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本 ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784344036871
作品紹介・あらすじ
歩けない猫は猫じゃない。
自身の様々な闘病、老いた両親の介護と看取り、数多の猫たちとの出会いと別れを、透徹に潔く綴る、「生命」についてのエッセイ。
60を迎える頃、ステージⅣの大腸がんを告知された時の第一声は「ああ〜! またやっちまった〜!」。その1年少し前に、自転車の酔っ払い運転でコケて大腿骨を骨折、人工股関節置換手術で、1ヶ月近く病院のお世話になったばかりだし、5年前には乳がんで、片乳を全摘出している……。吉本隆明の長女であり、漫画家・エッセイスト・愛猫家である著者が、自身の闘病、両親の介護と看取り、数多の猫たちとの出会いと看病・別れを等価に自由に綴る、孤高で野蛮な、揺るぎないエッセイ。
感想・レビュー・書評
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文章が上手いのでとにかく読みやすい。
猫のイラストも可愛い。
現代医療と民間療法の取り入れかたのバランスが良い方なので、押し付けがましくなく、楽しく読めました。
ご両親の介護の話とか、猫との暮らしについて。
猫好きな方にもオススメ。
続編も読みたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前読んだ「それでも猫は出かけていく」と同じく猫話だろうと思って読み出したら、まったく違っていた。冒頭いきなりステージⅣの大腸癌(内視鏡が途中で入らなくなるくらい巨大な癌!)と診断された時の話から始まる。なんとこれは闘病記なのか、と思いきや、告知を受けての感想は「あー、やっちまったー」。やっちまった?
著者は、1年前に酔っ払って自転車で転倒して大腿骨を骨折し、人口股関節置換手術を受けたそうだ。さらに5年前には乳癌で片方を全摘出していると。「あ~また入院か、面倒臭いなあ」という意味で「やっちまった」ということらしい。ふつうの人ならこれ、かなりガックリくる状況のはず。気の小さい私なんかだったら、衝撃を受けて絶望し「なんで私ばっかりこんな目に」と、わが身を憐れみ運命を呪い、ありったけの涙を流すことだろう。
ところがハルノさんの書きぶりには、まったく深刻な感じがない。かといって、無理矢理なポジティブ思考が語られるわけでもない。「起きてしまったことは仕方がない、とりあえず現実に対処していくけど、もううっとうしいわあ」くらいの受け止め方なのだ。読み進めるほどに、尋常ではない肝の据わり方に感嘆するばかり。ご本人はこういう言われ方はイヤだろうが、さすが吉本隆明の娘である。
「それでも猫は~」とは語り口もまったく違っていて、ちょっと乱暴とも言える江戸っ子風。以前清水ミチコさんが、「東京生まれの女性は、アキラメが早いのが特徴のような気がします」「物事にぶつかったらすぐに、『そりゃ、しょーがないじゃない』つってカラッと次に行く」「しがみつかないあのカンジ」と書いていたが(例にあげられていたのは、黒柳徹子さん、松任谷由実さん、矢野顕子さん、酒井順子さんなど)、ハルノさんもそういう感じが濃厚にする。 -
ハルノさん、乳がんに直腸がん、それでいてアルコールはなかなかやめれない。医学の知識というより、すべての情報を自分の身体を通して考える。単なるおざなりの医者の意見などクソくらえ。でも、最後に判断、決断、そして責任をとるのが本人なら。
医者と患者の立場は対等であり、納得いくまで疑問をぶつけて解決することだと・・・。もうちょっと医療は柔軟に、患者は寛容に、ともに歩いて行けたらと。 -
ちょっと愉快に読めて全然深刻さがない闘病エッセイ+猫たち。
腸管いじるとそんな感じなの?!という驚きと、乳がんと大腿骨骨折のときとは全然違った、という体験談に「うちのボス(骨折入院歴あり)が術後の私に仕事ガンガン振ってきたけど、そういうこと?!(私は開腹術の入院歴あり)辛さ全然違ったの?!」と妙に納得したり。病気すると、解像度が変わって面白いですよ。病気しない方が断然いいですが。
ちょっと捻くれた解釈もエッセイの醍醐味だし、あまりにも感覚が違いすぎて笑ったり不愉快な気持ちになったりする「自分の反応」が面白いのもエッセイの楽しみなので、かなり楽しく読んだ。 -
面白かった。最初パラパラ見て猫の闘病の話かと思ったら、本人の闘病から始まってびっくりΣ(゚Д゚)さらに両親の介護や看取りやさらにやっぱり猫の闘病や死の話、あちこちに散らばってるのね。ただ気になるのは、本人の希望っちゃそうなんだろうけど、治療中に喫煙飲酒はいかんと思うのね。治療する医療従事者に失礼過ぎるんじゃん?せっかく治してるのに本人が毒入れてたら台無しじゃん!と思うのですよ。
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一気に読んでしまいました。吉本ばななさんのお姉さん。全く違うはずなのに、何だか他人ごととは思えなくて、ご家族や地域のこと、とてもよく知っているような気持ちになりました。私の祖父母の様子の一点が似ていると感じるからか、叔母が谷中に住んでいたからか、吉本ばななさんの本を読み続けているからなのか、強烈な夢を見ているような気持ちにもなりました。
このような本はとっても貴重、とっても大事、出版してくれてありがたい、そんな風にも感じました。吉本ばななさんのエッセイに出てくる、お姉さんならでは毒舌具合や下町のかけ合いも読めて嬉しいです。 -
面白かった
自分の生き方や暮らし方をどんな状況にあってもブレずに進む逞しい姿はかっこよく思える
達観しているようでもあるが、人間味あふれ欲望のまま突き進み本能のまま生きている姿は羨ましく思える
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いいね。
これは2017年の作品。
まだ死んでないのかwikiで調べてしまった。
さすが。
偉大なる血が流れてる。 -
大腸癌を告知されたその帰りに生ビール2杯を飲みに行った冒頭から、ずっとびっくりな闘病日記。がんはとってしまえば必要以上に怖がらなくて良いという一方で、親不知を抜くのは怖いという繊細さを持っていたり、そもそも痛みや違和感を放置していたり、独特のバランス。そのアンバランスさや、矛盾もはらんだところが、獣っぽくて(猫っぽさなのかな)魅力的だった。
長年の親の介護と自身の病気の経験から身につけた(ハルノさんにとって)良い医者を見分ける方法は、医者だけでなく他の事柄にも当てはまることだなと思った。
著者プロフィール
ハルノ宵子の作品





