- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344039780
作品紹介・あらすじ
カジノで106億8000万円を失い、会長辞任、獄中へ。そして懲役4年の刑期満了後に、再びカジノへ。リベンジの舞台は韓国ソウルの「WALKERHILL」3000万円が9億円にまで増えるマジックモーメント(奇跡の時間)を迎える。果たして、負けを取り戻す夢物語か、破滅への一里塚か。ギャンブラー井川意高によるバカラ放蕩記。しかしその裏ではギャンブルよりも血がたぎる、現会長佐光一派による井川家排除のクーデターが実行されていた。「大王製紙から井川家を排除し、自らの地位を盤石とするために、佐光は300億円も無駄金を上乗せして会社に損害を与えた。「他人のカネ300億円で買った社長の座」は、さぞかし温く心地良いことであろう。これこそ特別責任ではないか。しかも、私の金額の3倍である。有罪とすれば懲役12年だ。」(本文より)大王製紙を舞台にした血みどろ裏切りノンフィクション!
感想・レビュー・書評
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井川意高氏の達観したとも諦念したとも言える人柄は嫌いではないのだが、しかし、ギャンブルに取り憑かれて会社を騒動に巻き込み、そこにつけ込まれてクーデターを起こされ、その相手を出版本で論う程には、やはり下劣である。しかし、何故かファン精神を擽るのは、一つには、私自身が全く被害者ではないからだ。更に言えば、同氏の居直りに哲学を感じる事、漫画のように娯楽性のあるドラマを見せてくれる事、もしかしたら依存症は病気だから仕方ないかもと、ちょっとだけ同情してしまうからかも知れない。
シンガポールのマリーナベイサンズ、マカオのウィンマカオ。韓国のウォーカーヒル。最もチープなウォーカーヒルで出所後もギャンブルに溺れる。しかも、バカラではない賭博、他人の賭け方を否定する始末。自らの美意識の中で、デカダンスを気取る。特権階級の蕩尽。
ー 生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し
刑務所では、忙しない社会生活から隔絶される事で学び直しができ、それはそれで有意義な時間だったという。同じ事は佐藤優も堀江貴文も言っていた。すべき事がないという事は、それだけ集中力を高める事になるのだろう。その間に得たか、それ以前のものか、引用される言葉が響く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【感想】
本書『熔ける再び―そして会社も失った』は、大王製紙の元社長である井川意高氏の2作目の自伝だ。当時大王製紙の取締役会長であった井川氏は、カジノで106億8000万円を使い込み、特別背任罪で懲役4年の判決を受けた。そして刑期満了後、懲りることなく再びカジノに向かい金を溶かした一部始終と、大王製紙内で起きたお家騒動を描いた一冊である。
本書で、井川氏は次期社長の佐光正義氏を散々にこき下ろしている。それは佐光氏が創業者である井川一族を大王製紙グループからパージするために暗躍したからなのだが、正直言ってこの顛末は井川氏の自業自得である。会社の金を106億も使い込んだ人間を会社に置いておくわけにはいかないし、井川家を経営から追い出し血を入れ替えるのは、自浄の範囲であり何もおかしなことではない。
そもそも(前作からずっとそうなのだが)、井川氏は自分が大王製紙の評判を貶めていることを全く気にかけていない。自身が会社の看板に泥を塗っているにも関わらず、それに責任を感じている様子は毛頭ない。一般株主や消費者からしてみれば井川家の追放は好ましいことなのだが、それには目を向けずに保身に走るような記述が多い。読んでいて「まぁ、身から出た錆だなあ」と感じてしまった。
――人は無で生まれて、死んで無に戻る。ならば私は、楽しいこと(プラス)も何千、何万ポイント、つらいこと(マイナス)も何万とは言わないが何千ポイントも経験するジェットコースターのような人生がよいと思う。
普通の人がプラス100の経験をして人生を終わるとすると、私はプラス数万くらいおもしろい経験をさせてもらった。そのおかげで刑務所にまでブチこまれ、マイナス1万とは言わないまでも、マイナス数千程度の苦い経験も重ねた。所詮「死ぬこと以外かすり傷」だ。
前作『熔ける』の感想:
https://booklog.jp/users/suibyoalche/archives/1/4344425790#comment
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【まとめ】
1 再点火
私は2013年に特別背任罪で懲役刑を受けた。2016年12月14日、3年2カ月の刑期を終えた段階で仮釈放が認められた。残る仮釈放期間は静かに過ごし、2017年10月2日にシャバで懲役4年の刑期満了を迎えた。
「鬼の特捜」に逮捕されて厳しい取り調べを受け、刑務所にまでブチこまれたのだ。普通は骨身に染みて懲りて「バクチなんて二度とやるものか」と心に期すものだろう。だが私の脳髄には、勝負師としてすべてを賭け、命がけで戦っていたころの疼きがたしかに記憶されていた。
2018年6月、私は韓国の首都ソウル郊外の統合型リゾート「パラダイスカジノウォーカーヒル」に立っていた。手元のカバンには現金3000万円が詰めこまれている。
3000万円の種銭は1億円を超え、2億円を超え、10倍に膨らんで3億円を超えた。4日間にわたる攻防戦を終えたとき、目の前のチップは9億円分積み上がっていた。
「さて、この種銭を元手に、次回はどこまで勝てるかな……」
次に「ウォーカーヒル」に繰り出したとき、9億円の種銭が106億8000万円まで化けている近未来を夢想した。
おぼろげな夢想は、次第に強い確信へと変わっていった。その妄念が、2度目の破滅への一里塚だとは知らずに――。
2 獄中生活
不思議なことに、あれだけ没入したカジノへの蠱惑的執着は、刑務所に入った瞬間きれいに雲散霧消した。アルコールが揮発して空気中に拡散するように、バクチへの執着が揮発してしまったのだ。刑務所に入った瞬間、物欲も所有欲も含めてあらゆる欲望が揮発し、あっという間に修行僧のような境地に至ったのだ。
2016年12月14日、喜連川社会復帰促進センターから仮釈放された。
仮釈放から懲役4年の刑期満了(2017年10月2日)までは、約10カ月間あった。シャバに出てきてからは、毎日夜中の3時まで酒を飲みまくる生活が続いた。失われた3年2カ月を埋め合わせるかのように飲み歩き続けた私だが、脳髄の奥底ではもう一つの失ったものを求める欲望の熾火が暗い光を放ち続けていた。
3 再戦
私がプレイした個室のVIPルームには2つテーブルがあった。「どうも流れが悪いな」と思ったときには、隣のテーブルに移動する。上げ下げを繰り返す中で、チョロチョロ賭けながら様子を見る。「流れが生まれてきたな」と確信した瞬間、そこから一張りの額をグンと吊り上げて大きく賭ける。上がったり下がったりを繰り返して、こうして合計4日間で3000万円を9億円まで増やした。
150万円が300万円になったときに「これで車を買えるな」と思う人は、それ以上ギャンブルはやらない。300万円が1000万円になって「これでマンションの頭金が払えるな」と考える人は、そこで賭けをやめてしまう。私の場合、もし300万円になったら「次は1000万円だ」「次は2000万円だ」と終わりなき旅路を志向する。ギャンブラーにゴールはない。すべての戦いは通過地点であり、人生のプロセスなのだ。
元手の100万円を持っていって、倍の200万円になって喜んで帰ってくるような人間は、そもそも私のようなギャンブル依存症には陥らない。ギャンブルバカは、種銭が完全になくなるか、絶対に乗らなければいけない飛行機の時間が来るまで、とことんやり続けてしまう。
仮に106億8000万円を取り返すことに成功したとしよう。それでもなお、私は勝負をやめなかったはずだ。
運の揺らぎは、テーブルの上をビー玉がスーッと転がるように、右へ左へたゆたっていた。そして破滅の時は来た。9億円まで増殖したチップは、とうとうゼロになってしまったのだ。真っ白な灰のように燃え尽きた。私はひとりごちた。
「なあに、これとて私が9億円負けたわけではない。だって、最初に私がこのカジノに持ってきた現金は3000万円だったではないか。私は9億円負けたのではない。負けた総額は3000万円じゃないか」
「ウォーカーヒル」で手持ちの9億円を熔かしたあとも、まったく懲りることはなかった。2019年夏、カジノ人生で最長の長期戦に臨んだ。シンガポール・セントーサ島の「リゾートワールドセントーサ」で徹底的に戦うことにしたのだ。
1週間が過ぎ、2週間が過ぎ、3週間が過ぎた。この間、いったいいつ食事を摂って、いつ眠っていたのか記憶がない。ろくに眠ることもなく、サンドイッチとミネラルウォーターか何かを口にしながら、バカラのテーブルに向かい続けた。まるで修行僧のように自分を限界まで追いこみ、目に見えない「運の揺らぎ」を見極めようと執着した。
果たして私は、1カ月間もぶっ通しでバカラをやり続けてしまった。
このときの負けは、結局全部で4000万円程度だった。日本から持っていった現金は1000万円だ。種銭が尽きてしまったので、日本にいる知り合いに頼んで、シンガポールにいる知人の口座に海外送金してもらい、知人が入金を確認して現金を持ってきてくれた。すべて合わせると、1カ月間の攻防戦のために準備した種銭は4000万円だ。
こういうやり方は一番良くない。「戦力の逐次投入」は、戦争でも一番やってはいけないことだ。戦いは、一度にドーンと戦力を投入しなければ勝てない。戦況が思わしくないからといって、あとからあとから兵力や武器を逐次投入していたら、どこかの段階で送れる物資が底をつく。兵站が途絶えて全滅する。
1カ月バカラをやり続けたおかげで、いい加減に満足した部分もある。大王製紙に勤めていた時代は、時間制限があった。カジノに入り浸るのは2泊3日が基本だったし、長くても夏休みの1週間が最長だ。丸1カ月バカラをやり続けた結果、1年分の疼きが1カ月に凝縮したような感覚に囚われた。端的に言って、バカラへの情熱は突然燃え尽きた。「バカラED」に陥り、とうとうバカラに飽きてしまったのだ。
そしてその後、コロナが全世界に広まり、カジノはおろか海外旅行すらも行けなくなってしまった。ギャンブルとの決別は、物理的な断絶によって突然訪れたのだった。
4 内紛
2010年5月から2011年9月にかけて、私は文字どおり火の車だった。シンガポールの「マリーナベイ・サンズ」やマカオの「ウィン・マカオ」でバカラに勝っては負け、勝っては負けを繰り返しながら、大王製紙の関係会社7社から資金を借り入れ続けた。その金額は、総額106億8000万円に達する。関係会社に矢継ぎ早に連絡を入れながら次から次へと現金を熔かし続け、ひたすらバクチの深みへとハマっていった。
関係会社からの巨額の借り入れを知った父・髙雄(大王製紙顧問)は激怒した。
「お前は何をバカなことをやっとるんじゃ!けしからん!会長を辞めろ!!」
父からそう言われたら辞めざるをえない。2011年9月16日、私は大王製紙会長を辞任した。今にして思えば、ここですんなり会長を辞めたことが、佐光一派によるクーデター劇を円滑に進めることになった。
さて、辞めたはいいものの、関係会社からの借金は残ったままであり、これを返さなければならない。
そこで私は持っている大王製紙関係会社の株式を「時価純資産」(税務署が身内同士の取引として認める金額)で試算し、売却によって得られるであろう代金を返済に充てることにした。現金と代物弁済(有価証券など現金以外のものを返済に充てる方法)を織り交ぜた形で、借金を返済することにしたのだ。
しかし、関係会社7社から一斉に私に電話がかかってきたのだ。
「申し訳ありませんが、現金でお貸ししたものは、現金で返していただくのが本来だと思います」
判で押したように7社がこぞってそう言って、借金返済の計画が反故にされてしまったのだ。特捜部からは事前に「借金の返済が終われば逮捕はないですよ」と言われていた。その事実を察知した佐光が「意高の逮捕がなければ、大王製紙から井川家を排除する思惑が通らない」と焦ったのだろう。借金返済が済んでしまったら、私が逮捕されることはないし刑事事件にもならない。すると佐光が大王製紙の実権を握れなくなってしまう。権力欲に駆られた佐光が、関係会社7社に一斉に電話を入れて方針転換を迫ったに違いない。
私の借金返済を阻み、逮捕・投獄へと追いこんだのは、大王製紙・佐光正義社長の仕業だった。
現在、エリエールフーズ株式会社で社長を務める吉田省三氏の証言を紹介しよう。吉田氏は2011年当時、静岡県富士市にある大王製紙の関係会社(大日製紙)で社長を務めていた。私の資金借り入れ問題が発覚したあと、佐光主催の会議で、佐光が吉田氏のほうを向いてこう言った。
「ところで君は、会社と顧問(父・井川髙雄)のどっちを向いて仕事をしているんだ」
「吉田は創業家側の人間だ」と判断した佐光社長は、わざと皆がいる前で踏み絵を踏ませようとしたのだろう。「佐光社長の体制に従わなければ、吉田と同じ目に遭うんだぞ」という、他の者への見せしめである。
吉田氏は、自分の人生が重大な岐路に立っていることを悟った。踏み絵を踏むことを拒んだ吉田氏は、ある日突然、大日製紙からパージ(追放)されてしまった。創業家を支持する人間を一人ずつ排除する粛清が始まったのだ。
佐光一派の蠢動によって、2011年10月に父・髙雄は大王製紙顧問を解任される。製紙業界で「大王製紙中興の祖」といわれていた髙雄を、佐光は会社から追放したのだ。取締役会で父の顧問解嘱が決まると、佐光は顧問室にカギをかけて入れないようにしてしまった。
2012年、我が井川家は約2000万株以上保有していた大王製紙本体の株式と、数多くの関係会社の株式を北越紀州製紙(現・北越コーポレーション)の岸本哲夫社長の仲介で売却した。大王製紙としては、1日も早く創業家と手を切りたい。井川家が持っている株式を、早いところ全部買い取りたい。なぜなら、ほとんどの大王製紙関係会社において、井川家は大株主であり、大王製紙本体から井川家をパージしたところ、主要な関係会社が連結対象から外れてしまい、上場廃止もありえるようになったからだ。
ところが髙雄が「佐光とは取り引きしない」と言った。困り果てた佐光が岸本氏に泣きついたのだ。結果的に、創業家が持っていた株式は相場の2.5倍もの高値で売却に成功した。本来であれば総額140億円でしか売れなかった株式を、ファイナンシャル・アドバイザーを入れてゴリゴリ交渉してMAXのバリュー計算でぶつけた結果、トータルで440億円もの売却金額を得たのだ。
大王製紙から井川家を排除し、自らの地位を盤石とするために、佐光は300億円も無駄金を上乗せして会社に損害を与えた。大王製紙の一般株主の資産を、300億円もキャッシュアウトさせ、熔かしたのだ。
「他人のカネ300億円で買った社長の座」は、さぞかし温く心地よいことであろう。これこそ特別背任ではないか。しかも、私の金額の3倍である。有罪とすれば懲役12年だ。 -
6月にこの本が出版されたので、
その前にずっと読みたかった
『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』も読みました。
そこにはこう書かれています。
〈同じ紙オムツを作っているのに、なぜユニ・チャームやP&Gや花王は利益を出せるのか。他方で、なぜ大王製紙は涙が出るくらいの赤字に苦しまなければならないのか。社内の人間と話し合うと、敗北主義にとらわれた担当者はこんな言い訳をつぶやいた。
「向こうはたくさん作ってたくさん売っているわけでしょう。大量生産できるおかげで、資材メーカーが原材料をウチより安く売ってくれるんですよ」
そんな単純な話のはずがない。自分の敗北の責任を他人にかぶせる言い訳が、私にはどうしても許せなかった〉
〈「お前が一生懸命やっているのは知っている。だが、この数字はどういうことなのか」
担当の営業部長を問い始めると、彼はその場で涙を流し始めてしまった。
「うちの営業マンは、ゴールデンウィークも休みを取らずに現場を回っています。夜まで販売店回りをして会社に戻り、それから日報を書いて、翌日の朝には再び販売店に向かっています。新製品発売前の一か月間、そして販売後の一か月間、彼らは休みも取らずに必死でがんばってくれました。いったいこれ以上、彼らに何をさせろと言うんですか」
現場の苦労を知る部長の気持ちもわかったが、私は敢えて心を鬼にした〉
しかし当の本人は、カジノの件はもちろん、20台近くフェラーリやポルシェを並べ、駐車料金だけで年1200万円。
六本木西麻布で飲んだくれる……。
さて最後のほうでクーデターをおこした佐光正義のことを酷く悪く書いていたので、ネットで調べたところ、この本を書いた目的は彼への復讐とありました。
しかし、どう解釈したって悪いのは井川氏であり、私がその場にいたら絶対佐光氏についていたでしょう。
井川氏にアドバイスしてくれる人はいなかったのか?
お金をもっている人の周りには、それを利用しようと、おだてる人たちが集まってくるのではないでしょうか。
ところでこの本は幻冬舎ですが、
『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』は双葉社でした。
(文庫は幻冬舎)
今回の編集者箕輪厚介氏は双葉社から幻冬舎に移ってきた方だそうです。
箕輪氏が上手に井川氏を利用した、と見ました!
箕輪さん、面白いから、どんどん書かせてください。
出版業界にとっても良いことなのではないでしょうか。
製紙会社にとっても。
でももし、私が井川さんにアドバイスを求められたとしたら
持っているお金をできるだけ沢山つかって、紙オムツや生理用品を購入し、困っているところに寄付してください、と言います。 -
「溶ける」が面白かったのでこちらも拝読。
出所後もカジノに行き、刑務所の中で購入したフェラーリをバカラの種銭として売却するエピソードのほかに、父親とのこと、大王製紙のクーデターなど、読み応えがありました。「溶ける」にあった政治家とのエピソードは誰だったかも判明。 -
バカラで会社のお金を使い込んで、逮捕収監までされた元大王製紙社長の井川さんが、所内での様子や、出所後の状況、会社を追われた社内でのクーデター、大王製紙中興の祖である父のことを綴ったものである。
出所後も韓国やシンガポールでバカラを打ち続けたことを思うと賭博依存の重さにも驚くが、麻雀好きの自分としてはその気持ちは何となくわかる。何の生産性もないとわかっていながらも、心がギャンブルを求めてしまうのだ。そこまで突っ込めないのは、手元資金の差だけなのかもしれない。
それにしても井川さんがバカラでの勝ち負けを運の流れと本気で信じているところが賭博好きであることを示している。バカラは統計的にカジノしか勝たないことはわかっているはずで、そのことをせこいギャンブラーをくさす個所でも明確に記載している。コロナで海外に行けない時期が長く続いたのは井川さんにとってはよかったのではないか。
最近は、同じく東大から上場会社の社長になって刑務所に入った堀江貴文さんとYouTubeに出ている。YouTubeでのやりとりや、この本を読んで受ける印象からも、賭博にハマる性格は難があるのかもしれないけれども、あらためて仕事はできる人なのだろうなということを感じている。そして、さらに輪を掛けて父親の経営者としての胆力はすごかったのだろうなと思う。
刑務所の中で、ニーチェとフーコーを読んだというエピソードも印象的。特に、ニーチェの「超人」には特に感銘を受けたとのこと。
『熔ける』が出版されたのが2013年なので、あれからもう9年も経っているのだと思った。歳を取るはずだ。
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『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4575306029 -
前作が入獄するまでの執筆であったのに対し、本書は刑期を終えた後なので、獄中の様子、出獄後の生活、そして父のことや会社のことが書かれている。特に晩年の父との関係は、人間ドラマとしても心に響く。
本書でのもう1つの特徴は、大王製紙における井川家追放の舞台裏を生々しく描いていることで、これは、亡き父高雄の新社長に対する怨念を受けて、著者が実名でありったけのことを書いていて、暴露本的な面白さもある。
それにしても、獄中からフェラーリの限定モデルを注文するとか、やることが桁外れで驚かされる。 -
前作『熔ける』の続きーい!仮釈放で韓国行ってバカラで4,000万円溶かしてるぅー!井川さんサイコー!
井川家パージの件も面白い。正に半沢直樹の世界ですね。付き抜けた漢の人生は面白い。それにもまして父親である大王製紙中興の祖井川高雄氏の面白いこと。こんな親父は嫌ですが…
井川さん、これからももっともっと熔かしまくって、我々庶民を楽しませてください。
レベルが違い過ぎて全く参考になりませんが、勉強させていただきます! -
井川家の系譜を辿るエッセイ。創業家の追い出しはコンプライアンス重視のこの時代会社を守るためにやむを得ないことと思う。そもそも自分が蒔いた種だし、そこを恨んでもしょうがない。本としては面白い。
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元大王製紙創業家社長の著者の作品。
一作目は、事件を当事者目線で語った目新しさと、ギャンブルにのめり込む姿がリアルに描かれており非常に興味深かったが、今回は少し毛色の違う作品。
ギャンブルへの熱はあまり変わらないものの、創業家を排除した現大王製紙経営陣への攻撃も含まれている。
色々と言いたかったことがあるのだろうが、やや正当性に欠ける上に、作品としての一貫性がなく、少し残念な一冊となってしまった。
相変わらず文章のうまさ、教養の高さは読み取れる。
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本当に著者は莫迦な人だな。ギャンブルで108億円余りもの現金を使い果たし、それでも余り反省もしていないしそれが自分の生き様だなぞとうそぶいて。大王製紙の社長を続けられるわけがない。親の心を知った時はすでに後の祭りだな。
著者プロフィール
井川意高の作品





