信長、天が誅する

  • 幻冬舎 (2019年11月27日発売)
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感想 : 10
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784344035362

感想・レビュー・書評

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  • 木下昌輝さんの「信長、天を堕とす」と対を成す作品と言えるのか。

    先の作品が信長とその従臣たちの話だったのに対し、こちらは信長と敵対する人物たちの物語。
    井伊直盛、お市の方、下間頼旦、武田勝頼、そして明智光秀。

    この作品で描かれる信長はイメージ通りの容赦ない男。
    だが決して順風満帆で来れたのではない。負け戦も相当あるし、晩年には次々と従臣が離脱し、離脱させられている。
    ただここぞという戦は勝っている。
    時に天気が味方し、時に人の寿命が味方する。
    それを「天が信長を選んだ」と評する者もいるが、実際のところはどうなのだろう。もしかしたら別の小説にあったように、優れた天気予報士が身近にいたのかも知れないし、優れた情報収集能力者がたくさんいたのかも知れない。

    最近は信長の再評価がなされて、実はそれほど残忍な人間ではなかったのではないか、実は将軍義昭や朝廷に礼儀を尽くしていたのではないかとも言われるが、少なくとも神や仏を恐れず、この作品で光秀が感じているように恐怖心すら感じない男というのが相応しいように見える。

    最終話の光秀の話では、光秀の心理の変遷は興味深いものがあるものの、謀反への道筋がやや唐突な印象もあった。
    信長が僅かな供回りだけで、同時に嫡男信忠まで連れて京にいた。この大胆さの理由を油断というものだけでなく説明してくれたらもっと良かった。

  • 井伊直盛、市、下間頼旦、武田勝頼、明智光秀。
    信長の前に立ちふさがろうとした者たちを描く。

    「鬼の血統」がよかった。
    妹として、近くにいた市目線だからこその、信長の存在感があった。

    井伊家をえがいた「野望の狭間」は、「おんな城主直虎」を思い出す。

    木下昌輝『信長、天を堕とす』は、セットなのかも?

  • 信長とは一体どのような人物だったのか。
    様々な人々の視線から見た傑作。
    お市の方と光秀が格好いい‼️

  • どれも知った話ではあるが、信長を中心にオムニバスっぽく仕立てているつくりは新鮮でおもしろい、かもしれない。テンポがあるというか。

  • 連作短編集。
    井伊直盛、お市の方、下間頼旦、武田勝頼、明智光秀。
    お市の方は、いつしか夫である浅井長政を支え、兄の信長に敵対していく。最後には、娘達に、強い男を選び、そのものに信長を討たせて、浅井の血をひくものを天下人とするように告げる。
    明智光秀は、土岐明智の名を歴史に刻もうとした野望多き武将として書かれているのが面白い。

  • 大河ドラマもそうだけど、なんとなく裏切った光秀は実は大義に沿っていたのだ、みたいな説があって信長贔屓の自分としてはこれが気に食わず...ということで打倒信長を願った五人〜明智光秀、武田勝頼、お市の方、今川家の家臣、一向宗の僧侶〜から見た信長の物語、とあったので手にとってみた。小難しい理屈や新説の類はなく娯楽作品に徹した内容で楽しく読めた。特に光秀に関しては案外こんなところが謀反の理由として正解なんじゃないのかな、という印象。さらっと読めて楽しかった。

  • 木下昌輝『信長、天を堕とす』と併せて読むと、面白い。
    本書は、信長を取り巻く人物からの視点。井伊直盛、市、武田勝頼なんかは、なかなか小説ではメインとならないので興味深かった。

  • 「麒麟が来る」再開記念第2弾 
    『信長、天を堕とす』と対になる作品らしいです。 
    「天を堕とす」が信長視点。 こちら「天が誅する」は、相対する人物視点。 
    井伊直盛、お市、下間頼旦、武田勝頼、明智光秀。 
    信長と関わることで、自分の本性を垣間見てしまう。 
    読む際には「堕とす」「誅する」2冊併せて読んでもらいたいと思います。 

  • 信長の敵から信長を描く連作歴史小説。

    木下昌輝の「信長、天を堕とす」との対となる信長を描く連作歴史小説とのことで、本作では井伊直盛、お市、下間頼旦、武田勝頼、明智光秀の視点で描かれています。
    どうやら、こちらを先に読んだほうが良かったようでした。

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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