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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784344039933
作品紹介・あらすじ
地球はやんわり悲しみに満ちている。だから人は明るく生きようとするのです。飛騨高山で生まれた気の小さい少女は、大小様々な出会いや経験を積み重ねて、“国民の叔母”清水ミチコとなり、武道館に立つまでになる――。主婦にして稀代のエンターテイナー、初めての自伝エッセイ。すぐに「気負け」して泣いてしまう、気の小さい子供だった飛騨高山時代の、家族や友人との懐かしくも笑えて切ない色々なエピソード。上京して、自分の弱さやセコさにぶちあたりながらも、永六輔さんタモリさん南伸坊さんはじめたくさんの人たちと出会い、清水ミチコとして芸を披露するようになり、武道館でライブをおこなうまでの様々な経験。「世の中はむしろ、うまくいかないようにできていることを知ってた方がいいですよ」尊敬している年長の女性からの言葉を心に刻んで生きてきた半生を、カラッと笑えてしみじみ沁みる筆致で綴る、自伝エッセイの名作誕生!
感想・レビュー・書評
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先日読んだ『わたしの名店』に出てきた清水ミチコさん。その際に本書を出していることを初めて知り手にした。
2020年7月から2022年3月に連載したエッセイを1冊に纏めたもの。これまで清水さんが毎回2名のゲストを招いて話をする鼎談集は読んだことがあったが、清水さん自身の人生に焦点を当てたものは初めてで、とても面白かった。『カニカマ人生論』というタイトルも秀逸。カニに似たカニカマをモノマネをする自身と被せ、「人生論」というのも本書を読めば納得。清水さんがその時々の経験で気づいたこと、感じたことが綴られており、ふっと心が楽になるような良い考え方も記されていて、まさに人生論だなと思った。
武道館での清水さんのライブを1度見に行ったことがある。終始面白く濃厚で素敵な舞台だった。モノマネをメインに芸能界を長く生き抜くのは容易ではないと想像する。若い頃はクヨクヨすることも多く、大変な思いをした時もあったようだが、今もなお活躍されている姿を見ると、実力の他にやはり考え方や運が味方しているのだと思う。読んで良かったと思える1冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
娘さんとのエピソードが面白かった。
特に終盤に出てくる、実は娘ではなく母親だったんじゃないかというくだり。
ミチコさんに向けられる、優しくあたたかな娘さんの眼差しと言葉を想像したら、会ったこともない娘さんに後光がさしていた。
あとは、読んだそばから先入先出法で出ちゃうので正確な表現ではないのだが、自分で自分の好きなことや楽しいこと、面白いと感じることをやっていないと、幸せの基準がいつまでも他人からの評価を得ることになってしまうということ。
そうなると幸せを感じたり、自分に満足しにくくなってしまう。
これはね、多くの国民の皆さん、特に学校に入った途端に従順さや同調圧力を求められる子供たちに聞かせたいエピソード。
ゆるめのエピソードが多いけど、中には人生の真理みたいなものがそれっぽく感じさせず書いてあるのが良い! -
モノマネのあの清水ミチコさんのエッセイ。自分でもおっしゃってましたが、モノマネをするために常に周りの人のことを事細かに見ていましたが、文章に書くという作業をし出してから、我がのことを冷静かつ客観的に見ることができましたと。
そうなんです、あの短歌のたった31文字でも奥に隠れている心情がにょきりとでてくるときがあります。文筆家の楽しさは、読者に向いているようで我が身に向いているところではないでしょうか・・・。
おしゃべりはその時限りですが、文章はいつまでも残るだけに怖さは大いにありますな・・・。 -
お気に入りミッチャンの、今回はちょっとマジメなエッセイ。笑い成分は少なめだけど、生い立ちやデビューのいきさつ、子供さんのことなど、へぇ~そうだったの、ということがいろいろ出てきて面白かった。
意外だったのは、いつも飄々淡々と欲のない芸風で、プレッシャーなんかとも無縁だろうと思っていた清水さんが、かなりの緊張しいだと繰り返し語られていたこと。下積みのない順風そのものに見える芸能生活にも、迷いや葛藤の多い時期があったとも。まあ当然と言えば当然なのかもしれないが、一貫して芸人っぽくない雰囲気からは、そういう匂いがしなかった。まあ、ミッチャンらしく重さを感じさせない書き方で、そういう所が好きなのだなあ。
なるほど!という鋭い指摘がいくつも。
・ヤンキーについて。ヤンキーの女の子は「痩せてクッキリした顔立ちの、可愛くてしかも性格も優しめの子がなぜか多い」「なぜか手まめで、献身的という特徴もあり」「朝から夜まで女工哀史のように働き詰め」。地方の成人式で暴れるヤンキーたちは「当日の朝にはしっかり着付けをし、髪を整えるなどして、ちゃんと指定された市民センターなどに出向いて、仲間と暴れるという。やっぱりどこか真面目でもある、というアンバランスさが絶妙」
・昔、カセットデッキをテレビとかのスピーカーに近づけて好きな音楽を録音していた。当然雑音入りまくり。「特に不満でもなかったのは、あの時代は聴きたい音源っていうものを、うまく耳が吸収してくれていて、機材以上に聴覚が発達していたんじゃないでしょうか。自己ノイズキャンセラー機能」
・年の離れた弟さんをすごく可愛がっていたが…「あのヨチヨチしていた男の子の姿がもうすっかりない」「もう会えないんだなあ。いったい、いついなくなったんだろう?成長する弟の背後で、そーっと少しずつ消えていったかのよう」。うんうん、ほんとにそう!子育ての時にも思ったそうです。
清水さんは、人生の節目節目で良い出会いをしているなあと思う。その人たちから教わったことを、自分の中で時間をかけて消化して糧としていることが伝わってきた。私も覚えておこうと思ったことを二つ。
・怖かったり緊張したりする時、清水さんは「怖くないフリ」をすることだけに集中するそうだ。くり返すうちにだんだん身につき、緊張しがちなあらゆる場面で使えるという。「フリでいいのです。フリ無料」これ、役に立ちそう。
・若い頃、やたら気持ちがふさいでいた時に、ついバイト先で愚痴ってしまった清水さん。ありがちな慰めの言葉をかけられるかと思っていたら、店主の女性がサラッと言った言葉は「どんな人だって幸せにはなれないようになっているのよ」「世の中はむしろ、うまくいかないようにできていることを知っていた方がいいですよ」だった。「だから、立てた予定が思い通りうまくいった時や、たまにいいことがあったなんて時にはうんと喜ぶようにするといいです」 しみじみかみしめたくなる言葉です。 -
いくつになっても、母親になっても、中身は変わらないのが普通なんだとちょっと安心。
ひたすら楽しそうだった「夢で逢えたら」も、伊集院みどりの前には気苦労があったとは。 -
清水ミチコさん、カニじゃなくカニかまというところから、さすがという感じ。気弱なのになぜか覚めた感じの幼少期の話から、タモリさんや桃井かおりさん、矢野顕子さんとの話など、おもしろかった。武道館も行ったらとても楽しそう。
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タイトルを見て、「? 」と思った。
そして、カニカマこそ「日本が誇るモノマネ芸の元祖」として
「カニみたい。まるで」という夢のような一瞬を味わいたかったのだと。
なるほど。
モノマネにしても、エッセイにしても
「?」を「なるほど」と思わせるこの方ならではの視点。
好きだなぁ。
初めから成功されていて、自信を持って
おおらかに、タレントとしての道を進んでこられたのかと
思っていたら、もともとは、とても自信がなくて
不安で、恐れを感じながらも突き進んでこられたことが
本書でわかり、より一層好感がもて、応援したいと思った。
人生の節目節目で与えられた言葉も素晴らしいし、
それを書き留めておられた清水ミチコさんも素晴らしいと思う。 -
ラジオで聴いて、手に取ってみた。
幼少期から、いかにクラスメイトを笑わせるかに一生懸命で、笑いに対する貪欲さがすごい。間違いなくムードメーカーだったと思う。また、ジャズ喫茶であったご実家の影響か、音楽に対しても造詣が深くいらっしゃって、モノマネタレントをされているのは、天職なんだな思いながら読んでいた。
また家族に対しての自然な優しさや距離感がいいなと個人的は思った。 -
清水さんの人柄がそのまま出ていて楽しめました。
子どもの頃やデビュー迄の変遷など、はじめて知ることが多く興味深かったです!
いちど、ライブに行ってみたい〜
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みっちゃんの文章っていつまでも読んでいられる。
面白くってときどき自分で突っ込んだり、日常をおもしろおかしく話しながら(書きながら)人生の深いとこも言ってたりして、井上ひさしの有名な”むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく…”という言葉を思い出す。
そんあみっちゃんの自伝みたいなエッセイ。
1〜3歳まで実母がいなく父親と祖母との3人暮らしで、そこへ父親よりも10歳も若い敬子さんがお母さんになって、
みっちゃんも幸せだったろうけど、敬子さんもこんな面白い娘の母親になれて幸せだったんじゃないかな。
そりゃあ、みっちゃんみたいな洞察力とものまねのセンスがある子と親友だったらランク落としてまでも同じ高校に進みたいと思うよね。
でも、肝心のみっちゃんが頭が真っ白になってその高校は落ちてしまったというからまた面白い。
で行った高校でまたまた面白い公ちゃんとの出逢いがあって今も続いてるんだから、人生に偶然はないんだね。
パテ屋の林のりこさんや、永六輔、矢野顕子、タモリさん、
さまざまな出逢いがあって今のみっちゃんが出来上がってるんだね。
著者プロフィール
清水ミチコの作品





