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本 ・本 (444ページ) / ISBN・EAN: 9784344036154
作品紹介・あらすじ
「人間の面白いところは、たとえ明日、世界か滅亡すると知っても、怒りとか、嫉妬とか、そういう自分の小さなことを優先するということです 真梨幸子」
縄紋時代、女は神であり、男たちは種馬、奴隷でした。
フリーの校正者・興梠に届いた自費出版の原稿。それは “ 縄「紋」時代 ” に関する記述から始まる不可思議なものだった。読み進めていくうち、貝塚で発見された人骨など、現在にも繋がる点が幾つも現れて.....。この著者の正体は誰なのか、「縄紋黙示録」に隠されているメッセージとは。やがて興梠たちの身辺でも異変が起こり始めーー。多くの文豪たちが暮らし、今も有名学区が犇めく東京・文京区を舞台に、過去と現代、そして未来が絡み合う驚天動地の大長編。これは小説か預言なのか。
世界まるごと大どんでん返し!
感想・レビュー・書評
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縄文時代は約一万年。これは後の古墳時代から現代までの約6倍の長さとなるらしい。それなのに教科書で触れられるのは本の一瞬。本書はそんな長い歴史を持つ縄文時代の謎と、女の怖さを書かせたら天下一の真梨幸子が融合した「混ぜるな危険」書物、ある意味暗黒書物である。
フリーの校閲担当者、興梠大介が担当し校正を受けた自費出版の原稿「縄紋黙示録」。内容は主人公の意識のみが縄文時代にタイムスリップするなんともビバコッテコテのファンタジー物だった。だが、そこから縄文時代そのものに興味を持った興梠は、悪友 一場と共に触れられなかった過去一万年の途方も無い歴史を、スマホと足を使い振り返ることとなる。ここが物凄く興味深くそして面白かった。
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以降、読みながら興味深かった部分を自分なりに簡潔にまとめたメモをそのまま記載。
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【「阿吽」は世界の始まりと終わりを表す言葉。人は脈が止まった後も呼吸をしようと頑張るらしい。結果、口が開き「あ」の形になる。
阿吽の「あ」は万物の始まりを意味していると言われている。死とは始まりなのではないか。「あ」とは、本能が生み出す原始的な感情の表現か。】
【蹲踞(つくばい)とはしゃがんだ状態の事。これは縄文時代からの日本伝統の姿勢であり、巫女もまた神の御前でその姿勢をとっていたという。
いわゆる「ヤンキー座り」だ。
実はヤンキーというのは日本の古い伝統を受け継ぐ究極の保守なのではないか。地元愛、縄張り争い、裏切り者に対する制裁、祭り好きで縦社会。礼儀に厳しく上下関係は絶対。これは丸々縄文人の性質とマッチするらしい。つまり、ヤンキーとはDNAレベルで刷り込まれた伝統の表れか。】
【参道の参を産に変えたら産道、赤ちゃんが生まれる時の通り道だ。子宮は直訳すれば子の宮殿。仮に鳥居を女性の股としたら(連想出来なくもない)、参道を通り、鳥居をくぐると神社、つまり宮が待つ。
神社に詣でるということは母の胎内に戻り生まれ直す事になるのではないか。】
こうした言葉遊び含め、言葉そのものの謎や言葉から生まれた現象や物体の謎を追求する場面が多い。内容はどれも「諸説あり」と言わんばかりの信憑性の薄いものではあるが都市伝説の様で心がワクワクする。勉強は苦手だが、好奇心が擽られ、言霊の力を痛感することとなった。
また、【縄文時代は女性優位か。父から息子に受け継がれるY染色体を遡ると1人の父に辿り着く。これをY染色体アダムと呼び、優れた男性と認められた勝者のみが女性達を獲得出来る、独占化現象が起きていたのではないかと推測される。
更に縄文時代に作られた土偶は殆どが女性だ。農耕が始まる古墳時代より前、狩猟民族だった縄文時代は女性優位だったと考えられる。
裏付けるかのように、日本神話のみ最高峰の神天照大神(アマテラスオオミカミ)は女性、すなわち唯一の女神だ。
そして男性たちは己の遺伝子だけを残すため、他の男性達を皆殺しにしてでもハーレムを独占しようとする。そうなると必然的に、男性は生まれて間もなく「間引き」されていた可能性も出てくるのだ。】
ここらで著者の得意とする「女性の怖さ」の片鱗が出てきた様で更にワクワクしてくる。更に現代にて触れられていた一つの殺人事件と、主婦が起こした別の夫娘殺人事件の関連が明らかとなってくる事により、お勉強モードの脳内に忘れかけていたミステリーの娯楽要素が全力Uターンしてくるもんで、そんなん...堪らぬ(´﹃`)
著者のイメージとはかけ離れた、歴史的 考古学的な要素がかなり強い作品だが謎の殺人事件と絡まる着地点はしっかりミステリーとして成り立っている。とは言えここら辺はやや薄まっている感は否めないが....。何より著者の作品の中では過去一で登場人物が少なく、これは大変有難い労りポイントだ。
興味深い記述が多すぎてメモ要素の強い感想になってしまいましたが、これでもかなり端折った方なんです...(笑) 改めて歴史の奥深さと謎が渦巻く伝説に興奮させていただきました。
本書を表紙とタイトルで躊躇している勉強嫌い、教科書恐怖症の同志達に物申すのならば、それは実に勿体ない事だと私は訴えたい。 -
面白かったです!
何だか不思議感覚で、スピリチュアルな世界に連れて行かれたような、夢を見ているような…
先日、NORAxxさんのレビューを読ませて頂き、猛烈に惹かれた作品です。
真梨幸子さんの著書は初読、縄文時代は全く興味なし。
教科書恐怖症、勉強嫌い。
ハイ、その通りです(+_+)
しかし装丁の可愛らしさは好み。
縄文の“文”が“紋”?
縄文なのにミステリー?
と気になる事だらけ。
物語は、フリーの校正者・興梠大介の元に、自費出版「縄紋黙示録」のゲラが届く所から始まる。
つまらないファンタジー小説と思っていた興梠だが、校正作業を進めていくうちに、いつの間にかのめり込み、縄文の歴史を遡ることに。
舞台である東京文京区や大宮氷川神社を、相棒の一場直樹と共に足とスマホを駆使し、気が狂ったように調査していくのだが、この場面がすごく面白かった。
皆さんがレビューで書かれているように、「ダヴィンチ・コード」ですね!
私も地図を片手に文京区を巡りたい衝動がムクムクと。
まさか自分が、縄文時代に思いを馳せる日が来るとは思ってもみなかったです。
(平安時代に思いを馳せる事はありますが…)
こうして、普段なら手に取る事のない作品に出会えたのも、ブクログのおかげですね。
ありがとうございます!-
NORAxxさん、コメントありがとうございます!
ホント、第一歩ですよ(笑)
実際、縄文時代ってどんな感じだったのかな?
見てみたいて...NORAxxさん、コメントありがとうございます!
ホント、第一歩ですよ(笑)
実際、縄文時代ってどんな感じだったのかな?
見てみたいてすよね^_^
さっきから東京都の地図を探してるんだけど、見つからないの。あったはずなのに。
GoogleMapじゃなくて、紙の地図で確認したくて。(何を??)
精神病棟に入った望月さんは、その後どうなったのでしょうか…?2022/05/22 -
ほん3さん、コメントありがとうございます!
私は図書館で借りたんだけど、結構分厚い本で、一瞬躊躇しました(^.^;
でもきっと、ほん3さ...ほん3さん、コメントありがとうございます!
私は図書館で借りたんだけど、結構分厚い本で、一瞬躊躇しました(^.^;
でもきっと、ほん3さんも好きな作品だと思いますよ♪2022/05/22 -
aoi-soraさん、こんばんは^ ^ 夜分の返信をお許し下さい。 本当ですねぇ、縄文時代の知識が無さすぎて思い浮かべるのはホモ・サピエ...aoi-soraさん、こんばんは^ ^ 夜分の返信をお許し下さい。 本当ですねぇ、縄文時代の知識が無さすぎて思い浮かべるのはホモ・サピエンスな私でしたが、本書を手に取り視野が広がった気が 気が しております(*^^*)
わかります、地図を開いて自身の目で軌跡を辿るのもワクワクしそうですね。何か無限の可能性が秘められていそうで(何かを)確認したくなります♪
そうなんです...ダ・ヴィンチ・コード的なミステリーが強すぎて本来の謎解きミステリーが置いてけぼりな所があるんですよね...。 人物達のその後はよく聞くアレじゃないですかね、
「信じるか信じないかはあなた次第です」改め、「どうなったかどうなってないかはあなたの想像次第です」笑2022/05/23
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縄紋にどんどん引き込まれていった。
面白くなってきた、と思ったら、最後のまとめ方に少しがっかり。
縄紋にこだわった終わり方になるともっと良かった。 -
なんて奇想天外な小説なんでしょうか。私には理解出来ない事ばかりで縄文時代を検索したり、小説を読み返してばかりで読み進まない事にイライラしてしまったりしながらやっとのことで読み終わった時は、達成感に満足している自分がいました。私が最後まで読めたのは犯人が誰なのか知りたかっただけなんだという事です。真梨幸子先生は不思議な女性ですね。あんなにエグい小説やニアミスの女王の異名を轟かせながらこんな小説もポンと描くという事は凄いと思います。頭の中を見て見たい衝動に駆られます。
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帯の「アラハバキ」に惹かれて購入。
縄文時代のミステリーなんて面白くない訳がない!
と期待値高めで読み進める。
校閲者である主人公に依頼された原稿『縄紋』。
読み進めていくと現代と縄文時代が少しずつリンクし始めてくる。
あー、これはもっとハチャメチャなとんでもで攻めて欲しかった。
何というか、枠からはみ出してこない。
これでは大どんでん返しと言えない気がする。
ただ縄文時代のシーンは面白く、殺人云々より
こちらの方を多めにしてくれたらもっと楽しめたな。 -
いつものようなイヤミス感は少なかった。歴史パートは難しかったが、鏡餅や鳥居の説など興味深かった。
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初めて読む作家。オビには”イヤミスの女王が放つ、和製『ダ・ヴィンチ・コード』”と非常に扇情的な文言がたくさん並んでおり、縄文好きとしては読んでおかねば、と手に取った。
結論、色々詰め込みすぎてぼやけたラノベ猿の惑星。竜頭蛇尾ながら、まずまずエンジョイできた。確かにイヤミス。
まずとっかかり、ユヴァルの『サピエンス全史』のあらすじじみた話ではじまり、すべてどこかで読んだ小ネタばかりだが、それも素人自費出版の原稿という体裁なので、そういうのもアリなんだろうか、と読み進む。読者にはすぐに犯人の目星がつく殺人事件、性根の腐った獄中のジャンキー殺人犯、読むと感染する狂気、なぜか入れ込んで洗脳される人々。まあ、かなり嘘くさい。
まあ、歴史的な部分は歴史書でもないので好きに書けばいいとは思うが、誤解の多い狂った箇所と現時点の定説がまぜこぜになっているので、妙に自分が校正している気になって、イラっとしてくる。登場人物があまりにも物知らずで、フィールドワークに出て狂ったように(狂ってはいるが)エキサイトしたり驚くのが興ざめ。自費出版の校正校閲というのはウィキペディア頼みなんだろうか、と、ぞっとした。ここが一番怖かったシーンではある。ともかく、日本の縄文やら日本の神々の話、まつろわぬ民の話、カニバリズム、ウイルス、失業問題、ネット依存、太陽嵐やガンマ線バースト、邪馬台国ミステリ、江戸ミステリ、アラハバキと盛りすぎて、しかも全て、どっかで読んだ話に、逃げ道付きで無理のあるトンデモ説なんかものせることで、作中でこの『縄紋黙示録』の安っぽさを醸し出している。これはもしかしたら、北島マヤが大根役者を演じるような、そういうことなんだろうか。だとしたら、大成功だと言える。ラストは私の好みではないし、読了後に後引くほど気になることもない。
読み終わって、最後に参考資料を見てみると、やっぱりなという感じ。ただ、パット・シップマンのインベイダーズ(The Invaders: How Humans and Their Dogs Drove Neanderthals to Extinction)など、2、3参考にしたか?と目星をつけていた書籍は見られなかった。 -
お、真梨さんの新刊だ。相変わらずのこってりしたイヤミスを堪能するか。と思ってページを捲ったのだが、いつもと雰囲気が全然違う。
なんだこれは?歴史小説?しかも縄文時代の?おっと縄「紋」時代か。もちろん真梨さんだとは分かって読んでいたのだがすぐに万城目さん?と思わせるような内容。
私家小説の「縄紋黙示録」を校正校閲するお話なんだけど、その物語を読む人間は精神に異常をきたしていく?私も読んでいて危うくおかしな感じになっていた。その作者はどんな人物なのか?どこまでが正しくてどこからが妄想なのか。
なんだかなぁ、意外な作品だった。
著者プロフィール
真梨幸子の作品






確かにそこまで範囲を広げて収集を始めてしまったら...財布の中身もですが重みで家の底が抜けないか心配になりますね...笑
でもその懐...
確かにそこまで範囲を広げて収集を始めてしまったら...財布の中身もですが重みで家の底が抜けないか心配になりますね...笑
でもその懐の寂しさと引き換えに素敵なイラストに囲まれるのならば、プラマイゼロむしろプラスな気持ちになれそうです( ´艸`)
> 家の底が抜けないか心配になりますね...笑
本望ナリ
> プラスな気持ちになれそうです( ´艸`)
作家さんや、翻訳...
> 家の底が抜けないか心配になりますね...笑
本望ナリ
> プラスな気持ちになれそうです( ´艸`)
作家さんや、翻訳者さんで選ぶだけでなく、+αの部分が加わると飛躍的に新たな遭遇が増えるかも?
出版社は、+αの部分(装丁家や、挿画を担当したイラストレーター等)についての情報はサイトにキッチリ載せて欲しい。。。
本当ですね(๑•̀ㅁ•́ฅ 普段の書物漁りの中、それを意識してみたらとても新鮮な気持ちになりました。目移りし過ぎて捗りませんでした...
本当ですね(๑•̀ㅁ•́ฅ 普段の書物漁りの中、それを意識してみたらとても新鮮な気持ちになりました。目移りし過ぎて捗りませんでしたがとても楽しかったです。情報って載っていないのですね...したし自力で好きな装丁家さんを見付けられたら1日素敵な気持ちになれそうですね♪