- 幻冬舎 (2024年4月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (552ページ) / ISBN・EAN: 9784344042575
作品紹介・あらすじ
何も持っていなかったから、走り続けることができた。
誰もが心通わせられる世にどうしてもしたかった――。
歴史小説界のトップランナーが郵便制度を創設した前島密を鮮やかに描き切る感動長編!
郵便制度の祖と呼ばれ、現在では一円切手の肖像にもなっている前島密。だが彼は士農工商の身分制度の影響が色濃く残る時代にあって、代々の幕臣でも薩長土肥の藩士出身でもなく農家の生まれだった。生後すぐに父を亡くし、後ろ盾が何もない。勉強を誰よりしても、旅をしていくら見聞を広めても、なかなか世に出ることができなかった。そんな苦悩を乗り越え、前島は道をどう切り開いたのか。そして、誰もが想いを届けられる仕組みをいかにしてつくったのか。
感想・レビュー・書評
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郵便制度を創設した前島密の一代記。知った名前が、沢山出てくるあの時代ならではの面白さがあった。
前半生においては人生の無目的に苦しんでいる。全国各地を旅したり、船乗りになったり、英語を学んだり、幕閣へさかんに建言したりしていたのは、人生の目的を渇望して発見できなかった軌跡といえる。もがくようにして、転がるようにして、自分そのものを探していたのだ。それがようやく郵便創始という目的を得て、明治時代に入ってからの後半生は国の大事業の土台を設計し創り上げていく。歴史上の有名な人物とやり合う様子は興味深い。
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読み終わりまるで大河ドラマのような壮大な物語でした。小学生の頃切手収集が好きで1円切手の前島密は知っていました。馴染みのある肖像画でした。ゆうびんの父納得です。5歳でひとり旅をするなんてすごいですね。波瀾万丈の生涯、幕末の有名人オンパレード、歴史小説としても読み応え充分でした。郵便制度の開拓は心震えました。あなたも読んで感動して下さい。
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今まで一円切手の肖像の人を気にしたこともありませんでしたが、郵便の創設等の感動的なエピソードを知ることができました。
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郵便制度をつくった前島密の物語。幼き時は上野房五郎、箱館に行くときに巻退蔵、そして養子になって前島来輔と、明治に入って前島密と。
苦労人でありながら、医学、蘭学、英語を学び、持ち前の向上心と語学力を生かしてどんどん日本の政治の中枢へと上り詰め、郵便、海運、新聞、電話、鉄道、保険、教育と多岐に渡って新明治の時代の礎を築く。
理想に燃えるロマンと計算に長けた実務的仕事ぶりによって、多大なる功績を遺した。まずは先人に学び、短時間でモノにしてから我が意を注ぎ込む。
そのスピード感は見ていて小気味よい。
せっかち人のごまめが好きな言葉に「Speed Eats Slow」というのがあります。 -
日本の郵便の父_前島密の伝記
自分は教科書で1行レベルの知識だけ
なが〜い前置き
が
一応、郵便への伏線になっているのには関心
幼なじみとの再会シーンは
今も昔も同じだなと共感した
みんな一度は都会とか夢を見るのよね
で
何となく歳をとって
落ち着いていく
でも、それもまた幸せ
と悟ったような事を書いておく
最後、
終わり方は
あれで良かったのかな~?
クライマックスを
このエピソードで終わるのか〜
うーん
と俺はなった
もうちょっといい終わり方
あったんでない!?
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日本の郵便制度を設計した前島密の半生(ほぼ)を描いた小説。
前島密の名前は知っていたが、ここまで魅力的な人物だとは思わなかった。図書館で受け取ったとき、その分厚さに予約したことを後悔したが、抜群の読みやすさと綴られるエピソードのおもしろさに引き込まれて無事に読了した。
日本郵政のHPに掲載された「前島密年譜」によれば、この作品以後も84歳で亡くなるまで、様々な方面での活躍が続いたらしい。興味や関心が次々に移り、そこに集中して体得したものが後によい結果をもたらしたのだろう。 -
前島密が農家の生まれ、何も後ろ盾のない状態から"郵便制度の祖”と呼ばれるまでになる話。師を替えながら様々な分野の勉強を極めたことが国の大事業に収束して行く過程が面白かった。当たり前になっているけれど、全国どこでも一律の料金で手紙や荷物を確実に届けられるって凄いことだ。
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『ゆうびんの父』 門井 慶喜 著
門井慶喜氏の本にハズレはないと新刊をゲット。と思ったところ、前半は前島密(上野房三郎)があっち行ったり、こっち行ったりの繰り返し。北は北海道から南は九州まで、上司・師・仕事を転々とし、「いつ本題は出てくるのやら…」と不安になってきます。後半から郵便事業の立ち上げとなり、ヤマト運輸の小倉昌男氏バリの活躍に移行します。しかも、前半の長々とした旅の経験が事業立ち上げに役立つということもわかりました。特に、旅を通じた維新の志士たちや勝海舟らとの交流が、やがて「人脈」となって活きてくることも描かれています。
いまでも郵便局には地元の「名士」が就くことが多いようですが(私の知人もそう)、東海道から始めた郵便事業を全国展開するための算段であったということもわかり、歴史がまだ生きていることを実感した一冊です。 -
日本の郵便制度をつくった前島密の話。幕末、越後の小さな村に生まれ、さまざまな学問をし日本中を旅して、やがて新政府で郵便制度をつくったのだが、そこに至るまでが長い長い旅路だった。「ゆうびん」という語を考えたのも彼。この制度に込られた思いを知ると、今日当たり前に見かける郵便局、郵便ポストを見る目も変わるかもしれない。
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上越市に越してきたので、読んでみた。
今ほど自由に旅行も引っ越しもできなかった時代。旅にでたい。たとえ地方にいても、他の土地のことや都会のことが知りたい。誰もが情報や気持ちをやりとりしたい。何のために生きるのか意味を持ちたい。
そんな欲求に郵便という壮大な網目、面で応え、制度化した。
特定郵便局の起こりや、切手の消印、全国一律料金などの制度設計のやり方も面白かった。
ヤギさん郵便、郵便屋さん。前島が作った郵便という言葉は深く染み付いた。それだけ皆に待たれていた制度だったんだろうな。
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日本史の教科書でおなじみ、郵便制度を作った前島密のお話です。その名前と1円切手の肖像は知ってましたが、元々の名前が上野房五郎だとか5歳で初めて一人旅をしただとか、ほぼ知らないことだらけでした。そういえば大河ドラマ『青天を衝け』で郵便の話があったなぁとうっすら思い出しましたが、創始者たる前島密が当時ヨーロッパ出張中とは……さぞや悔しかっただろうなぁ(^^;
かつて特定郵便局長が地元の名士とか資産家であるというのは知ってましたが、まさか当初は無給だったとはびっくりです。今や日本の郵便は青息吐息ですが、それもこれも民営化のせいですね…前島さんの嘆きが聞こえるようです。
もう少し晩年まで彼の人生を見てみたかったですね、そこがちょっと残念。 -
2025.04.12
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ゆうびんとあるから、どんな話だろうと思って読んでみれば、郵便の核心部分に触れるのは4分の3、ほとんど後半である。
しかし、まだ人の足でものを運んでいたような時代に、これだけのものを短期間で仕上げてしまう、前島密の努力に感服した。
その努力が今、民営化やメールやSNSなどの普及によって下火になってしまっているのは残念である。 -
アヘン戦争で、中国が負けた事は、想定外だったのだろう。いかにして、日本の植民地化を防ぐか。維新期の動乱からの見事な着地をなしえて本当に良かった。旧弊の幕府組織では対応出来なかったろう。混乱から、西洋式の政府への見事な転換。利権を奪われずに制度化していった要人達。ありがとう。
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お母様の決断が凄いです。自分の足で日本各地歩き、夜の常を目の当たりにしたのが日本を変えることになったのだなぁ。
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前島密が郵便制度を作るまで。
郵便の話は後半になってから。
面白かった。 -
内容的にはちょっと難しいと思いましたが、偶然テレビで切手のモデルになっているのが前島密さんであると知って、もう一度読んでみようと思いました。
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「近代郵便の父」と言われる前島密が郵便制度を導入するまでの半生記。
英語、数学、儒学、医学、蘭学、操船法など、手を付けたものは全て習得する才能の持ち主だった密は、常に新しいことを求め歩いた人生の旅人でもあった。
長崎留学中に始めた英語塾で出会った勝海舟や薩摩藩士たちとの縁で幕臣となり、維新後は明治政府に誘われ郵便制度の基礎を築くに至る。
頻繁に師を変えたりしても人望を勝ち得たのは、人柄に加え、志や才能が顕著だったためだろう。
郵便制度構築に割かれたページ数は多くないが、その試行錯誤の様子は作者の真骨頂。
制度を全国に拡げるに当たって各地の庄屋・名主が果たした役割は大きく、今でこそ特定郵便局は抵抗勢力のように扱われるが、当時は責任感、使命感、公共心に溢れた知識階級だった。まして維新後に初めて天皇の赤子となった人々の高揚感はいかばかりだったか。
密の目を通して、当時の市井の雰囲気を実感できるのも本書の魅力。
大阪での岡田以蔵や新選組との邂逅は史実か作者の遊び心か。
書名の「ゆうびん」のひらがな表記には密の生まれ育ちに対する作者の想いが現れている。
そして本書は母との話に始まり、母との話で閉じる。
著者プロフィール
門井慶喜の作品
