肌馬の系譜

  • 幻冬舎 (2023年10月18日発売)
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041912

作品紹介・あらすじ

元始、男性は種馬であった。
そして、女性は、
その相手をする肌馬であった。

声高に叫ばれるモラルや常識の陰で、
ひっそりと漂う“現代の吐息”を描き出す、至芸の作品集。


「あたしは、肌馬そのものだったねえ」。自らを繁殖牝馬になぞらえた呟きをきっかけにこぼれ出す、母娘三代の密やかな本音を綴った表題作「肌馬の系譜」。

数々の言葉を禁句にし、男女のベッドの中にまで持ちこまれるPC(ポリティカル・コレクトネス)に女流作家・山川英々が憤慨する「F××K PC」。

歌舞伎町に流れ着いたホストと立ちんぼ、身元不明の匿名カップルの破滅的な青春を描いた「ジョン&ジェーン」。


……など、バラエティに富んだ珠玉の13篇を収録!!
現代最高峰の短篇小説の名手が贈る、超贅沢傑作作品集!!

感想・レビュー・書評

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  • アダルトな話ばかりでした
    何作か ?って理解しにくい話がありました

    読むときは、部屋や周りに人がいない時に
    読んだ方がいいかなと個人的に思いました

  • 短編集なので、読みやすく、内容もエロあり・社会風刺ありの13編。「私の愛するブッタイ」はクライマックスでぎょっとするが、妙にリアリティがあってドキッとする(一歩間違えば誰にでも起こりうる感じという意味で)ほかに、「ジョン&ジェーン」「ぼくねんじん」が好きです。

  • 「私の愛するブッタイ」が子どもを今育て生かすのに必死な私には刺さった。気持ち悪いし、一歩間違えたらこうなってしまうかもしれない様子が恐ろしくて。
    デビュー作からほとんど全て読んでるけど変わらないなー。読めばすぐ山田詠美の作品だってわかる感じが

  • 山田詠美さんが描く人間はずるくともいやらしくとも、気高く品があって自分の本物を知っているのだ。あとがきに共感。これからも人間の事情を丁寧に描いて欲しいな。戦慄したりクスッとしたり、自分と重ねたり。最後のお話が好き。

  • ポリコレとPC(ポリコレ)は時々相容れない。
    だからこそ、文学には意味がある。
    わかりやすいくらいにそんなことをわからせてくれる短編集だと思った。

    ぐちゃぐちゃとした情愛というか、歪んだ愛というか、愛故に歪むというか、そんな話もけっこう収録されていて、
    また、PC(ポリコレ)に対して疑問を投げかける話や表題作のように、時代を通した性に対する感覚の違いを投げかける作品もあり、と
    いろいろな面から人間を描くからこそ、いろいろ考えられる短編集だった。

  • 短編集。表題作はじめ性にまつわる問題や昨今のポリコレ事情との相性の悪さを語る短編があるかと思いきや、想像力を膨らませてくれるエロ短編もある。
    私はエロの方が好きで、面白おかしく読ませてもらった。

    『陰茎天国』は女性たちだけの村にびっしりと生えている陰茎の姿を想像すると、それだけで楽しい。しかも女性たちは自分のお気に入りの陰茎を見つけるため、いろいろな陰茎を試し、これと決めたら陰茎を自分好みにアレンジしたりしているのだ。映像化したらとんでもないだろうな。笑
    男が村を訪ねた時点で結末は見えてくるが、一捻りあって面白かった。

    『F××K PC』はもう分かったよというぐらいポリコレ全盛期である社会に対してのやりづらさが書かれている。私も同意する部分は多い。何だか気持ち悪い世の中だよね。本編と関係ないが、以前職場で「女性の管理職は増えた方が良いと思いますか」という意味の分からないアンケートがあった。性に関わりなく優秀な人が管理職になるべきと思うが、一体これに周りの人は何て答えていたのだろう。

    著者の本を久しぶりに読んだ。相変わらずの面白さ、微エロさに嬉しくなった。

  • 「肌馬」この言葉も初めて知った。種馬なら知っていたけど。子馬を産むために繁養されてる牝馬。種馬の対義語。
    なるほどね。
    けっこうブラックな短編集だった。
    できれば第一章の「わいせつなおねえさまたちへ」のその後の坊っちゃんの人生(小説では大学院生まで)も読みたかったわ。
    ラストの章の「時には母にない子のように」自伝と思われる。
    あの愛すべき(ポンちゃんシリーズを読んでると)ご両親が立て続けに亡くなられていたということ。
    そして仲が良かった夫婦にも色々あったということが伺い知れる短編だった。

  • とてもスキャンダラスな作家という
    イメージなので
    読むのに勇気がいるけど
    作品は現実社会を捉えていて
    人物描写も細かい
    人間の感情やセックスに対する
    考え方も
    時代とともに変化していることを
    感じる
    山田詠美も時代を観ながら
    描いているんだろうか

  • 「たたみ、たたまれ」はすっかり騙されました。冒頭の14歳で体が小さな私を疑いもなく受け入れてしまいました。最後には14歳で体が小さな私がシンパシーを超えて、ワンダーでした。

  • タイトルからしてインモラルな感じが漂っている短編集。
    自分の予想を軽く超える卑猥さに動揺した。
    特に『○○天国』という題名が衝撃的で思わず二度見してしまったほど。
    だけど不思議と嫌な感じはしない。
    明け透けな物語を隠れて読むのも悪くない。
    ああでも『ぼくねんじん』は結構好きだったな。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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