なんで僕に聞くんだろう。

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344035683

感想・レビュー・書評

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  • なんで幡野さんに聞くのか?

    幡野さんは写真家で余命3年を宣告されたガン患者。しかし、なぜか、人生相談が寄せられる。子育てや自殺、病気、恋愛相談まで。

    幡野さんはそれらに丁寧に全力で答える。
    非常に豊かな洞察力と推察をもって適切にズバズバと答えていく。痛快に。

    ー 人は人それぞれの、しあわせを享受するために生きている。

    まさしく、そうだと思う。
    そして、相談者に寄り添うから、たとえ自殺願望であっても否定しない。「死にたいという気持ちを大切にしてください」とまで言う。

    極めて誠実な人だ。
    そりゃ幡野さんに相談するよ。
    人生に迷ったら、ぜひ読みたい一冊。

    その他、心に響いた言葉。

    ー あなたが自分にかけた呪いの言葉はいつか、悩む誰かにあなたが掛けてしまいます。あなたが誰かの敵になってしまいます。

    ー なにかを否定することは、同時に可能性を否定することでもあります。

    ー 誤解を解いたさきにあるのが、理解だと思ってます。逆にいえば、誤解を解かないさきにあるのが、偏見だとおもいます。

  • なんで僕に聞くんだろう。
    著作者:幡野広志
    幻冬舎
    癌にかかった写真家になぜかみんな人生相談をした。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • ‪浅生鴨さんが何かで書いていたけど、横書きのウェブ連載と、縦書きの紙の本で全然印象が違う。小説のように読んでいる。鋭く鮮やかな解答、エピソード展開、死にかけギャグ。読み物として一級品。これがフィクションではない生身の人間の言葉という衝撃。‬

  • ・今の彼氏や彼女と結婚するかどうか迷っている人は、人生相談を彼氏彼女にしてみるといいです。考えを押し付けてくるようなひとだったり、自分のことを否定してくる人だったら、結婚は控えたほうがいいとぼくはおもいます。子どもができたとき、子どもという絶対的に弱い存在にたいしてもおなじことをするからです。考えを押し付けてくる人って、やっぱり誰かから考えを押し付けられてきたのだとおもいます。p5


    ・配偶者って、自分が選べるゆいいつの家族です。親兄弟も親戚のおっさんも選ぶことはできないけど、自分の夫や妻は選べるんです。家族選びに失敗したら、変えりゃいいんです。
     たくさんの不倫相談に目を通していて、気づくことがあります。それは自分を偽っている人があまりにも多いということです。負い目を感じているためなのか、自分を綺麗に見せようとする人ばかりです。
     不倫相談をする方々がよく使う言葉があります。それは「大切」という言葉です。
     彼には大切な家族が…。私には大切な子どもが…。
     日常会話でわざわざ大切なんて言いません。ぼくは息子のことを紹介するときに、大切な息子です、とは紹介しません。こういう話を聞くたびに、「大切」という言葉には、邪魔という意味が込められているんだなぁっていつも感じます。
     「今の彼のこと望むつもりはありません。彼の大切な家庭を壊す気持ちはありません」
     相談者さんのこの一文、ぼくにはこう読めます、きっと本心はこうでしょう。「彼の子が欲しいです。私にとって邪魔な、彼の家庭が壊れてほしいです」p12-13


    ・ぼくも誰かにたいしてうらやましいとおもうことはたくさんあります。先日もバイクで二人乗りをしている親子を見て、うらやましいとおもいました。
     どんな会話をしているのだろう、楽しいだろうなぁーって思うだけですが、これが妬みになり感情が抑えられなくなると、「バイクの二人乗りは危ないですよ、子どもをのせるなんて信じられない」というクソみたいなリプライやコメントをして、まぶしくて直視できない行為をなんとかやめさせようとするわけです。
     僕は非難や中傷をしてきた相手の言葉ではなく、相手の真意を探ります。手間をかけてまで非難中傷してくるわけです、きっと理由があります。これがわかると、非難と中傷の言葉が一気に弱まり、まったくといっていいほど気にならなくなります。p17-18


    ・本当にコミュニケーション能力が低い人というのは、相手との距離感が遠い人ではないんです。相手との距離感が近すぎる人のほうが、むしろコミュニケーション能力が低い人なんだとおもようになりました。
     それってたとえば、自分のことをずっとしゃべっている人だったりします。その内容がおもしろくて聞きたいような内容であったらいいのですが、残念ながらそういうこともありません。距離感が近すぎる人というのは、どうでもいい、つまらない話を延々と、相手にまったく口を挟ませずにするような人です。
     距離感が近すぎるせいで相手が距離をとって引いてしまい、本人はますます孤独を感じることになります。話を聞いてもらいたいものだから、出会った人にまた延々と自分語りをしてしまいます。そういう人は、話を聞いて欲しいけど聞いてもらえないという悪循環に陥っているのかもしれません。snsでも日常でもいますよね、本題とはまったく違うのにすぐ自分の話に結びつけて、会話ドロボウをしてしまう人。

     じゃあどんな人がコミュニケーション能力が高いかというと、ぼくは、知らないことについてちゃんと知らないといえる人や、相手の言葉に耳を傾けられる人だと思っています。やっぱりそういう人と会話していると、気持ちがいいものです。p20-21


    ・いまから思い返すと、夢や目標を叶えられなかった人ほど、お前には無理だといってきました。
     誰かが目標にむかってがんばっている姿は輝いています。眩しくてその輝きを見たくない人もいるし、その輝きに自分の姿を照らされて苦しむ人もいます。
     あきらめる人が増えたほうが気持ちが楽なんでしょう。だって、あきらめた人が多ければ、それが“普通”になるわけじゃないですか。
     夢や目標を叶えられなかったことが悪いわけじゃないです。自分ができなかったからといって、足を引っ張ったり、特色に進む人を嘲笑したりすることが悪いのです。
     (中略)あなたが声優としてお金が稼げるか稼げないかは、誰にもわかりません。もちろんぼくにもわかりません、友人にもお母様にも、すでに声優で活動している人にもわかりません。だから自分で考えて答えを出すしかありません。そうしないと、人のいうことを聞いてダメだったとき、後悔します。
     不安ですよね、誰も理解してくれないから孤独です。でも、不安と孤独と仲良くなって。夢に優しく笑いかけて。そして何よりも夢に誠実に。
     「普通」という言葉に気をとられないでください。時代は変わりました、いろんな環境の人がいます、これからの「普通」は多様性です。いろいろな幸せの価値観があります。あなたが幸せならそれでいいんです。p32-34


    ・答えを見つけられている人からの相談を否定すると、悩みのタネを増やして苦しめるだけです。答えを見つけられている人の場合、背中を押してあげれば、悩んだり少し自信がなかったりしても、勇気を出して行動に移すことができます。
     僕はたくさんの悩み相談に目を通していますが、背中を押す人が少ない社会なのだと感じています。親子や自分と距離の近い関係性の人がちゃんと背中を押してあげていれば、僕みたいな死にかけにわざわざ人生相談する必要がないわけです。

     残念ながら、親子や関係が近ければ近い人ほど、書いてのことを否定してしまうものなのだとおもいます。しかし相談者であるお母さんとその娘さんは、否定しあう関係ではなく、背中を押しあえる様な関係なのではないかと感じました。
     (中略)娘さんは理不尽さを死にたくなるほど勉強しました。大人になってわかったことですが、学校はとてもせまい世界で、しかも通過点です。大人にとっては通過点でも、子どもにとっては、今いる世界のすべてです。
     娘さんが自分らしく生きる場所は、学校を出たあとの社会です。とても広い世界です。世界の広さを教えられるきっかけは、お母さんだとおもいます。親だって、学校の先生と同じことをしていたら勝てません。
     「人間らしくあの子が生きて行ける様に道筋のヒントを与えながら、今後も頑張ります」というお母さんの言葉がとても心づよいです。僕はきっと娘さんもお母さんも大丈夫だとおもうんです、一緒に成長していきそうですよね。教育ではなく“共育”なんだとおもいます。p37-40


    ・たしかに彼はアルコール依存症だったのでしょうが、そもそも本人の性格に問題があって、奥さんは離婚を選んだのだと感じました。
     「依存症は周囲の理解が必要」ということは理解できますが、耐えられない人はたくさんいます。周囲の人という、たまたまそこのポジションにいただけで、耐えられない人に耐えることを強いることって、僕は間違っているとおもいます。
     冷たい意見かもしれませんが、精神的に問題がある人とは、最終的にドライに付き合わなければ、こちらがのみ込まれたり引きずりこまれたりします。ぼく彼の孤独に加担してしまったのかもしれませんが、ぼく守るべきものは彼の人生ではなく、ぼくの人生です。p44-45


    ・「なんで声をかけるのが正解ですか?」という質問がきます。
     
     すこしキツいことをいうかもしれません。相談者さん、あなたが自分で考えてください。答えや正解を求めたい理由はわかります、失敗したくないからでしょう。その失敗がお父さんを傷つけ、自分の後悔につながることをあなたはわかっているのでしょう。
     お父さんがどんな料理が好きだったか考えるしかありません。健康なときのお父さんがどんな人間だったか、あなたしか知らない姿があるはずです。考えてわからないなら今週中にお父さんと話し合ってください。
     渡欧さんがどんな病状かはわかりませんが、ガンになったからといってすぐに死ぬわけではありません。お父様がなにをしたいか、どんな生きかたをしたいのか聞いてください。
     ガン患者さんに安易に声をかけるのはリスクの高いことです。声をかけるのではなく、ガン患者さんの声に耳を傾けることが正解なんです。なぜなら患者さんは話を聞いてほしいからです。
     そして否定せずに、できる範囲でやりたいことの手伝いをしてあげてください。否定されるって本当につらいのよ、やりたいことや生きがいを奪われるぐらいなら死にたいもん。p51-52


    ・「どんな結果になっても家族は後悔する」ということをいう人がいます。たしかにご遺族にお会いすると、みなさん後悔しています。
     患者さんのやりたいことをさせなかったかたは、後悔というよりも、患者さんを苦しめてしまったという罪悪感にさいなまれています。本人が望まない延命治療などを家族の判断で施してしまったかたは、後悔とも罪悪感とも違う異質の苦しみを抱えています。それらは患者さんのやりたいことに二人三脚で進んだかたの後悔の質とはまったく違うものです。
     残念ながら患者さんは亡くなるかもしれませんが、家族はこれからも生きていきます。悲しみの中でも家族が生きやすくなるには、どうするべきなのかよく考える必要があります。p52-53

    ・親孝行という言葉がありますが、これはお金払い続けた人が老後にもらえる年金のようなものです。子どもが親を大切にしたり、感謝したりすることが常識とおもわれがちな社会ですが、子どもを大切にして、子どもに感謝した親が教授できることです。
     自分のことを大切にしてくれなかった人を、どうして大切にできるんですか?従業員のことを大切にしている企業の社員は会社が好きになるので、楽しそうに働きます。娘さんの「汚い、近寄るな」という言葉にすべて集約されています。
     嫌いな人間とは会話をしたくないし、同じ空間にすら一緒にいたくないでしょう。深夜に帰宅するのは、できればあなたと一緒にいたくないからです。p59


    ・あなたはいつか彼が離れてしまうとわかっているのに、なんで彼と付き合っているのでしょうね。状況こそ違うものの、ぼくはあなたとすこし似ているのではないかと勝手におもいました。ぼくのたどりついた答えをよかったら参考にしてみてください、
     人には人それぞれの、幸せを享受するために生きているのだと、ぼくはおもいます。これは身勝手な話かもしれませんが、ぼくの息子や妻でさえ、ぼくを幸せにしてくれるための存在なのだとおもいます。
     だって、自分を不幸にしたり嫌な気分にしてくれる人とは付き合えないですもん。ぼくは息子にも妻にも友人にも、周囲にいる人にはしあわせになってほしいです。p63-64


    ・大切なのは、自分の幸せの価値観と合わない人とは距離を置くということです。DVや虐待やハラスメント、ブラック企業での勤務などは、しあわせの価値観の不一致が原因だとおもっています。幸せの価値観の被害者になる必要はないわけです。
     (中略)ぼくは妻の幸せの価値観を探るために何度も話し合いました。ここで幸せの価値観が一致しなければ、離婚をしていたとおもいます。
     妻をぼくのしあわせの価値観の被害者にもしたくないし、ぼくも妻のしあわせの価値観の被害者にはなりたくありません。だからいまでも妻が離婚したいといってきたらすんなり応じるし、誰かとの再婚を願うなら背中を押してあげたいです。
     たぶん、この一種の覚悟のようなところも、あなたと似ているのだとおもいます。嫌いな人の幸せなんて願えませんよ、だから幸せって人間を測るリトマス試験紙みたいなものです。
     好きな人のしあわせを願うことができて、その好きな人が自分のしあわせを願ってくれることが、しあわせなんだとぼくはおもいます。
     あなたの悩みの選択肢の1つに、結婚ということも追加していいのではないでしょうか?p64-66
    →この本を読んでいるから、その人の立場もよく顧みずにこういう物言いをするのは、よくないと思うんだけど、それでも絶対つらいのは幡野さんのほうだと思うし、絶望も大きかったとおもう。そんな幡野さんにこんなに優しい声をかけてもらえるなんて……。こんなに良い相談相手いるのでしょうか?泣きそう。

  • Twitterのタイムラインを見ていたとき、たまたま知人のリツイートで幡野さんのcakesの連載を知った。たまたま目にした相談内容が衝撃的すぎて、たまたまcakesがキャンペーン中だったこともあり、記事の続きを読んだ。
    その後、連載が書籍になったことを知り、出掛けたときにふと思い出して、帰りがけに最寄り駅の本屋に気まぐれに寄ってみたら、この本が売られていた。
    色んな偶然が私をこの本に引き合わせてくれた。せっかくのご縁だしなと思い、購入して読んでみた。

    cakesで初めて連載を見たときも同じことを思ったけれど、本当に世の中には色んな方がいるのだなと実感した。本当に様々な立場、状況から、様々な相談がある。
    私は今、ライフエンジンというオンラインコミュニティに参加していて、1年以上が経った。
    そこでは今までの生活では出会うことのなかった人々と出会う機会があり、自分の視野が広がったと感じている。それでも、世界は広い。
    本当に色々な境遇があり、自分には想像もつかないような人生を歩んでいる方々もいることを、改めて知った。

    幡野さんはどの相談にも真摯に言葉を綴られていて、真っ直ぐで、ついページを捲る手が進んでしまう。
    自分に刺さる内容もあった。偶然出会った一冊、読んでみて良かった。
    間に挟まる写真も素敵だった。
    幡野さんの文章がとても好きだったので、他の著書も読んでみようかと思う。

  • 読了日 2020/02/10

    幡野さんの3冊目。cakesでの連載をまとめた一冊。

    目次

    ・はじめにーーガン患者のぼくが、あなたからの悩みを募集するにあたって
    ・「先の長くない友人のためにも、子供を産みたい」のウソ
    ・批判と批難はまったく違う。批難の底にあるもの
    ・コミュニケーション能力とはなにか
    ・ファイティングポーズをとらないで勝ち得る恋愛など、ない
    ・夢や目標を叶えられなかった人ほど「おまえには無理だ」という
    ・ジャイアンが嫌い、ジャイアンのお母さんはもっと嫌い
    ・「周囲の理解が必要」でも、すべて耐えなきゃいけないわけじゃない
    ・ガン患者になんと声をかければいいか?
    ・それは娘さんが非行にはしったのではなく、あなたの非行です
    ・人が生きる理由
    ・親は子どもの人生に責任をとれない
    ・誰かを否定することは自分の可能性も狭める
    ・あなたのお母さんって、じつは子どもだったんです
    ・勉強はなんのためにする?
    ・正義の仮面をかぶった人たちの無責任な言葉
    ・あなたの苦しさはあなたにしかわからない
    ・自殺について
    ・「幡野さんみたいな文章が書きたい」
    ・自分に言い聞かせたい言葉は、自分がそう思いたいだけ
    ・見た瞬間にめったうちにされた絵
    ・あなたが自分にかけた呪いの言葉はいつか、悩む誰かにあなたがかけてしまいます
    ・家族からの戦力外通告
    ・過去に生きても幸せになれない
    ・「波乱万丈」マウンティングにあわないために
    ・あなたが苦しいのは、あなたがやりたくなかったことをしているから
    ・お金を使うことは悪いことでもなんでもない
    ・京都の放火事件が起きて、世間からの誤解に怯えています
    ・感動ポルノに酔っ払わないで
    ・人を妬むのは、近い属性だから
    ・子どもの人生は親をしあわせにするためにあるのではない
    ・誰のための命
    ・「風俗嬢に恋をしました」では伝わらない
    ・倫理観や感情論ではなく、損得勘定で「売春」をやめよう
    ・ぼくはあなたがいい人であることを、あなたに伝えたい
    ・相談者は読まない方がいい回答
    ・ぼくの言葉なんかよりずっといい言葉があなたにはある
    ・おわりにーー言葉で背中を押すことができるなら、ぼくは背中を押す人でありたい

  • わりと長いページを割いて丁寧に答えている.だけど,なんで僕(幡野氏)に聞くのだろう,

  • 幡野広志さんの本。cakesの記事を読んで、今まで読んできたブログや本と違うものを感じた。「なるほどなぁ」と思う指摘や例えばかり。そして時々ユーモアもある。繰り返し読んだり、パッと開いて読みたくなる本。

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著者プロフィール

幡野広志(はたの ひろし)
カメラマン、元狩猟家。2017年に血液のガン(多発性骨髄腫)を発症、医師からあと3年の余命を宣告されてから、SNSや連載で様々な情報発信を積極的に行っている。著書に『写真集』『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』、cakes連載『幡野広志のなんで僕に聞くんだろう。』 があり、2019年5月28日『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』を刊行。

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