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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784344039278
作品紹介・あらすじ
フェミニズムの生まれた国でも 、若い女は便利屋扱いされるんだよ!
思い切り仕事ができる環境と、理解のあるパートナーは、どこで見つかるの?
孤高の街ロンドンをサバイブする30代独身女性のリアルライフ
日本が好きだった。東京で6年間働いた。だけど、モラハラ、セクハラ、息苦しくて限界に。そしてロンドンにたどり着いた――。
「ロンドンには、日本を脱出してきた優秀な日本人女性がたくさんいるよ。すごい人材流出」
「でも、専門職で働いてても、仕事の雑用は若い女性ばかりが頼まれる。同僚の男性は頼まれない」
「どこの国にもフェミニズム嫌いの男性はいる。しかもエリートイギリス人男性は、本音を話してくれなくて、超めんどくさい」
知らない街でキャリアを積み、恋愛もするってほんと大変。でも人生の冒険はあきらめたくないから――。
国も文化も越える女性の生きづらさをユーモアたっぷりに鋭く綴る。 鮮烈なデビュー作!
感想・レビュー・書評
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若い女性の日本人がイギリスに渡って、恋やビジネスそしてイギリスの暮らし…そんなエッセイだと
勝手に思って手に取り読みはじめました。
さらっと読めるいくつかのエッセイは、変な上から目線もなく偏見も感じない。好感が持てるものだった。
イギリスの暮らしも垣間見え、日本人が暮らすのは簡単ではないけど頑張ってるんだと読みながら心は同世代の頃に飛んでいた。
読み進め鈴木綾という人物に興味を持ち調べたところ
日本人ではないらしい。
じゃどこの国のどんな風貌の人か…わからない。
なんとなく腑に落ちないけど、語り口は好みだし彼女の環境に抱いた興味は変わらず読了しました。
タイトルの「恋人」というのは一編であり、それ目的ではない。むしろ仕事をしながら初めての土地で人脈を作っていく彼女の背中は清々しい。
偏見もあると知ったアリアナグランデ。
個人取締役(会)という自分のキャリアを客観的に評価してアドバイスしてくれるチーム。
アイデアは海外仕込みなのか、私にはとても勉強になる本だった。 -
タイトルからイメージされるような、ロンドンで恋人探しをする話ではなかった。ロンドンで働く超優秀な女性の本音を吐露したエッセイであり、多国籍の人々と接して肌で感じた異文化交流のエッセイである。
日本にも6年間滞在したことがある著者(日本人ではない)は、優秀な人材が集まるロンドンに比べて、コロナで一層閉鎖的になった日本の未来を憂える。
内容はカップル文化、フェミニズム、体づくり、ミニマリズム、金継ぎ、政治観と恋愛の話など多岐にわたり、多種多様な人が集まるロンドンの今が知れて面白かった。
p31
残業が多い一方で、生産性は低い。仕事で自分の能力を活かせない、能力に見合った給料ももらえない。その上に仕事と家庭の両立は難しく、子供を産んだ後の出世はもっともっと難しい。
p33
ロンドンで知り合った日本人投資家たちには、子供に海外で教育を受けさせている人が多い。この人たちは、日本の教育は21世紀に求められるスキルを教えない、と言って日本をバッシングして喜んでいる。もちろんこの人たちは、一握りのエリート中のエリートで超お金持ち。今はまだ限られた人しかこんなことできないんだろうけど、近い将来、多少のお金を持っている日本人なら自分の子供たちをどんどん海外の学校に行かせるようになるかもしれない。教育へのアクセスによって経済的機会を持つ者と持たざる者にわかれる未来。経済格差が教育格差になり、それが次の世代の経済格差になっていく、そんな未来だってあり得る。
p43
イギリスの場合、フェミニズムへの疑念・嫌悪は階級社会意識と密接に関係していて、歴史的にフェミニズムの発達の恩恵を享受できたのは上流階級の女性ばかり。中流階級以下の女性たち、黒人女性たち、大英帝国植民地出身の人たちはフェミニズムに取り残されたとしかいいようがない。彼女たちにとって、フェミニズムは上流階級(の女性たち)の特権でしかない。
p45
女性にため息をつかせる厄介ごとが仕事に、社会に存在し続ける世の中で、自分たちの経験を承認してくれるストーリーやロールモデルを女性は強く求めている。微妙な不愉快を感じている私たちが正しいと安心をくれる人。私も頑張りたいと思わせる、励ましてくれるコンテンツ。
p47
イギリスのトップ企業では、外見だけじゃなくてボディメイクもすごく大事で、みんな取引先の人たちとも同僚ともジムに行っている。
「sweatworking」(スウェットワーキング)、つまりスウェット(汗)をかきながらネットワーキング(交流)するっていう言葉があるほど体作りがロンドンの働く女性のステータスと深くつながっている。
p67
CBD(大麻草から取れる化学物質の一つ)がロンドンで流行っているのも一緒だと思う。鎮痛・鎮静作用、不安神経症の緩和といった効果があって副作用が少なく、依存性はない、幻覚作用もない。自然の成分で処方箋もいらないし、手頃な値段で買えることが20代・30代の人達にとって魅力的。
今ロンドン中の健康食品スーパーや自然派コスメ店でCBDチョコレート、CBDボディー・クリーム、CBDの飲み物、多種多様なCBD製品が売られている。
p83
へりくだったり、自分の能力を自分で過小評価するような表現を英語で「Out of Power Language」という。例えば、上司に大事な仕事を与えられたときに「I will try to do my best」(頑張ってみます)と言うか、それとも-自分がやったことのない仕事でも-「I am confident that I can do this 」(これができる自信を持っています)と強気で言うか、ってこと。
前者のほうは柔らかいけどどこか自信なげ。後者のほうがポジティブではっきりした宣言。同僚をインスパイアする、人を動かせるリーダーたちは後者を使う。
p89
最近、鋭い審美眼を持っているイギリス人のミニマリズム愛がもう一段進化して、日本のミニマリズムデザインと北欧のミニマリズムデザインを融合させるという、ドラゴンボールにたとえたらスーパーサイヤ人レベルのデザイン「Japandi(ジャパンディ)」(Japan+Scandinavian)が生まれた。
p90
内装がシックでシンプル茶色や濃い緑色が多い。木製の椅子やテーブルと木床があってほっこりする別荘にいるみたい。こういったミニマリストな雰囲気、自然を感じさせるインテリアや家具、シンプルに見えるけどとても繊細な工芸品は日本も北欧も通じるものがある。
p91
キーワードの人気度を調べられるグーグル・トレンドで確認すると、外国人は2013年ごろから金継ぎに興味を持ち始めたようだ。理由はよくわからないけど、ちょうど2013年に円安になって日本に行く外国人観光客数が急に増え始めた。外国人が日本全体に関心を持つようになったのに合わせて、金継ぎへの興味が高まったと言えるだろう。そして、ここからが大事なことなんだけど、金継ぎブームの牽引役は陶磁器オタクではない。外国人は金継ぎという技術に「哲学」を見出し、その「美の哲学」、もっと言えば「生の哲学」に惹かれたのだ。
p93
(前略)西洋の文化は均整を美徳とするのに対して、日本は不完全なものに美徳を見出す。今や、メンタルヘルスは、ヨーロッパとアメリカのマスコミの一大関心事だ。日本や東洋の哲学は、西洋ではとても尊敬されている。だから西洋人が金継ぎに心の平静や生きる知恵を求めるのはよくわかる。
p137
ブリックレーンはタワー・ハムレッツ区に位置している。この区はイギリスで一番子供の貧困率が高くて所得格差が大きい。HSBCやバークレイズを含めた有力企業の高層ビルの陰に生活保護受給者、十分に食べられていない子供たち、狭いアパートで窮屈に生きている家族たちがいる。とても貧しい人ととても裕福な人が共存しているが、真ん中の人が少ない。 -
日本で働いたことのある著者(国籍不明)がイギリスに転職、そこでの暮らしを綴ったエッセイ。
以前X(旧:Twitter)で「出国子女」として話題になっていたのが気になっていたので今更ですが読んでみました。
母語ではない言葉でこれだ書けるのはすごいなと思った。
筆者が外向的な人なのか、イギリスの文化の説明に尺を取られるせいなのか、筆者の内面が見えてこなくて何だかうまく共感できなかった。
言葉が強いのか、筆者の性格なのか、好き嫌いがはっきりしていて評論家みたいな印象を受けた。
内容はイギリスでの仕事や恋愛、生活等々に関してです。日本よりジェンダー平等が進んでいる国でも結局、フェミニズムをいまいち理解できない人たちはいて、マジョリティから理解を得られないのはどこの国でも一緒なんだなと思った。
日本で働くのには日本で働くなりの苦労があって、イギリスで働くのにはイギリスで働くなりの苦労があるのだなと思った。 -
文化の揺れの中で、思った事をつらつらと重ねた本。たまに急展開はあるけど、テンポよく読みやすく、ページが進められる。
人は多様性に寛容な社会を求めるけど、自分と異なる意見には激しく反発する。というような1文が特に心に残った。
ブレイディみかこさんの、僕はホワイトてイエローで、ちょっとブルー、が好きな人は気にいると思う。というか同じ場所で同じような事を扱ってる本! -
✈︎ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた | 鈴木綾
タイトルの話がメインというよりは、あくまでもそれは内容の一部であって、多国籍な同僚とロンドンで仕事をするリアルとか、2022年現在の海外から見た日本の話とか、そしてコロナ禍のロンドン暮らしについてが、かなり細かく描かれていて、期待以上に面白かった。
多分留学とか仕事とかである程度長期間海外にいたことある女性なら"わかるー!!!"ってなる内容が多数… -
日本で働いていた外国人女性が、ロンドンで働いて生活しているエッセイ。
おそらくとても優秀な女性なのだけれど、驕りを感じさせない軽やかで、等身大のエッセイ。
専門職で働いても、仕事の雑用は女性にばかり頼まれる。ロンドンの男はめんどくさい。ロンドンで働いてるエリートだって、世界に出ないマイルドヤンキーみたいな価値観の人もいる。どこにいたって、若い女はやりづらい。
幻冬社のウェブサイトのエッセイが好きだったので読んでみた。ああ、わかるわかると頷きながら、地味に大変な思いをする女性が少しでも今後減りますように、と祈った。 -
33/100
国も文化も越える女性の生きづらさをユーモアたっぷりに鋭く綴る。
鮮烈なデビュー作!
東京で6年間働いた。
だが、モラハラ、セクハラ等息苦しくて限界に…
そしてロンドンにたどり着いた。
だが〜
しかし〜
優秀な女性の独り言に聴こえる!
女性である事を認め、自覚して乗り越えていく強さって… -
日本で6年働いたのち今はイギリスでキャリアを積んでいる女性のエッセイ
フェミニズムの生まれた国でも若い女性は便利屋扱いされるんだよ!
日本ってまだ女性が働きにくい環境だよなぁーとしみじみ感じていた時に、この帯のをみてどんぴしゃで求めている本!!と感じて購入しました。
フェミニズム、右翼左翼、ステレオタイプ…あらゆる枠組みについて著者の経験したこと、感じたことを語っています。
意見を押し付けるのではなく、感じたことを素直に書いているので一節一節、共感しながら読み進めていました。
私が好きなのは、アリアナグランデの話と金継ぎの話。自分を大事にしたいし、物事をいろいろな面から見るのも面白いと感じました。
他の作品も出たら読みたい、大好きな作家さんになりました。
葛藤や息抜きを必要とする女性たちに読んでほしい一冊!!!激推し!
鈴木綾の作品






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