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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784344038042
作品紹介・あらすじ
まともに思えることだけやればいい。
荻窪の本屋店主が考えた、よりよく働き、よく生きること。
効率、拡大、利便性……いまだ高速回転する世界に響く日常エッセイ。
荻窪に本屋を構えて5年。本を並べ、客の手に渡るまでを見届ける日々から見えること。
「いまわたしの手元には、『終わりと始まり』という一冊の詩集がある。どこかの書店でこの本が並んでいる姿を目にすると、わたしはそこに、その店の良心を感じずにはいられない」
「Titleに並んでいる本は声が小さく、ほかの本の存在をかき消すことはないが、近くによってみるとそれぞれ何ごとかつぶやいているようにも思える」
「『あの本の棚は光って見えるよね』。書店員同士であれば、そのような会話も自然と通じるものだ」……。
本を媒介とし、私たちがよりよい世界に向かうには、その可能性とは———。
●写真:齋藤陽道
感想・レビュー・書評
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荻窪の新刊書店Title。昨年末に念願叶ってお邪魔した時に感じた印象は、ずっと居たい、毎日通いたいと思わせてくれる「新しい世界との出会いが生まれる場所」でした。
店主の辻山良雄さんが選書(フィルターを通)し、手がけた書棚には、確かに光が宿っていました。辻山さんの推したい気持ちが託された本たち…。それらの語りかける小さな声が聞こえてくるようです。
リブロ池袋本店の書籍マネージャーをしていた辻山さんが、2015年の閉店を機に、2016年に独立して本屋Titleをオープンさせます。
本書は、このTitleオープンから約5年間、幻冬舎plusの「本屋の時間」に連載したエッセイに、加筆修正・再構成したものとのことです。
それにしても、ずっと読んでいたい文章です。優しく静謐で、けれども芯があり、本屋の店主としての覚悟・矜持に裏打ちされた言葉が満ちあふれています。店のレジ位置から、社会や人を温かく見つめる辻山さんの眼差しが感じられます。読むほどに心落ち着き、胸に染み入るような文体は、多くの方におすすめしたいです。
ちょうど私が訪れた日、年末の冬にもかかわらず暖かな日差しが気持ちよく、店内イメージとともに妙に記憶に刷り込まれた感じです。
じっくり書棚を眺め2冊購入。何となく立ち去るのが惜しくて併設のカフェへ。八丁ブレンド(浅煎り)コーヒーとフレンチトースト(アイスのせ)をいただきました。美味しかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ストーリー性がメインの小説ばかりではなく、たまにはまったりとエッセイもいい。肩肘張らずにリラックスして読めた。
本書は荻窪にある新刊書店「Title」の店主辻山さんのエッセイ。辻山さんは大手書店勤務ののち独立し、荻窪にお店を構えられた。
長く書店に携わってこられた方だけに、著者の書店に対する矜持が凄く感じられた。
「一冊ずつ手がかけられた書棚には光が宿る。それは本に託した、われわれ自身の小さな声だ。ただ本を売ることは誰にでもできるかもしれないが、書棚に光を宿すのは、思いの詰まった仕事にしかできないことかもしれない」
書店として在るべき理想の姿を、日々模索されている。本当に並々ならぬ思いで、仕事と向き合っているんだなって思った。
荻窪か。二十数年前、新宿に住んでて学生をやってた頃、電車で毎日通過してたな。当時こんな素敵な書店があったなら何度も寄り道しただろうに、と懐かしさと共に少しもどかしい気持ちになった。 -
先月読んだ『積ん読の本』(石井千湖著)に、この方が載っていた。
同じその本で角田光代さんが、こちらの本屋さんに買いに行くとも書いてあったような気がする。
それで知ったので読んでみた。
積ん読本の捉え方の部分には共感した。
(本書では積ん読本という言葉は使われていないが) -
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本屋店主の矜持 優しく心強く [評]高倉優子(ライター)
<書評>小さな声、光る棚:北海道新聞 どうしん電子版
https://www.ho...本屋店主の矜持 優しく心強く [評]高倉優子(ライター)
<書評>小さな声、光る棚:北海道新聞 どうしん電子版
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/573829?rct=s_books2021/08/03
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仕事とはお金のためだけではなく、やはり自分の生きがいそのものです。誇りを持って一日を過ごす、それだけで充実した日になるでしょう。本が好き、本をさわるのが好き、本に囲まれるのが好き、本と一緒の空気を吸うのが好き・・・そんな本との生活を綴った本屋店主の小さな声でおます。
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東京・荻窪の本屋、Titleの店主によるエッセイ。
コロナ禍の時期をはさんで、本に対する気持ち、本を売るということへのこだわりが伝わる。 -
Titleの本棚、すきなんだよねえ。
Titleも辻山さんもすきだ。
わたしはこれからも、尽きることのない豊かな本の森を彷徨い続けたい。本がわたしに見える世界の解像度を高めてくれるのだ。 -
萩窪にある書店店主のエッセイ。
本屋という場所のこと、本のこと、自身がいままでに出会ったり経験してきたこと、家族とのことなどを綴っています。
読みやすく、すっと心に入ってくる文章で、不思議と心地よい雰囲気。
コロナが広がり始めてからのことも収録されており、お店としての立場だけでなく、一個人としての気持ちもなるほどと思える箇所がいくつがありました。
お店などのカラーの写真も何枚か収録されていて、それも味のある感じで良かったな。
いつか実際にお店や併設のカフェにも足を運びたいです。 -
Webでの連載時も時々読み、励まされたり慰められたりしていた。
こうして読んで気づくのは、辻山さんの日々の実践から言葉の重さだけでなく、逡巡しながら葛藤しながらそれでも店を開け続けるその姿そのものに強さが宿っているのだと言うこと。
同じ本を扱う人の息遣いを感じることは、何より安堵を得る。
そして、また前を見ようと思わせてくれる。 -
読みやすいエッセイ集。本屋が好きな人ならスッと読めると思う。独立系書店、本書のTitleにもいつか行ってみたいなと感じた。
著者プロフィール
辻山良雄の作品





