祝祭と予感

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 976
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034907

感想・レビュー・書評

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  • また彼らに、会える。
    待望の『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編小説集!

    伝わってくるのは変わらない彼らの音楽する歓び♪

    なぜか風間塵もいるお墓参り、若き日のふたりの出会い、春と修羅に込められた想い、信頼できる師との出会い、運命の楽器との出会い、そして可愛いギフトとの出会い。

    嬉しかったのは、綿貫先生の名前が出てきた事、奏の話があった事。
    ふたりとも映画に出てこなかったからなぁ。また会えてよかった。

    驚いたのは、風間塵のお母さんの話、コンクール後の亜夜のいる場所。そうなんや〜

    悲しかったのは明石の話がなかったこと。ピアノ頑張っているかなぁ。

    さくっと読めて物足りなさも感じるけど、蜜蜂と遠雷のファンにはたまらんちゃ。

  • 「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。
    映画公開に合わせて発売された。

    「蜜蜂と遠雷」は素晴らしい小説だった。
    娘にオススメすると、夢中になって読んでくれて、親子間の貴重な会話のネタとなっている。
    映画もふたりで見に行く予定だが、なかなか都合が合わずいつ行けるか未定。なので、スピンオフを読んで気持ちを盛り上げようと購入。

    2時間もあれば充分読めるボリューム。
    「蜜蜂と遠雷」を読んでない人には全く必要のない本。
    「蜜蜂と遠雷」が大好きな人は小説の世界がより拡がるので、是非どうぞ。

  • 『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編集。こぼれ話的な。
    「祝祭と掃苔」入賞者ツアー途中、亜夜とマサルが塵とともに恩師・綿貫先生の墓参りをする。
    「獅子と芍薬」ナサニエルと三枝子、若き日の衝撃的な出会いとその後。
    「袈裟と鞦韆」作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけ。教え子の追憶。
    「竪琴と葦笛」マサル、ジュリアード音楽院に留学中のこと。
    「鈴蘭と階段」楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏。
    「伝説と予感」ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った時のこと。
    全6編。
    どれもタイトルを見ただけでも興味がそそられた。さらりと読めるけど、楽しめました。塵が出てくる「祝祭と掃苔」「伝説と予感」が好きですが、「袈裟と鞦韆」は曲が聴きたくなり印象に残る。『蜜蜂と遠雷』を読んだ方なら楽しめること間違いなし、祝祭と予感そのものの一冊。

  • まさかのスピンオフ発売!
    心の底から蜜蜂と遠雷の続きを読みたかったので、その前とその後を読めたことがどんなに短い短編だとしてもすごく嬉しかった。
    タイトルからしてこれは素敵な予感がする!
    と思っていたけど、やっぱり読んだら最高だった。
    蜜蜂を読んでいた時はシルバーヴァークのイメージがあんまり良くなかったけど、このスピンオフを読んだらとてもいい方に印象が変わった。
    マサルとそんな縁で結ばれたとは…なかなか策士なマサルとその術中にまんまとはまるシルバーヴァーク。
    良き師弟関係。
    欲を言えばもっともっと沢山読みたい。
    けど、どんなに短くてもスピンオフを発売してくれて本当にありがとう!

  • クラッシック音楽が分かるとかそうではないかは問題ではなく、「蜜蜂と遠雷」には突き抜ける楽しさがあった。

    この小説は、「蜜蜂と遠雷」に登場した数々の天才のエピソードか記されています。
    恩田陸さんのファンサービスですね。

  • 文庫版『蜜蜂と遠雷』で復習も済ませ、ようやくここまで辿り着きましたー(笑)
    ネタバレ控えていますが、『蜜蜂と遠雷』のストーリーには言及しているので、注意。



    スピンオフには、それ自体で外伝的な役割をするものもありますが、こちらは補足といった感じ。
    三人の決勝後の話が読めることにもニヤニヤしてしまいますが、お気に入りが二つありましたー!

    一つは、奏のヴィオラを巡るお話。
    本編では、亜夜のお世話役であって、天才達から一歩引いている感があったのですが。
    ラストシーンは、読んで、ぶわっと鳥肌が立ちました。

    もう一つは、「春と修羅」が生まれるまでのお話。
    これを読むと、菱沼賞がなぜ、明石に送られたのかが分かるように思います。
    (そういえば明石の話がなかったような、彼のその後も知りたかったなぁ)

    以下、余談ですが。
    『蜜蜂と遠雷』のタイトルの意味を考えていて、特に「遠雷」は作品中には出てこないよなぁ……と思っていました。

    解説サイトを見ると、幾つかの解釈がされていたのですが、作者からの言及はなさそう?
    なので、非常に個人的な解釈ですが、この作品のタイトルに繋がるように思いました。
    一つは、これからやってくる出来事に対する「予感」。
    そして、もう一つは「祝祭」。そういえば、万雷の拍手っていうよなー、と。
    ……こじつけだったら、すいません(笑)

    色んなピースを当てはめていく楽しさのある一冊でした!

  • 映画の封切日に合わせての単行本の発売。そして、この薄さと文字の大きさに、商業的な事情が垣間見えて少々鼻白むけど、そこは恩田さん、前作の世界を深める6つのエピソードの数々にちょっと得した気分。

    中でも一番心に響いたのは、コンクールの課題曲だった「春と修羅」の作曲秘話である「袈裟と鞦韆(ブランコ)」。
    菱沼先生の教え子・小山内健次の物語は読んでいる間中涙が止まらなかった。
    そして、奏が自分の楽器との運命の出会いを果たすシーンに鳥肌が立った「鈴蘭と階段」も好き。

    蜜蜂からの祝祭で気分も高揚、準備万端映画に向かえます!

  • ナサニエルは少女の顔を見た。
    生きていく。この世界で。
    何かがすとんと腑に落ちる感触があった。
    「うん」
    ナサニエルは、無意識のうちに何度も頷いていた。
    「うん、そうだね」
    少女はニタッと笑い、人並みの方を指差した。
    「ねえ、あっちにバイエルンとリヨンのオーケストラの芸術監督が来ているのよ。ミュンヘンでコンサートがあったから、たまたま寄ったんだって。ダメ元だけど、定期演奏会のソリストに使ってくれないかって売り込みに行かない?ミュンヘン最高位の二人のセット、日替わりでどうかって」
    …あれが、二人の始まりだった。
    オーケストラへの売り込みは成功しなかったけれど、互いに連絡先を交換して別れた。
    そして、あの時、ナサニエルは彼女に恋をした。振袖を「戦闘服」と言い切った彼女に。「ここで生きていく」と宣言した彼女に。p66-69
    ・しっかりとした自分があって、ずんずんと先に進んでいくヒロインに後押しされる気弱なヒーロー。

    ナサニエルは手を振り、カウンターの下から小さな花束を取り出した。
    「はい」
    三枝子は面食らった顔になる。
    「ええと、今日は何日?どっちの誕生日でもないわよね?」
    受け取りつつ、三枝子は隣に腰を下ろした。
    「僕らが初めて出会った日の記念さ」
    「初めて出会った日?」
    三枝子は記憶を探る目つきになった。
    「いつのことを指しているの?」
    「ミュンヘンの入賞者コンサートの日」
    「あら ー そうだったかしら?今日だった?それを言うなら、最初に会ったのは表彰式だったと思うけど」
    三枝子は首をかしげた。
    「いいんだ」
    ナサニエルは小さく笑う。
    僕がミエコに真に「出会った」と思った日だから。p71-72
    ・相手の真の姿に触れた時が二人が真に出会った日。素敵な感覚。キザだけど。

    「そうか。これが奴の見てた景色か」
    向こうから、強い風が吹いてきた。
    畝に刺さった棒が細かく揺れている。
    風はまだ冷たかったが、どこかにほんのりと春の匂いがした。
    菱沼は、その匂いを胸いっぱいに吸い込む。
    不意に、また「春と修羅」の一節が浮かんだ。

    (まことのことばはここになく
    修羅のなみだはつちにふる)

    なるほど、おめえはここにいるんだな。このどっかにいて、おめえの音を聴いてるんだな。
    菱沼はそんなことを思った。

    …はたして、もう一度掛かってきた電話は、第六回芳ヶ江国際ピアノコンクールの課題曲の委嘱の電話だった。
    電話で担当者の声を聞きながら、菱沼の頭にはすでにタイトルが浮かんでいた。

    「春と修羅」

    そして、自分が譜面を書き始めるところも目に浮かんだ。
    そう、それはこう書かれるところから始まる ー

    ー この曲を、二人のケンジに捧げる。p102-105
    ・冬から春への転換期は個人的にも最も好きな季節。そこに故人への哀愁も合わされば、忘れられない季節になるね。

    奏とヴィオラの運命的な出会いp159〜

    突然、耳元に流れ込んできた音に、奏はゾッとして全身が粟立った。
    文字通り、髪の毛と体毛がふわっと浮き上がるのを感じる。
    この衝撃をなんと説明すればいいのだろう。

    戦慄。恐怖。それとも ー 絶望?

    奏は、プラハから遠く離れた夕暮れの東京のキッチンで、全身に冷や汗を掻きながら、自分がこう答えているのを聞いた。
    「はい、是非とも私にそのヴィオラを譲ってください。」p164
    ・気後れしてたのに…。これが運命ってやつだね。

    音を出す。
    先生二人がハッとして、黙り込み、奏の音に聞き入るのが分かったが、奏はそれどころではなかった。
    あの時、スマホ越しに感じた戦慄と衝撃を、再び体験していたからである。
    いや、実際に自分で音を出すのは、あれ以上の衝撃的な体験だった。
    無我夢中で鳴らし、一通り音を出し終わって、奏が深く溜息をついて顔を上げると、先生二人はどことなく青ざめた顔をして奏を見ていた。
    パヴェル氏が「君の楽器だね」と呟き、先生が「驚いた」と呟いた。

    あなたは、そんな音が出せるのね。本当のあなたは ー あなたのヴィオラは、そういう音だったのね。

    そう、奏がこのヴィオラに感じたのは、どこかデーモニッシュなものだった。
    あの時感じた戦慄や絶望は、これからこの楽器とともに拓くべき世界の底知れなさとタフさに対して、ここで覚悟を決めなければならないという武者震いのようなものだったのではないか。
    あるいは、これからこのヴィオラとともに自分の音を作り上げるために闘っていく大変さを予感していたのではないか。しかも、まだこの楽器は完全に振り向いてくれてはいない ー 見せているのは、ほんの少しの横顔だけ。
    しかし、奏は確信していた。その横顔に、かすかな笑みがあることを。いつか振り向いてくれた時、奏に向かってニッコリと微笑んでくれるであろうことを。p167-168
    ・運命的な出会いをしたけど、まだまだその全貌は暴けない。これからを想像して武者震い。

    調律してないピアノなのに、ちゃんと鳴っている。音になっている。p181
    ・幼少期の風間塵。音楽に愛されてるって感じ。なによりも魅力的な、才能のあり方。

    彼は駆け出していた。
    ピアノの音が大きくなる。
    彼は息を切らせ、玄関脇のロビーの入り口に立った。
    光が差し込んでいる。
    その中に、小さな男の子がいた。
    熱心に、たどたどしい動きで、ピアノを弾いている。
    ふと、彼の中に、今朝明け方に見た夢が蘇ったような気がした。
    そう、夢の中で、私はこの光景を見ていたのではないか。
    明るい場所で、素敵な体験をした ー 深く、心が動いた何かを体験した。それは、きっと、今目の前のこの光景のことだったのではないだろうか。
    しばらく子どもはピアノを弾いていたが、ピアノに人影が映っているのに気付いたのか、ピタリと弾くのをやめ、振り返った。
    きょとんとした、小さな顔。
    見開かれた大きな目。

    とても、美しい、光に包まれた ー

    彼は、胸がどきどきしてくるのを感じた。
    感動にも似た、不思議な高揚感が込み上げてくる。
    「やぁ」p183-185
    ・この章はとても短い。でも光に包まれた暖かい印象 ー ff7のミッドガル下の教会みたいな。本編の風間塵はとんでもない天才で、天災で、その才能で無邪気に人を気づけるところがあった。でもこの話で光に包まれる彼は本当に無垢で音楽の神に愛された天使のよう。ホフマンと言う伝説的マエストロが、風間塵と出会い、未来への可能性を感じた話。まさに伝説と予感。

  • 続編ということで購入。

    全6編からなる短編集で、コンクール後のエピソードや登場人物の過去編などがありました。

    第1編 祝祭と掃苔
    コンクール後に亜夜とマサルと塵が恩師・綿貫先生の墓参りをするということが描かれています。

    第2編 獅子と芍薬
    コンクールの審査員だったナサニエルと三枝子の最初の出会いが描かれています。

    第3編 袈裟と鞦韆
    コンクールの課題曲であった「春と修羅」の制作秘話を作曲家の視点で描かれています。

    第4編 竪琴と葦笛
    マサルと師匠であるナサニエルがどのようにして出会い、どのように師弟関係になったのか描かれています。

    第5編 鈴蘭と階段
    コンクール後の物語で、ヴィオラ奏者の奏が楽器選びに奔走している様子が描かれています。

    第6編 ピアノの巨匠ホフマンとある少年との出会いが描かれています。


    「蜜蜂と遠雷」を見ていない人には、本編を見てから、この本を読むことを強くお勧めします。なぜなら、ある程度の情報量がないと、楽しめないのではないかと思いました。特に登場人物の説明があまりないため、未読のの人には、奥行きだけ楽しめても核となる部分がわからないため、充分に味わえないなと思いました。
    また、少々本編のネタバレも描かれていました。(コンクールの結果が書かれています)この本を読んでから、本編を読むと、面白さが半減するのではと思います。

    結構前に読んだ人・記憶があいまいな人には、Wikipediaと並行して、読んだほうが良いかと思いました。あれ?この人誰だっけ?と思う人が個人的にいたので、ある程度、登場人物の経歴・どんな人物だったかを把握していると、より楽しめるかと思いました。


    10ページぐらいのものから40ページくらいまで色々楽しめた短編集でした。個人的には、コンクールの出場者であった高島明石(映画版では松坂桃李さん)が登場しなかったのは、残念かなあと思いました。
    本編では、恩田さん流の音の表現が素晴らしく、この本でも表現されていました。といっても思ったよりも登場場面が少なかったので、もう少しほしかったなと思いました。
    また、グイグイ物語の世界観に引き込まれました。恩田陸マジックなのか、一つ一つの行動が滑らかな線のように表現されていて、短編なのにいつのまにかゾーンに入ってしまいました。一時間弱、電車の中で読んでいたのですが、いつのまにか周りの人の声が分からなくなるくらい集中していた自分がいました。それくらい想像しやすく、目の前でちゃんと滑らかに動いているなと思わせてくれました。

    サクサク読めましたし、もうちょっとだけ「蜜蜂と遠雷」の世界観に浸りたい方には、おススメかと思いました。ただ、ちょっと物足りないなあという印象でした。

  • 【もうスコシ】
    小説です。

    娘に借りて読みました。
    映画用に作られた感があり、もう少し深堀りしたものを期待してしまいました。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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