育休刑事

著者 :
  • 幻冬舎
3.72
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本棚登録 : 271
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034655

作品紹介・あらすじ

Twitterで話題になった「本格ミステリと育児の理想的な融合」の一作!

県警本部捜査一課・秋月春風(あきづきはると)巡査部長。生後三ヶ月になる可愛い息子・蓮(れん)くんのため、刑事としては初めての“育休"に挑戦中——。

母性神話、育児放棄、DV、親権争い、乳幼児突然死症候群……現代社会の育児における様々な歪みや問題点を、軽やかかつ徹底的にミステリとして描ききった著者渾身の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 捜査一課所属のまま、育休中の秋月春風巡査部長。
    ところが係長の無茶ぶりで、捜査の手伝いをすることになり……。

    たのしかった。

    タイトルにつけるだけあって、育児のリアリティが半端ない。
    経験者にしか語れないレベルの詳細さで、「あるある!」とうなずくことばかり。

    脚注という形で入るツッコミや小ネタにも、ユーモアたっぷり。
    「あとがき」を読んでいると、しゃれっ気・茶目っ気のある作家さんのよう。

    蓮くんの愛らしさも格別で、ほのぼの。

    ミステリ的には、どれも推測がつきやすく、意外性にはやや欠ける。

  • 警視庁捜査一課の刑事が、同じく警察官である妻の産休明けから育休を取る。まあまずありえない設定だし、オマケに、その育休中に事件に巻き込まれて、赤ん坊を抱っこしつつ捜査に加わっちゃう。似鳥鶏さんじゃなかったら読まなかったと思う。幻冬舎だしさ。

    しかしこれがもうすごーく良かったのだ!あとがきによると、似鳥さん、少し前に子どもさんが生まれたそうな。なるほどねえ、このリアルさは経験者にしか書けないだろうなあ。あとがきの大部分は、いつも通りふざけてるんだけど、最後にこうある。
    「本作は警察小説で本格ミステリであると同時に、『男性の育児』のリアルを伝える疑似体験本でもあります。今まさに育児中の方には応援歌に、これから子どもができるかもしれない方にはよき参考書に、育児を終えられた方にはあの頃を思い出すきっかけに、それ以外の方には未知の世界をご紹介するガイドブックになればと思います。
    しかしそれ以上に、単に小説として楽しく読んでいただけたなら、著者としてこれ以上の幸福はございません」
    その通り、私は心から楽しみました。

    なにをどうやっても泣きやまない赤ちゃん。万策尽きて一緒に泣きたくなった人は多かろう。秋月も「おっぱい」という最終兵器を持たない身での子育てに苦闘しつつ、それでもこう言うのだ。

    「育児に関して、男でよかったと思うことは山ほどある。(以下、物理的な利点が挙げられるが省略)何よりゴツい男だと、外で赤ちゃんが泣きやまなかったり電車内でベビーカーが人の足にあたっても舌打ちされない。子連れに対してうるさいだの場所を取るなだのとナメた暴言を吐く屑は『相手が女だから』やっているのだ」
    いやー、ほんとそうだよね!これってあんまり言われないけど、真実だと思うよ。反撃してこないだろうという相手だけを攻撃する奴ってサイテーだ。

    日常の育児で何がつらいって、夜寝てくれず泣き続けるのが続くことだ。秋月もある夜、とうとう「何が不満なんだよ!」と怒鳴り、赤ん坊の蓮君の背中を強くつかんで持ち上げてしまう。
    「…俺は今何をしようとしていたのか」「ごまかすことはできない。強く掴んで、たぶん床にたたきつけようとしていた」「子どもができるまでは、テレビで児童虐待のニュースを見るたび、『自分の子どもに対して、どうしてこんなことができるんだろう』と腹を立てていた」「『犯人』は理解不能な、どうしようもない奴なのだろうと思っていた」「今、俺がそうなるところだった。こんなにも簡単に。それはぞっとする発見だった。実際に育児をしてみれば、虐待の可能性はどこにでも、誰にでも存在すると分かる。ちょっとした油断で誰でも交通事故の加害者になったり、ネットに流れるデマの拡散に加担してしまうように」
    もちろん、現実にはもっとずっと悪質な、最低の虐待もあるわけだけど、そういうのと、ワンオペ育児でどうしていいかわからないままに追い詰められてしまった挙げ句、つい子どもを強く揺すってしまった、というような場合とを同じ「虐待」でくくっていいのかと秋月は思う。後者に必要なのは親への支援ではないかと。
    そう思う間にも蓮君は泣いている。ご近所はどう思っていることやら。「変わったお家」と思われているので「虐待じゃないか」と通報されたりして。「警察官が虐待」頭には新聞の見出しまで浮かぶ。このあたり、本当にリアルで身につまされる。

    とまあ、男性育休ものとしても画期的に面白いのだが、似鳥鶏さんなのだからして、当然それだけのわけがない。事件の解決に蓮君が絡んでくるところなんか実にお見事だし、最後の一篇「お外に出たらご挨拶」には、うわ!やられた!と声が出た。もうこれは予備知識なしで読むのが絶対のおすすめ。ハラハラしたあとにスカッとしてやられて、嬉しく降参しました。

  • 凄く丁寧に書かれてて、刑事ものという観点だけじゃなく育児にも本当に詳しく書かれてて、とっても面白かったです。

    基本育休を取ったご主人が主人公だけど、そのお姉さんの活躍も凄いし、最後には奥さんの活躍も。
    そっち~って思うくらいの。奥さんはなんの仕事だろう?ってずっと考えてたんだよね~

    連くんの成長も気になるけど、育休はずっとは続かないからな・・・

  • 男性でありながら育児休暇を取得した捜査一課刑事が巻き込まれる事件の数々を描いた連作ミステリ。男性が育児に携わることは昔に比べれば増えたとは思いますが。それでもまだまだある種の「偏見」は残っているのですねえ。そしてこれは、育児に携わった人が読めばあるあるで共感できるのだろうけれど。そうでない人も読んで知っておいてほしい事柄がいっぱいなのではないでしょうか。「休業」っていっても、育児もまた大変すぎるくらいの仕事なんだよね……。
    もちろんミステリとしての面白さも充分。お気に入りは「瞬間移動のはずがない」。分かってみれば案外と簡単なトリックだけれど。謎がとにかく奇想天外すぎて魅力的でまーったく思いつきもしないものでした。そして「お外に出たらご挨拶」もスリリングで面白かったー。捜査一課課長、カッコよすぎます。

  • Twitterの月イチ2文で紹介していた人が居て気になって購入。
    子育ての描写は「分かる!分かるー!」と共感の嵐(笑)
    かと思えば起こる事件も本格ミステリーというズルいくらい絶妙なバランス。
    これ映像化したら面白いんじゃないかな~

  • 2019.7.2読了。主人公の気持ちに共感できる部分がありました。作者の実体験でしょうか?

  • 単純に小説として面白いが、さらに育児の苦労を楽しみながら理解できる。みんながこれを楽しく読んだら、ベビーカーに優しい世界になりそうだ。
    みんなに読んでほしい。

  • 赤ちゃんを育てたことのない人にこそ読んで欲しい。

    作者は実際に育児してるんだと思う。なにより育児中のことをものすごくリアルに思い出させてくれました。育児中の苦労については男女関係ないんだな。

  • 「生きとし生けるすべての男性に告げたい」一冊!
    Twitterで大反響!赤ちゃんを育てることの大変さを描く、
    本格ミステリと育児の理想的融合!

  • 育児休暇を取得中の刑事が事件に巻き込まれる話の連作三編。実体験を基にしているだけあって、育児に関する描写がリアル。育児に携わっているからこそ謎を解決出来たりと、育休とミステリ部分が融合しているのがいい。

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著者プロフィール

似鳥 鶏(にたどり けい)
1981年生まれ、千葉県出身の小説家・推理作家。男性。千葉大学教育学部卒業。北海道大学法科大学院在学中の2006年、『理由(わけ)あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選し、2007年に同作品で小説家デビュー。
2012年の『戦力外捜査官』が代表作。本作はシリーズ化し、武井咲主演でドラマ化された。

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