麦本三歩の好きなもの

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 427
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034358

感想・レビュー・書評

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  • 図書館司書の仕事を頑張り、休日は好きなことを楽しむ。三歩の何気ない日々が淡々と描かれており、ほっこり癒された。
    三歩はおっちょこちょいで失敗ばかり。いつも先輩に怒られてばかりだが、なんだか憎めない存在で「三歩だから」と許されちゃうような人柄。
    天然と言われる三歩だが、頭の中では思考がグルグル回っている。根が真面目なんだね。嘘をついたり悪いことなんて絶対にできない。いい人でいたいとか、人から嫌われたくないとかいう気持ちも持っている。
    人生において何に重きを置くかは、歳を重ねていくうちに色濃くなったり形を変えていく。きっと、それが明確になったら人の目など気にならなくなる時が来るんじゃないかな。私にもいつかそんな時が来るといいな。
    好きなものを好きだと素直に言える三歩を私は強いと思う。これから彼女はどんな風に歳を重ねていくんだろう。好きなものを大切にするところは変わらないままでいてほしいな。

  • まず表紙が素敵。部屋の感じもいいし、好きなもの食べながら好きな本を読む、これは至福。そして着ているのがグレーのパーカーなのもユルくてよい。ドストライクです。

    麦本三歩に生まれて良かったと、生きてる間に、たくさん感じたい!!
    つくづく自分もそう思う。
    住野よるさんからのメッセージ満載の一冊だと思います。
    イヤー表紙はいいけど、もう読むのやめようかと思いながら読んでこの一節で読んで良かったと思いました。。でもほんと、三歩はずるい。
    三歩だから許されることが多い。けどだから三歩も苦悩が多いんだなって思った。。
    けど近くにいたらイライラはしてしまいそう。それは私ができるからでなく、ここまてでなくてもドジなとこがにてるから。
    これからの成長が楽しみな三歩ちゃんです

  • 初、住野よる。
    ふむふむ。まるで孫娘を愛でるように読ませていただいた。孫、居ないけど。
    私は、ずっと前から、一生懸命頑張る女の子のお話が大好きだ。だからナタリー・ポートマンは「レオン」以来一貫して全作観ているし、AKBは何人か推しメンはいる(いた)し、「村上海賊の娘」は、そのキャラだけで一気に読んでしまった。序でに言えば、現在は同郷のゴルファー渋野日向子にメロメロである。あ、いや、三歩と全然キャラ違う、ってわかっております。でも、私から観たら皆んな同じに見える。少女が果敢に世界に向かって、前を向いている。

    「その見方、甘すぎるんじゃないの?」と"おかしな先輩"は言うかもしれない。三歩はまるで少女マンガから抜け出てきたような「ドジな女の子」であり(まぁそれだけじゃない所がこの作者のキモかもしんないけど)、三歩を愛すべきキャラだとするのは買い被りだと言うのだ。確かに三歩を彼女にしたら、毎日が心配で堪らなくなるかもしれない。でも孫娘ならば、生きてくれているだけで嬉しい。

    前の彼氏とは、どんないきさつで別れたのか?三歩の名前の由来は?聞けば教えてくれるんだろう。あわわ、と戸惑いながら。でも、それは次に会う楽しみにとっとこ。

  • 久しぶりに妻が楽しんでいる本を借りて読んだ。麦本三歩は歩くこと、寝坊、読書、食べることが大好き。しかし勤務する大学図書館では、彼女のヘマにより怖い先輩から叱られる毎日を送るが、超前向きな性格で誰からも可愛がられる。ある日、職場の先輩から、「あなたのことは好きじゃない。理由は、三歩だから許されることがたくさんあるから」と指摘される。この先輩は三歩だからこそ素直に指摘してくれたし、三歩を受け入れているんだろうね。終始、三歩の何気ない日常を覗き見てほんわかした。妻が好きな本を再発見できたのも三歩のお陰かな。

  • 図書館勤務の20代女子・麦本三歩の何気ない日常が描かれた作品。カバー写真で麦本三歩役になっているBiSHのモモコグミカンパニーの姿が頭から離れず、三歩=モモコで読んでいた。第2集も楽しみだ。

  • 麦本三歩、名前だけでも印象的ですが、この話し方というか、噛みすぎるしゃべり方が、同じ職場の同僚なら耐えられないかもしれないとまず思いました。同じ住野さんの作品では「また同じ夢を見ていた」の奈ノ花の話し方、あれにも読みはじめに随分とイライラさせられたことを思い出しました。ただ「同じ夢」の時もそうでしたが読み進めるとそんな感情も引いてしまって、何かこうなんとも憎めないキャラに感じてくるところがまた不思議です。

    この本では、三歩が好きなものが次々と紹介されていきます。その一つひとつは決して珍しいものでも特別なものでもなく、それあるねという感を抱かせるものばかりです。私的にはチーズ蒸しパンがたまらなかったです。あまりにリアルな食風景にこれはたまらないと感じました。

    12章からなる作品ですが中でも気に入ったのは
    〈麦本三歩は君が好き〉
    〈麦本三歩はファンサービスが好き〉
    でしょうか。〈君が好き〉では、死のうとして失敗したと話す友人への三歩の精一杯の言葉が出てきます。こういう視点からの言葉、大切な友人を想う投げ掛けってあるんだとハッとしました。このあたり、二人の関係性は全く違いますが「同じ夢」の南さんと奈ノ花の場面を少し思い出しました。
    また〈ファンサービス〉では、大切な親友との旅の場面が描かれます。一泊二日の短い時間ながら、二人の心の通い合いがとてもよく伝わってきて、友情っていいなぁと心から思いました。

    また、
    〈麦本三歩はモントレーが好き〉
    では、この作品のこの章を読んだ全ての会社員の方が絶対に一度は経験したことがあるであろう(もちろん自信を持って私もです!)「今日、会社行きたくないなぁ」という気持ちが勝ってしまった時のことが語られます。迷いに迷っている時間、思い切って最終決断、日中の夢の時間、その日の夜の憂鬱、そしてその翌日の地獄のような心境という各シチュエーションの心の動きのリアルさ。これは経験した人にしか分からない、でも会社員なら私も貴方もそこの君もみ〜んな分かち合えるこの狂おしさ。いつまでもジクジクする三歩の生真面目さもあって、麦本三歩がすっかり愛おしくなってしまいました。

    この作品は本当に山も谷も何にもありません。麦本三歩の普通の日常を淡々と描いたものです。確かに三歩は凄く個性的で変わり者と見えなくもないです。でも三歩自身は自分が凄い変わり者なんて思ってはいない。我々だって自分が変わり者なんて思っている訳はない、それと同じようなものだと思います。そう、我々の普通の淡々とした日常風景と何も変わらない。この作品を読んで三歩と同じくチーズ蒸しパンが好きと思いましたが、自分だったら時々無償にキャラメルコーンが食べたくなるなとか、週末の早朝の公園の静けさがなんとも言えず好きだなとか色々と考えてもしまいました。好きと思えるものには好きになった背景がある、何か楽しかった想い出が一緒にセットになっている、もしくはそこから楽しい何かを連想してしまう、そういうものだと思います。また、そういうことを考え、思い出している時ってちょっとした幸せを感じられる瞬間でもあります。

    「同じ夢」では幸せというもの自体について考える機会をいただきました。この作品では、淡々とした日常を生きていく中で、幸せを見つけるための具体的なヒントを与えてもらったように思います。

  • 大学図書館で働く麦本三歩の日常を、彼女が好きなものと絡めて描かれてる短編集。小さな幸せを存分に楽しむ三歩の一人言にほっこり。おっちょこちょいで不思議ちゃんで仕事では先輩達にしょっちゅう怒られるけどなんだかんだと愛されてしまう三歩の立場にあざとさを感じるけど、好きなものに対する真っ直ぐな気持ちや「君が好き」や「ファンサービスが好き」での友達への想いを読むと愛される理由が納得出来る。色々大変な時にきちんと言葉で自分はいつでも味方である、と伝えてくる友達は貴重。でも実際にいたらこんな後輩イライラするわ絶対。「モントレーが好き」で三歩を苦手な先輩がその理由を言語化していてまさに!それ!だ。それに対しての三歩の反論がまたイラつくけどこう考える方が人生お得だ。

  • 「麦本三歩は君が好き」がよかった
    仲の良い男友達が
    死のうとしていたことを知り
    三歩は 死んでも君を好きなままの
    自分が残ることを伝える
    これは 最高の女友達じゃないかな

  • 私は三歩が嫌いではない。
    こんなに何気ない日常なのに、楽しい物語になるってすごいなーと思いながら読みました。

  • 図書館、予約1番目でラッキーでした。
    うきうきしながら読みました。

    麦本三歩は、ぼうっとしている。食べすぎ。おっちょこちょい。間抜け。
    好きなものがたくさんあるのは幸せなことですね。
    おいしそうなものが、たくさん出てきましたが、私はクリームパンが食べたくなりました。
    面白かったです。
    小説そのものが全部、麦本三歩みたいで、なんか新しいタイプの小説のように思いました。
    すごくハッピーになれました。

    「大したことは起こらない。謎も事件もファンタジーもなくても幸せ」。

    • まことさん
      mariさん、こんにちは。
      私は住野よるさんはこれが、3冊目だったのですが、なんかゆったりしていて、一番好きでした。「青くて痛くて脆い」は...
      mariさん、こんにちは。
      私は住野よるさんはこれが、3冊目だったのですが、なんかゆったりしていて、一番好きでした。「青くて痛くて脆い」は私は途中まで読んで、積読中です。
      2019/03/29
    • まことさん
      kanegon69さん。
      ハッピーになれると思います。
      kanegon69さん。
      ハッピーになれると思います。
      2019/03/30
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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第二位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』『腹を割ったら血が出るだけさ』がある。カニカマが好き。

「2023年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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