恋する殺人者

  • 幻冬舎 (2023年6月7日発売)
3.16
  • (10)
  • (45)
  • (70)
  • (29)
  • (5)
本棚登録 : 612
感想 : 62
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 / ISBN・EAN: 9784344041172

作品紹介・あらすじ

ええええっ!? どういうこと?ラブコメミステリと思いきや、本格ミステリの大傑作!真帆姉は、本当に事故で死んだのか。大学生の素人探偵が辿り着いた真相は、純情? 愛情? 過剰? 異常?“読書”の快楽が存分に味わえる、これぞ本格ミステリ。大好きな従姉の事故死に不審を抱く大学生・高文は、彼に片思いするフリーター女子・来宮を“助手”に真相を探っていく。大型猫科肉食獣を思わせる担当刑事・鷲津にあしらわれながら“捜査”を進める高文だが、彼が協力を依頼した人が次々と殺されていく。一体、何がどうなっているのか――?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 男女の距離感が絶妙で大好き!ライト&ラブリーテイストで、仕掛けが丁寧な恋愛ミステリ #恋する殺人者

    ■あらすじ
    大学生である主人公の高文は、従姉真帆が事故でなくなってしまったことを不審に思っていた。慕っていた従姉のために、女友達の来宮とともに事件の捜査を行っていく。しかし捜査を進めるにつれ、さらに事件は発展していき…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    可愛い作品ですね~
    変に気取ってなくて好感が持てますね、こんな物語は大好きです。

    圧倒的に推したいのは、登場人物たちの会話部分。
    ユーモアと愛嬌に溢れ、ほんわかしたやり取りがめっちゃイイ!…と思いきや、あまりにもあっけらかんとした犯人目線の愛情&狂気が鬼怖いんですよ。若い男女の恋する気持ちが可愛くて、なんどもほっこり&ガクブルさせていただきました。

    謎解きミステリーとしては流石は倉知先生の作品でしたね。
    さらりと伏線が忍ばせてる辺りは本当にお上手だし、真相への導き方もシンプルながらも強烈。そして甘い世界観で煙に巻かれ、気づきにくい。

    ライトで読みやすく、登場人物たちの心情も分かりやすい。しかも仕込みもしっかりとした良作ミステリーでした!

    ■ぜっさん推しポイント
    男女の距離感が素晴らしいんですよね。
    高文が真帆姉を慕う気持ち、明確な男女の仲ではないんだけど、姉弟以上の想いが見え隠れする。そんな高文をいつも横で見ている、来宮の目線。そしてそれを優しく受け止めている高文。

    互いを見つめあっている絶妙な距離感に、恥ずかしながら若かりし頃の恋愛を思い出してしまいました。胸にじんわり来る良作でした!

  • とても読みやすくて面白かった。
    タイトルからしてポップな感じだったけど、内容もテンポよく進むので、ミステリ不慣れな方でも読めちゃいそう。
    ネタバレになっちゃうからあまり書けない…
    恋は怖いよね、いつどこで誰にどんな感情を持たれてるかわからないものね。
    私はあまり考えずに読むタイプなので、作者の思うつぼですね(笑)

  • 実の姉のように慕っていた従姉の死が事故だったとは納得できない主人公・沢木高文の視点の語りと、高文に恋するあまり真帆子を殺した犯人(まさにタイトルどおり!)の視点の語りが交互に出てきて、ストーリーは進みます。軽やかなテンポで分かりやすそうな文体、と思ってたら、もう倉知淳さんの仕掛けた罠にハマっちゃっていた! 恐れ入りました!

  • 大学生高文は,従姉妹の転落死に疑問をもち独自に捜査する。犯人視点の記述あり。思い込みの激しい犯人が,身勝手な理由で3人も殺すのは気分が悪い。

  •  姉とも慕う従姉の不審死。警察は事故死の方向で捜査していたが、高文は事故ではなく殺されたのではないかと疑いを持つ。死の直前に従姉は、誰かに後をつけられている気配がすると高文に打ち明けていたからだ。
     早速、友人の手を借り独自で調べ始めた高文だったが……。

     素人探偵が見えざる殺人鬼と対峙する謎解きミステリー。物語は、高文視点と殺人犯視点で交互に語られていく。
              ◇
     大学生の高文は、幼い頃から姉弟のようにして育った従姉の真帆子のことが大好きで、高校時代からの友人である美咲からも「イトコン」とからかわれるほど。

     その真帆子が友人宅からの帰りに、坂道の長い石階段から転落死した。警察や関係者は事故死との見方を強めるが、高文は殺人を疑う。
     死の数日前、誰かに尾けられている気がすると、真帆子から聞かされていたからだ。

     真面目で優しいだけが取り柄の地味な大学生の高文だが、果敢にも真帆子の死の真相をつきとめようと決意する。高校時代からの友人でありコミュ力の高い来宮美咲の協力を得て、高文はさっそく独自の調査を開始した。
     ところが話を聞かせてもらおうとアポイントをとった真帆子の友人たちも次々と何者かに襲われていき……。

          * * * * *

     あらすじだけ見るとハードなホラーサスペンスのようですが、探偵役を務める高文 − 美咲コンビに緊迫感がなくユルさの目立つやりとりで進行していくという、まるでラブコメディのような作りでした。

     タイトルどおり、犯人は高文への恋心に身を焦がすあまり殺人に手を染めていくのですが、そんな異常性格者は現実にも存在すると思うので、設定としてはよい。
     けれど、それならその狂気はなぜ、高文に片想い中で行動をともにしている美咲に向けられなかったのか。 ( ネタバレ御免 ) そのあたりが甘く感じられて気になりました。

     また、主人公の高文やヒロインの美咲、そして犯人。物語に奥行きを出させる重要な登場人物であるのに、いずれも描写が浅く、さほど魅力的に感じませんでした。
     だから高文が犯人と対峙するクライマックスや、エピローグで美咲が高文に対して彼女宣言をするシーンがあまり盛り上がらず、ミステリーとしてもラブコメディとしても物足りなさを感じてしまうところも残念です。

     ただ、殺人シーンや死体の描写が至極あっさりしたものだし、ミスリードを狙った叙述トリックもわりと単純でわかりやすかったので、ハードサスペンスが苦手な人やミステリー慣れしていない人にはぴったりの作品だと思います。

  • 1〜2時間程度で読めるライトな小説だが、とてつもない衝撃を残していく良作本格ミステリー。読書リハビリには最適の読み物。帯にも書いている通り「えええええ、どういうこと!?」と叫びたくなる衝撃の真相。だが、冷静に思い返してみると必要な伏線は全て揃っている。まさか伏線達もそんな使われ方するとは思ってもみなかっただろう。ミスリードの神。無駄な描写はほとんどなし。本格ミステリーとして最適化された文章で構成されているため読み終わるのも早いが2回目読み直してみると一文一文の意味の重さにビビる。ミスリードの神(2回目)。読書苦手な人にもオススメできる良作。

  • とても読みやすかったけど、内容が薄い。
    こんなに簡単に人が殺せるようじゃ世の中殺人事件だらけになってしまうよ。

  • 珍しく真相に自力で辿り着けた。
    作者様がヒントを大盤振る舞いしてくれたおかげですけど。
    最後の細かい種明かしで気づいたことも多かったし。
    サクッと読める長さで、読了感も悪くなく、ちょっと時間がある時にオススメしたい一冊。

  • 従姉が階段から落ちて亡くなった。警察は事故と判断しているが、沢木高文は姉のように慕う真帆子の死に納得できず友人の来宮とともに調べ直すことにした。最後に会った際、真帆子が後をつけられている気がすると言っていたことを思い出して…。
    タイトル通りの内容なのだけれど、表紙のかわいさと犯人のやってることの落差がすごい。沢木視点と犯人視点があり、犯人の思考回路がこわい。ストーカーの思考ってこういう感じなんだろうかと思う。

  • 犯人独白型でわかりやすい…と見せかけたどんでん返しもの、なのかな。
    この著者がそんなストレートなもの書くかと思うと、真相に意外性はない。にしても、動機と犯行がひどすぎる。
    読み心地は不快。

全62件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

一九六二年静岡県生まれ。日本大学藝術学部卒。九三年「競作 五十円玉二十枚の謎」に応募し、若竹賞を受賞、九四年『日曜の夜は出たくない』で本格的に作家デビュー。二〇〇一年『壺中の天国』で第一回本格ミステリ大賞を受賞。著書に『星降り山荘の殺人』『片桐大三郎とXYZの悲劇』『皇帝と拳銃と』『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』『月下美人を待つ庭で猫丸先輩の妄言』などがある。

「2021年 『作家の人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉知淳の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×