祝祭と予感

著者 :
  • 幻冬舎
3.73
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本棚登録 : 3256
レビュー : 380
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034907

感想・レビュー・書評

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  • 蜜蜂と遠雷のスピンオフ短編集。
    読んだのは数ヶ月前なのに、既に懐かしい気持ちに。
    上下二段組で、これでもかと詰め込んであった蜜蜂と遠雷から一転、ゆったりとした文字組みのこちら。
    まるで緊迫したコンクールから解き放たれ、日常のゆるりとした時間を過ごす彼らそのものというか。
    でもページ数も少ないため、せっかく図書館で3ヶ月待ちしたのだし…と丁寧に読んだつもりですぐに読み終えてしまった。ちょっともったいない感じはする。

    『祝祭と掃苔』
    入賞者ツアーのはざま、亜夜とマサルの恩師の墓を、なぜか塵も伴い、3人でお参りする。すっかり仲良しになっている3人が微笑ましい。

    『獅子と芍薬』
    若き日、ピアノコンクールで電撃的な出会いをしたナサニエルと三枝子の話。イメージカラーは赤と赤。ホフマン先生が秘密裏に教えていたという風間塵に、二人が激烈な反応を見せた理由がわかる。

    『袈裟と鞦韆』
    課題曲「春と修羅」を作った菱沼忠明が、作曲のきっかけとなった教え子を追憶する。

    『竪琴と葦笛』
    マサルがナサニエルに師事するようになるまでの話。マサルのなかなか強かな一面を知ることができる。また、二人の信頼し合った師弟関係もいいなと思う。

    『鈴蘭と階段』
    楽器選びに悩む奏のもとにかかってきた亜夜からの電話。こんな運命のような出会いってあるの?「君の楽器だね」
    魔力的なヴィオラ。

    『伝説と予感』
    巨匠ホフマンと幼い塵との初めての出会い。個人的には一番知りたかった話かもしれない。

    主要人物のその後がある程度描かれているのに、明石さんのことは触れられておらず残念。
    忘れられちゃった?
    間に合わなかった?
    そもそもそんな主要人物じゃなかった?(ナヌ)

    もしかしたら文庫版で加筆があったりするのかな。
    いやスピンオフ第2弾があるのかも!?と妄想してみる(笑)

    ★3.5

  • 大ヒット作の『蜜蜂と遠雷』の続編的スピンオフ短編集。

    『蜜蜂と遠雷』を読んだ人にはかなりおすすめというか絶対に読むべきマストな作品ですね。
    特にその後のコンテスタントの動向やコンテスタント達を支えた人たちの裏方的話や背景が知れて非常に楽しかった。

    僕は特に『鈴蘭と階段』が好きだな。
    亜夜を支えた友達である奏が自分に合ったヴィオラを探すというお話だけど、最後に運命のヴィオラに出会うところはぐっと来ましたね。

    映画を見た後に本書を読んだので、脳内でコンテスタント達が映像化されてさらに文章が鮮やかに再現されました。
    映画の配役もみんなぴったりだったなぁ。
    特に亜夜をやった松岡茉優さんがよかった。イメージぴったりでしたね。

    で、星4つは何でかというと、・・・もう少しお話が欲しかった。
    せっかく1冊の本にするのだから、あと一つくらい恩田先生の書き下ろし作品(できれば中編1篇くらい)を入れてほしかった。

    だって、ページすかすかだよ?
    1時間ちょっとで読み終わっちゃうよ?
    ねえ、もっと楽しみたいじゃない?

    というわけで、映画公開に合わせてとりあえず商売根性丸出しで本書を出してしまったという幻冬舎に喝を入れる意味も込めて☆一つ減とさせていただきました。

    いや、本書に収録されている話はどれも最高なのでそこは全く減点はないです。
    一つ一つのお話は全て☆5ということなのでそのあたりは誤解なきように!

  • 〉あなたは、そんな音が出せるのね。本当のあなたは──あなたのヴィオラは、そういう音だったのね。

    蜜蜂と遠雷スピンオフ短篇集。

    圧倒的緊張感のあった本編から一転、行間を開け一行を短くして、ゆっくり読んでほしいと言うかのようなデザイン。
    小さなプレゼントボックスを6つ貰ったような気持ちです。

    ○『祝祭と苔掃』
    あのコンクールのあと、亜矢・マサルの恩師の墓参りをする3人。この3人の会話は可愛い。

    ○『獅子と芍薬』
    ナサニエル・シルヴァーバーグと嵯峨三枝子、芳ヶ江国際コンクール審査員のふたりの出会いとその後。若き日の三枝子さんが美しくカッコいい。

    ○袈裟と鞦韆
    鞦韆(しゅうせん)はブランコの意。「春と修羅」作曲者の菱沼忠明が告別式のあとでブランコに乗り、早世した教え子の事を思い返す。作曲とは頭の中で鳴っている音楽を音符に「翻訳」する作業なのだという。

    ○『竪琴と葦笛』
    ナサニエルとマサルが師弟になる顛末について。二人がお互いにアイリッシュハープとパンフルートのイメージを持っているというお話。この二人も微笑ましい。

    ○『鈴蘭と階段』
    自分の伴侶を選ぶため三挺のヴィオラを交互に試す奏の元に、チェコの亜矢と塵から電話が来る。地下にレッスン室があって、楽器の練習が出来るような踊り場がある階段があり…分かっていたけど、セレブでないと音楽で身を立てようという環境にはなかなかならないよね…。塵と亜矢がヨーロッパでデュオのコンサートしてるのなんかいいな。

    ○『伝説と予感』
    生ける伝説、稀代のマエストロ、ユウジ・フォン=ホフマンが風間塵少年と出会うお話。森山(の屋敷)にある調律もされていないピアノを弾く少年を見出す…というとピアノの森っぽいですなあ。

    蜜蜂と遠雷はすごくすごく好きな作品なんですけど、もっと彼らの話を読みたい気持ちがとても大きかったのでスピンオフ書いてくれて本当に嬉しい。映画化ありがとう。
    ところで、ひとりですね、この本に出てきていない人がいるんですけど…どうしてですかね…。もう一冊あるのかな!?

  • "音楽"は闘いだ。
    それは我々が普段聴いている"音楽"とは違う。
    プロの音楽家の彼らが体感している"音楽"は、全身に戦慄が駆け抜けるものだ。
    時に恐怖にも似た衝撃に、眩暈がするほどの。

    「自分は音楽するためにここに立っている。自分の音楽を届けるためだけに、ここにいる」
    彼らは常に遥かなる高みを目指して"音楽"を奏でる。
    それは他に類似するものなどない、彼ら独自の"音楽"でしかあり得ない。
    "音楽"の世界で生き抜く彼らの本気を見た。

    『蜜蜂と遠雷』のサイドストーリー。
    本編では見られなかった素顔が垣間見れた。
    次回は成長した彼らの"音楽"を読みたい。

  • 「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。
    映画公開に合わせて発売された。

    「蜜蜂と遠雷」は素晴らしい小説だった。
    娘にオススメすると、夢中になって読んでくれて、親子間の貴重な会話のネタとなっている。
    映画もふたりで見に行く予定だが、なかなか都合が合わずいつ行けるか未定。なので、スピンオフを読んで気持ちを盛り上げようと購入。

    2時間もあれば充分読めるボリューム。
    「蜜蜂と遠雷」を読んでない人には全く必要のない本。
    「蜜蜂と遠雷」が大好きな人は小説の世界がより拡がるので、是非どうぞ。

  • 「蜜蜂と遠雷」を読んだのは1年くらい前のような気がしていたが2年近く経っていた。
    「蜜蜂と遠雷」は本棚の最前列にあり、毎日背表紙を目にしているから脳が錯覚していたのかも知れない。
    この素敵な物語は、自分の中で映像化と音響化され完結している。
    だから出来上がった世界を壊さないためにも映画は見ない。

    「祝祭と予感」は、そんな「蜜蜂と遠雷」の余韻を楽しめるに違いないと思っていた本です。
    そのとおり「ふ~ん、そんなこともあったのか」という感じで心地よく読み進んでいた。
    が、"鈴蘭と階段"だけは「えっ、奏にそんな感動的な出来事があったの!」と、余韻ではなく「蜜蜂と遠雷」を読んでいる時のように気持ちが高揚した。

    全編深入りしすぎないようにさらっと纏めていて、物足りないくらいのボリューム感もちょうど良かったです。

  • 「また彼らに、会える。」本の帯のこの一言がこの本の全てだと思います。以下の六編から構成されていますが、短編集なのであっという間に読み切りました。感想は一言。「また彼らに、会えた!」蜜蜂と遠雷に魅せられた者にとっては恩田さんからとても嬉しい贈り物をもらった気分です。

    祝祭と掃苔:亜夜とマサルと塵で綿貫先生墓参
    獅子と芍薬:三枝子とナサニエルの出会い
    袈裟と鞦韆:菱沼、春と修羅作曲ヘ
    竪琴と葦笛:マサルとナサニエルの出会い
    鈴蘭と階段:奏とヴィオラ
    伝説と予感:塵とホフマンの出会い

    六編の中で私が一番惹かれたのは鈴蘭と階段でしょうか。蜜蜂と遠雷は映画を先に観ましたが、映画では綺麗さっぱり存在を消されてしまった奏に光が当たります。彼女がヴィオラに転向することは本編で語られましたが、ここでは楽器選びのお話。演奏家の表には見えない部分がとても興味深く描かれていました。
    「君の楽器だね。」、演奏家にはそれぞれにその人の音というものがある。演奏家はその自分の音を探し求める。楽器はその音を奏でてくれる人が来るのをじっと待っている。ストラディバリオスなど素人でも知っている高価で有名な楽器はたくさんあります。でも高ければ良い音がするのか?有名な人の作だと良い音がするのか?そんな単純な考え方は全く意味をなさない。この短編を読んでクラシック音楽の奥深さを改めて認識させられたような気がしました。

    音のない文字の世界で、こんなところまで描いてしまう恩田さん。蜜蜂と遠雷に魅せられた方は絶対読むべき一冊だと思いました。

  • 蜜蜂と遠雷を読んだ人にぜひとも読んでほしい、今後のお話。
    続き物ですが短編集のようになっていて、コンテスタントの今後の話、
    また本編で詳しく触れられてなかった、ピアニストたちの過去の話もあります。

    マサルやアキ、風間塵たちを支えた師匠の生い立ち、気になるその出会いなども収録されています。
    これを読むと、なぜホフマンが本編で風間塵に不機嫌そうな視線を投げかけていたのかが全てわかります。


    個人的には奏ちゃんが運命的なビオラとの出会いをしたところが好きでした。
    本編では脇役の立ち位置だったけど、ビオラで開花する才能の序章をみた感じです。
    彼女が主人公になるストーリーも、今後の展開を想像するだけで楽しい気持ちになります。

    文章で表現された音楽を肌で感じられるのは、蜜蜂と遠雷のすごいところだと思います。

  • 『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編集。こぼれ話的な。
    「祝祭と掃苔」入賞者ツアー途中、亜夜とマサルが塵とともに恩師・綿貫先生の墓参りをする。
    「獅子と芍薬」ナサニエルと三枝子、若き日の衝撃的な出会いとその後。
    「袈裟と鞦韆」作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけ。教え子の追憶。
    「竪琴と葦笛」マサル、ジュリアード音楽院に留学中のこと。
    「鈴蘭と階段」楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏。
    「伝説と予感」ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った時のこと。
    全6編。
    どれもタイトルを見ただけでも興味がそそられた。さらりと読めるけど、楽しめました。塵が出てくる「祝祭と掃苔」「伝説と予感」が好きですが、「袈裟と鞦韆」は曲が聴きたくなり印象に残る。『蜜蜂と遠雷』を読んだ方なら楽しめること間違いなし、祝祭と予感そのものの一冊。

  • ちょうど良い文章の長さ。
    登場人物たちの見えなかった部分が、本当にちょうど良くて気持ちの良い読後感。

    「蜂蜜と遠雷」は本当に素晴らしい小説だった。
    彼らのこの先も見てみたい。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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