凍てつく太陽

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 501
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (534ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344033443

感想・レビュー・書評

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  •  終戦間際の北海道、道民の反戦思想を取り締まる特高警察の刑事日崎八尋が主人公…。軍事工場の関係者が不審な死を相次いで遂げる中、「拷問王」と恐れられている三影とともに捜査を担当するが、濡れ衣を着せられ網走刑務所に投獄されることになってしまう…。そこには、軍事機密である「カンナカムイ」が大きく関わっていた…。

     超大作でした!長編であったり、ちょっと疲れも感じていた時期と重なって、読み終えるのに日数を要しました。でもそれが苦痛に感じたりすることは決してなく、ちゃんと読んで理解したいという思いが勝った結果だと思います。当時の時代背景、民族思想など興味深く読めました。エンディングもなんというか、明るい未来を感じるものでよかったです。アイヌの文化などももっと知りたいな…って思えました。

    • かなさん
      ヒボさん、「灼熱」ゲットしましたねぇ~!
      是非、楽しんでくださいな♪
      レビュー、楽しみにしてますが
      ヒボさんのタイミングで読んでくださ...
      ヒボさん、「灼熱」ゲットしましたねぇ~!
      是非、楽しんでくださいな♪
      レビュー、楽しみにしてますが
      ヒボさんのタイミングで読んでくださいね(^^)/

      「ヨモツイクサ」が読めれば
      「ブラッグドッグ」も大丈夫ですね!
      それは、いいこと聞きました。
      綾辻行人さんの「眼球奇譚」とか、「殺人鬼」とか…
      ちょっと方向性違うかな(^_^;)
      でも、バイオホラーミステリーも多分、
      大丈夫かと思います(^^)
      2023/06/04
    • ヒボさん
      私が敬愛するJ・ケッチャム作品と比べれば全然可愛らしいですが、ちょっとグロいシーンも...

      かなさんのイメージに無いので、「ヨモツイクサ」...
      私が敬愛するJ・ケッチャム作品と比べれば全然可愛らしいですが、ちょっとグロいシーンも...

      かなさんのイメージに無いので、「ヨモツイクサ」で慣らしてから楽しんでくださいね♪
      2023/06/04
    • かなさん
      ヒボさん、こんにちは!
      ヒボさんの敬愛するJ・ケッチャム作品…
      ちょっと気になって…どんな作品があるのかだけ
      調べてみましたが、
      も...
      ヒボさん、こんにちは!
      ヒボさんの敬愛するJ・ケッチャム作品…
      ちょっと気になって…どんな作品があるのかだけ
      調べてみましたが、
      もうタイトルからして、冷える感じですねぇ(*_*;

      あはは…
      私のイメージにないですか(^-^;
      「ヨモツイクサ」で、免疫をつけてみますねぇ~!
      コメントありがとうございます(^^)
      2023/06/05
  • 幕閉じが秀逸の一冊。

    一気読みの面白さ。

    アイヌ、朝鮮人、差別と戦争をテーマに描かれる世界。
    騙し騙され、嵌められる物語は痛々しい数々のシーンに目を離したくなるのに話の展開からは目が離せない。

    この時代の誰もが自由に自分というものを保ちたくても保てなかった苦しみが哀しみ一色で沁みてくる。
    改めてなんて愚かな戦いに世界中が巻き込まれていたのだろう。
    神(カムイ)は天から何を思っていたのか、思いを馳せた。

    意外な犯人、真相は文句なしに面白いし幕閉じも秀逸。

    信頼、友情、これこそこの作品のメッセージ。
    言葉にならない感情が一気に溢れた。

  • 2020/10/31読了
    #このミス作品52冊目

    終戦直前の北海道が舞台。
    陸軍の軍事機密ををめぐり
    軍需工場関係者が次々毒殺される。
    民族差別や皇民化政策の様相など
    リアルに描かれている。
    読み応えあり。

  • 第二次世界大戦末期の北海道が舞台。ひとりの特高警察官が、朝鮮人殺しの犯人に仕立て上げられて網走刑務所へ。脱獄し真犯人を追う。

    皇国臣民を謳った大和人による、朝鮮人やアイヌへの当時の凄まじい差別の様子が、忌々しいほどにヒリヒリと描かれている。


    国家、民族、共同体。
    それらはまやかし。
    そのまやかしに翻弄されてきたのが人間の歴史。
    それは今も変わらない。

    私たちの「戦争」というものに対する想像力はものすごく乏しい。
    だからこそ、このような物語をもっと読まなくては。


    重層的かつ骨太の作品。

  • <書評>斎藤美奈子:どうしん電子版(北海道新聞)
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/261791?rct=s_books

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    昭和二十年、終戦間際の北海道を監視する特高警察、通称「北の特高」――。 彼らの前に現れた連続毒殺犯「スルク」とは何者か。陸軍がひた隠しにする「軍事機密」とは。 そして、真の「国賊」は誰なのか? かつてない「特高」警察小説! 逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、 軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は捜査に加わるが、「拷問王」の異名を持つ先輩刑事の三影に濡れ衣を着せられ、網走刑務所に投獄されてしまう。八尋は特高刑事としての「己の使命」を全うするために、脱獄を決意するのだが――。民族とは何か、国家とは何か、人間とは何か。魂に突き刺さる、骨太のエンターテイメント!
    https://www.gentosha.co.jp/book/b11904.html

  • 「俺の使命はなんだ」。舞台は終戦直前の北海道。アイヌの血を引く青年刑事、日崎八尋の波乱万丈の物語。現代設定の小説よりは読むのに時間がかかったけど、これは傑作っしょ。全てはお国のためという世相・軍事権力の横暴・人種差別...史実とフィクションを織り交ぜた構成はヒリヒリした読み心地。連続殺人事件を追うミステリーでもあるので、終盤は度肝抜かれてドキドキ。登場人物も皆、個性が際立って魅力的。葉真中さんの本にしては読後感が良く、ロングストーリーな大作なので「読み切った!」という充実感でいっぱい。面白かった。

  • 第二次世界大戦終戦間際を舞台にしたハードサスペンス。
    「『カンナカムイ』に群がる鳥どもを狩る」というメッセージが残される連続殺人事件。
    被害者は室蘭にある軍の工場内の最重要機密プロジェクトの面々。
    必死に事件を隠蔽する軍と憲兵たちの邪魔を掻い潜り、事件を解明しようとする特高刑事たち。

    思っていた内容とは違っていたが、なかなか面白かった。
    ミステリーよりもハードアクションや冒険小説の要素が強いが、アイヌ文化や歴史など知らないことも多かったので興味を持って読めた。
    また主人公の八尋が潜入捜査で嵌めた朝鮮人と奇妙な因縁で再会した後にバディとなっていく展開も面白かった。

    他の文化を否定し自国の文化を強制することは世界中で行われていた、または現代も行われていることとはいえ、やはり辛いもの。
    『皇国臣民』になりたくても敗戦でなり損なった八尋に対して、ヨンチョンが国や民族を服に例えるところはなかなか面白い解釈だと思った。
    ハードだったが最後は爽やか。

  • 終戦間際の北海道で起きた連続毒殺事件。調査していたアイヌの血を引く特高刑事の日崎は同僚の三影の手で事件の冤罪を着せられて逮捕、網走へと送られる。そこには以前身分を隠して逮捕した朝鮮出身の若者がいて…。民族差別をする側受ける側それぞれの視点。戦争の悲惨さと滑稽さ。そして意外な犯人と読み応え満点。拷問シーンとか辛い場面あるけどだからこそ乗り越えた先の登場人物の言葉や行動に重みが出ている。アイヌ文化について色々描かれているけど想像し易かったのは「ゴールデンカムイ」のおかげだな。うん。

  • 連続毒殺事件を追う特高刑事・八尋、そして「拷問王」と異名を持つ三影。八尋はアイヌの血が流れるということで、三影に嫌われ濡れ衣を着せられ逮捕される。一方、毒殺事件は、軍事機密に関わるようで捜査は難航する。陰にあるものは何か、犯人は誰か、三影、八尋の運命は…。
    ただのミステリーだけでなく、半島出身の民そしてアイヌの民、国家と個人のありよう、深くそして壮大な物語でした。
    特高警察小説ってあったけれど、まあ、そうかな。ハードな描写は多くはないので怖い思いしなくてよかった。特高というより、戦中の北海道、戦争とアイヌの方が重いかも。弱い立場の人間の声、権力をかざす人、かざされる人、戦争の怖さしっかり描かれてます、ミステリーだけでなく歴史の背景を学べました。北海道、自然いっぱいで好きだけれど、その歴史、ぼんやりとしか知らなかったので、読んでよかったです。読み応えありありでした。

  • 終戦間際の北海道。
    玉蜀黍もなんて読むのか調べたり、色々気になってググりながら読んでたらなかなか時間がかかりました。アイヌについてもゴールデンカムイで知った程度の知識しかなく、、、。あるのは土地勘くらい。
    恥ずかしながら無知でしたが、それでも引き込まれ読了。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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