一冊でした。締め方良かったなぁ。ああいう終わり方、本当好きだな。
    素晴らしい作品でした!

    • むぎこさん
      こちらこそ、レビュー楽しみに拝見させていただきます◡̈⃝︎⋆︎*
      ぜひお薦めなどもあれば教えてくたさいね♪
      こちらこそ、レビュー楽しみに拝見させていただきます◡̈⃝︎⋆︎*
      ぜひお薦めなどもあれば教えてくたさいね♪
      2025/02/24
    • はるるんさん
      Tomoyukiさんの評価を参考を読書の参考にさせていただいています。
      評価通り、とてもおもしろかったです。
      これからも参考にさせていただき...
      Tomoyukiさんの評価を参考を読書の参考にさせていただいています。
      評価通り、とてもおもしろかったです。
      これからも参考にさせていただきます。
      2025/03/01
    • Tomoyukiさん
      はるるんさん、うわぁ〜めっちゃ嬉しいです☺︎
      出来るだけ感想も書けるようにがんばりますね☺︎
      フレデリック可愛いですね〜
      はるるんさん、うわぁ〜めっちゃ嬉しいです☺︎
      出来るだけ感想も書けるようにがんばりますね☺︎
      フレデリック可愛いですね〜
      2025/03/01
  • yukimisakeさんの、いつもの熱いレビューを読んで、私向き!?と思い即ポチ。

    そして、相変わらずゆーき本さんのレビューは誰もが読みたくなるレビュー(*´∇`*)


    葉真中さんにハズレ無しなのは分かっていたので迷いなく購入です♪

    葉真中さんと言えば、かなり重たい作品のイメージがありますが、この作品はどうだろう?
    家に本が届き、装丁を見た瞬間からワクワクが止まらない(๑˃̵ᴗ˂̵)

    昭和19年の12月から物語がスタート。
    歴史の知識が無い私でも、終戦直前の物語なのだなということが分かります。

    舞台は北海道の室蘭市。
    室蘭は、地球岬がいいんですよね〜(*´∇`*)
    素晴らしい景色なんです。


    アイヌと日本人の間に生まれた、特高警察の八尋が主人公。

    いつものように内容はyukimisakeさんの熱いレビューを読んで頂ければ、かなりこの作品が良い作品であることが伝わるかと思うので、詳しい内容は省略させて頂きますm(_ _)m

    だって、雪さんとゆーきさんのレビューの後に何書いたって敵うわけないですからね(-。-;


    アイヌと聞いて一番に思い浮かべたのが、カムイコチャです♪カムイコチャ元気かなぁ。。。

    何冊か前に羆嵐という本も読んでいたので、羆の恐怖をめちゃくちゃ感じながら読みました。

    前半はまだ物語の全貌が明らかにされない為、ゆったり進んでいく感じだったのですが、後半が凄い!凄まじい速さで物語が進みます。

    最後の展開は全く想像していなかったです。
    こうくるのかっ!って唸ってしまいそうでした。凄いっ!

    ミステリ要素もあり、冒険譚要素もあり、差別や国家などの大きな問題も含んでいて、ワクワクドキドキがてんこ盛り盛りのお話でした♪



    そして、カミサマ(*´∇`*)

    • bmakiさん
      どんぐりさん

      お忙しいからかな?
      他にたくさん読む本があるからかな?
      落ち着いて、早く読めるといいですね(*´∇`*)
      どんぐりさん

      お忙しいからかな?
      他にたくさん読む本があるからかな?
      落ち着いて、早く読めるといいですね(*´∇`*)
      2025/04/03
    • あきちさんさん
      この本、少し前に私も読みました。
      以前、ゴールデンカムイを読んでいたのもあってすんなりと物語に入れました。
      皆さんも書かれていますが、ホント...
      この本、少し前に私も読みました。
      以前、ゴールデンカムイを読んでいたのもあってすんなりと物語に入れました。
      皆さんも書かれていますが、ホントに盛りだくさんで読み応え満点ですね。
      喩えが悪いかもですが、熱々の極上二郎系ラーメンの太麺をワシワシと食べるような感じ。
      最初はキャラが濃すぎて食べきれるか不安でしたが、完食です。
      2025/04/07
    • bmakiさん
      あきちさん

      ゴールデンカムイもアイヌでしたっけ?
      札幌の義父母から送られてくるサッポロクラシックというビールが一時期ゴールデンカムイ...
      あきちさん

      ゴールデンカムイもアイヌでしたっけ?
      札幌の義父母から送られてくるサッポロクラシックというビールが一時期ゴールデンカムイとコラボしていたことを思い出しました(^^)
      ほんと、盛りだくさんな内容でしたよね♪
      熱々の極上二郎系ラーメンをワシワシ食べたくなるような素敵なコメント、ありがとうございました(*´∀`*)
      あぁ、、、ラーメン食べたい〜(*´꒳`*)
      2025/04/08
  • ずっと借りていてなかなか読めなかったんですが
    やっっと読めました( ̄∀ ̄)


    tomoyukiさん、雪見酒さん、ゆーきさん、まきさん、みんみんさん、ヒボさん、翠さん、、、
    他にもたくさんの方がどんどん読んでいく!!!
    しばらく前にもかなさんも読んでるし
    これは読まなきゃ!!と手にした一冊




    奥貫シリーズ以来の葉真中さんなので
    心して読みました
    もちろん重厚な物語ではありますが、
    Blueのような読む時の苦しさは少なかったです(*´-`)



    ボリュームも結構ありましたが、どんどん思わぬ方向に展開していくので飽きることなく読めます!



    内容はみなさんのレビューが俊逸すぎて、何を書けばいいのやらʅ(◞‿◟)ʃ
    とにかく読んでみるしかないですねʅ(◞‿◟)ʃ




    物語の終わらせ方はさすがでした
    これは思わず声が出ます







    印象に残ったのは

    戦争こそが農耕民の最大の発明

    という言葉


    富を貯めるという概念がなければ
    奪い合いは起きなかったのではないか
    という考えです

    アイヌのように自然のものを採り、狩りをしてその日に必要なものを得て生活していく豊かさもあるのかと考えさせられました




    また


    国や民族は
    誰かが勝手に決めた
    まやかしかもしれない

    国や民族は洋服のようなもの

    という言葉




    ホントに何のための戦争なのか
    誰のための戦争なのか
    虐げられていた人たちの物語を読むと
    いろいろ考えさせられました

    • どんぐりさん
      ヒボさん

      まずはロストケア
      かしこまりました(`_´)ゞ
      ヒボさん

      まずはロストケア
      かしこまりました(`_´)ゞ
      2025/04/15
    • ゆーき本さん
      「ブラック・ドッグ」は動物好きなら読まない方がいいかもです〜(・̥-・̥ )
      「ブラック・ドッグ」は動物好きなら読まない方がいいかもです〜(・̥-・̥ )
      2025/04/15
    • bmakiさん
      どんぐりさん、お疲れ様ですm(_ _)m
      てんこ盛りな作品で、お腹いっぱいになっちゃいますね。
      兎に角戦争の描写はキツくて。。。
      南国...
      どんぐりさん、お疲れ様ですm(_ _)m
      てんこ盛りな作品で、お腹いっぱいになっちゃいますね。
      兎に角戦争の描写はキツくて。。。
      南国の戦場の話は本当に苦手です。゚(゚´ω`゚)゚。

      ロストケア、良かったですよー!
      重いですけど。。。
      2025/04/15
  • ヒボさんの本棚から(๑╹ω╹๑ )
    ありがとうございます♪

    いやー、重い重いとは聞いていたけど、ずっしり。
    本当に重い。
    どこから手を付けようかね。

    まずは装丁から?
    カッコよくない?
    表紙開いたら真っ赤で、さらにめくると真っ黒で、スピンも真っ黒で。
    本編の紙はしっとりなめらかで。
    とても良い。

    そしてカンナカムイが雷様と知って、雷様ー!とテンションが上がる県民性。
    読み進みたらテンション上がってる場合じゃなかった。

    そしてそして、こいつラスボスなんじゃないかと目をつけていたら、別の意味でラスボスで、そっちかー!!!!となったのは言うまでもない。

    いやはや、本当ずっしり重かった。

    • 翠さん
      法定速度内ですってばー(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)
      法定速度内ですってばー(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)
      2025/04/02
    • ヒボさん
      出張には別の本を連れて行きますので、お先にどうぞ( 。・_・。)っ
      分厚すぎてカバンに入りません(笑)
      出張には別の本を連れて行きますので、お先にどうぞ( 。・_・。)っ
      分厚すぎてカバンに入りません(笑)
      2025/04/03
    • 翠さん
      分厚いですもんねー(^^;)
      こちらも只今別の本を娘と奪い合いながら読んでいるので、灼熱は先になりそうです。
      この試合まだまだ目が離せません...
      分厚いですもんねー(^^;)
      こちらも只今別の本を娘と奪い合いながら読んでいるので、灼熱は先になりそうです。
      この試合まだまだ目が離せませんね〜(-□д□-)✧

      出張お気をつけて( ´ ▽ ` )ノ
      2025/04/03
  • こちらはTomoyukiさんの本棚から♪
    もうめちゃくちゃ好みそうな内容だと思っていたら予想通り好みだった!
    戦争、殺人、スパイ、刑事物、アイヌ文化、共産主義のごった煮。こんなに混ぜ込んだら味がとっ散らかりそうな所が、見事に美味しいちゃんこ鍋になっておりました。(病み上がりで例えが稚拙に…いつもか)

    昭和19年、大日本帝国は支配下に置いていた朝鮮人を「皇国臣民」と称して労働に従時させていました。これが刑務所もびっくりの劣悪な環境。
    日本人として出兵し、命を落とされた朝鮮の方々もいますが、母国語も禁止されて酷い差別を受けています。
    そのような飯場から物語はスタートします。

    主人公の八尋はアイヌの母と日本人の父を持つハーフ。アイヌ人も朝鮮人と同じく名前を日本のものに変えられて、民族衣装も着られなくなり村の名前も変えられてしまいました。
    アイヌはそもそも国や村という概念が薄く、八尋の父は森羅万象に神が宿ると考える日本に溶け込みやすいのだと言っていたのですが、この辺りの話がかなりキーポイントとなっており、アイヌの文化や言葉が度々出てきます。
    人間の世界(アイヌモシリ)と神の世界(カムイモシリ)。イオマンテという神を解き放つ儀式。
    この儀式はどこかで見た事あるなあと思っていたら、確か『ゴールデンカムイ』でもやっていたような?

    そんな元アイヌの村で育った八尋ですが、現在はお国の為に働くのが使命だと、熱い気持ちを持って働いています。土人と馬鹿にされてもこの使名の為とあらば痛くも痒くもない。

    ところが、そんな八尋を後に変えて行く事になる殺人事件が勃発。犯人は自身を「スルク」と名乗り毒を使って連続殺人を起こして行く。
    やがてこの殺人事件が、軍部の機密に関わる大事件へと繋がって行くのだった!完!!

    終わらせてしまった。もう、これだけでも面白いんですが、本作は太平洋戦争末期を描いた歴史大作でもあるのです。
    飯場で、キムチを喰らう奴らにはお仕置きじゃー!!!とか言ってたと思ったら、今度はガダルカナル島での兵士たちの壮絶な姿が描かれます。
    ガ島と言えば衝撃のあれです。「生命判断」
    身体を起して坐れる人間は・・・・・・・・三週間
    寝たきり起きれない人間は・・・・・・一週間
    (以下省略)

    とある2人の兵士がガ島でこの生命判断と戦う事になるのですが、これが後に私を大変驚かせる事になるのです。
    葉真中さん、すごくない…?びっくりしたよ本当に…。

    そしてどのキャラクターも良い!
    八尋は勿論、拷問王の異名を持つ、特高の刑事、三影も一見嫌な奴なんだけれど、掘り下げて行かれる内に憎めない存在に。
    飯場の棒頭(現場監督みたいなものかな?)の娘の京子ちゃんも可愛いし(そこ?)八尋がアイヌの村で一緒に育った緋沙子ちゃんも美人だし(そこ?)、あとちょっと書けない人達も皆、信念があってかっこいいし。

    緋沙子に関しては、良いと思う理由がきちんとあるんですが、何も書けないので良いキャラだとだけ伝われば有難いです。(なんという感想)
    ちなみに私の1番の推しはカミサマです。気になりますか?是非ともお読み下さい。(うまく誘導した!)

    最後の方は胸熱な展開が過ぎるので、興奮のあまりに本を引きちぎらないようにご注意下さいませ。

    それにしても、共産主義のやっている事は日本と似ているとの表記がありましたが、これに暫く考え込んでしまいました。長くなりそうなので割愛しますが、こう言った重厚なテーマも突き付けてくれます。
    ですが、Tomoyukiさんも書かれていましたが、長編なのに少しもだれる事が無く、ミステリーも歴史もアイヌ文化もまるっとエンタメに包まれて一粒で何度も美味しい作品でございました!
    葉真中さんは『Blue』でショックを受けて以来、シリーズである他2作品に手を付けられずにいたのですが(『絶叫』は映像で視聴済みですが、こちらもやられた…)これは読まねばなるまいて…。
    中山きんに君位のテンションになれる時に…。

    病み上がりの感想はいまいち精度に欠けますね。(いつもの事じゃないか、という突っ込みは心の中におしまい下さい)
    全然本作の魅力がお伝えできなかったので、気になられた方は今すぐ、Tomoyukiさんの本棚へレッツラゴー!!

    • yukimisakeさん
      きたごやさん、体力は案外といりませんよ!エンタメなので、面白さが勝ちますね!
      きたごやさん、体力は案外といりませんよ!エンタメなので、面白さが勝ちますね!
      2025/03/23
    • きたごやたろうさん
      yukimizakeさんへ

      ほぇ〜。
      まさかのエンタメ要素ありとの情報ありがとうございます。
      ハードル下がりましたわ笑。
      yukimizakeさんへ

      ほぇ〜。
      まさかのエンタメ要素ありとの情報ありがとうございます。
      ハードル下がりましたわ笑。
      2025/03/23
    • きたごやたろうさん
      yukimizakeさんへ

      追伸です。
      「いいね」ありがとうございます。
      yukimizakeさんへ

      追伸です。
      「いいね」ありがとうございます。
      2025/03/23
  • 530ページ盛りだくさんで満腹です♪
    戦争、北海道開拓、アイヌ、朝鮮、過酷な労働
    特高、監獄、スパイ、脱獄…

    網走脱獄といえば大好きな白石
    いやそれはゴールデンカムイ

    なかなかの長編ですがとても濃い読書時間でした♪
    戦争物は読んでいて辛いですね(u_u)
    そして人種差別も許さない…




    只今わたし車がないので自転車生活です
    久しぶりの自転車に太腿が悲鳴を上げつつ
    ママチャリで図書館からの買い物

    いったい自転車のギアはいくつで漕げばいいのか
    軽快に乗れる日は来るのでしょうか…( ̄▽ ̄)






    • 1Q84O1さん
      自転車欲しいです!
      めっちゃ速いやつ!
      自転車欲しいです!
      めっちゃ速いやつ!
      2025/04/06
    • yukimisakeさん
      ゴールデンカムイも網走脱走してるんだ!
      チャリ昨日壊れて、今探してますが気にいるのがなくて探すのに疲れてます(*_*)
      うち2台あるんですが...
      ゴールデンカムイも網走脱走してるんだ!
      チャリ昨日壊れて、今探してますが気にいるのがなくて探すのに疲れてます(*_*)
      うち2台あるんですがカゴない折り畳みなので買い物と図書館が行けない…
      あ、ギアは常に3でたまに足鍛えたい時だけ5にしますが、ギアの意味あんのかなと思って来ました。
      2025/04/07
    • ひまわりめろんさん
      いやギアはちゃんと使いこなさないと勝てるもんも勝てないで
      いやギアはちゃんと使いこなさないと勝てるもんも勝てないで
      2025/04/07
  • ………最っ高かよ!!
    面白かったー!!
    またまたTomoyukiさんの本棚から

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    舞台は昭和二十年 終戦間際の北海道。『第二の太陽』とよばれる大型溶鉱炉を持つ 軍需工場の密集地帯である室蘭。

    特高課の刑事 日崎八尋は、工場から朝鮮人が脱走するという事件を 潜入捜査により解決する。

    この作品の導入部分である潜入捜査の章は、アイヌの血が半分入った八尋の人となりや 、皇民化・ 強制労働させられる朝鮮人の悲痛さ、はたまた 特高の拷問王こと三影の存在で 民族や国籍の違いで差別を受ける人達の苦痛を描いているのだけれど、もうここから面白い。
    この脱獄事件がのちに八尋の身にも降りかかり しかも役に立つとは!そして、ここでの出会いがあんな再会に繋がるとは!!

    また、戦地の南の島に送り込まれ地獄を見たスルクという男の話も挟まれて-。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    軍需工場の関係者が「スルク」と名乗る犯人に次々と殺される事件が起き 八尋は先輩刑事の三影とともに捜査にあたるも、三影に濡れ衣を着せられ牢獄に早々にぶち込まれる!

    えー!?!? 八尋 捕まってんじゃん…(ㆆ.ㆆ )

    連続殺人の被害者の傍らには
    『カンナカムイニ ムラガルトリドモヲ カリツクス』の血文字が。

    カンナカムイはアイヌの神様の名前。そしてスルクとはアイヌ語で毒の意味。しかし、八尋の頭にはアイヌの村で共にそだった「スルク」と呼ばれた青年の存在が浮かび上がる。
    まさか「スルク」が…?!

    拷問王・三影が「犬」を使い 連続殺人の真相に迫るミステリーと、八尋の脱獄劇 。おまけに熊との死闘! めくるめくエンターテイメント!

    戦争という時代に翻弄され、組織の闇に巻き込まれながら 真実にたどり着こうとする二人。

    連続殺人の先には、巨大で巨悪な存在が…

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    とても楽しい読書でしたが、目を背けたくなるような描写はさすが葉真中さん!筆力の凄さ!「Blue」の時に味わったのと同様に何度も心がボキボキと折れました… (・̥-・̥ )

    三影の拷問シーンもキツくてめちゃくちゃ胸糞悪い奴!!って思ってたのに まさか…あんな…でした。


    「大和人の男どもが勝手に始めたこのくだらない戦争で、私は大切なものを奪われるばかり」というセリフがありましたが、奪う者と奪われる者、その線引きは奪う側が勝手に引いたものであり、奪われる側が理不尽に奪われるものは 民族だったり 故郷であったり そして命であったり…と。

    「戦争」の愚かさを改めて思い知らされました。

    時に苦しいページもありましたが

    それを…それを…
    あんなスカッとする終章にするなんて

    最高かよ!
    八尋良い奴
    あいつはもっと良い奴
    友情!最高!

    読んでる最中から思ってたんですが、
    この作品を好きな方は 河﨑秋子さんの「愚か者の石」も好きだと思う。逆もあり。

    どちらもオススメー!



    • ヒボさん
      ぜひ楽しんでください♪
      ぜひ楽しんでください♪
      2025/03/28
    • ultraman719さん
      はい!
      ありがとうございます!
      はい!
      ありがとうございます!
      2025/03/28
    • ゆーき本さん
      ウルトラさん
      ヒボさんの有力情報で もうポチった後かな?
      ぜひぜひ楽しんで〜´▽`)ノ
      ウルトラさん
      ヒボさんの有力情報で もうポチった後かな?
      ぜひぜひ楽しんで〜´▽`)ノ
      2025/03/28
  •  終戦間際の北海道、道民の反戦思想を取り締まる特高警察の刑事日崎八尋が主人公…。軍事工場の関係者が不審な死を相次いで遂げる中、「拷問王」と恐れられている三影とともに捜査を担当するが、濡れ衣を着せられ網走刑務所に投獄されることになってしまう…。そこには、軍事機密である「カンナカムイ」が大きく関わっていた…。

     超大作でした!長編であったり、ちょっと疲れも感じていた時期と重なって、読み終えるのに日数を要しました。でもそれが苦痛に感じたりすることは決してなく、ちゃんと読んで理解したいという思いが勝った結果だと思います。当時の時代背景、民族思想など興味深く読めました。エンディングもなんというか、明るい未来を感じるものでよかったです。アイヌの文化などももっと知りたいな…って思えました。

    • かなさん
      ヒボさん、「灼熱」ゲットしましたねぇ~!
      是非、楽しんでくださいな♪
      レビュー、楽しみにしてますが
      ヒボさんのタイミングで読んでくださ...
      ヒボさん、「灼熱」ゲットしましたねぇ~!
      是非、楽しんでくださいな♪
      レビュー、楽しみにしてますが
      ヒボさんのタイミングで読んでくださいね(^^)/

      「ヨモツイクサ」が読めれば
      「ブラッグドッグ」も大丈夫ですね!
      それは、いいこと聞きました。
      綾辻行人さんの「眼球奇譚」とか、「殺人鬼」とか…
      ちょっと方向性違うかな(^_^;)
      でも、バイオホラーミステリーも多分、
      大丈夫かと思います(^^)
      2023/06/04
    • ヒボさん
      私が敬愛するJ・ケッチャム作品と比べれば全然可愛らしいですが、ちょっとグロいシーンも...

      かなさんのイメージに無いので、「ヨモツイクサ」...
      私が敬愛するJ・ケッチャム作品と比べれば全然可愛らしいですが、ちょっとグロいシーンも...

      かなさんのイメージに無いので、「ヨモツイクサ」で慣らしてから楽しんでくださいね♪
      2023/06/04
    • かなさん
      ヒボさん、こんにちは!
      ヒボさんの敬愛するJ・ケッチャム作品…
      ちょっと気になって…どんな作品があるのかだけ
      調べてみましたが、
      も...
      ヒボさん、こんにちは!
      ヒボさんの敬愛するJ・ケッチャム作品…
      ちょっと気になって…どんな作品があるのかだけ
      調べてみましたが、
      もうタイトルからして、冷える感じですねぇ(*_*;

      あはは…
      私のイメージにないですか(^-^;
      「ヨモツイクサ」で、免疫をつけてみますねぇ~!
      コメントありがとうございます(^^)
      2023/06/05
  • プロローグ
    時:某日
    場所:スイス バーゼル
    とある見本市・展示会でのこと

    主人公は、颯爽とバーゼルに降り立った!
    (トラムからですが、、、)
    一般のパビリオンはそこそこに、今回の最大のミッションはVIPしか入ることの許されない、あのパビリオンである
    他のパビリオンとは、一線を画す高級感を醸し出すそれは何とも眩いばかりである
    気をくれもソコソコに主人公は気合を入れ直した
    緊張感から来る汗は、重い回転扉をくぐると館内は空調が効きすぎてるくらいで、一瞬にして汗を飲み込んでいく
    パビリオン内の部屋に辿り着くには、緩やかなスロープを上がる必要があり、約50メートル先の入り口手前にはゆうに2メートルは超えてるであろう黒人のセキュリティが仁王立ちしていた
    気をくれしてると、舐められるので、それを見せじと虚勢を張って入り口に向かったその時である!?
    黒人のセキュリティの右腕が威厳のごとく動き、ベルト付近で“シャット”向こうに行け的な動作をしたのである
    口元は「ノ!」「ノー」と伸ばすのではなく短く「ノ!」
    その一連の動作と有無を言わせぬ威圧感から主人公は、その場で固まってしまった!
    バーゼルまでの長い道のりは一体何だっのか?
    主人公は、何分もその場で固まったように動けずにいた、、、
    以上の冒頭で物語が始まるのが本書

    『凍てつく対応』である!!!。。。。。。。。。★無し

    もとい
    『凍てつく太陽』★5
    本物である本書は、勿論最高で
    ブク友の皆様が絶賛されるのもしごく納得である!

    骨太であるが、エンターテイメント性も高く、頁数はあったが一気に読み終えてしまった
    八尋とヨンチュンは、最高の友
    結局、大和人は彼らによって救われた
    何ともやるせない物語
    最後の男気の場面で後読感も一層爽やかに


    自身が敬愛してやまない、船戸与一の傑作『蝦夷地別件』を思い出した 
    近いうちに再読したい

    以上



    • Super8さん
      yukimisakeさん

      フォローありがとうございます(;´Д`)
      投稿前に校正しなくっちゃですね
      ホント、お恥ずかしい限りです、、、

      ...
      yukimisakeさん

      フォローありがとうございます(;´Д`)
      投稿前に校正しなくっちゃですね
      ホント、お恥ずかしい限りです、、、

      yukimisakeさんこそ、お優しいと思いますよー
      2025/04/18
    • bmakiさん
      個性的で素敵なレビュー(*´꒳`*)
      全然バカ過ぎてないです!素晴らしすぎます♪
      Super8さんも、雪さんも賢くて、ほんと尊敬しますっ...
      個性的で素敵なレビュー(*´꒳`*)
      全然バカ過ぎてないです!素晴らしすぎます♪
      Super8さんも、雪さんも賢くて、ほんと尊敬しますっ!

      葉真中さんにハズレ無しですよね!!
      他の本も色々読んでみたいです!
      2025/04/18
    • Super8さん
      bmakiさん

      いつもありがとうございますm(_ _)m
      私は、bmakiさんのお星さま★5じゃ、ぜんぜん足りません!ってフレーズ大好きで...
      bmakiさん

      いつもありがとうございますm(_ _)m
      私は、bmakiさんのお星さま★5じゃ、ぜんぜん足りません!ってフレーズ大好きです❣

      ブク友さん、みんさん好きなんじゃないでしょうか、そのフレーズ(*^_^*)

      2025/04/18
  • 話自体は面白いのですが、描かれている時代が太平洋戦争というわたしの取っつきにくい時代だったので星3つ。アイヌが出てくると本の紹介にあって、てっきり「イクサガミ」のカムイコチャやゴールデンカムイの世界(読んだことないですが)かと勝手に思い込んでしまったのですよ。完全にわたしの過ちです。。戦前日本の同化政策(アイヌや朝鮮の方への差別)など、色々な問題を取り上げています。

    その中でも印象に残ったのが物語中盤で語られていた「戦争こそが農耕民の最大の発明」という言葉です。「それは本当に幸福と関係があるのか」の問い掛けにドキっとしました。富の蓄積により文明や国家、宗教が生まれたけれど、それが殺し合い(戦争)の理由や大義名分になっているのもまた事実です。人の幸せとは果たして何なのか考えさせられました。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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