吹上奇譚 第四話 ミモザ

  • 幻冬舎 (2022年10月26日発売)
3.61
  • (10)
  • (14)
  • (15)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 266
感想 : 22
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 / ISBN・EAN: 9784344040403

作品紹介・あらすじ

私はもう、あなたなしでは歩けない。単なる友だちだけれど。海と山に囲まれた吹上町で、ミミは霊媒師の美鈴に出会った。母親により痛めつけられた美鈴に、ある日妊娠が発覚し──。傷と再生、欲と本質、自然の力を描き切った傑作長編、堂々完結。読むとそれだけで心の底にたまり、後からじわじわと効いてくるタイプの作品ではないかと思う。──吉本ばなな

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最終巻。娘のミモザの誕生とともにすっかり普通の人間になった美鈴。この小説でまさか『きさらぎ駅』が出てくるとは思わなかったけど、何となく言いたいことは分かる。常に移り変わる人の世ではついていけなくなった人達は置き去りにされる。そんな残酷な世界でも生きていくと決めたんだなと思う。

  • 『娘が母を殺すには?』で紹介されてて読みたくなった本(シリーズ)、第二弾。
    本の中の世界観にどっぷりつかって、一気に4冊読み切った。家族にあらすじを紹介しようと思ってストーリーを思い返すと、人物設定もストーリー展開も奇想天外すぎることにやっと気づいて、笑けてきた。
    こんな不思議な世界に、読者を没頭させるばななさんやっぱりすごい笑

  • 半分生きてて半分死んでいる。
    主人公・ミミを含め吹上町に住むミミを取り巻く人々はみんなそんな感じ。
    つねに生と死の境目にいて、それぞれにやり方は違うけど、人間界の中でいわゆるシャーマンのような役割を担っている。

    第五話で完結(予定だったと思う)のこの小説。この第四話は「つなぐ」位置づけなのだろうか。美鈴(霊能力者、訳あって喋れない)に大きな変化はあったものの、それ以外の変化は大きくなく、どちらかというと思想や哲学的な要素が強かった。
    簡単に言えばみんな変(褒め言葉。笑)
    「普通」の人間なら受け容れられないし許さないよね、というようなこともむしろ喜んで受け容れたりしていて、そういうのって通常の場合は時とともに気持ちも変化していくかも…と思うけど、吹上の人々に関してはそれもないだろうな、となぜか確信を持って思える感じ。
    ここまでの流れがあるシリーズものの感想なので抽象的になってしまうけど、「あぁみんないいな、みんな好きだな」って思う。

    自分を肯定して自分らしく生きるって難しいし、我慢のない場所に行くことに罪悪感を覚えてしまう、私たちはそういう世界に生きている。
    でも、果たしてそうなのか?ということも考える。自分で難しくしてるだけで、本当は簡単なことなのかも、って。
    このシリーズを読んでいるとそういうことをするっと思う。自分を肯定して、関わる人たちを肯定して生きる、奇妙なのに優しい世界だから。

  • 手に取ったら、第四話だったけど、多分読めると思ってトライしてみた。
    不思議な世界で生きる、関係ある人との繋がり、
    思い、でも異世界には行きたくない。
    そんな心情が伝わってきた。
    ばなな さんの作品読むの久しぶりだけど、不思議な感覚満載。

  • 最終話とのことで楽しみだったが、だらだらとして退屈だった。

    世界のどこかでひっそりとだが自然に任せた清らかなエネルギー、例えば墓守くんの花束の様に、例えばコダマさんの作るアイスの様に、例えばお母さんの作るお弁当の様に、例えばこだちの作る洋服の様に、エネルギーを発生させることによって、波紋の様に良い波動が世界に広がって行く。
    吹上はどうも今でも異世界にある様だが、如月駅の例えがちゃんと分かっているかどうか自信が持てなかった。
    ばななさんは宇宙の法則や思考を何かヒントにして欲しい様だが、小説としてのドラマに織り込んで欲しかった。
    まるで私の苦手な実用書を読んでいるかの様で上滑りしてしまった。
    『ミモザ』として一冊に区切る必要があったのかなぁ。
    最後の方で
    『男性とつきあってもあまり続かず、母と妹と妹のだんなの家に居候同然で暮らしている欠陥人間なのに』
    とあり、「欠陥人間」という表現にも違和感を覚えた。

  • いきなり完結編を読んでしまった!
    三分の一くらい読み進んで、なんとなくストーリーがつかめてきて、読み終わったときは、心が温かくなった。
    傷つき疲れた心を癒やす、人との繋がりがとてもよかった。
    絶対、1話から読み直したい!

    2023.2.17に再読した。
    一話から読んで、やっと話しが繋がった!
    やっぱり、順番に読むのをお勧め。

    親に虐待を受けて傷ついた美鈴が、
    妊娠して、親と同じことをするかも、という不安。読んでいて辛かった。
    ミモザが生まれて、本当に嬉しい!
    命の誕生のエネルギーが弱った人の心に希望を与える気がする。

  • 墓守くんはミミにとってこういう存在だったんだ

    登場人物それぞれのあり方、傷との付き合い方は今、そしてこれからの参考書みたい

    キレイな話
    お伽噺を侮ってはいけない 
    時間は流れるのではなく積み重なっていく 
    一瞬、一瞬を生きている
    なにかを守り育て豊かにするものと
    何かを傷つけ、恐れさせ、破壊するもの
    なぜその両方があるのか
    分からない
    私達はどのようにも生きることができると思い出させてくれる

  • 風土病と伝説のある村で……という感じの伝奇。でも暗さがなくてさっぱりしてる感じ。キャラと雰囲気が良いのかな。こだちと美鈴、墓守くんがすごく好き。一旦4巻で終わりなのが淋しい。

  • 強いなぜか最後からよんだ。意味が分からないなと思ったけど想像しながら読んで面白かった。はじめのとこから読みたいと思った。亀の瞑想わたしもしたことある。、猫と

  • うとうと眠りながら。
    夢か現か。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉本ばななの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×