祝祭と予感

著者 :
  • 幻冬舎
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  • / ISBN・EAN: 9784344034907

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    これは、「蜜蜂と遠雷」を読んだ後に、すぐに読む作品です。もう言いきっちゃいます。

    あの感動の後に読むと、感動した気持ちを、さら〜と、撫でてくれるような、優しい気持ちにさせてくれるような感じだと思います。

    私はだいぶ前に「蜜蜂と遠雷」を読んで、かろうじてキャラを覚えているぐらいだったので、なんか、なんだろうな…と、いう感じで、読み終わってしまいました。
    ほんと、失敗。この作品は単品では、全く心に響かないです。もう一度、「蜜蜂と遠雷」を読み直してから、読むべきなんでしょうが、そこまで、もう一度読みたい気分でもないので、仕方ないです。残念…


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
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    それぞれの登場人物たちの過去が主に描かれている。描かれることのなかった、それぞれの出会いが描かれている物語が印象的。


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    3.主な登場人物 
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    (1)祝祭と掃苔 
    風間塵 かざまじん、フランス在住
    永伝亜夜 アーちゃん
    マサル・カルロス・レヴィ・アナトール マーくん、長身、フランス育ち

    綿貫先生 亡くなっている、亜夜とマサルの恩師
    風間澄佳 塵の母、コズミックソフトアジアCFO
    ホフマン 塵のピアノの先生

    (2)獅子と芍薬
    ナサニエル・シルヴァーバーグ ピアニスト、三枝子元夫、ホフマンの教え子、マサルの先生
    嵯峨三枝子

    ユウジ・フォン・ホフマン
    フリードリヒ・ハウザー ホフマンの教育係

    (3)袈裟と鞦韆
    菱沼忠明 作曲家、67歳
    小山内健次 おさないけんじ

    (4)竪琴と箒笛
    マサル・カルロス・レヴィ・アナトール 
    ナサニエル・シルヴァーバーグ 

    (5)鈴蘭と階段
    浜崎奏 かなで、亜夜の2歳年上の先輩

    (6)伝説と予感
    かざまじん
    ユウジ・フォン・ホフマン

    • かなさん
      Manideさん、こんばんは!
      そうですね!
      私は「蜜蜂と遠雷」を読み終えて
      その余韻を引きずったままこの作品を読んだので
      すごくよ...
      Manideさん、こんばんは!
      そうですね!
      私は「蜜蜂と遠雷」を読み終えて
      その余韻を引きずったままこの作品を読んだので
      すごくよかったんです。
      だけど、今またあらためて読んだら
      きっとManideさんと同じ感想を持つと思います。
      2023/07/27
    • Manideさん
      かなさん、こんばんは。

      かなさんは続けて読むことができたんですね〜
      それがいいですよね〜
      私も好きな作品だったんですけど、読み終わった後の...
      かなさん、こんばんは。

      かなさんは続けて読むことができたんですね〜
      それがいいですよね〜
      私も好きな作品だったんですけど、読み終わった後の感動が消えてしまって、ちょっと残念でした。
      読むタイミングって、大切ですね(^^)
      2023/07/28
  • 大好きな「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ小説。
    色々な登場人物の前日譚、後日譚が納められています。

    元々の「蜜蜂と遠雷」が好きな私にとっては、どの短編も本当に宝物のような気分で読んでいました。あっという間読み終えてしまい(実際にそれぐらいの分量です)、「どうしても続編が読みたい!」と思わせる本でした。

  • 「蜜蜂と遠雷」の感動をもう一度!!
    と、思いながら手に取ったものの、実は「蜜蜂と遠雷」はもう一年以上前に読んでいたので、『菱沼忠明?誰だったかなぁ?』と忘却曲線に乗っている登場人物もいた。
    『春と修羅』を見てようやく思い出したが、自分の記憶の低下を嘆いてしまう。
    一方で、覚えていた登場人物には『またお会いできて嬉しいです!』と、挨拶をしてしまう。

    懐かしく感じるものの、期待していたほどの大きな感動は残念ながらなかった。これはもしかしたら前作の記憶、感動が薄れてしまっていたためなのかもしれないが、個人的には、以下のようなことを期待していたためであろうと思っている。
    ・風間塵の登場が少なかった
    ・高島明石が登場しなかった
    ・もう少し分厚くて、読み応えを感じたかった

    「蜜蜂と遠雷」のスピンオフとして、「蜜蜂」の基礎となっており、登場人物やストーリーへの理解が深まる。全身に音楽が流れてくるという感じは、今回はなかったが、これを一つの物語とすると十分楽しめた。

    -----------------------------
    以下は自分の記憶の整理のためです。(どうぞ、読み飛ばしてください)
    -----------------------------
    祝祭と掃苔(しゅくさいとそうたい):
    芳ケ江国際ピアノコンクールに入選した3名、亜、マサル、風間塵が亜夜のピアノの恩師である綿貫先生の墓参する。お墓参りのことを掃苔という。

    獅子と芍薬(ししとしゃくやく):
    ナサニエル・シルヴァーバーグと嵯峨三枝子の若き頃の出会いの話。
    獅子は、ナサニエルの髪型で、芍薬は、入賞者コンサートの後のパーティーで美枝子が着ていた着物の柄。

    袈裟と鞦韆(けさとぶらんこ):
    芳ケ江国際ピアノコンクールの課題曲の委嘱のずっと前の菱沼忠明と教え子の小山内健次の話し。「春と阿修羅」誕生のきっかけとなると話し。

    袈裟は、菱沼の実家が浄土宗のお寺であったため、音楽を意識したのが、祖父がお堂で朗々と歌う御詠歌であった。

    小山内の葬儀から東京に戻ってきた時に寄り道をした児童公園。ブランコにかけながら小山内が書いた「ポップ組曲 I 土」を見つめていたが、ブランコからゆっくりと立ち上がった。

    竪琴と葦笛(たてごととあしぶえ):
    ジュリアード音楽院のプレ・カレッジ時代のマサルが、恩師・ナサニエルから新しい音楽の世界を紹介された話し。
    マサルがなぜあのナサニエルを師と仰ぐのか。ナサニエルへの親しみと、マサルの意外な一面が伺える。
    ナサニエルに連れられて行ったジャス・クラブで飲んだ飲み物のグラスにハープのマークがあった。そこでマサルから「先生は、ハープの国の人なんですね」と言われ、マサルは「フランスは、木管楽器のイメージがあるね。特に、マサルにはパンフルートが似合いそうだ」と言われる。その後、ナサニエルのが師となりマサルはあのジャス・クラブでトロンボーンを演奏することになる。

    鈴蘭と階段:
    亜夜の入選で、ヴィオラに転向を決意した奏。転向決意からの懸案事項が、楽器選びであった。
    自分と相性の良い楽器がなかなか見つけれずにいた。
    奏の自宅には防音された立派なレッスン室があるにもかかわらず、あえて階段の踊り場から三段下がったところで演奏するのを好んだ。
    ある日、亜夜から電話があり奏にパヴェル先生のヴィオラを売ってもいいと言っていることを知る。
    それはパヴェル氏が弾いていヴィオラの音が奏の音だと亜夜も風間塵もともに感じたことからであった。

    そして、パヴェル氏のヴィオラが奏の元に来て一週間がすぎた日、玄関の鈴蘭に見ながら、ヴィオラとの出会いを瞬間を振り返る。

    伝説と予感:
    巨匠ホフマンと風間塵との出会い。
    風間塵の父がホフマンが訪れた城の庭でメモを片手に歩き回っているのが、目に入った。城の当主の父親が著名な古書コレクターでその中にピアノの楽譜があったため、ホフマンがその楽譜を見にやっていたのである。
    風間塵の父親はパリ大学の研究者で、この城の農園がリンゴの花の開花基準日にいいと言うことで、調べに来ていた。

    そこでピアノの音が聞こえてくる。調律すらしていないピアノからダヴィッド同盟舞曲集の音色がきこえる。ホフマンが昨夜弾いた音色を覚えて、楽譜もないのに再現している。
    玄関のロビーには光が射しこんでいて、その中に小さな男の子、風間塵がいた。
    伝説というのは、ホフマンのことなのか、風間塵のことなのか…ただ、予感は、ホフマンが風間塵が将来、音楽の世界に旋風を巻き起こすであろうことを予感しているということであろう。

  • 「蜜蜂と遠雷」を読み終えて半年だったので、何とか各短編を読んで本編を思い出すことができた。
    本編も音楽が主題のせいか非常に心地良かったが、この短編集も同様だった。ただ、みんな短すぎて勿体ない気がする。もっともっと読みたいと思わせる。

  • 「また彼らに、会える。」本の帯のこの一言がこの本の全てだと思います。以下の六編から構成されていますが、短編集なのであっという間に読み切りました。感想は一言。「また彼らに、会えた!」蜜蜂と遠雷に魅せられた者にとっては恩田さんからとても嬉しい贈り物をもらった気分です。

    祝祭と掃苔:亜夜とマサルと塵で綿貫先生墓参
    獅子と芍薬:三枝子とナサニエルの出会い
    袈裟と鞦韆:菱沼、春と修羅作曲ヘ
    竪琴と葦笛:マサルとナサニエルの出会い
    鈴蘭と階段:奏とヴィオラ
    伝説と予感:塵とホフマンの出会い

    六編の中で私が一番惹かれたのは鈴蘭と階段でしょうか。蜜蜂と遠雷は映画を先に観ましたが、映画では綺麗さっぱり存在を消されてしまった奏に光が当たります。彼女がヴィオラに転向することは本編で語られましたが、ここでは楽器選びのお話。演奏家の表には見えない部分がとても興味深く描かれていました。
    「君の楽器だね。」、演奏家にはそれぞれにその人の音というものがある。演奏家はその自分の音を探し求める。楽器はその音を奏でてくれる人が来るのをじっと待っている。ストラディバリオスなど素人でも知っている高価で有名な楽器はたくさんあります。でも高ければ良い音がするのか?有名な人の作だと良い音がするのか?そんな単純な考え方は全く意味をなさない。この短編を読んでクラシック音楽の奥深さを改めて認識させられたような気がしました。

    音のない文字の世界で、こんなところまで描いてしまう恩田さん。蜜蜂と遠雷に魅せられた方は絶対読むべき一冊だと思いました。

  • 蜜蜂と遠雷の短編番外編。
    本編世界観の余韻に浸るのにぴったりの作品

    全部で6編あるのだけど、中でも
    課題曲『春と修羅』の作曲家菱沼のスピンオフ、
    袈裟と鞦韆 が好きかな

    蜜蜂と遠雷読者へのご褒美的な軽い短編集でした
    (図書本)

    ⭐︎皆さんの感想を読んできたけど、明石さんの話が読みたかったという声が頻繁に出てきて、だよね、ってちょっと面白かった

  • 「蜜蜂と遠雷」を読んだのは1年くらい前のような気がしていたが2年近く経っていた。
    「蜜蜂と遠雷」は本棚の最前列にあり、毎日背表紙を目にしているから脳が錯覚していたのかも知れない。
    この素敵な物語は、自分の中で映像化と音響化され完結している。
    だから出来上がった世界を壊さないためにも映画は見ない。

    「祝祭と予感」は、そんな「蜜蜂と遠雷」の余韻を楽しめるに違いないと思っていた本です。
    そのとおり「ふ~ん、そんなこともあったのか」という感じで心地よく読み進んでいた。
    が、"鈴蘭と階段"だけは「えっ、奏にそんな感動的な出来事があったの!」と、余韻ではなく「蜜蜂と遠雷」を読んでいる時のように気持ちが高揚した。

    全編深入りしすぎないようにさらっと纏めていて、物足りないくらいのボリューム感もちょうど良かったです。

  • 二ヶ月前に蜜蜂と遠雷は読了しました。すんなりスピンオフ楽しめました。
    高島明石が好きでした。
    天才達に挑む秀才肌が堪らなくカッコ良かったです。

    高島明石のスピンオフがないのが残念でしたが、鳥肌モノの彼の伏線がありました。
    二人のケンジに捧げた曲、『春と修羅』
    高島明石の永訣の朝のガデンツァが宮沢賢治の世界感と小山内健次を想った菱沼の心を射止めたと判りました。
    それが菱沼賞受賞の理由として回収させてもらいました。
     彼も天才的なピアニストなのかも知れません。
    読後、また蜜蜂と遠雷を読み返したくなるスピンオフ短編集でした

  • 蜜蜂と遠雷のスピンオフ短編小説。

    〈祝祭と掃苔〉
    〈獅子と芍薬〉
    〈袈裟と鞦韆〉
    〈竪琴と葦笛〉
    〈鈴蘭と階段〉
    〈伝説と予感〉

    風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロス・レヴィアナトール、ユウジ・フォンホフマン

    音楽仲間たちの知らなかった秘密や、過去の話。

    蜜蜂と遠雷を読んで、4年以上経つので、登場人物が、誰なのか、忘れてしまっていた。

  • 大ヒット作の『蜜蜂と遠雷』の続編的スピンオフ短編集。

    『蜜蜂と遠雷』を読んだ人にはかなりおすすめというか絶対に読むべきマストな作品ですね。
    特にその後のコンテスタントの動向やコンテスタント達を支えた人たちの裏方的話や背景が知れて非常に楽しかった。

    僕は特に『鈴蘭と階段』が好きだな。
    亜夜を支えた友達である奏が自分に合ったヴィオラを探すというお話だけど、最後に運命のヴィオラに出会うところはぐっと来ましたね。

    映画を見た後に本書を読んだので、脳内でコンテスタント達が映像化されてさらに文章が鮮やかに再現されました。
    映画の配役もみんなぴったりだったなぁ。
    特に亜夜をやった松岡茉優さんがよかった。イメージぴったりでしたね。

    で、星4つは何でかというと、・・・もう少しお話が欲しかった。
    せっかく1冊の本にするのだから、あと一つくらい恩田先生の書き下ろし作品(できれば中編1篇くらい)を入れてほしかった。

    だって、ページすかすかだよ?
    1時間ちょっとで読み終わっちゃうよ?
    ねえ、もっと楽しみたいじゃない?

    というわけで、映画公開に合わせてとりあえず商売根性丸出しで本書を出してしまったという幻冬舎に喝を入れる意味も込めて☆一つ減とさせていただきました。

    いや、本書に収録されている話はどれも最高なのでそこは全く減点はないです。
    一つ一つのお話は全て☆5ということなのでそのあたりは誤解なきように!

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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