本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784344042193
作品紹介・あらすじ
毎日1日分だけの買い物をし、ハッピーアワーで1杯飲んで帰る。
誰とも会わない、喋らない。そんな女将の胸の内。
コロナの3年間のお上の無能に怒り、吉本家の“独特な味“を懐かしみ、『猫屋台』で大盤振る舞い……。“人外魔境”より届いた、「真っ当な食、真っ当な命」をめぐるエッセイ。
味と思い出は、紐付けられる――。
完全予約制の、知る人ぞ知る『猫屋台』の女将・ハルノがその「日乗」を綴り始めたのはコロナが蔓延り始めた2020年の春。女将は怒っていた。緊急事態宣言、アルコール禁止、同調圧力、自粛警察……コロナが悪いんじゃない、お上が無能なんだ――と。怒りの傍ら綴るのは、吉本家の懐かしい味、父と深夜に食べた初めてのピザ、看板猫・シロミの死、自身の脱腸入院、吉本家の怒涛のお正月、コロナの渦中に独りで逝った古い知人……。美味しさとユーモアと、懐かしさ溢れる、食エッセイ。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ハルノさんのエッセイは、クセがあってザックリで美味しそうで楽しくて好き。今回は飲食店が大打撃を受けた時期の痛烈批判もあって「街の人の感覚」ってこうなんだな、と改めて。医療者ではないけれど近いところでずっと見てきた私には「とてもそんな風には言えない」感覚がこびりついているので、共感ゼロだけど(だって、人それぞれ違う場所、違う立場で違う経験をして、違う感想をもっているんだもん)「ああこんな体験してたんだな」と、斬新に読めた。面白かったー!
お酒飲めないのって、たぶん人生損してるんだろうな、って思う本でもあって、お酒飲みたちはきっと視点が違うんだろうな。 -
『隆明だもの』以降のハルノさんが気になっていました。生きる張り合いをなくし肩を落としているのではと思いきや、ちょっと様子が違っていました。
16年をともに暮らした猫も見送り、それは両親を亡くしたのとはまったく別物の悲しみだった、と。「愛したらその分、駆け引きのない愛が返ってくる」(p104)
うんうん、わかるー。
そしてその悲しみが怒りに転化し、生半可なコロナ政策のお上や、オジサンへの積年の鬱憤が炸裂しています。
各章ごとに添えられた、繊細なタッチのイラストもよかった。とくに、猫に擬人化された作者が好物を飲み食いしてるときの表情、これぞ至福! -
いつも通り、すごく緻密な絵から受ける印象とは真逆の、いろいろツッコミどころの多いエッセイ。
ご本人は自覚がなさそうだけど、東京の都心で育ったお嬢様だな~と改めて(毎回思うことを)思う。
・・・と言うと、下町だしお金持ちでもないしとか何とかそういう反論がご本人からきそうだけど、東京の山手線沿線に小さいころから住むってやっぱり特殊よねと思う。(つい最近まで住んでいたからとみにそう思う)
別に山手線だけじゃなくて首都圏で生まれ育つというのは、地方とはあらゆる意味でイージーさが違っていて、ものごとに対する要求水準が高くなりがちじゃないかと思ったりする。どっちが特殊か、というのは意見が分かれそうだけど。
私的にはこの人はひろゆきと同じカテゴリ。「自分大好き普通の人はバカ(または不潔)で嫌い」カテゴリ。(妹さんのばなりんも同じカテゴリ)
ということで、読んでいるといろいろと失笑が禁じ得ないんだけど、でも、でも、でも、猫への愛と猫屋台はすてきーーーー!
特に猫屋台のメニューがおいしそう過ぎて。
ほぼ日にずいぶん前に紹介されていた鶏ささみとめんたいと白菜&山芋のおつまみ、作ってみるとすごくおいしくて、質の良いめんたいを頂いたらよく作ります。
この人の「ご意見」にはだいたい反発心を覚えたが、以下の文章だけはすごく同意した。
「"最後の晩餐" として、〇〇のサーロインステーキとか、〇〇の寿司だとか、〇〇のフカヒレ煮込みとかを挙げる人は、むしろ貧しいと感じるのは、私のひがみだろうか」
私としては、「最後の晩餐に何が食べたいかなんて、その場になってみないと分からない」というのが正直なところだけど、そんなこと言ったらこの質問が急につまらなくなるのでダメよね。
ササミのキエフ、食べることができる人がうらやまし過ぎる。
惜しげもなくレシピも公開してくださっているので、一応写メ残していつでも作り方を参照できるようにしたけど、作れる気がしないなぁ。まずパセリバターがハードル高い。
糸井重里さんがずいぶん前にこのハルノさんの絶品の一皿について書かれているのを読んで以来、ずっと食べてみたいと憧れている猫屋台のメニューなんだけど、ルーツはウクライナ料理とは衝撃でした。ものすごくジャンクなので(カロリーのお化け的な意味で)、郷土料理がベースとは夢にも思わなかった。 -
つい先日読んだ山田詠美姉さんを思い出した
やっぱりテキトーを装ってすごいちゃんとしてる
この本はまるまるコロナ期と被っていて
料理レシピと父の隆明先生や家族のエピソードを織り込みつつ、お上のコロナ対策に怒る気持ちを爆発させているハルノさん
本当に、死ななくてもいい人がどれだけ殺されたのか…
初めてのパニックに仕方がなかった部分もあるかもしれない
でも、学習が、なさすぎる
くしくも選挙中
選挙に行かない若者を、中高年を、
避難する気になれないよなぁ
-
面白かった。
同じ時間を生きた人の言葉たち。
著者プロフィール
ハルノ宵子の作品





