僕が手にいれた発達障害という止まり木

  • 幻冬舎 (2020年4月8日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784344035911

作品紹介・あらすじ

「人間は一人ひとり性格も個性も違うからこそ、世の中おもしろいし、豊かになる」
ディスレクシア(識字障害)を公表した落語家が、
多くの人に発達障害について知ってもらうべく筆を執った一冊。


【目次】
第1章 ひょんなことから識字障害に気づく
●最初は受け入れられなかった識字障害の疑い
●疲れやすいのにも理由がある
●先生、発達障害について教えてください 岩波明(昭和大学附属烏山病院長)×柳家花緑 ほか

第2章 得意なことを、ちょっとずつ伸ばしていく
●“落ち着きのなさ”で目立っていた
●「読めない」「書けない」から、授業についていけない
●お母さん、僕を育てるのは大変でしたか? 小林喜美子(柳家花緑の母×柳家花緑) ほか

第3章 苦手なことは、自分なりに工夫する
●場が読めなくて問題発生
●専門機関で診断を受けるのが大事
●発達障害は、人によってここまで違う 柳家花緑×柳家花飛 ほか

第4章 今、僕が思うこと
●二次障害について理解してほしい
●洒落がわかるとラクになる
●家族の理解と支えあってこそ 柳家花緑×小林(花緑・妻)×西澤(花飛・妻) ほか

感想・レビュー・書評

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  • 小学入学から勉強が出来ずついたあだ名「バカな小林くん」中学卒業後祖父柳家小さんに弟子入りし戦後最年少となる22才で真打。40才で漢字ローマ字などがうまく認識できない識字障害と分かる。講演会では発達障害の理解啓蒙活動も、また師匠の噺を聴きたくなりました。

  • 『僕が手に入れた発達障害という止まり木』
    著者 柳家花禄
    幻冬舎 2020年 

    この本は落語家の柳家花緑さんが自身が悩まされてきた発達障害(花緑さん自身はLDとADHDだそうだ)に関して、自身の生い立ちを、そもそも発達障害とはなんなのか?を軸に振り返っていくという内容である。

    まず、著者が発達障害に気付いたのは、あるテレビ番組で、学校の成績を発表したその後に1人に肩から事務所にメールが届き「うちの息子も、花緑さんと同じ障害を持っています」と言われたことが発端であるそうだ。最初は驚いた著者だったが、やりとりをしているうちに、小さい頃からの違和感が繋がり、テレビ番組の企画で病院で検査してもらった所、医者から「きれいなディスクレシアですね」と言われたそうである。
    そこから、著者は自身の止まり木を得たようで、「これは僕に取ってすごくエネルギーを必要とするので、少し時間をください」「ちょっと休ませてください」と言えるようになったと語っている

    この本では発達障害に関して重要なことがいくつも書かれているが私は主に3つあると考えている
    1発達障害は複合して発症することもあるということ
    例えば、著者のようにLDとADHDであるとかつまり1つだけを発症しているとは断言できない可能性の方が高い
    2それにより2次障害を発症する可能性も高まるということ
    2次障害とは発達障害の中核症状とは別にして、周りの対応などにより、発症してしまういわば、周りの無知、無理解が原因で起こる症状のことである
    例)うつ病、パニック障害、対人恐怖症etc
    2ニューロダイバーシティという考え方がこれからの主流になるであろうということ
    ニューロダイバーシティとは脳の多様性つまり一人一人の脳にはそれぞれ違いがあって、その違いは決して優劣ではなく、「個性」だという考え方である

    最後に私が面白いと思った箇所を引用する。対談の場面である。
    岩波 考えがあちこちにいくのは「マインド・ワンダリング」といいます。心が徘徊する、という意味です
    花緑 アハハハ。僕の場合、徘徊しまくっています
    岩波 でも、マインド・ワンダリングは悪いことばかりではありません。芸能や芸術の世界では、むしろそれがプラスになる場合もあります。話がどんどん広がる分、連想も広がるんですよ。だから、創造性にもつながるし、そういうデータも報告されています。企業でも企画を立てる人や、起業家で成功している人はそういう傾向がある人が多いです。

    いわゆる、発達障害天才論の文脈で語られているような話だが、ここもよく気をつけないと、自分が子どもに望んでいることは天才性であるのか、その子自身であるのかわからなくなってしまう恐れもあるだろう。必要なのは、その子が何を望み、どう考えているか向き合うことなのだと考える。

  • 上手くいかなくて落ち込んだ時でも、発達障害の疑いで悩んでいる時でも、気持ちを軽くしてくれる本です。

    ディスレクシアをもつ柳家花緑さんが自身の経験や取り巻く人たちの話を元に、苦しかった時の乗り越え方や、発達障害があるということについての付き合い方のティップスが詰まっている。

    実際、落語の世界では、いつもドジをするキャラや威張り屋のキャラなど、多様な人で構成されている。でも、現代では、なんでもできて、感情コントロールもできて、うまくやれることが求められている。確かに、色々必要なスキルが増えて、
    そんな理想の人を探しているのかもしれない。
    でも、200年前と今で人の根本の気質ってそう変化しないはず。価値観が変わっても、どんな人がいるかはそれぞれ。
    多様であることを知って対策するのは、差別的・逆差別的面を孕んで複雑なことである。
    だけど、知ったら少しだけ楽になる道もあるーそんな優しい示唆がある気がします。

  • 花緑さんご自身の具体的な体験談、思いが書かれていた。当事者として発達障害という言葉の敷居を低くさせてくれたような気がする。普通ってない。みんなそれぞれ個性がある!そういう多様性のある世の中になっていくと良いと感じた。

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著者プロフィール

1971年、東京都生まれ。9歳の頃から落語を始め、1994年に戦後最年少の22歳で真打に昇進。古典落語はもとより、劇作家による新作落語や、洋服に椅子というスタイルで口演する“同時代落語”にも積極的に取り組む。また子供むけの落語会への出演も多く、幅広い年代からの支持を得ている。趣味はピアノ、ダンス。近年では、読み書きが苦手である自身の経験を生かし、学習障害(LD)の社会的理解を深める講演会なども行っている。

「2020年 『もじをよむのが にがてなんです』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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