しずかなパレード

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  • 幻冬舎 (2025年2月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784344044074

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

一人の女性が突然姿を消すことで、残された人々の心情が描かれる物語です。若女将として家族を支える晶は、誕生日の夜に贈られたエルメスのバングルを手に、好きな人の元へ去る決意をします。その後、夫の伸吾は怒り...

感想・レビュー・書評

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  • 佐世保の和菓子店に嫁ぎ、娘を育てながら若女将として生活が続いていくはずが、誕生日を祝った夜に夫からエルメスのバングルを贈って貰いながら…
    晶はお礼ではなく罵声を浴びせて家を飛び出す。

    そこから以降、晶の不在が続くなか夫は怒りながら愛人の武藤を疑い、嫌悪しながらも日々の生活は続いていく。
    娘も不穏さを感じつつ、母に捨てられたと思いながら父親が再婚する頃には母を意識することもないくらいに成長していく。


    一人の人間が姿を消すのがこんなにも突然で呆気ないものかと思うと恐さを感じる。
    ずっと晶が不在のまま時は流れていくのは自然というより必然であるのが恐いのかもしれない。
    ずっと色のない世界のようでいて、ただカンフーマンだけが変に明るいのが不穏だった。




  • 東京から佐世保の和菓子店に嫁ぎ、娘を育てながら若女将として生きる、晶。誕生祝いの夜、夫から贈られたエルメスのバングルを手首に巻きながら、好きな人がいる、その人のところへ行くと告げ、いなくなった。残された夫・伸吾の怒りと嘆き、愛人・武藤の不審と自嘲、捨てられたと感じながら成長する娘・結生‥‥。

    最近若手作家さんを読み続けていたからか、不穏な空気が漂っていたのに終止落ち着いた雰囲気で読み終えた。舞台が当地・長崎だったのもあるだろう。冒頭でパレードを引退したカンフーマンが登場し、単なる失踪事件ではないだろうと想像していたので、結末はとても意外だった。果たして晶はどうしているのかと、ミステリー仕立てで引っ張っていきながら、結婚で長く続く夫婦関係を捩(もじ)っているかのような会話や描写がたくさん盛り込まれていた。主人公・晶に与えられたラストは安易で受け入れ難い気もする。結生が自分は捨てられた娘だという疑念を払拭するためには良かったけれど。

  • これは、ミステリーなのか。
    突然、消えた妻、疑わしい人物は、登場するものの手がかりはなし。
    いや、きっと謎解きになると信じつつ、読み進めたが、あまりにも淡々と話が進んで、ひょっとしてと思ったら、最後に意外な展開が。
    こういうのもアリかな。

  • 荒野さんらしい 終始 不穏な空気に包まれてるような感じでした。誰もが 疑心暗鬼になり不安や怯えに囚われてる。
    カンフーマンがキーパーソン?かと思ったけど そうでもない?
    そういう結末?とちょっと唐突な感じがしました。

    全然内容は違いますが 同じ荒野さんの「僕の女をさがしてるんだ」を思い出しました。

  • 掴みどころのない和菓子の女将。彼女の死後も話題は続く。井上氏に翻弄される様な昨品。
    小気味良く読み終えた。

  • 終始、不穏な気配を漂いながら物語は進んでいく。

    誰にでも「カンフーマン」は存在し、正面から見る人と、斜めから、ないものとして見る人によって人生は変わるということ?

    それにしても、いろいろな人が登場するが、どの人も何かを抱えて生きている。普通の人はいない。

  • すごくおもしろかったのに説明できない。
    なんだかつかみどころがなく、感情移入もできない登場人物たちしかいないし。過去の事件の真相は最後に分かるもののそれが残された家族に伝わったのかどうかも分からない。分からないのになんだか満足感のある不思議な本だった。

  • 私の中で「不穏」という言葉で真っ先に思い浮かぶのは井上荒野さん。
    本作も終始不穏さに満ちていた。

    佐世保市にある和菓子店の若女将が突然姿を消した。
    夫と幼い娘を捨てて。

    不倫相手の元へ向かったはずだったが、消息不明のまま、12年の月日が流れる。

    夫の怒り、不倫相手の困惑、娘の空虚感、それぞれの思いが淡々とした筆致で綴られていく。

    派手な展開はない。
    登場人物全員が諦観の色に染められているようだ。

    絶対悪は存在しないけれど、誰もが普段は心の奥底に隠している負の感情が炙り出され、心がザラついた。

    皆がしずかなパレードの演者だ。

  • 「あの人を好いとると。」そう言い残し、女は姿を消した。
    残された夫と娘。
    女と関わりのあった者達のその後の人生は、タイトルの通りに静かに進んでいく。
    女はなぜ消えたのか。
    美しい文章で綴られる、不穏な空気感が素晴らしかった。


  • 一景色とみなしていたカンフーマンという
    名の大道芸人。

    自分の人生とは別次元の筈だった演者が
    起点になり、各人物の生活や家庭の様子が
    時間の経過とともに描かれる。

    当たり前に続く筈のものが突然失われ、
    それが周囲に及ぼす影響。

    そして、未来に希望を抱きつつも、
    同時に今に倦みなごら生きる人の諦めや惰性。

    カンフーマンをキーパーソンにして、
    一人の女性の失踪に幾らかずつ関係した
    人たちのその後の憂いの物語。

    終始淡々としていて、確かに“しずか”

  • 昔、後妻に入るなら、「死別」より「離別」の方がいいという一説があった。
    「離別」は、お互いに納得してあるいは愛想を尽かして縁を切ったのだけれど、「死別」は想いを残しての別れであり、思い出はどんどん美化されていくから生身の後妻は比べられては不利だということだ。
    では、「失踪」された場合は?

    失踪から七年経てば「失踪宣告」し、法律上は死亡と見做されるから、再婚は可能になる。
    しかし、はっきり別れたわけでも、亡くなったわけでもない。どこかで生ている可能性だってあるし、どこかに埋まっている可能性もある。
    残された人たちや、その人と関わる人たちは、それを考え続ける事になる。
    「いなくなった人」の「存在感」は、一見矛盾しているようだが大きいのである。
    夫と4才の娘を残して31才で失踪した、小堺晶(こさかい あき)の気配と記憶は、染み付いて取れない影のようで、なんだか恐ろしいものに感じる。
    失踪直後の、幼稚園児の結生(ゆき)の様子を夫の伸伍(しんご)がつぶさに語る。4歳児の心の中では何が起きているのだろうと無限に考えられる。結生自身も、常に「なぜ母はいなくなったのか」と考えながら成長したのだろう。

    それも吹っ切れたか、穏やかな終焉と新しい一歩が見えたかなと思えた次の最終章。
    突如、それまで出てこなかった名前に・・・
    見知らぬ誰かの、分岐点の選択一つで多くの他人の人生が変わってしまったのだ。
    やはり、あの口紅をつけてはいけなかったのだろうか?

    「しずかなパレード」とは、もしかしたら葬送とか葬列をイメージしているのかな。

  • 面白かった。でも…


    このまま失踪きた晶がどうなったかわからないまま終わるのかな、それでもいいかなと思ってたけど、晶をどうにかしてしまった犯人たちが最後に出てきたのは嬉しいような残念なような…いままで読んでたのにこの人誰?ってなって少し置いてけぼりになったのがちょっと気持ち悪かったかな…かといってどうなったかわからないのも腑に落ちないのかな。でも、実際行方不明ってなったらきっとそうだから、わからないまま、今までの登場人物だけで終わらせて欲しかったかもしれない

  • えええ〜っ

  • これぞ井上荒野という感じで、ずーっと不穏な雰囲気を漂わせて物語は進んでいきます。この不穏さ、気味の悪さを書くのが本当に上手で、私は荒野さんの小説はこういうタイプのほうが好きです。最後どうなるのかな、真相をハッキリさせるのかあえて描かず終わらせるのかとても気になっていたので、ラストの夫婦の話はちょっと唐突な感じもしました。
    感情移入できる人はほぼいませんが、失踪した晶の娘、高校生になった結生ちゃんのエピソードは好きでした。面白かったです。

  • 和菓子店に嫁ぎ、娘を育て、そして夫と娘を捨てて…というところで亡くなる晶。
    そこでなくならず、武藤と出会えていたらパレードは変わったかもしれないけれどたった32歳で亡くなった。しずかなパレードとは晶の人生のことなのか?と思いました。
    晶はもう居ないけれど、晶のことを考え続ける人々。どうでもいい相手を考え続けることなんてできないでしょう。晶は愛されていた。けどその愛に気づけなかったのかなと思いました。
    いや、気づいていても心がどうにもならなかったのでしょうか。
    また、物語の主役は晶だけど晶はずっといないのにも関わらず話が周り続けていてすごいなと思いました。
    とても面白かったです。

  • 佐世保の老舗菓子店の嫁が消えた。
    夫に「私はあの人と付き合うとるとよ」と言い残して。
    不倫相手の別荘に向かう途中で彼女に何かが起きた。
    そして12年が経つ。
    残された夫と娘。不倫相手とその妻。夫の恋人と再婚相手。
    そしてあるレストランを営む夫妻。
    それぞれに12年は流れた。

    カンフーマンがよくわからないんですけど!
    なんだったんだカンフーマン!

  • 序盤から意味不明で、意味不明なままストーリーは進む。ある人が家を出たまま帰らず、いったいあの人はどうしてしまったんでしょうねえ……というだけの話を、語り手を変え、時間を追って(なんと12年も!)、延々と綴った作品。
    消息不明な人はともかく、人々には日々の暮らしがあり、子供は成長する。だが、折々にその人の影がよぎり、彼らは不安な気持ちになる。
    初出は2014年〜2016年に発行された季刊誌らしい。10年近く寝かせていた理由はなんだろう。お蔵入りさせてもよかったんじゃないかと思ってしまった。

  • 読み終えて、うわ、結局戻ってこないしやっぱり死んでいたんかい!と独りごちてしまった。
    だって、これだけ色んな人の心をざわめかせて時も経ってで…何となく彼女の「その後」の人生が書かれるんじゃないかって思ってしまっていたから。
    でも現実はあっけなく、彼女は事故に遭って帰らぬ人になっていた。
    彼女は実はどこか遠くの地で暮らしていて、もう別の生活を持っているんじゃないかと思っていたが、そういう話だったらよくあるし、かえって陳腐か。

    捨てられた娘が一番の被害者である。成長するにつれ、母親不在の理由を直接は告げられなくともどこかから聞いてしまったんだろう。
    彼女が自ら保護した犬の元飼い主の家へ乗り込み、元飼い主へ投げつけた言葉(「私も捨てられた。」)はずっしりくる。

    捨てられた側はどんなに忘れようとしても一生そのことを忘れることは無いと思うが、捨てた側はどうなんだろう。同じくらい苦しい思いをするのだろうか。
    別に捨てられた経験がある訳でもないのに、なぜか娘に感情移入してしまう。
    ある日いきなり突き放された人間の、目には見えない静かな怒りのようなものを感じた。

  • 一つ一つの話はつまらなくはないのだが、淡々と綴られていて、スッキリとした結末ではなかった。

  • ある日夫と娘を残して出て行ったきり、ふつりと姿を消した晶。
    とても静かに文章が流れていくけど、別に伏線でもなんでもないけどカンフーマンの不穏な感じ。
    残されるものは辛いね。家族を捨ててどこかで元気に生きているなり、死んでしまったなり、区切りって必要だと思う。
    最後の最後にもう一つの区切りを必要とする家族が現れるけど、加害者側も被害者側も報われない。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。1989年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』で直木賞、2011年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、2016年『赤へ』で柴田錬三郎賞、2018年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞を受賞。他の作品に『もう切るわ』『ひどい感じ 父・井上光晴』『夜を着る』『リストランテ アモーレ』『あちらにいる鬼』『あたしたち、海へ』『そこにはいない男たちについて』『百合中毒』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『僕の女を探しているんだ』『照子と瑠衣』『猛獣ども』『しずかなパレード』などがある。

「2025年 『私たちが轢かなかった鹿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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