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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784344041271
作品紹介・あらすじ
巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。光も音も届かない絶対的迷宮。生還不能まで6時間。想像の限界を超えるどんでん返し。救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。
感想・レビュー・書評
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「アリアドネ」とは何だろう、作品タイトルの「アリアドネの声」とはどういうことだろうと、タイトルから何も想像できず、作品内容を知りたいという気持ちが高まった。次に、表紙の絵が何を表しているのかが気になった。そのような気持ちをもって作品を読み進めていく中で、タイトルの意味や表紙の絵の世界や状況を理解していくこととなった。そして、表紙の絵が、想像する作品世界をより鮮明にし、私のイメージを広げてくれた。私にとって、初めての井上真偽さんの作品。どんな描写をする作家さんなのか、その興味もあり、読み進めていく楽しさを存分に味わいながら、ページを捲り続けた。
主人公は、ベンチャー企業「タラリア」に入社し3年目の高木ハルオ。ハルオは、母と暮らす静岡の自宅から、東京にある「タラリア」の会社まで遠距離通勤をしていた。母と静岡に暮らしている状況は、冒頭に描かれているハルオの兄の出来事が影響していた。母とハルオ、互いを心配し思い合う気持ちを想像する。一緒に暮らすことを選ぶハルオと遠距離通勤といった無理をさせていると気遣う母のそれぞれの優しさを感じる。子供の頃の兄との大切な思い出という土台があって、その上で心の重石となる悲しい惨劇のシーンが描かれていて、私の中に暗く苦しい気持ちがずっしりと広がる。このシーンは物語の中で繰り返し描写され、ハルオの中に思い起こされている、そして読み進める私にも思い起こさせるかのように描かれている。その度にハルオを苦しめ続け、読む私も苦しくなる。こういう悲しい経験は、ずっと心の中で重くのしかかり、逃れることはできないかもと想像し、私の中に悲しみが広がる。そして、繰り返される「無理だと思ったら、そこが限界」という兄の言葉。この兄の言葉のハルオの解釈は、物語の展開の中で大きく変わっていく。そのことが、物語の展開にも大きく影響していく。最終的にはこの兄の言葉がハルオの活力となるシーンには、胸が熱くなった。それでいて、とても心地よくも感じた。
ハルオが勤務する会社「タラリア」は、社歴8年で50人弱の従業員をかかえ、ドローンビジネスを手掛けている。「タラリア」の同僚として重要な登場人物が2人。ハルオの入社時の教育担当、一児の母で30代の花村佳代子。2期上の先輩、我聞庸一。その他にも重要な登場人物として、ハルオの高校時代の同級生、韮沢粟緒がいる。ドローンの実技指導の講師と受講生として再会するハルオと韮沢。韮沢の9歳の妹である碧は、交通事故の被害で失声症になっていた。そのことに関連して、高校時代に韮沢はハルオが良かれと思って発した言葉に嫌悪を感じていたことを伝える。それを聞いたハルオは辛い気持ちを抱く。よかれと思って伝えた言葉が、相手に伝わらないこと、逆に嫌悪の感情を生み出させること、そんなことはあるだろうな。伝えた方は、よかれと思っている、そこはよく分かるけれど。この2人の関係を気にしながら読み進めた。
舞台は『WANOKUNI』 。地下に商業施設、オフィス、インフラ設備があり、地上に個人の住宅、教育施設がある最新のIT技術の粋を集めたユニバーサルデザインの地下都市構想。この状況に現実から未来を想像する世界へと導かれていく。『WANOKUNI』 のオープニングセレモニーにおいて、物語が急展開を始める。重要な登場人物となる知事の姪、登録者数10万人のYouTuber、中川博美。博美には『見えない・聞こえない・話せない』という三つの障害があった。この障害のことも、物語の展開に大きく影響していく。突然の地震が発生し、『WANOKUNI』も甚大な被害を受ける。地震発生後、地下5層に取り残されているだろうと推測される人物が明らかになる。それは博美であることをハルオが知り、ハルオの心中と同様に、私にも衝撃が走った。そして、博美は障害をもっていて声を発することができないので、発見と救出は困難を極めるだろうなと困惑した。地下から順に浸水が予想された。生死にかかわる緊迫の展開が続いていくだろうと苦しい気持ちになった。
そのような中、最新の高性能ドローン、アリアドネシリーズ第3世代『SVR-Ⅲ』による救助チームが編成された。メインパイロットはハルオ。サブパイロットとカメラなどの周辺機器操作担当は消防士長の火野。火野は、ハルオが指導したドローン操作の受講生だった。情報分析のサポート担当、我聞。進捗報告及びその他の雑務係、消防士の佐伯茉莉。作戦全体の指揮、火野の上司、長井禎治消防司令。そして、ハルオの会社の責任者として花村。
まずは、『見えない・聞こえない・話せない』という障害をもつ博美の所在確認が始まる。ドローンの性能と操作技術により、緊迫感の中にも安心感を感じる。なんとか見つけ出し、救いたいというチーム全員の熱意が伝わってくる。ついに、地下5層に生存している博美の姿が、ドローンによって映し出される。安心したのも束の間、そこからも、予想外の困難が次々に起こり続ける。それは、博美が『見えない・聞こえない・話せない』という障害があることに起因している。それでも、博美の生死がかかる過酷で困難な状況を乗り越えていくハルオとそのチーム。それは、知事の娘であり障害を抱えている博美だからというだけではなく、チームのメンバーそれぞれの使命や個人の背景、特にハルオには過去に兄を失った後悔が占めていた。そこにハルオが抱える苦しさとそれに対抗するもがきが表出していく。
新たな展開が生じる。失声症である韮沢の妹、碧が行方不明になる。『見えない・聞こえない・話せない』という障害がある博美の救出をしつつ、失声症の碧のことも気になるハルオとそのチーム。刻々と迫る浸水のタイムリミット、過酷で緊迫の展開がずっと続く。ラストに向かって明らかになるハルオの兄の思い。「無理だと思ったら、そこが限界」という言葉に込めた本当の兄の思い。そして、そのことは博美の通訳兼介助者の伝田志穂が明らかにしていく。言葉の解釈は、発した人と受け止める人で、異なることはあるだろうな。それを埋めるのも、また、言葉なのだろうな。言葉の解釈によって、人の心中は変わっていく。だから、言葉ってよく考えて発することが大切だし、伝わらないこともあると想定することも大切だろうな。
ラストに向かって緊張感が高まり、そして、胸に込み上げてくる衝撃。驚きの事実が明らかになり、胸にグッとくる。そして、ラストは、ほっとするとともに、緊張から安堵へと気持ちが変わった。柔らかな余韻に浸る。井上真偽さんの作品を初めて読了した。『WANOKUNI』という未来の街の設定やドローンによる救助、魅力的な登場人物、井上さんの繊細で丁寧な描写を読み味わいながら、これからの進化によって起こりうるかもしれない作品世界を存分に楽しんだ。また、別の井上さんの作品を読んでみたいと思った。
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ヒボさん、おはようございます(^^)
同じ作品とは思えないレビューで(汗)
「アリアドネの糸」とはそういう風に使われるんですか…
...ヒボさん、おはようございます(^^)
同じ作品とは思えないレビューで(汗)
「アリアドネの糸」とはそういう風に使われるんですか…
いい、勉強になりました!
連日遅くまでの読書ですね、読書の秋、満喫ですねっ♪
ただ、お疲れを残さないように気を付けましょうね…
お互いに(;'∀')2023/09/27 -
かなさん、おはようございます♪
読後評価が☆3つと☆5つの違いがありますから仕方ないですよ。
個人的には大満足の一冊だったので。
まぁ、おか...かなさん、おはようございます♪
読後評価が☆3つと☆5つの違いがありますから仕方ないですよ。
個人的には大満足の一冊だったので。
まぁ、おかげで完全な寝不足(苦笑)
今日こそ早く寝るぞ!!って思いながら、本書を読み終えてそのまま読み始めた本が(笑)
何を読み始めたかは今は内緒です☆2023/09/27
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井上真偽さん著、「アリアドネの声」
自分にとって作者の作品は初めて。
どうやら覆面作家さんとのこと。
前情報で2024年「このミス」で紹介されており楽しみにしていた作品。
巨大地震が発生し、地下に取り残された視覚と聴覚に障害を持つ女性を避難シェルターまでドローンで地上から誘導するという物語。
設定と導入は面白いのだが、ドローン誘導中の任務の最中にも関わらず緊張感が薄く、とても人の生死が関わっている状況での救助活動だと感じられなかった。
絶対的で絶望的な緊迫感が多分に欠けていて、自分は完全に馴染めなかった。
もっと救助する側も救助される側も「生死」に対して思慮を張り巡らせて必死になるものだと思うのだが。ましてや緊急災害時なのにも関わらず。
「無理だと思ったらそこが限界」の台詞なんて笑いながら周りの人と談笑するものじゃないだろう?
なんだかのんびりしている。余談を許さない状況ではないのか?
ミステリーとしても中盤で結末は推測できてしまい、最後の最後まで推測した通りで終わってしまった。
以前に読んだ夕木春央さんの「方舟」に似ていて、その時も感じたのだがこういったジャンル、脱出系ミステリー作品は自分には合わないと確信した。
人気作品だったからか、読む前から凄く期待していた作品だった。
その為、読む前の期待値と読後の満足感の差を物凄く感じてしまった。 -
高木春生は調査用のドローン、アリアドネを動かせる技師です。WANOKUNIプロジェクトを進めています。
そこへ令和のヘレン・ケラーと呼ばれる県知事の姪で障がい者(見えない、聞こえない、話せない)中川博美がやってきます。
その時、WANOKUNIを震度6強の地震が襲います。
そしてその時要救助者は、地下に閉じ込められた中川博美でした。
春生たちは博美をドローンで救助しようとします。
しかし、博美の行動を遠隔操作で眺めると、彼女の目が見えているのではないかと思われる奇怪な行動に春生たちは気づきます。
春生たちは彼女が知事の姪であることから選挙戦で有利になるように盛っているのではないかという疑いを持ちます。
生きるか死ぬかの瀬戸際で我が身を危険に晒すほどの完璧な演技ができるのか…?
また春生の高校の同級生の韮沢の妹の碧もまた、要介助者となります。
春生はドローンを一機、碧の方へ回そうと言い出しますが、やはり反対者がいて…。
字が大きく読みやすい本でした。
私も博美への疑念がわきました。
でも最後の結末まで読んでよかったと思える、すっきりわかりやすいお話でした。 -
鳥肌立ちました うーむ面白い!
井上真偽は「その可能性はすでに考えた」で小難しい理系バリバリの文書で構えていたが、ドローンうんちくはあるがその程度
先入観を大きく覆されるのを踏まえて大満足
ネタバレ厳禁だが、救出劇で救われたのは、
誰でもない主人公だろう。
ああー、「無理」という言葉は謹んでいきよう
琴線メモ
■SVR-Ⅲは、まさに「糸」代わりに要救助者の発する「音」や「声」を道しるべとして、救助に赴く──いわば「アリアドネの糸」ならぬ、「アリアドネの声」
■「そうですね。無理だと思ったら、そこが限界ですものね」
■自分には〈無理だ〉と思ったら、すぐに潔く諦めます。諦めて、もっと自分に〈できそう〉なことを見つけて、そちらに目標を切り替えます』
■成功のコツは、誰かと比べたりしないこと。あくまで比べるのは、昨日の自分。〈無理〉から〈できそう〉に、〈できそう〉から〈できる〉に──そうやって一つずつ成長の階段を上って、自分の可能性を広げていくことをお勧めします。
■俺はやっぱり、人間に「限界」はないと思うよ。だって人間には、本当に何が「無理」かも、想像できないのだから。
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地下に取り残された盲ろう者を救助できるか… 責任と挑戦、そして成長が胸に熱い物語 #アリアドネの声
■あらすじ
災害が発生し、盲ろう者が地下の街に閉じ込められてしまった。直接救助にも行けない環境のため、ドローンをつかって避難所へ誘導する救助作戦が決行される。ドローンドライバーである主人公高木は、決死の覚悟でミッションに挑むのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
井上先生、技ありの作品。ウマい。
いままで井上真偽先生の本は何冊か読んできましたが、本作は普段ゲームや動画コンテンツを趣味としている人にもイイ感じで楽しめるようにバランスが取れてますね。主人公の一人称+ドローン視点で常に臨場感があるし、ハラハラドキドキの危機感の展開や演出も見事。文章も会話も丁寧だし、柔らかく、そして謎解きとしてもお話としても大変綺麗でした。
本作の一番の推しどころは、主人公高木が過去の自分と向き合い、価値観に葛藤する部分ですね。
私も若かりし頃、会社の先輩に言われたことがあります。
「『できない』と言ったら、二度とお前に仕事はこない。」
それ以来『できない』と言わないようにしてましたが、最近は自己管理ができないことのほうが会社にとって害悪なので、できないときはむしろ速めに言うようにしてます。自分にできないことは、他人にやってもらったほうが、みんなのために合理的です、はい。
とは言え、本作の主人公はよく頑張った。挑戦する、責任を持つというのはやっぱり大事ですね。成長した彼を、これからも応援したくなりました。
■きっと共感できる書評
私や家族たちは、いわゆる五体満足に生きています。体や心に大きな障害もなく日常を過ごせるのは、とてもありがたいことですね。
かつて発達障害のある子を持つご家族に、お話を伺ったことがある。家族はとても大切でいつも一緒にいたいけど、一日にほんの少しの時間でも気が休める時間が欲しいとのこと。
世の中には騒ぎ立てたり、正論を振りかざす奴らもいる。忘れてはならないのは、本人やその家族にとってはそれが「毎日」であり「日常」なんです。口先だけであるべき論を振りかざされても、なんの説得力もありません。
勘違いしてはならないのは、弱いものを助けてあげたり、優遇してあげてほしいと言っているわけではありません。ただ、人と人は支えあうべきであると信じているのです。 -
ー 想像の限界を超えるどんでん返し
は、ちょっとオーバーかな。
確かに、結末にはゾワッと来るものがあったけど。
巨大地震が発生して地下に取り残された、目が見えず、耳も聞こえない女性をドローンで助け出すストーリー。
「無理だと思ったら、そこが限界なんだ」というセリフで自分や周りの人を何度も鼓舞する口主人公。スラムダンク・安西先生の「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」という名言を想起させるが、それより暑苦しく響いてくるのはなんでやろ?うざいなー
…と思っていたけど、最後は「ああなるほど!」とはら落ちしました。
暑苦しい言葉が押し付けがましくうざいほど繰り返されるところがポイントなわけです。
ストレートだけど、よく考えられている小説だと思います。
オーディブルで読む。
♫Wendorlan/Squarepusher(2024) -
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2023/08/25
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ハピアワさん、いつもありがとうございます!
このコメントすごく嬉しいです(*´꒳`*)
珍しく定価で買っただけに、元が取れて、さらにお釣りが...ハピアワさん、いつもありがとうございます!
このコメントすごく嬉しいです(*´꒳`*)
珍しく定価で買っただけに、元が取れて、さらにお釣りが来た感じもあります笑2023/08/25 -
それは何よりです♪
定価で買うのは勇気がいりますが、ちょっとテンション上がりますよねそれは何よりです♪
定価で買うのは勇気がいりますが、ちょっとテンション上がりますよね2023/08/25
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このミス5位。
読まれてる方も多くて気になってた作品♪
子供の頃事故で、救えるはずだった兄を亡くしてしまったハルオは、その後悔もあってか災害救助用ドローンを扱う会社に就職する。
その業務で訪れていた場所で巨大地震に遭遇してしまう。
そこで1人取り残された、"見えない、聞こえない、話せない"という3つの障害を抱えた女性を、ドローンを駆使して助け出そうとするのだが、、
といった内容。
ハラハラドキドキ息もつかせない感じか、と思ったけど意外とあっさりしてたかな?
帯が煽りすぎ〜(-ω-)笑
ただラストは、あ〜そうくるのね!そういう事か〜!と予想外の展開で驚いた。
ドローンにも知識がなかったのでこんな事も出来るのかと興味深かったし、臨場感はそこまでないものの面白く読めた。
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シンタロウさま〜、こんばんは( ^꒳^ )
やっぱりそうなんですね〜(><)
私は技術的な事さっぱり分からないんですが、シンタロウさまも言わ...シンタロウさま〜、こんばんは( ^꒳^ )
やっぱりそうなんですね〜(><)
私は技術的な事さっぱり分からないんですが、シンタロウさまも言われてる通り、ちょいちょいツッコミどころはありましたよね〜笑笑2024/03/05 -
エンタメ小説ですからね!
細かいところをいちいち気にしていたら楽しめないっ!とも思うwwwエンタメ小説ですからね!
細かいところをいちいち気にしていたら楽しめないっ!とも思うwww2024/03/06 -
2024/03/06
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井上真偽さん初読みでした、年齢・性別不詳の覆面作家さんなんですね。真偽と書いて〝まぎ〟だなんて、名前からしてミステリー?
最新IT技術の粋を集めた地下都市を巨大地震が襲い、<見えず・聞こえず・話せず>の三重障害のある女性が取り残されます。救助隊の進入不可、浸水のタイムリミットが迫る危機的状況下で、命運を託されたのが災害救助用ドローンでした。
物語は、ミステリーというより「災害救出ドラマ」という印象です。主人公や要救助者の背景が読みやすい文章で語られ、展開に引き込まれます。次々と不測の事態に見舞われながら、一つ一つ困難をクリアしていく緊迫感に手に汗握ります。
鍵を握るドローンの技術的進化のリアルさも伝わり、利便性とセキュリティの両立の困難さだったり、脆弱性についても考えさせられました。
中盤から〝ある疑惑〟が浮上し、ミステリー要素が膨らむことで、この救出劇がどんな方向に進むのか、スリリングな展開に拍車がかかります。
本書帯に「どんでん返しミステリー」とありましたが、個人的には「どんでん返し」に重きを置いた作品とは思えません。また、事件ではなく災害事故なので、ミステリー感を追求する深読みは不要に思いました。
謎がどう回収され、救出が無事完結するかと素直に読み進められました。きれいな結末にも好感がもて、楽しめた一冊でした。
著者プロフィール
井上真偽の作品





