ゆりかごに聞く

  • 幻冬舎
3.32
  • (5)
  • (18)
  • (37)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 299
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034600

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミステリという名の、母性、哀しみ、やるせなさが絡み合う物語。
    世の中産んだ瞬間に当たり前のように強制される、持たなければいけない母性の重圧に苦しむ人だっている。
    完璧な母性なんてない。
    毎日手探りでいい、必死でいい、一緒に過ごすそれが一番大切。泣いて笑って怒って、自分を責めたっていいじゃない。毎日ちょっとずつ芽生えていく母性があったっていいじゃない。
    終わりなんかない、一生子を想う、それが母性だと思う。それを最初から放棄する、知ろうともしない親、途中放棄する親がいるという悲しい現実。
    涙と共に怒り、哀しみ、やるせなさがいつまでも心にとぐろを巻いて渦巻く。
    重い読書時間だった。

  • 出生に秘められた悲しい物語。

    プロローグ
    一章
    二章
    三章
    四章
    五章
    エピローグ

    新聞社に勤める宝子のもとに、二十一年前に亡くなった父親の変死の知らせが届く。

    娘を愛せず、離婚し、絶望的になっていた宝子は、父からのメッセージを受け取り、自分の出自をたどることに。

    八王子の阿部定様事件、産婦人科医殺人事件とのつながりが徐々に見えてきたとき、自分の驚愕の出生の秘密を知る。

    誰しもが子供に母性を生ずるわけではない現実が、悲劇の連鎖を生む。


    生まれてきた子供に愛情をそそげるかではなく、子供に自分の愛情を感じてもらえるか。深い。

  • とっくに死んだはずの父が生きていた!!! なぜに?
    残されたものを手にしても何が言いたいのかわからない。
    そりゃ、調べるわ。調べてよかったのか、知らないほうがよかったのか。

  • +++
    新聞社で働く柳宝子は、虐待を理由に、娘を元夫に奪われていた。ある日、21年前に死んだはずの父親が変死体で発見され…。遺留品には猟奇的殺人事件の大量の記事の切り抜きと娘に宛てた一通の手紙。「これからも見守っている」。宝子は父の秘密を追うことになるが、やがてそれは家族の知られざる過去につながる。一方、事件を追う刑事の黄川田は、自分の娘が妻の不貞の子ではないかと疑っていた。
    +++

    親になるとはどういうことだろう。母性は人のなかにいつ芽生えるものなのだろう。父性はどんな条件でどの段階で芽生えるのだろう。そんな、人の生にまつわるあれこれを考えさせられる物語である。親に愛されること、子を愛すること。それは誰にでも無条件に与えられるものではないのだということが、本作を読むと痛いほど伝わってきて、胸が締めつけられる。さまざまな命の扱われ方を考えさせられる一冊でもある。

  • 究極の問い。
    「私は誰」
    人間って自分の親が誰と誰か、って絶対に自分じゃわからないんだよね。
    母親だって子どもを生んだ瞬間に入れ替えられたらわかんないし。DNAで調べても絶対に間違いないって答えはないわけだし。
    それでも「親」だ「子」だ、と思って一緒に過ごしているから親子だと思っているだけで。
    一緒にいるから似てもくるしなじんでも来る。そんななかで、突然その根拠が揺らいだら…その不確かさって本当に怖い。自分の根幹が揺らぐ感じ。
    母親はこうあるべき、母親としてこうするべき、そういうたくさんの「べき」の中でおぼれそうになる女性って本当に多いと思う。
    母親である前に、一人の女性であり、母親であると同時に、一人の働く人でもあり。そのいくつかの自分と、こうある「べき」自分のギャップ。
    子どもを産んだ瞬間に「母親」として生きることを求められる、でも、自分は「母親」であるだけではないんだ。という声に出せない叫びの一番奥を目の前に叩きつけられたような気がする。

  • 【思い出しあらすじ】
    新聞記者の宝子に父親が亡くなったと連絡が入る。父は21年前にアパートの火事で亡くなったはずなのに。父の所持品から八王子で起きた「現代の阿部定」なる事件の新聞切り抜きが見つかる。父がなぜこの事件を追っていたか、宝子は父の足取りを追っていく。

    【感想】
    子を持つことに不安を感じ、子を愛しているか自信がなくなる宝子。
    子供が自分と血がつながっていないのではと疑い、愛さない黄川田。
    血がつながって居なくても愛してくれた父。

    私は35歳。
    血の繋がった子を持つことに恐れと不安を持つ私としては、作中の様々な子と親の関係に、憧れと恐怖が思い起こされた。

    血のつながりってなに?
    そう言えるのは私に(おそらく血がつながっているであろう)親がいるからか。
    子の虐待が頻発するこの国で、改めて考えていかなければいけない事だと思う。

    虚無感溢れ意思のない明美も、身の回りには居ないように思えたが、きっといる。

  • まさきさんの親と子の話。相変わらず全体的に薄暗くて息苦しい。話の内容は入り組んで絡み合って、偽名も混じるから誰が誰だかわかんなくなったりもするけれど段々つながっていくさまは鮮やか。ただ彼に関しては全く見当がつかなかったなーあまりにも悲しい。宝子はまだやっと薄明かりが見えた感じだけども、黄川田のやらかしは取り返しがつかないと思うな……もう離れた方がいいよ……みんなが自分の中にあるはずと信じてる母性や父性と向き合ったり向き合わなかったりする話。

  • 最近気にいって読んでいる「まさきとしか」。
    これは、うーん、いまいち。
    主人公のことが全く好きになれないんだよね。考え方も行動も。

    最初の謎であったお父さんの死の偽装の理由が、
    しっくりこないというか、それだけ?なんで?って感じで。

    主人公宝子については、
    実際の父親は極悪人で、母親は無感情の人で、弟は殺人鬼で、
    育ての母親は欲しくもなかった子供を誘拐する犯罪者だし、
    で、それは好きになれない女でもしょうがないか・・・

  • 主人公は新聞記者で、夫と娘とはある理由から別居中。そんな中、死んだはずの父親が、20年後変死体と発見された。父親から遺されたものは、少しの置き手紙と、殺人事件の切り抜き。なぜ、父はそんなものを残したのか、その心を知るために、主人公は調査を進め、さまざまな事件との関連を明らかにする。その裏には、思いもよらぬ真実が。

  • 死んだはずの父親が最近死んだ。いろいろ調べていって、いろんな展開に。自分の産まれた真実が最後まさかの展開に。いろいろ複雑だけど、おもしろかった。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。北海道札幌育ち。二〇〇七年「散る咲く巡る」で第四十一回北海道新聞文学賞を受賞。母親の子どもに対する歪んだ愛情を描いたミステリ『完璧な母親』が一三年に刊行され話題になる。他の著書に『夜の空の星の』『熊金家のひとり娘』『ある女の証明』『いちばん悲しい』『玉瀬家、休業中。』『屑の結晶』『あの日、君は何をした』など。

「2021年 『祝福の子供』 で使われていた紹介文から引用しています。」

まさきとしかの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×