落語DE古事記

  • 幻冬舎 (2019年11月27日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784344035409

感想・レビュー・書評

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  • ・桂竹千代「落語DE古事記」(幻冬舎文庫)を読んだ。本当はこれを落語としてききたいところだが、たとへ上巻だけでも古事記が落語になつてゐるのかどうか。youtubeには天孫降臨までの約20分の話があるだけのやうである。落語ききに来てくれればみたいなことを最後に言つてゐるので、もしかしたらこの先もできてゐるのかもしれない。たとへさうであつても今きくことはできない。そこで本書を読まうと思つた。そして読んだ。これもやはり天孫降臨で終はる。つまり、古事記上巻を落語にして口演すれば約20分、それを文章化すれば文庫本1冊、約240頁分、といふことは落語がいかに簡潔に語られてゐるかといふことである。いや、あれを簡潔といふか、走りに走つた結果といふか、見方はいろいろとあらうが、とにかく非常にコンパクト にまとめられてゐる。
    ・本書は第一話から第三十話まである。一は序文の落語化、といふより、稗田阿礼の説明等である。序文自体はさすがに落語にはならない。「覚えられるか!」とあるのは、阿礼のやうに古事記本文全体を覚えられるかといふことである。昔は昔の覚え方があつたのだとは思ふが、やはりこれは至難の業である。さう言ひたくなるのも分かる。二以下が本文で、国生みから始まる。本書のポイントは、それぞれで神が生まれるとその神はどこそこのお宮に祀られてゐると、きちんと書いてあることである。例へば最初の造化三神とそれに続く二柱の神、これらの神々がどこに祀られてゐるのかといふと、私は知らなかつたのだが、「福島県の相馬市にある相馬中村神社や、埼玉県秩父市にある秩父神社」(24頁)だといふ。さうしてその御利益は「心願成就や延命長寿にあるとされてい」(同前)ると記してある。これはありがたい。「はじめに」にかうある、「日本にはたくさんの神社がありますね。そこにまつられているのは、ほとんどが『古事記』に登場する神々です。(中略)みなさんは神様のことを何も知らずに拝んでいませんか?(中略)神社にお願いごとをしに行くのなら、神様のことも知っておくべきだと思います。」(7〜9頁)。だからきちんと、ただし主な神様だけではあるが、この神はどこのお宮に祀られてをり、これこれの理由でこれこれの御利益があると記してあるのである。古事記の訳本や解説本は多いが、本書のやうにお宮と御利益まで記したものがどれくらゐあるのか。私はさういふのを見たことがない。本居宣長にしたつてそんなことを知つてゐるわけではないし、注釈書も目的は別にあり、注釈に一々それを書き込んだら分かりにくくなるといふこともある。だから基本的には無視される。ところが本書は違ふ、その意味では本書を読んで良かつたと思ふ。私はお宮巡りはしない人間であるが、どこにどの神様が祀られてゐるくらゐは知りたい時もある。古事記の主要な神であれば、どこか私の知らない小さな町の小さなお宮にしか祀られてゐないなどといふことはなからう。大きなお宮にも祀られ、小さなお宮にも祀られてゐる、たぶんこれが神々である。最後はニニギノミコトだが、「ヤマサチがまつられている鹿児島神宮もあり(中略)同じ霧島市には、ニニギのまつられている霧島神宮もあ」(249頁)るといふ。かういふのが面倒ならば気にしなくとも良い。個人的には「落語家という特性を生かして、わかりやすく」といふのよりはこちらの方が良かつた。何しろこの「落語化の特性」なるもの、要するにダジャレの連発と言つて良い。初めはともかく、最後までそれが続くと嫌になつて くる。それさへ抑へてくれたら、古事記入門として結構うまくできた本だと思ふのだが……。

  • 古事記を落語に取り入れた噺家さんの著書。古事記が八百万の神を取り扱った話で日本各地にある神社に祀られている神様だという導入の部分は面白かった。その後に続くそれぞれの神の話は元々意味のない話なのか、冗長に書かれたから面白くないのかよくわからない。古事記を読んでみたいと思えるような内容だったら良かったな。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000045747

  • SL 2020.2.28-2020.3.12

  • 古事記を親しみやすく噛み砕き楽しく読めるようにした本です。
    落語かはわからないが、ちょくちょくギャグが入り脱線したりして自分には読みにくく感じました。
    ただ初めて古事記に触れる人には飽きずに読める要素になるかも知れません。

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著者プロフィール

落語家。一九八七年生まれ。千葉県旭市出身(観光大使)。明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。二〇一一年、桂竹丸に入門、前座名「竹のこ」。一五年、二ツ目昇進、「竹千代」と改名。一九年、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。二一年、令和三年度(第76回)文化庁芸術祭の大衆芸能部門新人賞受賞。「落語風に笑って学べる日本神話」を全国で講演。出演番組多数。本書が初の著書

「2022年 『落語DE古事記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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