あたしたちよくやってる

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 950
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034433

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて読んでみた。
    短編とエッセイとスケッチという構成。
    自分らしく生きるという事の難しさ。
    いつからこんなに複雑な思いを抱え始めたんだろうか。
    しずかちゃんと、超遅咲きDJがとても良かった。

  • エッセイの延長線上でフェミニズムな短編集です。
    滑稽だったのはドラえもんのしずかちゃんの章だ。
    計算高く二面性のある、しずかちゃんを描いている。
    著者は富山県出身であるが故のしずかちゃん像が皮肉的にも可笑しくなった。言うまでもなく、しずかちゃんはTHE女子で万人受けされる設定だ。
    相方の藤子不二雄A先生も富山県出身で本年2022年惜しまれながら逝去された。
    偶然にもこの著書を手に取れた事に嬉しくなった。
    人生は偶然と必然の物語である。そんな事を考えさせられた。そして時代はフェミニストである。
    しすかちゃんが言った『のび太のヤツ!こんど覗きに来たら殺す!!』
    私らが勝手にフェミニンなしずかちゃんを想像していた。
    もうジェンダーが当たり前な世界だ。

  • よかった。というよりも、山内さんの思考、嗜好、似ている気がする、もしくは私が寄せていってるのかもしれないけれど。友達になりたいなーってくらい読んでてわかるわー、とか、あ、そういう考えもあるかってなるから好き。
    とにかく絶妙。
    ほんと、わたしたちよくやってる。

  • 山内マリコ作品でも、特にジェンダーの視点を描いたショートストーリー、エッセイの短編集。

    一つ一つの話が短くて、読みやすかった。
    "女性"として求められる自分、"女性"として生きていくのに抱える息苦しさなど、様々な視点がショートストーリーとして描かれていた。
    特に、「しずかちゃんの秘密の女ともだち」「五十歳」「超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史」が刺さった。

    「しずかちゃんの秘密の女ともだち」は、『ドラえもん』ベースとした二次創作であり、しずかちゃん視点の作品。『ドラえもん』では出木杉君はなんでもできる出木杉君だが、しずかちゃんが出木杉君よりも勉強ができる姿を見せた時、クラスの皆は"女より勉強の出来ない出木杉君"をバカにする。その様子を見て、しずかちゃんはわざとテストも間違えるようになる。ドラえもんに助けを求めるが、男女が逆転するひみつ道具を提案されるだけで、根本原因が何かもドラえもんには理解できない。
    この作品は誰もが知るキャラクターを使ってジェンダー的な疑問をなげかける作品であり、うまいな、と思った。
    実際のところ、しずかちゃんがテストで1位を取ることが禁じられているわけでもなく、ジャイ子も漫画を禁止されている訳では無い。しかし、それに対する世間からの批判的な目線や、その目線に怯えてしまう自分自身が解決されない限り、根本的な解決にはならないんだろうなと思った。また、その根本的な解決は一朝一夕で出来るようなものでもないんだろうとも思った。

    「五十歳」
    2030年頃の少し未来に生きる50歳の女性目線で話は進行する。主人公の牧野さんは若い頃を自由に都心で暮らし、40代になって田舎に戻り、シニア向けのタクシー運転手として暮らす独身女性。ある日、研修の同行として20代くらいの柏原結衣と一緒に仕事に出る。
    この作品では、"時間の使い方"ということについて考えさせられた。「人生で自由に使える時間は、意外と短い」。他人のために時間を使うことは、きっともう少し後でも間に合う。若いうちは利己的に生きて、自分がしたいことをして、というエールを貰えた作品だった。
    主人公の年齢的にも、作者自身から若者へ伝えたいエールが詰まった作品なのではと思う。

    「超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史」
    この作品の主人公緋沙子は、比較的"利己的な生き方"を全うしたと思う。音楽一家に生まれながらも演奏する側の才能には恵まれず、戦時中は「音楽はぜいたく」とも言われ、戦後にはファンや音楽系の編集者として音楽とは関わり続け、最終的に趣味で始めたDJの初デビューライブで自分が関わってきた音楽をセットリストとして流す、という最高に素敵な生き方だった。
    当時にしては、女性なのにジャズが好きだったり、オールドミスだったりと"変わった女性"と捉えられていたが、自分がしたいことをする、わくわくすることを追求する、そんな素敵な女性だった。
    私自身も音楽が好きなので、いつか、私の集大成として関わってきた音楽をセットリストにして誰かに生きた証として聞いて欲しいな、と思った。

  • ジェンダーギャップの深刻さが話題になる昨今、登場人物のたくましさや力強さに触れてほんのり明るい気持ちになれる。

    「しずかちゃんはお風呂をのぞかれても本気で怒らない。けど後でジャイ子にコロスって愚痴ってる」は笑った。多分そうだと思う。笑

    「ツケはあとで返せばいい。自分のために生きたいと思える、迷える若い女性に幸あれ」

    令和を生きるすべての女性に。

  • 面白かった。
    結婚したくない、家事したくない、とか色々等身大の女たちが出てきて、社会への不満だったり生きづらさを語ったり、世界に飛び出して自分の夢を実現しようとしたりしている。
    パワフルで読むと元気がでる一冊だと思う。

  • これはエッセイ?短編?と思いながら読んでいった。
    女性からの視点のお話で、社会思想的要素があって読み応えがありとっても面白かったです。
    山内マリコさんの本は積読しまくっているのでもっと読んでいこうと思いました。この人の作風好きです!「人生の前半は、できるだけ好きと思える仕事を探す旅です。ー若さは重荷です。でも歳を取るたびにその重荷は少しずつ減って、そのうち身軽になれるので、もうしばらくがんばってください!」
    この一文が特に一番印象的でした。
    人生の先輩のこのメッセージは、実際には若さで肩身の狭さを感じることがあるいま、大変胸に刺さりました。
    でも、最後のお話でクラブに行ったりするのも若いうちならでは(?)と思うと若いのも悪くないよな、と思い、何歳でも自分次第だなと思えました。今を肯定できました。


    また、タイムスリップしてきた男の人の話と、2030年の未来を想像した話も面白かったです。こんなに文化や流行が変わっているし、未来も変わっていくだろうなあとリアリティさを感じながら思いました。

    ほんとにこれはまた読み返したいくらい好きな作品でした^^

  • しずかちゃんの話が最高!

  • 女の目って何だろ

  • 小泉今日子さんのspotifyラジオ番組、ホントのコイズミさんで紹介された本。
    ゆっくりコーヒーを飲みながら読むのにちょうどいい。読んでいる間、ゆったりした時間が流れる。
    図書館で借りたので、最後は急いで読んで勿体なかった。いつか買って、読み直したい。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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