明け方の若者たち

  • 幻冬舎
3.66
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036239

作品紹介・あらすじ

安達祐実、村山由佳、尾崎世界観、紗倉まな、今泉力哉、長谷川朗、絶賛!
近くて遠い2010年代を青々しく描いた、人気ウェブライターのデビュー小説。

「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」
その16文字から始まった、沼のような5年間。

明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江ノ島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。
世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

それでも、振り返れば全てが、美しい。
人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

ドキドキする。好きな人を想うときみたいに。 
――安達祐実(俳優) 
痛くて愛おしいのは、これがあなたの物語だからだ。カツセの魔法は長編でも健在。
――村山由佳(作家) 
どうしても下北沢に馴染めなくて、逃げるように乗った井の頭線。通り過ぎた明大前のしみったれたお前。お前にあの頃出会いたかった。 
――尾崎世界観(クリープハイプ) 
ひたむきに生きるとは、こういうことなのだと思う。 
――紗倉まな(AV女優) 
人にフラれて絶望するという経験をせずに死んでいくのか、俺は。と絶望したし嫉妬した。 
――今泉力哉(映画監督) 
「こんなはずじゃなかった」未来を生きている大人は共感しかない。甘い恋愛小説と思って読んで後悔した。
――長谷川朗(ヴィレッジヴァンガード下北沢 次長)

感想・レビュー・書評

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  • なるほど。
    これはいいぞ。

    金曜日の夜に読むといい。
    読み終わった後、小説の世界に浸る時間がほしい。
    ぼんやりと、人生のもっとも甘美な時間を思い出したりして。

    「二十三、四歳あたりって、今おもえば、人生のマジックアワーだったとおもうのよね」

    そうなんだよなぁ。
    仕事にはまだ夢が持てて、働きはじめているから少しお金も持っていて、若いから女の子とも話ができる。
    自分は何にでもなれる、そんな気がする。

    そんな時間に一緒に過ごした「彼女」。
    〇〇だからこそ余計夢中になったんだろうけど、とても魅力的な人だと思った。会えなくて辛くてのたうち回るほど大好きな人に出会えるって、人生を必死に生きていることへのご褒美だ。
    たとえ二人がうまくいかなかったとしても。

    カツセさんは「小説もエンターテインメントの一個だと考えているから、この本は他の小説と比べるんじゃなくて、Netflixや『どうぶつの森』をライバルに考えたい」と思ってこの小説を書いたという。
    僕にとってはじゅうぶんそういう小説だった。
    次の小説も読みたい。

    登場する音楽もいい。


    https://realsound.jp/book/2020/06/post-564831_4.html

  • 恋は盲目!俺らはこんなはずじゃなかったんだぁ!
    的な二十代の青春小説。

    井の頭線、明大前、サブカル女子
    くるり、キリンジ、ピロウズ…
    二十代の頃サブカルクソ野郎だった俺には
    けっこう共感できるところがあって
    なかなり感情移入して読んでしまいました。

    しかも彼女がものすごく魅力的で
    俺も二十代だったら絶対好きになっちゃうだろうな

    でも、この2人の本当の関係性のヘビーさ…

    「そもそも、どうして俺だったの?」
    その彼女の答えは…
    心がえぐられすぎて無くなってしまうほどの
    破壊力!
    俺も読んでてえぐられました笑

    けっこうリアリティのある恋愛や仕事での不満や葛藤、今四十代くらいの人だったら、けっこう共感できて楽しく読めるのではないかと思います。

    二十代の思い上がりの勘違い野郎は三十くらいにならないと、なかなか現実に気づかないんですよね
    私も三十で自分が何者でもないと気づき現在に至ります…泣

    • naonaonao16gさん
      うわ、おもしろそう…!!
      気にはなってましたがもっと若い子向けの作品だと思ってスルーしてました!!
      また読みたい作品が増えました~

      元京王...
      うわ、おもしろそう…!!
      気にはなってましたがもっと若い子向けの作品だと思ってスルーしてました!!
      また読みたい作品が増えました~

      元京王線住民、サブカルクソメンヘラ女にも刺さりそう…!
      pillowsがいなければ今のわたしはありません(笑)
      2021/02/18
    • sinsekaiさん
      コメントありがとうございます。
      男目線の話になりますが、女の人が読んでもけっこう楽しめると思います。

      ピロウズ好きなんですね♪
      ハイブリッ...
      コメントありがとうございます。
      男目線の話になりますが、女の人が読んでもけっこう楽しめると思います。

      ピロウズ好きなんですね♪
      ハイブリットレインボウが作中出てきます!
      俺も好きでずっと聴いてたんですが、悔やまれるのがavexに移籍したことなんですよね…泣
      2021/02/19
    • naonaonao16gさん
      もともと今わたしが好きな音楽のスタートはBUMP OF CHICKENです。
      そこからpillowsのカバーアルバムシンクロナイズドロッカー...
      もともと今わたしが好きな音楽のスタートはBUMP OF CHICKENです。
      そこからpillowsのカバーアルバムシンクロナイズドロッカーズに出会い、syrup16gに出会いました。ハイブリッドレインボーはまさにBUMPがカバーしてたなぁ
      尚更読みたくなりました!

      エイベックス移籍知りませんでした…(泣)
      結構衝撃です…
      2021/02/19
  • 何かまさに今っぽいオシャレ小説って感じ。
    iPodだフジロックだヴィレバンだのと固有名詞がたくさん出てきて、文章から若者らしい空気感が感じられる。ライトに楽しめた。

    少し下世話なエピソードが多く、それが作品の透明度を落としている感が否めない。

    ひらたーく言うと
    大学生の僕がめちゃくちゃ好きな人に出会い、一生物の恋をする。ただし期限付き。
    何となく将来に夢を抱き、社会に出て現実の厳しさを目の当たりにする。

    ◉まぁ彼女がムカつく
    もうね、ネタバレはしないんだけどね、
    とにかく彼女がムカつく(二回目)

    「僕」はね、ベタ惚れ補正がかかってるから彼女のどんなとこでも好きなのよ。
    ナチュラルな、飾らない、小さい可愛らしい人なのよ。それはすっごい魅力的なのよ。

    ただし実際は最初から上下関係が決まっていた恋で、もう何でそんなことしちゃうんだろうと彼女の人間性を疑う。
    あなたは飾らない素敵な人柄かもしれませんが、人間としてやってることは最低最悪です、と言ってやりたいよ。
    男もバカだけど、惚れた弱みもここまでくると清々しいや。


    ◉人生のマジックアワー
    主人公が親友と呑んでいる場面。
    23歳あたりは結婚してないので自由、仕事してるのでお金もまぁある、オールする体力もまだあって一番いい時期だったね…と昔を懐かしむ。

    まぁ分かる。おばちゃん分かるよ。
    知ってるからね。確かに楽しかったよ、
    まごう事なきマジックなアワーでしたよ。
    でも30手前で何言ってんの。これから素晴らしいこともたくさん起こりうる人生で、今からそんな昔を懐かしんでてどうすんの、と背中を張り倒したくなった。

    歳は誰しも取りたくないけども
    一年長く生きた分、過去最高の自分を更新し続けたいです。
    でもそうやって一番輝いていた時期を思い出すのもいいよね。たまには…

    君が彼女を好きな気持ちはすごく伝わったので、そのエネルギーを費やせる別の何かが見つかるといいね。早く立ち直れよ、若人よ。


    …どんな立ち位置なん、これ。

    【心に穴が空くとか言うけど、その穴がくっきり彼女の形しちゃってんだもん。そんなの、あの人にしか埋めようがないじゃん。】

  • 言葉の表現の仕方や書き方がキレイでこんな例え方ができるのかぁ〜と感心してしまいました。
    彼女にハマる僕の心情が読んでいて切なくなりました。彼女が酷すぎる!と思ったのは私だけ!?
    同期であり親友でもある尚人がいてくれてよかった。
    北村匠海さん主演で2022年に映画公開されるそうで楽しみです。映画も是非観てみたいです。

  • これは…ネオ純文学?

    恋愛とか青春してるなと感じる時の、目に入る景色全てエモく映るマジックを、一瞬足りともこぼさないように、巧みな表現で若者の心の揺れを見事に描き切っている。

    SNSに投稿されてるようなフィルムカメラで撮った写真に添えてある、ちょっと痒くなるようなポエムみたいでした。笑

    サイゼ、大将、ビレバン…出てくるお店のチョイスに笑ってしまいました笑
    映画ではサイゼ、大将は出てこなくて、ちょっと残念…その店だからイイ!って感じるところでもあったので。

    「効率的に」とか「合理的に」を優先するようになって、段々と大人、社会に吸収されていく終盤は少し寂しくもありました。

    現実と夢を往来しながら「こんなはずじゃなかった」と、同期と愚痴をこぼしていたのが先週の三連休だったので、余計にしみました。今をちゃんと楽しんでおこうと思いました

  • 1人の人を愛すること、愛しているだけでは成立しない恋愛、失恋、大人になること、友情、いろんな要素が含まれていた。起承転結の激しい物語ではなく、社会人の主人公の思い出話のようなものだった。

    私は今大学4年生でバンドサークルに入っているため、学生生活の回顧シーンはかなり共感できる部分が多く、学生生活特有のキラキラしているけど堕落した感じがよくわかる。バンド名や曲名、お酒の名前などが全て書かれているのでイメージしやすくリアル。

    社会人になったらきっと私も大学時代を思い出し、あの頃が良かった、こんなはずじゃなかったと思ってしまうだろう。物語終盤に尚人が23,4歳の頃を「人生のマジックアワー」と表現するシーンがある。これはかなり心を打たれた。いつも私たちはその時は不満がたくさんあって現状に満たされない気持ちで一杯になるけど、いつだって振り返ったらあの頃はあの頃でしっかりと"期間限定"のラベルが貼られるように輝いていたのだ。人生はこの繰り返しなのではないか?たしかにこのラベルが貼られる回数は年々減るけれど、自分次第でラベルの数は増やせるはずだ。平凡な私でもその時々をもがきながら苦しみながら、懸命に生きなければならない。そうすることでまた一歩が踏み出せて輝きを生み出す。

  • 恋愛、仕事、自分は何者なのか、友人と比べてしまう。誰もが経験するような若さ特有の悩みを眩しく思います。

    浮かれて些細な事が楽しくて、青春としか言いようがない時間。甘くキラキラして儚い時間を共有しているような感覚になります。

    徐々にトーンダウンして現実味を帯びてくるところが、まさに夢から覚めるようで、明け方の若者達というタイトルに余韻を感じます。

  • 令和3年に映画化された作品。
    大学を卒業してからの2〜3年、大学生の頃のように自由過ぎることはないが、社会人としての責任を背負い込みすぎることもない。所謂、人生において大人の階段を登っているような、そんなグラデーションの時期『人生のマジックアワー』を、決して報われるのことなく、必ず終わりが来てしまう恋愛(不倫)に、全てを注ぎ込んだ若者のお話。

    これがまたエモくてエモくて…。
    甘酸っぱさを通り越した、そんな沼にハマってしまった若者の葛藤や、そこを超えていく様に、胸が締め付けられるような想いでした。
    いやー、世界観に引き込まれました。素晴らしい没入感。





    「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑」?
    その16文字から始まった、沼のような5年間。

    明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。
    世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

    それでも、振り返れば全てが、美しい。
    人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

  • 「こんなはずじゃなかった。」自分もいつかこのように人生に絶望する時がくるのだろうかと思った。大学4年生で就職先が決まっていて社会人に期待と不安があり、まだ期待の方が大きい時期で、主人公と自分が重なった。大学生はまだ何者でもなくて、何者かになれる可能性がある期待が大きい時期だろう。まあ、何者かになれる人はほとんどいないのだろうけど。自分も自分自身にそんなに期待はしていない。成人はしているけど大人にはなりきれていなくて、かといって子供でもなくて、そんなあいまいなこの時期を将来思い出して羨ましく思う時が来るのかもしれない。実際大学4年生の生活はフリーターと大した変わりはないが、大学生という大義名分があるため焦りもなく自由というか怠惰と言う方が正しいかもしれない時間を過ごしている。社会人には大きな期待はないため、その分大きな絶望もないと思っているが、その想定を超えてくるような絶望があるのだとしたら不安になる。なんとか上手くやれていることをい願いたい。
    この本を読み、何年も引きずるような、沼と呼ばれるような恋愛をしてみたいと思った。したらしたできっと後悔するのだろうけど。この本の主人公はなんとも情けなく女々しく、そこが愛おしかった。彼女との別れ際も、嘘でもいいから、少しは好きでいてくれた?と確認する。あまりにも情けない。一緒に過ごした時を無駄だったと思わないために保険をかけてまで聞いている。思い出だけでも肯定したいと思えるような日々を羨ましく思う。主人公の成長も、部署異動希望調査をひとつ上げただけ。しかし、主人公にとっては大きな決断なのだろう。あの頃は良かったと振り返る大人かっこよくないかもしれない、しかし振り返ったときに良かったと思えるような20代を過ごしたいと思った。
    全体を通してとても読みやすく、ラストもきれいで、おもしろい物語だった。物語の中で出てくる例えも分かりやすく、若者向けな小説かなと思った。将来に期待と不安があるこの時期に読めてよかった。何かに絶望した時に戻ってこようと思えるような小説で、体感は星4.5だけど星4にしました。

  • 「うわぁ〜面白いなぁ」が本当に素直な感想です。

    もしこの出会い方をしたならば、初日に手を出しちゃうなぁ。。
    そうなると良くも悪くも〝一夜限り〟な関係になりがち。

    そこで飲むお酒が「鏡月」なのは共感しかなかったし、ヴィレバンの歩き方やサイゼの間違い探しは一度はやったことがあるよね。

    今は北村匠海くんが主演で映画化してますね。タイミングが合えば観に行きたいなぁ(サブスクまで待てそうだけど)

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著者プロフィール

1986年東京生まれ、大学を卒業後、2009年より一般企業にて勤務。趣味で書いていたブログをきっかけに編集プロダクションに転職し、2017年4月に独立。ウェブライター、編集として活動中。本書がデビュー作となる。

「2020年 『明け方の若者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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