- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784344040892
作品紹介・あらすじ
産廃の闇に消えた二つの命。遺族と向き合う刑事が執念の捜査で摑むのは真実? 冤罪?警察小説のヒットメーカーが満を持して放つ、傑作ヒューマンミステリー!少ない降水量にもかかわらず、雨により埼玉県の黒部山で土砂崩れが発生した。一人が行方不明になるなか、瓦礫からは不法投棄された産業廃棄物が大量に発見される。県警は事故ではなく事件と判断、捜査一課の奈良健市も捜査に加わる。捜査本部は崩落発生地の所有者特定に着手。すると、意外な人物の名があがった。それは迷宮入りさせてしまった十六年前の殺人事件で、奈良が犯人だと確信し、逮捕直前まで迫った因縁の相手なのだが……。
感想・レビュー・書評
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「雨に消えた向日葵」の奈良刑事続編。
産廃の闇に消えた二つの命。
一人は、土砂崩れに巻き込まれた派遣清掃員の女性。そこは、16年前、産廃処理場計画地で一人の反対運動の男性が殺された場所だった。
現在、行方不明の女性を捜索しながら、16年前の未解決殺人事件を同時に追う。
土砂崩れが起きた原因から過去の産廃処理場建設のトラブルの回想へと、見事な流れ。
吉川さん、すごーく上手。
たぶん資料収集等も丁重なんだろうけど、産廃という関わるのが難しそうな問題を取り上げて、
あれやこれや近年話題となったような社会問題をぼこぼこストーリーに取り込む。
そのうえで、ほおっていう結末を準備している。
タイトルの虚心ー素直になることーがどこにかかるのだろうと最後に近くなるまでわからなかった。
産廃の闇は、作られたもの。 -
吉川英梨さん著、「虚心」
「雨に消えた向日葵」の主人公、埼玉県警の奈良刑事の2作目の作品。
作風としては前作と同様、奈良の執念の捜査が物語の主軸。
タイトルの「虚心」の通り反対運動、デモ、闘争、そして捏造へと渦巻いていく中で、状況や環境や背景や対人関係からの先入観で真実や真相が偏向してしまうというストーリー。その傾向は物事を捉えれば捉える程加速していくように一方的に傾いていく。
やはり前作同様、色んな角度からの不穏さが加わり、現在と過去が平行しつつ物語は進んでいく。
非常に引き込まれる作品だった。
作中にあった言葉だが「正義の暴走」という言葉が正に「虚心」であると感じた。
世の中にある「危険な思想」や「ハラスメント」「教育問題」「戦争」やあらゆる争い事のだいたいはこの「正義の暴走」なのではないか?と感じさせられる。
正しいか否かは別として、己の正義をかざせば賛同しえる人々は関心を寄せ沸き立つ様に増えていき一つの方向に力を蓄えて傾向する。そして枠を越えた暴走も生まれる、ムーブメントとしてその中にはある一定の強い正義があるこそ。
それをこの「虚心」という言葉の中に描ききっている作者、凄い方だと感じた。
とても興味深いトピックだった。
次の奈良シリーズも執筆されることを心より期待している。
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はっきり言って最初の50ページくらいで全部読めまして
こうなって、こうなってこうなるんだろな
犯人はこの人だろなって
もう丸わかりです、簡単です、イージーです、イージス艦です
イージス艦というのは主に索敵に優れ、対空攻撃を担う艦船のことです
あ、今イージス艦の説明はいらない?あ、そうですか、空母とかも大丈夫?あ、そう航空母艦のことなんだけど、いらない?
イージーなのに凄い面白かった!
もうね、みんなちょっとこれは読むべきやわ
日本人は読むべきやわ
ものすごいいろいろ「学び」がありましてよ
そして話の進め方が凄い良い
なんとなくそういうことなんだろうなと思ってるんだけど、答え合わせの速度が凄くちょうど良い
そしてやっぱり奈良刑事が好き
冒頭でこれでもかってほど奈良刑事好きにならざるを得ない案件を詰め込んできてあざといんだけど、あざといのは分かってるんだけど好き
恋は盲目よね-
2023/08/05
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2023/09/16
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2023/09/16
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『雨に消えた向日葵』で主人公の奈良健市が、今作もメインになって活躍する。
埼玉県の黒部山で土砂崩れが発生し、一人の行方不明者が…。
瓦礫から不法投棄された産業廃棄物が大量に発見され、崩落発生地の所有者を辿ると16年前の殺人事件で犯人だと確信していた男だとわかる。
この未解決殺人事件の真相も明らかにしなければ、という執念と現在の産廃に関わる闇に鋭く突き進む奈良。
前半は、ぬる〜い感じで進んでいたので、少々ありきたりな警察小説で終わりなのか、と思っていたが後半以降に切れ味が増していく。
ただ、もうひとつ大きな揺さぶりが欲しかったなぁ。
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前回「雨に消えた向日葵」で執念の捜査でわたしの心を鷲掴みにした埼玉県警の奈良刑事。
あの奈良さん第二弾です‹‹\(´ω` )/››
もう執念の捜査とか何年越しの捜査とか大好き!
地道とか過去を掘り起こすとか大好物!
その筆頭にいるのが奈良刑事(●︎´艸`)ムフフ
更に嬉しい事に刑事なりたての若かりし奈良の事件と、今回の秩父土砂崩れが関わってくるんです。
16年前に小山(現在は部下)の下で殺人犯を捜査し今だ未解決の事件。
今回の不法投棄による土砂崩れは、16年前に小山と奈良が犯人だと追い詰めていた人物が関わっていると執着の捜査が始まります!!
虚心とは…
わだかまりを持たない心。先入観を持たない、すなおな態度。
まさにこの虚心が全てでした。
16年前若造だった奈良が今回の捜査でも泣かせてくれました(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
吉川英梨さんはテロだのハラマキだの過激なのじゃなくて笑
この奈良さんシリーズに力を入れて欲しい!!
ぜひ次回作を\(//∇//)\
カリスマメロン氏またまた感動だよ笑
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ねぇ、暑くて半分溶けてます(。⌓°꒷꒦⎞
ひまわりさんは太陽に向かって咲き乱れてますか。
あ、うちの向日葵咲きましたねぇ、暑くて半分溶けてます(。⌓°꒷꒦⎞
ひまわりさんは太陽に向かって咲き乱れてますか。
あ、うちの向日葵咲きました2023/07/20 -
2023/07/20
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2023/07/20
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奈良シリーズ2作目
執念よねぇ。奈良といえば執念よねぇ。
大量に不法投棄された産業廃棄物が引き起こした黒部山の土砂崩れ。行方不明が1人。産廃による業務上過失致死として捜査が開始される。そこで名前が上がった人物。それは16年前、黒部山の産廃最終処理場計画の反対派が殺された事件で容疑者として奈良と小山が追っていた人物だった。16年前は容疑者を逮捕できず事件は迷宮入り。今回こそは…!
絶対に犯人を捕まえる!
被害者とその家族の無念は必ず晴らす!(なんか「捜査一課長」内藤剛志の決めゼリフみたいになっちゃった笑)。前回同様の地道な捜査と熱い想いよ!!
今回の注目ポイントは奈良の「かわいさ」ですね。16年前の新人時代、小山の下で初めての殺人事件に奮闘する奈良。車のチェーンの付け方を間違えて小山に「バカたれ」と言われている奈良。かわいい。
土砂崩れで行方不明になった女性の孫、壮真。壮真に1番懐かれているのは自分だと思っている奈良。かわいい。46歳になり涙脆くなってる奈良もいい。
16年前の事件の回想シーンは「なんだよ〜、小山にスポット当てるのかよ〜( ・̆༥・̆ )」と思いましたが、それも奈良のかわいさを引き立てる為の小山だったんですね笑
【虚心】とは、わだかまりを持たない心。先入観を持たない、すなおな態度。
最後まで 事件の真相がわからなかったわたしには【虚心】がなかったのですね。小山と一緒でʅ( ・᷄֊・᷅ )ʃ
☆マイナス1の理由は 今回も容疑者 参考人の人数が多くて「あれ?これ誰だっけ?」となったこと。いや、これは私の脳みその小ささの問題なので 他の方は楽しく読めるでしょう。-
漢字にすると2時間ドラマとかでありそう笑
そう言えば 2作目読んで 熱海の土石流のニュース思い出したけど、熱海の方は違法産廃じゃなくて 違...漢字にすると2時間ドラマとかでありそう笑
そう言えば 2作目読んで 熱海の土石流のニュース思い出したけど、熱海の方は違法産廃じゃなくて 違法盛り土だった。2023/10/05 -
2023/10/06
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ありゃー、奈良ファンはたくさんいるもんだ。
早く順番回ってきますよーに
そして奈良のかわいいところを語り合えますよーに
(‘v’*)フフッ♥ありゃー、奈良ファンはたくさんいるもんだ。
早く順番回ってきますよーに
そして奈良のかわいいところを語り合えますよーに
(‘v’*)フフッ♥2023/10/06
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すごい作品でした。
シリーズ前作の「雨に消えた向日葵」は途中で犯人が分かったこともありサクサクと読めた反面、面白かったけど物足りないと言うか重みを感じなかった記憶がありますが、本作はいやはや考えさせられました。
主人公の奈良刑事のキャラクターがなんとも魅力的。決して完璧な刑事ではなく、失敗も間違いも犯します。けれど一貫として持つ刑事としての意志・信念があり、今回はその矜持が事件解決へと導いた気がしてなりません。
産廃の不法投棄が原因で起きた崩落をきっかけに、かつて同じ土地で起きた最終処分場建設をめぐる反対運動と未解決のままの殺人事件がまさかこんな風に結び付くなんて。すごい。
登場人物が多く、過去と現在を行き来する展開なので読み続けるのにはなかなかのエネルギーを要しましたが、最後まで読んでよかったです。エンタメ性もありつつ、社会問題を読み手に問う重さも兼ね備えています。
本作を読みながら改めてゴミ問題について思いを巡らせました。目を背けずにしっかりと考えて向き合っていかなければならないですよね。
こんなテイストならば、奈良シリーズの続編があることを願わずにいられません。
本作も2クールくらい使って是非ドラマ化してほしいです。
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「雨に消えた向日葵」でこの作家さんを知り、同じ奈良刑事シリーズということで今回読んでみた。
"虚心"とは、わだかまりを持たない心。先入観を持たない、すなおな態度。
あえてこの意味を調べずに読んでみて、読み終わって調べてなるほどとすっと腹に落ちた感じがした。
そして、日々自分も抱いてしまう"虚心"について考えさせられる作品だった。
もっと人のことを多面的な視点で見ることのできる人間になりたいですね。そして思い込み、先入観に捉われてしまってはいけないなと。
ストーリー的なところで言うと、なんとなく「こいつは犯人ではないだろうな」ということはわかったが、意外な犯人には驚いた。
産廃業者、不法投棄に関する問題が大きなテーマだったが、これまであまり知らない領域ということもあり、内容も非常に面白かった。
ただ「雨に消えた向日葵」には劣るかな。あとちょっと長く最後の方は読むのに息切れしてしまった感はある。
とはいえ、奈良刑事シリーズ第三弾にも期待したいと思います。 -
虚心
「心になんのわだかまりもないこと。先入観などをもたないで、さっぱりとした素直な心でいること。」
コトバンクより
虚心という言葉の意味をなんとなく分かっているような分かっていないような自信がなかったので調べてみた。読んでいる間はこの虚心がすっかりと抜けていた。そのため、後半に差し掛かってから、思いっきり頭を引っぱたかれたようにこの言葉の意味を理解した。物語なのだから著者のストーリーに見事に乗せられたとも言えるが、それにしても全く虚心で読み進めていなかったことを痛感した。よくよく思い出してみると、事実も描かれているというのに。
埼玉県の黒部山で土砂崩落が発生するところから始まる。それに巻き込まれて一人が行方不明となるが、たいした雨も降っていない状況で本来なら起こるはずがない。瓦礫から不法投棄された産業廃棄物が大量に発見され、16年前の未解決事件との繋がりが浮かび上がる。
ネタバレにならないようにとは思いますが、フィルターをかけずに書くので、まっさらな状態で読みたい方はここでそっと閉じてください。
大筋は産業廃棄物の不法投棄を追うことだが、居住地域の存続と繁栄を何十年にも渡り願う人々の想いが根底にある。立場は違えど目的は同じはずである。しかし、手段によっては容赦のない行き違いをもたらす。たとえ、思い違いや認識不足がその理由であったとしても、一度思い込んでしまったら人は易々と変われない。そこを最終処分場建設可否や産廃業界全体を通して描かれている。
差別、偏見、思い込み、集団心理、文化、確執、保身。その全てが複雑に絡み合う。事実が曲解される。利益や未来を考えれば正しい道を共に歩めるように思う。しかし、印象や心象が道を誤らせる。純粋に正義と信じるが故に対立を生み、その隙に悪意がつけ込んでくる。とても許せない。
行方不明者の若月愛子の宝物に思わず泣きそうになる。孫の壮真のある日の寝姿にまた思わず泣きそうになる。埼玉県警の奈良と小山の行動に胸が熱くなる。あと一番の功労者にも。事件を追うのに非常にハマり込んだが、他の登場人物たちもそれぞれの魅力を存分に堪能した。傑作ヒューマンミステリーとあったが納得。 -
何が正義なのか?
周りの雰囲気や先入観に惑わされず、実際に自分の目で見て、頭で考え、自分なりの正義を持つ。
それはとても大切だけれども、難しい事でもある。
自分が信じる正義を無闇に振りかざすと、それは誰かにとっての暴力になりかねない。
著者プロフィール
吉川英梨の作品






要する学年と紐付けして覚えてたんだな
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