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本 ・本 (428ページ) / ISBN・EAN: 9784344033573
感想・レビュー・書評
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最後まで読むとかなりスケールの大きな話だったことに気付く。ラストでタイトルの意味が分かった…かも?
空に突然赤い雲が発生、酸素がなくなり人類は滅亡する。シェルターに移住できるのは選ばれた人間のみ。
場面が変わると一気に何年も飛んでたりするので戸惑ってしまうけど、その分展開は早くて読みやすいかな。登場人物が多くて覚えるのが大変。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世界の終わりが近い将来のこととして迫っている中でどう生きていくのかを立場や世代の異なる様々な形によって描かれ、それはどれも自分事として考えさせられるリアリティがある。
物語冒頭で人生を終わらせようとするシーンから始まる吉井沙梨奈が母の死や新興宗教への入信、妹の死などの壮絶な出来事を経て、3世代に渡る物語を最後まで生き抜き、妹家族の繋がれるバトンを見守りながら最後まで姉を全うする姿がとても印象的だった。
世代間が入れ替わる場面転換がやや強引な印象があり、登場人物が多いことで誰がどんなキャラクターかを把握する難しさがあった。また、壮大な物語の最後がテロとの戦いに支配されていたことに違和感があったが、誰かが誰かの影響を受けて物語が進んでいくことをテーマにした面白い作品だった。 -
「人類滅亡小説」
何故このタイトル?
大気中で爆発的に増殖した細菌が形成するコロニー雲が突如発生。まともに吸い込めば窒息死するほど二酸化炭素の濃度が高い。当初は局地的に発生したり消滅したりを繰り返していたが、次第に増え続け、地球の酸素濃度を低下させていた。
そして、早ければ二百年以内にも人類の生存が不可能なレベルまで酸素が減少する恐れがあると判明する。衝撃的な事実を受け、人類はAI完備のシェルターを建設するが、一方で人類全てが入ることは出来ない。果たして人々の運命は?
テーマとしては王道ジャンル。タイトルばれもしている。そこから読み切った時、面白かったか、良かったか、他人に勧めるかの結論に読者を導くには作者の力量と共に読者側との相性もある、と言うのが勝手な個人指標。
さて本作はどうか。吉井沙梨奈・香織姉妹を起点とした三世代を軸に話が進んでいく。香織は仕事場の後輩である潤太と結婚し、息子リュウリに受け継がれる。更に、リュウリの娘ラナに命運が託される。この三世代に渡った物語がゆっくり描かれる。
彼らに加え、人々が人類滅亡と言う衝撃的な事実をどう受け止めて生きていくのかを描いているのだが、その受け止め方が一つのイシューになっている。自暴自棄になる者、テロを画策する者、事実を受け入れながらも今を生きる者と様々であるが、生きれると思っていた前提が一気に崩されるのだ。更に、生きれる道が見つかってもそこはブラックボックスであるAI判定が待ち構えている。おかしくなるのは当然だろう。だからこそ、その時人間の本質が問われる。果たしてどうしたらいいのか。
王道ジャンルといったものの、違いがあるならば、一気に危機が訪れて崩壊しないところ。コロニー雲が突如現れて直ぐに世界を破壊するのではなく、じわじわと侵略していくのだ。このじわじわに加え、消えては消失を繰り返す為に、人々は危ないが、いつかは消滅するだろうと思ってしまう。恐怖が本当なのか判断し難い中で、少しずつ想像が現実になっていく。こんなことが起きたならば、きっとこういう風になるかも知れない。こういうじわじわが一番心身に来る。
上記に係るが、時間がゆっくり流れていくのは、生きることによりフォーカスする為だろうか。残される者から生きることを託される者や、何も出来ない中でも今生きていると言うことを証明するためにどうあるべきか?を考える。苦しいが、決めないといけないのだ。
驚愕な事実をどう受け止めるのか。受け止めた後、どう生きるのか。それを語るのがテーマになっていて、最後何故小説とタイトルに付いてるのか分かる。それだけ大切な訳だ。
しかし、だからと言ってここまでのボリュームは必要か?とは思う。長いは長いし、単調に見える。しかし、ここが作者(と小説の内容)との相性かなと思う。彼らの立場で生きる希望を捨てずに今の命を繋げていけるのかを考えてみると、ボリュームはあまり関係が無い。つまり、ハマり込める人ならば、気にならない。しかし、完璧にハマりきらないとちょっと長く感じると思う。 -
学生時代に『百年法』を読んで以来の作者の作品。
今回も設定というか世界観の作り込みがしっかりしてて、人類が始まる前の地球の歴史を読んで、こういう人類が一旦滅亡する時代もいつか来るのかもしれないと考えさせられた。
物語は、展開が急に子供世代に飛んだりしてるなと思ったので、長くなってもいいからもう少し点と点を繋いで欲しかった…
なにかクライマックスがあるわけでなく、ゆるゆる人類滅亡までのカウントダウンが進んでいく感じだった。 -
話は、ものすごく研究され、計算されていて良かったのだが、最後の盛り上がりにかけた。
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2019/4/8大叙事詩。傑作であった。
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面白かった…!
時間の流れと視点の切り替わりが絶妙。
つらい展開ばかりではあるけど、最後まで読むとなるほど…となる。
著者プロフィール
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