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本 ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784344042087
作品紹介・あらすじ
天才と呼ばれ、
喝采を浴び続けた男の光と影
10人きょうだいという特別な環境に生まれた。
母親の病が発覚し、プロになろうと奮起した。
プロになっても度重なるケガに悩まされた。
1人になると自然と涙があふれ出ることもあった。
それでも、小野伸二は笑顔でボールを蹴っていた。
44歳、小野伸二が決断をした。
プロサッカー選手からの引退を発表した。
小野伸二と言えば、「天才」と表現されることが多い。
繊細なボールタッチに、華麗なトラップ、受け手に優しいスルーパス。
「楽しむ」ことをテーマに、彼はプロサッカー人生を全うしたが、
度重なるケガにも苦しんだ選手生活でもあった。
知られざる小野伸二を余すところなく書ききった初の自著となる。
小学校低学年のときに、友だちのサッカーの練習についていった。
そこでサッカー少年団に入るという決断をするのだが、月謝が2000円だった。
小野少年はそこで逡巡した。「親に言ったら、ダメっていうだろうな」。
10人兄弟という家庭環境のなかで育った小野は、
生活には苦労はなかったが習い事をする余裕はなかった。
しかし、「入ってしまえ!」と入団申込書を自筆で書いて持っていった。
小野は言う。
「僕の拙い字を見た当時の小野コーチという同姓の方が自宅に来てくれて、
この子にサッカーをやらせてあげてください。月謝やかかるお金は
わたしが負担をします、と言ってくれたんです」
幼少のころから、様々な人に支えられて、
日本を代表するサッカー選手になった。
天賦(GIFTED)の才能が本当にあるのか、それは僕にはわからない。
人と違う視野、人と違うキック、人と違うトラップ。
それが努力の賜物か、僕だからできたのか?
僕自身は持って生まれたものだと思ったことはない。
もし、何かを与えられるものがあったとしたら、
それはやっぱり「人」なんだと思う。
出会いを与えられ、そこにチャンスが生まれ、今の僕がある。
そのことだけは決して忘れないでいようと思う。
そして、みんなに伝えたい。
ありがとう!と。
感想・レビュー・書評
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サッカーの天才、小野伸二選手の半生を伝えた自伝。
随所に小野選手らしさを感じる書籍に仕上がっています。
自分はめちゃくちゃサッカーについて詳しい訳ではないので、
小野選手について知っていること(聞いたことがあること)と
知らなかったことの両方がありました。
小野選手は、10人兄弟で、貧しかったので、
小野選手の才能を見出し、
費用を含めサポートした方がいることは知りませんでした。
血もつながっていない子供の費用を出すって、
よっぽどの魅力的なプレーをする人だったんでしょうね。
自分もそんな体験(出会い)がしてみたい。。
また、キャリア晩年で、監督との価値観のズレにより、
干されてしまった経験も赤裸々に語られていて、
興味深かったです。
小野選手くらいの方でも、ちょっとしたすれ違いで、
苦労するごくごく普通の人であることが驚きでした。
彼の天才性がどのように作られたのか、
特にもっと幼少期に何が起こっていたのか
(とにかくサッカーに没頭していたことは記載がありましたが)、
もう少し掘ってくれていると自分にはよかったのですが、
内容も文章のテイストも小野選手らしさが出て、
とても親近感の湧く自伝でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小野伸二はプロのサッカー選手。高校を卒業して1年目の小野選手は、1998年のフランスワールドカップに18歳で出場する。小野選手は、高校時代から"Gifted:天賦の才能を持つ選手"として期待されていたが、18歳でのワールドカップデビューは、その評価にふさわしいものであった。以降、大きな怪我を何度も経験しながらも、日本ばかりではなく、オランダやドイツ等でも活躍し、2023年9月、44歳の誕生日に引退を発表するまで、活躍した。小野選手ほどサッカーファンに愛された選手は多くはないと思う。天才的なボールさばきもそうだが、いつも楽しそうにサッカーをしている姿を、皆は好きだったのだと思う。この本の表紙の小野選手の笑顔を皆は好きだったのである。
本書で小野選手自身も、小さい頃からサッカーが楽しくて仕方がなかった、と書いているが、その小野選手が、引退を考えるほど最も落ち込んだのが2006年のドイツでのワールドカップでの出来事だった。この大会の初戦、日本はオーストラリアと対戦する。ラッキーな形で先制点をとった日本は、後半も残り8分強のところまで1-0でリードしていた。その段階で選手交代で投入されたのが、小野選手だった。結果だけ書くと、小野選手が投入されてからの約8分で日本はオーストラリアに3点を決められ、大逆転を喰らってしまう。そのことに対して、小野選手は「衝撃だった。サッカー人生において、リードしている状況で途中出場をしてひっくり返される経験が、それまではなかった。(中略)これ以上の絶望はなかった」と書いている。そして、この時のワールドカップでの経験に比較的多くのページを割いている。基本的にトーンは、自分が「戦犯」であるというものである。
私はこの試合を、たまたまドイツ・カイザースラウテルンの現地で観戦していた。だから、この試合、このワールドカップに関しての小野選手の記述は非常に興味深かった。この試合、日本はリードはしていたものの、後半になってからは、オーストラリアにパワープレイで一方的に攻められていた。日本が逃げ切れるかどうかが試合のポイントだったが、誰が見ても、選手は疲れ果て、足が止まっていたので、選手交代が必要であった。本書で小野選手も書いているが、交代はセオリーから言えば、バックスの選手か、あるいは、相手のパスの出所を追いかけるフォワードの選手を入れ替えるのが妥当である。ところが、交代はフォワードの柳沢に替えて、中盤の小野であった。この交代を現地で見ていて、私は意味が分からなかったし、ピッチ上の選手も、明らかにとまどっているのが見えて心配になった。この本の中で小野選手も、自分の役割が分からなかったと率直に書いている。それでも、小野選手は、「あの初戦、あの僕が交代したあとの8分がすべて」であり、「絶望と申し訳ないという思い」を感じてしまう。
もう随分以前の話であるが、やはりあの選手交代は、小野選手を含めてとまどいの大きいものだったのだ、という納得を私は感じたし、こんな素人でも疑問を感じる選手交代をなぜジーコは行ったのかという疑問が更に大きくなった。また、そのような中でも、やはりやっている選手(小野選手)は強い責任を感じるのだな、と興味深く思った。
本書を読んでの感想は、「小野伸二は、イメージ通りのナイスガイ」というものだった。サッカーファンに愛されるに値する。 -
天才と呼ばれた男もサッカーを始めたのはさほど早くなく、怪我にも苦しんだ苦労人。気配りができて実は泣き虫。人間臭さが溢れている。最後の母のエピソードは泣けた。
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かつて黄金世代と呼ばれた小野伸二の生い立ちから引退までを辿る自伝。度重なるケガを乗り越えピッチに立ち続けたのはサッカーがとにかく好きで楽しかったからだという。誰からも愛される人柄が感じられる。テクニックやトレーニングを語る場面はない。それでも面白い本にまとまっている。
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プレーにも、書籍にも、人柄が滲み出ている。公私にわたる視野の広さが、存分に感じられる。
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日本サッカー界のレジェンド、小野伸二。中田英寿と並び、俺が最も好きな選手でもある。中田英寿に感じたのが「強さ」なら、小野伸二に感じたのが「楽しさ」。小野のプレーはいつだって楽しさに満ちていた…と思っていたけれど、小野だって時には苦しさを感じながら、大好きなサッカーと向き合ってきたんだなと気付いた。サッカーを愛し、サッカーに愛された選手だったなあ。
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小野伸二を好きな人は読むべき一冊。
小野伸二を好きじゃない人も読むべき一冊。 -
小野伸二さんのサッカー人生を記した本。本人が書いているため、小野伸二さんから話されてるような感覚で読めた。怪我で悩まされた時期も長かったと思うけど、天才といえば、真っ先に上がるのは小野伸二だと思う。天才的なボールコントロールをしている映像はいまも色褪せることなく残っている
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小野伸二は天才!
考え方、行動が天才だと感じた。
天才に気遣いが合わさると最強だ。 -
普段、積読することが多いけれど、今回ばかりはほぼ2日で読み終えた。
サッカーをやっていなくても、憧れた。
帯に書かれているように天才・小野伸二の光と影がわかる一冊でした。
是非、一読を!