ストレスフリーの資産運用 投資は米国債が一番!

  • 幻冬舎 (2023年5月24日発売)
3.47
  • (1)
  • (8)
  • (4)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 80
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041202

作品紹介・あらすじ

米国債への投資こそが、あなたの資産を安全かつ確実に増やしてくれる方法です。(しかも、やり方は超簡単)これが米国債投資のメリットだ!・値動きに一喜一憂しなくていい・買ったら償還日まで持ち続けるだけでいい・返済額が保証されている・◯◯ショックにも強い・長期債を買えば自分年金にもなる etc…元ソロモン・ブラザーズ債券資本市場部長が・米国債はなぜ安全&安心なのか?・どれくらい利益が出るのか?・どうやって買うのか?を徹底解説!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ストレスフリーの幸せ投資」をモットーにする本。

    この、「ストレスフリーの幸せ投資」とは、「世界で一番安全な金融資産への投資」であり、株のように「売ったり買ったりを繰返すこともないので、何の技もいらない、いつ買っても買っただけの安心が得られる」もの。

    投資とは、本来、博打的な要素があり、よってストレスフリーとは真逆に思われるが、では、著者の言う投資とは一体どんなものなのだろう?

    その答えは、本書のタイトルにある。
    すなわち、米国債への投資である。

    ではなぜ、米国債に投資するとストレスフリーになれるのか?

    それは、以下の理由による。

    ①償還期限が決まっている
    ②返済額が保証されている
    ③ 複利運用できる
    ④ 円だけを保有することはリスクである
    ⑤ 米国が破綻するリスクが極めて小さい

    ①と②は米国債に限らず、国債一般のルールだが、期限通りに決まった金額が返済されるかどうかの裏付けが、米国債は特に高いと言うことだ。

    もう少し詳しくこれを見ていくと、まず①と②は、国債というのは、最初に国に一定期間投資をし、その期間が到来すると元本が返済されるという仕組みになっているということ。
    また、その期間内に利子が付く国債を利付債と言い、償還期間が長くなるほど、利子(金利)は上がっていく。

    ③④⑤は、日本や世界と米国債の相対的な比較の話だが、まず③は、米国債では日本債では認められていない複利運用が可能。

    複利運用とは、元本から生じた利息を元本に足して、その合計に対してさらに利息が付されること。
    つまり、利息が利息を生む、非常に効率の良い投資手法。

    具体例で説明すると、
    元本100ドルの30年債に単利と複利で投資した場合、次のようになる。
        
          金利3% 金利4% 金利5%
    単利運用   190 220 250
    複利運用   244 328 440

    上図のとおり、金利3%の時で単利と複利の差は3割、金利5%の時では8割近くにもなる。

    この複利運用が日本国債に認められておらず、しかも金利は、10年ものの日本国債が0.4%前後、米国債は3.8%前後(いずれも2023年7月現在)と金利だけでも10倍近い差がある。

    この日米の国債比較からも④の意味がわかるであろう。

    このほかにも、日本のリスクとしては、長期的な人口の減少(労働力不足、年金の支え手不足など)、政府債務(≒国債)のGDP比は、日本が263%、米国は126%と日本の半分である。

    しかも、日本の債務残高は、現在1,458兆円で、1989年当時の282兆円からわずか30年ちょっとで1,176兆円も増えている。

    また、外国の例で言えば、ノルウェーの公的年金ファンドの運用方針の第一は、「自国の株式・債券などの金融資産には一切投資しない」である。

    これらが、日本だけに投資することのリスクであり、それはすなわち、日本との比較における米国債の優位性でもある。

    そして最後に⑤。
    それは、以下の理由による。

    ・アメリカ経済の潜在成長力の高さ
    ・産業競争力の高さ(GAFAMなど)
    ・金融競争力の高さ(シリコンバレー、世界のマネーを集められる資本市場)
    ・食料・エネルギーの自給率の高さ(シェールガス)
    ・軍事力
    ・政府債務のGDP比(前述)

    以上が米国債の優位性であるが、果たして米国債にはネガティブな点はないのだろか?

    その点については、本書でも言及されている。

    まず、外国債一般に言えることとして、為替のリスクである。

    つまり、米国債の償還時にドル安(円高)になっていた場合、受け取れる金額はその分減少する。

    具体例で見てみると、1ドル=100円の時に、1万ドルを金利4%の米国債に投資した場合、償還時も為替相場が同じ場合の金額は3,280,000ドルを受け取れる。

    仮に上例で為替が1ドル80円になっていた場合、償還時金額は2,624,000ドルとなるが、元本100万円に対しては164万円の利益が出ている、つまり元本割れはしていない。

    では、どこまでドル安が進んだら元本割れするかといえば、それは、1ドル=約30.5円…。
    これは、前述の日米の経済格差を考えると、発生する可能性が極めて低い事態と言える。

    一方、米国そのもののリスクはどうか?
    実は、この点については、著者の見解が楽観的に過ぎる気がした。

    例えば、リーマンショックやウクライナとロシアの戦争などの際にも、アメリカの経済は痛みを負わなかったとか、そんな時でも最も買われたのが米国債であるなどという主張である。

    これ自体は事実なのであろうが、今後も今まで同様、アメリカ経済が揺るがないのか、もう少し精緻な分析がほしかった。

    とはいえ、投資と言いながら、運用次第では元本の3倍、4倍のリターンが得られ、かつ、元本割れのリスクが少ない米国債は、他の金融商品(株や債券)と比べても安全性は極めて高いという著者の主張は一聴に値するものであり、米国再投資をしてみようと思わせる説得力はある。

  • 簡単そう

  • 金利次第ではあるが、投資対象としてもっとアメリカ国債が注目されてもいいと思う。株式に関する本はごまんとあるが、アメリカを始めとする国債及びグローバル企業の債券に関する本は数える程しかない。こういった本がもっと増える事を願う。

    ただ、背表紙の情報は若干ミスリードさせる恐れあり。1993年当時のアメリカ国債30年金利は6.68%、2023年8月時点ですら4.203%。だから冒頭で言った「金利次第」となる。本書103ページの表を確認した方が良い。

    後、自分はやはり対米ドル為替も円からドルへ変えるタイミングの判断材料とする。自分の場合は1ドル120円±5円がラインだが、それは十人十色、レートの歴史を見ながら考えるのがいいのではないかな、と思う。

    大垣書店烏丸三条店にて購入。

全3件中 1 - 3件を表示

林敬一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×