- 本 ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344043398
作品紹介・あらすじ
誰も知らないあなたの過去が、もし、小説で暴かれていたらーー。
言葉で私たちを攻撃する魔者は誰だ?
SNSの炎上、加熱する週刊誌報道……人の不幸を喜ぶ人間がいる。
──お前たちを守るため、人間を喰おう。そうしよう。
衝撃のデビュー作『ジャッジメント』の著者、書き下ろし長篇ミステリ
感想・レビュー・書評
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週刊誌記者の今井柊志には子供の頃、美麗村少年リンチ殺人事件で、当時19歳だった異父兄の舜士が15歳の天地晃太郎を四対一でリンチ殺人をして殺している過去があります。
そして当時6歳だった柊志の異父姉の小代子17歳も自殺とみられる交通事故で、その年の7月7日に亡くなっていました。
柊志は覆面作家の書いた小説『ゴールドフィッシュ』が当時の自分と姉の小代子との間にあったこととまるで同じシチュエーションで書かれているのを読んで、なぜ作家が知っていたのか調べ始めます。
すると覆面作家の本名は天地梨七で、リンチ殺人で亡くなった天地晃太郎の姉であり、また自分の姉の親友であることがわかります。
しかし柊志が姉は自殺ではなく、殺されたのかもしれないと考え小代子の周辺をあたっていると、自分に送られてきた怪文書「これ以上事件を調べると大変なことが起きる」という手紙が親代わりに育ててくれた伯母夫婦のところにも送られていることがわかります。
果たして怪文書を送ってきたのは誰なのか…。
この作品は構成を練りに練られた力作であると思います。
だけれど、私が読みたかったのはこういう話ではなかったとも思います。
最初はなんでまた、リンチ殺人を読まなきゃならないの?もうこういう手垢のたくさんついたようないじめの話はお腹いっぱいだと思って読んでいました。
だけど、怪文書を送った犯人と、事件の真相が全部わかったときは面白かったです。
物語の副主人公である梨七の心の内の変化には胸をうたれました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
週刊誌記者の今井柊志が主人公。柊志が幼いころ、当時19歳の兄がリンチ殺人を犯したことで、姉の小夜子とともに過酷な生活を送らなければならなくなった…。被害者は小夜子の親友、梨七の弟であった。父母は立て続けに家を出ていき、小夜子は親友だった梨七とうまくいかなくなり、さらにいじめを受けた末に交通事故死…一人になった柊志を伯母夫婦が引き取り育ててくれた過去がある…。そんな過去を題材にした小説を手にした柊志…また時期を同じくして勤務先に、「今井柊志の兄は殺人者だ」というような怪文書が届いたのだった…。
読んでみて感じたのは、被害者と加害者の問題ということもありますが、ネグレクトの問題もはらんでいます。だけど、それだけではなく、小夜子と梨七のエスポワール(フランス語で希望)という友情や、柊志を思う職場の人間関係にはじーんとさせられました。
小林由香さんの作品はこの作品で4作目…結構好きなタイプの作家さんなので、少しずつ読み続けたいと思ってます。でも、今のところの一番は「チグリシアの雨」だなぁ…これから他の作品読んだら、順番変わるのかもしれないですね!!それは、それで楽しみです。-
ぴこさん、こんばんは!
多いかな^^;
というか、私は小説だけじゃなく
絵本も好きだし、写真集も、雑誌も手にしては
レビュー投稿して...ぴこさん、こんばんは!
多いかな^^;
というか、私は小説だけじゃなく
絵本も好きだし、写真集も、雑誌も手にしては
レビュー投稿してるからでしょうね!
最近は1日に何作もレビュー投稿するよりは
1日1作くらいのペースがいいのかなって…
でも非公開レビューのストックがなくなれば
当然読んだらレビューするってことになると思うので
2〜3日に1作品のペースになると思います。
私は月に20冊読むことが目標です(*^^*)2024/10/12 -
かなさん、エスポワール!!切なかったです。
小林作品の不条理、復讐もの、終始辛い読書でした。加害者家族、被害者家族としての反転、読者として、...かなさん、エスポワール!!切なかったです。
小林作品の不条理、復讐もの、終始辛い読書でした。加害者家族、被害者家族としての反転、読者として、生まれてきた環境って人生の一番大事なことなんだと再認識しました。2025/01/20 -
ポプラ並木さん、おはようございます。
ですよねっ!小林由香さんの作品は考えさせられますよね…。
でも作風としては好きです!
これからの...ポプラ並木さん、おはようございます。
ですよねっ!小林由香さんの作品は考えさせられますよね…。
でも作風としては好きです!
これからの作品も楽しみですね(^^)2025/01/20
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週刊誌記者の今井柊二は、『ゴールドフィッシュ』という小説を読み寒気を覚えるほどの驚愕を覚える。
雨宮世夜という著者が書いた本の内容が、幼い頃に体験した記憶だったからだ。
覆面小説家である雨宮世夜の正体を探ろうとした矢先に封印していた過去の事件のことを知る者からの電話が…。
幼い頃、親に愛された記憶はなかった柊二には父親が違う歳の離れた兄と姉がいたが、兄が起こした事件で父が失踪し、しばらくして母も家に戻らなくなり、姉は事故で亡くなるという悲惨さを経験したが、伯母夫婦に引き取られて育てられた。
何故、今になって兄の事件のことを…誰がと思う気持ちと姉の事故のことも詳しく知らなかったこと、そして電話の意味…。
真相を探る為に故郷で過去を追うが、姉のことを知れば知るほど事故が疑わしくなり、また自分のことを探る誰かも追ってくる。
週刊誌記者であるが為に受ける苦悩の意味や加害者家族の辛さ、被害者遺族の憤りや絶望感など、計り知れない思いが溢れていた。
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湖永さん、共読ですね。不条理、復讐ものが大好きなので、小林作品はいつも読んでいます。加害者家族、被害者家族としての反転、読者側としてもつらか...湖永さん、共読ですね。不条理、復讐ものが大好きなので、小林作品はいつも読んでいます。加害者家族、被害者家族としての反転、読者側としてもつらかったです。さすがの描写力だと思いました。2025/01/20
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ポプラ並木さん おはようございます。
加害者側、被害者側どちらの気持ちも表現し難いものなのに、圧倒的な読ませる力の凄さをとても感じました。
ポプラ並木さん おはようございます。
加害者側、被害者側どちらの気持ちも表現し難いものなのに、圧倒的な読ませる力の凄さをとても感じました。
2025/01/20
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週刊誌記者の今井柊志は、ある小説を読んで寒気がした。
それは覆面作家 雨宮世夜の書いた『ゴールドフィッシュ』という小説だった。
その小説の内容が、偶然だと片付けられないほど、柊志の幼少期の出来事と酷似している。
この思い出を共有できるのは姉の小夜子だけだ。けれど姉は27年前に事故でこの世を去っている。
著者は、なぜ姉弟しか知らない出来事を知っているのか?
そして、小説の発行日は7月7日…姉の命日だ。これも偶然なのか?
封印したい過去を持つ柊志にとって、人生を脅かす小説-。「【あの事件】を知る人物は脅威となりうる」
「週刊誌記者の自分は秘密を暴く側の人間だと安心しきっていたが、暴かれる側になることもあるのだ。」
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雨宮世夜の正体を探り始める柊志。
すると、柊志の勤務する編集部に不審な電話が入る。『今井柊志の兄は十五歳の少年を殺した』
そして、柊志をつけまとうシルバーのアウディ。
雨宮世夜を調べる柊志は、自分の辛い過去と向き合い、また姉の事故死、兄の起こした事件の悲しい真実を知ることになる-。
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うーん。辛い。
殺人事件のニュースを見れば、被害者の家族はどれだけ悲しく辛い思いをしているだろうかと考えるけれど、加害者の家族もまた同じように辛い生活を強いられているんだろうな。
悪いのは殺人を犯した人物であっても、その親やきょうだいも世間からは冷たい目で見られたり、心無い言葉で傷つけられたり…。
どちらも同じように苦しいだろうに…
この物語は『加害者の兄』を持つ小夜子と、
『被害者の弟』を持つ 梨七が親友だったって…
なんて悲惨な運命なんだよぉぉう…!!!
( ߹꒳߹ )
なんだかそろそろ爽やかな本を読みたいのだけれど、「ぼくは化け物 きみは怪物」の返却期限が迫っております…。
爽やかとは程遠い!!!
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うるとらさん
この後もしばらく人が死ぬ本が続きます…
真夏の空の下 サイダー飲んじゃうくらいの爽やかな本 大募集ーーーーー.·*.⟡ ⟡....うるとらさん
この後もしばらく人が死ぬ本が続きます…
真夏の空の下 サイダー飲んじゃうくらいの爽やかな本 大募集ーーーーー.·*.⟡ ⟡.·*.2024/11/02 -
そっち系は、私に聞かれても…
とりあえずっ!
チョコミントアイス食べて、サイダー飲んで下さい〜!wそっち系は、私に聞かれても…
とりあえずっ!
チョコミントアイス食べて、サイダー飲んで下さい〜!w2024/11/02 -
2024/11/02
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読書備忘録917号。
★★★★★。
さすがっす。由香さん。最新刊も苦しすぎる。
由香さんを読んで苦しむシリーズ健在!
主人公、今井柊志。東誠出版で週間ウォッシュ編集部の社会班に所属。
同業の海雲堂から「ゴールドフィッシュ」という小説が出版された。
著者は雨宮世夜。
内容は・・・。自分が幼いころ起きた事件が描かれていた。
そして出版日は27年前に死んだ姉の命日。
雨宮世夜?誰だ?なんで知ってる!
時は1995年。柊志が姉の小代子と過ごした最後の夏。
柊志は3人きょうだいの末っ子。長男舜士19歳。長女小代子17歳。そして柊志6歳。
全員異父きょうだい。母親は育児放棄。家庭崩壊と飢える姉弟。
弟を飢えから健気に守る小代子。
美麗村少年リンチ殺人事件発生!
被害者天池晃太郎くん15歳。少年4人による暴行の末死亡。
主犯は舜士。天池堂製菓勤務!社員が経営者家族の息子を!
小代子は加害者の妹ということで壮絶ないじめに・・・。
そして小代子は車に轢かれて死んだ・・。事故?自殺?他殺?
当時6歳だった柊志は、実は何も知らない。
真実を調べる為に動き出す柊志。
そして作中小説「罪と献花」で明らかになる壮絶な事実!
由香さんしか描けない壮絶なストーリー!
息が出来ない!苦しい!
加害者の妹。
被害者の姉。
加害者の・・・。
加害者の・・・。
親友エスポワール!悲しい!
本作由香さんのメッセージはこんな感じ。
「多かれ少なかれ誰の中にも魔物が住む。」
「自分だけは絶対に罪を犯さない!なんてことはない。」
「世界中の人間が他人を傷つけ、他人の命を奪う危険性を常に持っている。そうじゃなきゃ戦争なんて起きない。」
柊志の同僚達には救われたわ。
あとは「チグリジアの雨」を読まなきゃ!-
2025/05/18
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2025/05/18
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2025/05/18
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週刊誌記者の今井柊志は幼少期、兄が殺人容疑で逮捕、父と母は失踪し、姉は事故死という壮絶な過去を持つ。
その27年後、自身と姉をモチーフにしたかのような小説を発見。雨宮世夜という覆面作家の正体は?この小説を書いた目的は?
柊志は胸の内に秘めていた事件の再調査を開始するが、何者かに調査を妨害され…
謎の不可解性が高く、調査の過程で次々と新たな謎が発生するプロットでリーダビリティは高い。
一方、終盤の展開は色々な要素をぶっ込み過ぎて大味になってしまい感動には至らず。
親友同士が被害者遺族と加害者家族の関係になってしまうのは読んでいて胸が痛む。
毒親の元に生まれ、犯罪者の家族となってしまう柊志。普通ならやさぐれてしまうだろうに、愛情溢れる伯母に育てられ優しい心の持ち主に育ったのは救い。 -
読みごたえがあったが、自分には
少し長く感じた
でも、心理状態や背景など丁寧に書くには
このくらいのボリュームが必要なのかな?と
思いました
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ミステリ寄りの一冊。
自分しか知らない過去を物語にしたのは一体誰か…。
主人公の週刊誌記者が作家を探り過去を知っていくストーリー。
いつもよりはミステリ度に重きを置いていた気がしたけれど、被害者、加害者の家族が抱えた苦しみは重さと共に心に響いた。
"希望"で結ばれた少女たちが背負った運命、被害者サイドの苦しみが終盤に向けて心をせつなく伝う。
物語の随所で感じる言葉の魔力。
善にも悪にも簡単に姿を変えることを痛感せざるを得ない。
週刊誌サイドの話は要らなかったかな。
事実という過去を回収した上で読むエピローグにはしんみり。 -
暴力、いじめ、貧困、自殺、、、
ようこんなしんどい作品かけるなぁって、、、
被害者家族と加害者家族のエグい関係、、、
自分の嫌な過去を小説にされたら
著者プロフィール
小林由香の作品





