麦本三歩の好きなもの

著者 :
  • 幻冬舎
3.30
  • (113)
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  • (102)
  • (43)
本棚登録 : 2980
レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034358

感想・レビュー・書評

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  • 住野よるさん読むのは3冊目。
    3冊とも文体にはそれぞれの特徴があり、そして会話のテンポや文章センスはいずれも抜群だなと思う。

    "もうすぐ一番寒い時期も終わろうかという日の朝に、ティーバッグの紅茶でこんなに幸せなのだから、極寒の地で最高級ミルクティーとか飲んだら感動で死んでしまうかもしれない。死因はなんだろう。凶器はそのぬくもり。"

    三歩的にいうと、
    「んふふ」
    とか、
    「…んふふふふふふ」
    とかいう笑いがこぼれてしまうような楽しさ。
    地の文と三歩の心の声が渾然一体となり、時々アップダウンし、時々ひらりとかわされる、その絶妙さ加減がね、とても好きです。

    三歩は、周りには自己完結型ふしぎちゃんと思われていそうなタイプ。
    後輩にいたら「もー可愛いなー!」と可愛がるだろうし、先輩にいても「⚪︎⚪︎さん可愛いなー!」と慕うと思うが、同学年だったら、嫉妬混じりに、「あざとかわいいなー」と思っちゃうかもしれない(笑)

    なんでもない三歩の日常の話が短編で続くのだけど、停電で真っ暗闇の地下に取り残されたときの話と、ラーメン大盛りを食べる休日の話がツボでした。

    ★3.5

  • 久しぶりに妻が楽しんでいる本を借りて読んだ。麦本三歩は歩くこと、寝坊、読書、食べることが大好き。しかし勤務する大学図書館では、彼女のヘマにより怖い先輩から叱られる毎日を送るが、超前向きな性格で誰からも可愛がられる。ある日、職場の先輩から、「あなたのことは好きじゃない。理由は、三歩だから許されることがたくさんあるから」と指摘される。この先輩は三歩だからこそ素直に指摘してくれたし、三歩を受け入れているんだろうね。終始、三歩の何気ない日常を覗き見てほんわかした。妻が好きな本を再発見できたのも三歩のお陰かな。

  • 初、住野よる。
    ふむふむ。まるで孫娘を愛でるように読ませていただいた。孫、居ないけど。
    私は、ずっと前から、一生懸命頑張る女の子のお話が大好きだ。だからナタリー・ポートマンは「レオン」以来一貫して全作観ているし、AKBは何人か推しメンはいる(いた)し、「村上海賊の娘」は、そのキャラだけで一気に読んでしまった。序でに言えば、現在は同郷のゴルファー渋野日向子にメロメロである。あ、いや、三歩と全然キャラ違う、ってわかっております。でも、私から観たら皆んな同じに見える。少女が果敢に世界に向かって、前を向いている。

    「その見方、甘すぎるんじゃないの?」と"おかしな先輩"は言うかもしれない。三歩はまるで少女マンガから抜け出てきたような「ドジな女の子」であり(まぁそれだけじゃない所がこの作者のキモかもしんないけど)、三歩を愛すべきキャラだとするのは買い被りだと言うのだ。確かに三歩を彼女にしたら、毎日が心配で堪らなくなるかもしれない。でも孫娘ならば、生きてくれているだけで嬉しい。

    前の彼氏とは、どんないきさつで別れたのか?三歩の名前の由来は?聞けば教えてくれるんだろう。あわわ、と戸惑いながら。でも、それは次に会う楽しみにとっとこ。

  • ある日、新聞をみて驚愕しました。
    そこには、今年度行われた高校入試の問題が載っていたのですが

    なんと現代文の出典が、この本だったのです。

    え?住野よる!そんな超有名どころ?
    それに文体が、なんというかこんなにイマドキなのに国語の問題文になるんですか!やるなー、出題者!(と、素直に思った)

    作品全体を読むと、主人公の行動自体はかなりキャピキャピした世界観なのですが、キャピキャピの中に同居している、内面の冷静な視線や分析、思想は かなり深ーく心に響いたりもします。

    「長い時間をかけていたんできたものには、それを大切に扱ってきた たくさんの人と、それを守ってきた人がいます。新品のものよりも、たくさんの人の愛情が、仕事がそこにかけられているんですよ。」(95ページ)

    古い本を、粗末に扱う若者に対し
    静かに諭す、先輩のこのセリフは
    「本」というものに対する敬意を、感じます。

    普段、本を読まない子でも
    もしかしたら試験問題を読んでいるうちに

    「あ、この本おもしろそう!」って思ってくれたかも (でも住野よるなら、個人的には「君の膵臓~」か「また同じ夢~」をすすめたいけど)

    と、ちょっと 嬉しくなった出来事でした。

  • 住野よるさん初作品。この作品、なかなか変わってて面白い。物語というか、麦本三歩という一人の半人前司書の女性の日常を切り取った短編集という感じ。

    この作品には本人以外、名前が出て来ないのが変わってる。優しい先輩、怖い先輩、おかしな先輩、麗しき友人、、登場人物の呼び名を麦本三歩の心の中の呼び名でひたすら通しているところに妙に感心^ ^

    これほんとに男性が書いた小説なのかしらと思ってしまうが、よく見ると、ぶっとばすとか三歩の心の中は時々男まさりが混ざってたりする^ ^

    この本の中でとても気に入ったのは、怖い先輩の家でご飯作ってもらうシーン、麗しき友人との温泉旅行の話、あとブルボンとフルーツ牛乳は激しく同意 (笑)

    この主人公は一般的には変わってるんだろうけど、面白いのは、自分の中の自虐、慄き、怠惰、喜びなど、心象風景を実に軽快に描いている。主人公を通じて周りの人たちも何だかんだ嫌いになれない様子が伺え、ホッコリする。

    ちょっと噛みすぎだけどね!^ ^

    つい先輩目線になってしまうが、自分はどのタイプかなと考えてみる。どれもなかなかのキャラだが、敢えて言うなら怖い先輩タイプかしら、、^ ^

    格別な感情の盛り上がりはありませんが、なんとなく軽めに読めてホッコリするにはオススメです。

  • 「麦本三歩は君が好き」がよかった
    仲の良い男友達が
    死のうとしていたことを知り
    三歩は 死んでも君を好きなままの
    自分が残ることを伝える
    これは 最高の女友達じゃないかな

  • 図書館、予約1番目でラッキーでした。
    うきうきしながら読みました。

    麦本三歩は、ぼうっとしている。食べすぎ。おっちょこちょい。間抜け。
    好きなものがたくさんあるのは幸せなことですね。
    おいしそうなものが、たくさん出てきましたが、私はクリームパンが食べたくなりました。
    面白かったです。
    小説そのものが全部、麦本三歩みたいで、なんか新しいタイプの小説のように思いました。
    すごくハッピーになれました。

    「大したことは起こらない。謎も事件もファンタジーもなくても幸せ」。

    • まことさん
      mariさん、こんにちは。
      私は住野よるさんはこれが、3冊目だったのですが、なんかゆったりしていて、一番好きでした。「青くて痛くて脆い」は...
      mariさん、こんにちは。
      私は住野よるさんはこれが、3冊目だったのですが、なんかゆったりしていて、一番好きでした。「青くて痛くて脆い」は私は途中まで読んで、積読中です。
      2019/03/29
    • kanegon69 さん
      この本も気になっていたんですよね、、チェックします^ ^
      この本も気になっていたんですよね、、チェックします^ ^
      2019/03/29
    • まことさん
      kanegon69さん。
      ハッピーになれると思います。
      kanegon69さん。
      ハッピーになれると思います。
      2019/03/30
  • 久しぶりの住野よるさん。本当に何というか独特な方だなーと思う。言葉の選び取り方や文章のつなぎ方など。読んでいて不思議な感覚があるんだけど、クスッとなる嫌いじゃない不思議さ。今どきな感じで、SNSを見ているような気持ちになる。

    この本は、大学図書館で働く20代半ばと思しき麦本三歩ちゃんの日常を綴ったもの。周りからは「天然」「おっちょこちょい」「間抜け」などと思われている三歩の、日常の出来事と心の内の対比が面白い。
    「気楽な無意味さも大切」「自分に生まれて良かったと、生きている間にできる限り多く思いたい」「今日も前に進んでいなくちゃ、今日これから起こる楽しいことを味わえない」など三歩ちゃんの考え方は、日常に幸せを見つける可愛らしさと前向きな明るさに満ちていて読んでいて気持ちがいい。
    一方で、自分の感情の伝え方が下手だったり、ズル休みした罪悪感に苛まれて先輩に相談しているシーンはすごくリアルで共感できた。「言えない人がいてもいいと思うよ」「ちゃんと自覚して、反省するんなら、ささいなずるをして生きてる大人を間違ってるなんて言えない。」

  • こんな子が身近にいたらちょっと面倒だなぁと思いつつも
    三歩はどこまででも自分に正直で、繊細で
    天然そうに見えても、心の中でいろんなことが渦巻いていて、実はいろんなことを考えていて。

    誰の心にも三歩は存在しているのではないかと思った。
    もちろんこんな子ちょっと面倒だなーと思っている私の中にも。

    ずるしてることってそんなに悪いことじゃない。もっとずるして、自分を甘やかして、楽に生きよう。

  • 麦本三歩、名前だけでも印象的ですが、この話し方というか、噛みすぎるしゃべり方が、同じ職場の同僚なら耐えられないかもしれないとまず思いました。同じ住野さんの作品では「また同じ夢を見ていた」の奈ノ花の話し方、あれにも読みはじめに随分とイライラさせられたことを思い出しました。ただ「同じ夢」の時もそうでしたが読み進めるとそんな感情も引いてしまって、何かこうなんとも憎めないキャラに感じてくるところがまた不思議です。

    この本では、三歩が好きなものが次々と紹介されていきます。その一つひとつは決して珍しいものでも特別なものでもなく、それあるねという感を抱かせるものばかりです。私的にはチーズ蒸しパンがたまらなかったです。あまりにリアルな食風景にこれはたまらないと感じました。

    12章からなる作品ですが中でも気に入ったのは
    〈麦本三歩は君が好き〉
    〈麦本三歩はファンサービスが好き〉
    でしょうか。〈君が好き〉では、死のうとして失敗したと話す友人への三歩の精一杯の言葉が出てきます。こういう視点からの言葉、大切な友人を想う投げ掛けってあるんだとハッとしました。このあたり、二人の関係性は全く違いますが「同じ夢」の南さんと奈ノ花の場面を少し思い出しました。
    また〈ファンサービス〉では、大切な親友との旅の場面が描かれます。一泊二日の短い時間ながら、二人の心の通い合いがとてもよく伝わってきて、友情っていいなぁと心から思いました。

    また、
    〈麦本三歩はモントレーが好き〉
    では、この作品のこの章を読んだ全ての会社員の方が絶対に一度は経験したことがあるであろう(もちろん自信を持って私もです!)「今日、会社行きたくないなぁ」という気持ちが勝ってしまった時のことが語られます。迷いに迷っている時間、思い切って最終決断、日中の夢の時間、その日の夜の憂鬱、そしてその翌日の地獄のような心境という各シチュエーションの心の動きのリアルさ。これは経験した人にしか分からない、でも会社員なら私も貴方もそこの君もみ〜んな分かち合えるこの狂おしさ。いつまでもジクジクする三歩の生真面目さもあって、麦本三歩がすっかり愛おしくなってしまいました。

    この作品は本当に山も谷も何にもありません。麦本三歩の普通の日常を淡々と描いたものです。確かに三歩は凄く個性的で変わり者と見えなくもないです。でも三歩自身は自分が凄い変わり者なんて思ってはいない。我々だって自分が変わり者なんて思っている訳はない、それと同じようなものだと思います。そう、我々の普通の淡々とした日常風景と何も変わらない。この作品を読んで三歩と同じくチーズ蒸しパンが好きと思いましたが、自分だったら時々無償にキャラメルコーンが食べたくなるなとか、週末の早朝の公園の静けさがなんとも言えず好きだなとか色々と考えてもしまいました。好きと思えるものには好きになった背景がある、何か楽しかった想い出が一緒にセットになっている、もしくはそこから楽しい何かを連想してしまう、そういうものだと思います。また、そういうことを考え、思い出している時ってちょっとした幸せを感じられる瞬間でもあります。

    「同じ夢」では幸せというもの自体について考える機会をいただきました。この作品では、淡々とした日常を生きていく中で、幸せを見つけるための具体的なヒントを与えてもらったように思います。

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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第2位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』がある。香り箱が好き。

「2021年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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