またうど

  • 幻冬舎 (2024年9月19日発売)
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本 ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784344043503

作品紹介・あらすじ

●山陰中央新報(2024年10月12日付)書評掲載(評者:新藤正春[山陰中央新報報道部])
●東京新聞・中日新聞(2024年10月20日付)書評掲載(評者:細谷正充[書評家])
●小説すばる(2024年11月号)書評掲載(評者:大矢博子[書評家])
●日本経済新聞夕刊(2024年10月24日付)書評掲載(評者:東えりか[書評家])

全てを奪われても、志を奪うことは誰にもできない。
いつか必ず、次の一里を行く者がある。

「この者は、〈またうど〉の者なりーー」
徳川家重の言葉を生涯大切にし続けた老中・田沼意次。
彼は本当に、賄賂にまみれた悪徳政治家だったのか?

【またうど】愚直なまでに正直なまことの者

全てを奪われても、志を奪うことは誰にもできない。
いつか必ず、次の一里を行く者がある。

財源としての年貢が限界を迎え、江戸税制の改革者として商人にも課税。
身分の低い者も実力さえあれば抜擢し、交易に役立つ俵物のため蝦夷地開発を決定。
前例や格式にとらわれず、卓見と奮迅の働きで日の本を支えた田沼意次は、
なぜ突如老中を罷免され領地を失ったのかーー。

感想・レビュー・書評

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  •  「まいまいつぶろ」では、第九代将軍の徳川家重と大岡忠光が中心でした。この作品は田沼意次のことが中心に描かれています。第九代将軍の徳川家重、第十代将軍徳川家治に仕えた老中田沼意次…その信用は厚く九代将軍徳川家重は「この者は、〈またうど〉の者なり――」との言葉を、田沼意次に残したのだった…。「またうど」とは、「愚直なまでに正直な信(まこと)の者」を意味する。

     田沼意次の功績といえば、税制改革なんでしょうけど、私は異なる視点から読みましたよ。第九代将軍家重は身体が不自由でしゃべることも困難な状態をおしても、田沼意次に「まとうど」を授けたこと…田沼意次はその生涯「まとうど」の言葉を何よりも大事にしていたことが読みとれました。

     で、「まいまいつぶろ」を読んでいた私には嬉しいことも…あの薔薇ですよぉ!あの薔薇がその後どうなったのか、読むことができたのは嬉しかったです。他にも「まいまいつぶろ」から読んでると、あぁ…あの時の?って思いながら読めるのもいいですね、「まいまいつぶろ」既読特権みたいな、ね!

     でも一番は、田沼意次夫婦の愛の軌跡とでもいうのか…田沼意次には綾音という妻がいるんですけど、この妻の存在があったから、田沼意次はどんな環境におかれてもその生涯を全うできたのだと感じました。

    • 1Q84O1さん
      かなさん

      そー言えば『まいまいつぶろ』の続編をまだ読んでいなかったです…(_ _;)
      かなさん

      そー言えば『まいまいつぶろ』の続編をまだ読んでいなかったです…(_ _;)
      2024/10/22
    • かなさん
      ぴこさん、おはようございます。
      この作品、時代物なんですけど、
      この前の「まいまいつぶろ」という作品がめっちゃよかったんですよ!
      あと...
      ぴこさん、おはようございます。
      この作品、時代物なんですけど、
      この前の「まいまいつぶろ」という作品がめっちゃよかったんですよ!
      あと別の作家さんで「木挽町のあだ討ち」とか「さぶ」も
      比較的読みやすい作品でした。
      私でも読めたんで、ぴこさんも勇気が出たら
      チャレンジしてみてもいいかもですよ(^-^)
      2024/10/23
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      まぁ…時間があるときで図書館から借りられるタイミングで
      読んでみてもいいと思いますよ(*'▽')
      1Q84O1さん、おはようございます。
      まぁ…時間があるときで図書館から借りられるタイミングで
      読んでみてもいいと思いますよ(*'▽')
      2024/10/23
  • 「まいまいつぶろ」三部作?と言っていいものかですが、世界観は繋がっていて、主人公というか視点がそれぞれ変わっていて、今回は老中の田沼意次です。前2作でも登場している田沼意次ですが、教科書的イメージとしては、賄賂をたくさんもらった悪代官(代官じゃないけど)というもので、そんな人物を主人公にして、あのまいまいつぶろな感動が得られるのかなと不安もありましたが、まったくの稀有でした。
    “またうど”とは「全き人、愚直なまでに正直な誠の者」という意味ということで、はて?という思いで読み始めてみると、なるほど、歴史というのはそうやって捻れて伝わってしまい、イメージとして残り続けてしまうものなのだなと。この物語がすべてと思ってはいけないのでしょうが、実際どうだったのか、家重、家治についても自分の目で調べてみたくなるなど、違った楽しみも芽生えて、今回もいい読書をありがとうございました。

  • まいまいつぶろの方が泣けた。
    またうどとは、愚直なほどに、正直な信のもの。
    侍とは、かくも潔きよきものなり。

  • 田沼意次と言えば三冬のおと…じゃなくて賄賂政治の老中さま。と言う印象しか持たなかったが、さぁ、果たしてどうだったのか。

    白河の清きに魚も住みかねてもとの濁りの田沼恋しき

    昔の人の言葉のセンスは本当に素晴らしい。
    それでもって、昔も今も、庶民の政治に対するスタンスって変わらんなとも思う。基本的に感情で判断する。
    印旛沼開拓と蝦夷開拓に力を入れていたというのは史実なんだろうか。在任期間や、場合によっては人の寿命をも超えて取り掛からないといけない事業には、ビジョンを持った人でなければ立ち向かえない。政治家は清廉潔白も良いけれど、そう言う大局観を備えた人にやってほしい。

    ものすごく感情を揺さぶられる展開は無いのだけれど『まいまいつぶろ』の家重公と忠光のエピソードがちょこちょこ出てきてほっこりする。

    もう一つスピンオフがあるはずなので、楽しみに音声化を待つ。

  • 【ブクログ】またうど/村木嵐/幻冬社 賄賂にまみれた悪徳老中と学校で習った田沼意次は、将軍家重より「この者は、またうどの者(愚直なまでに正直な信(まこと)の者)と。付け届けは、それで手心を加えた刹那に賂(まかない)に化ける。「己がそのようなことをせぬ限り、水を飲むのと何も変わらない。喉が渇していなければ、ただの水」と話し、何が届けられたかは一切関心がなかったという。それによって手心を加えたことは一切なかったという。逆にその分、物の動きが活発になり市場が潤うとの信念のもとであった。読了後、やはり意次のいやらしさを払拭することはできず、心にわだかまりは残る。

  • 「まいまいつぶろ」「御庭番耳目抄」に続くシリーズ物3作目。今回の主人公は田沼意次。学校教育では「ワイロで腐敗した政治家」と教えられるも、剣客商売では美冬殿の父親であり賢政家と描かれる、歴史上の有名な人物。

    この作品でもド正直者(タイトルのまたうどとはその意)の政治家として描かれる。前2作まででも、主要な登場人物からも慕われており、若いころからその天才ぶりを表かれていたままの展開が続くが…。

    家治の引退に伴い、一挙に権力を奪われるだけでなく、増税や天災の責任までも擦り付けられ、悪政の評判を押し付けられる。意次自身も予想してたとはいえ、そのはしご外しっぷりは悲愴なもの。

    今の時代もそういうことをしていないか?今悪者として色々と叩かれている人々は本当に悪いだけなのか?必要悪を背負う立場にあっただけだとか、何かを隠すためスケープゴートにされているとか、そういう情報操作があって踊らされているだけではないか?

    明確に悪いヤツを作って、そいつのせいにしておくのは凄く楽な考え方で、悪を叩く正義の立場に身を置くのは甘美な体験なのだが、立つ土台が間違っているかもしれないという危機感は持っておかないと、愚かなだけでなく騙されて危険な道を歩む第一歩にもなりかねない。

  • 『まいまいつぶろ』の続編で、田沼意次の半生を描いた作品。
    私が子供の頃は「賄賂まみれの政治家」として悪名高かった意次ですが、今は敏腕の政治家だったと考えられてますよね。
    それにしても、この本の意次像は・・・。やたらと頭が良くて、性格も良い。将軍から頼られ、老中仲間とは和気藹々と、部下からは慕われる。妻との仲も素晴らしく、子供(意知)は頭の切れるお坊ちゃま。なに一つの瑕疵も無く、さらには周りを囲む人々も善人ばかり。初めから全体の8割まではそんな話が延々と続きます。ここまでくると、むしろ「ヨイショ」の塊みたいで、なんだか気持ち悪い。
    村木さんはこれまで2作。『まいまいつぶろ』と『御庭番耳目抄』。どちらも感想に「どうも、著者とは波長が合わない感じです。」と書いてますが、これもそうでした。皆さんの評判は素晴らしく良い様ですが。。。

  • 田沼意次の話

    なんか単調で面白くない
    読み進めるのが辛くなってやめた

  • 歴史の勉強には良かったが、ドラマとしてはイマイチだった。普通すぎるし、時代劇でなければ、なんのストーリーもない。

  • なんだ、ろ。
    この、読後感。もの、すっごくいい。
    爽やかに、すーっと、アタシの心の奥に。

    『まいまいつぶろ』から、ぜひ読んでいただきたい。

    〜まいないつぶろ〜と、呼ばれた田沼意次のお話。
    九代将軍家重には〜またうど〜と、引継ぐ十代家治。

    明和九年の大火事。家治の嫡男家基の死。
    浅間山の噴火。意次の嫡男意知の死。

    五匁銀。南鐐二朱銀。
    印旛沼と、手賀沼の干拓。蝦夷、アイヌ。

    何より、引き際の美しさ。
    ココに心持ってかれました。

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著者プロフィール

一九六七年京都市生まれ。会社勤務等を経て、司馬遼太郎氏の夫人である福田みどり氏の個人秘書を十九年間務める。二〇一〇年『マルガリータ』で第十七回松本清張賞を受賞し、作家デビュー。

「2022年 『せきれいの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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