鴉 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 741
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344400368

感想・レビュー・書評

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  • 十数年ぶりの再読。初読時(取り分け死んだと思われた橘花が珂允の許に現れた箇所。495頁)に感じた世界がぐらつくような感覚こそ薄れはしたものの、今度はその構成の強かさに感嘆させられる。〈人格が変わると顔まで変化する〉というのはミステリ的にはかなりアウトな気がするのだが、それでも『夏と冬の奏鳴曲』と並ぶ麻耶雄嵩の二大傑作である点は揺らがないと自分は思っている。

  • 「翼ある闇」に難儀した記憶があるので警戒したが、これはすいすい読めた。これまで読んできたミステリが育んでくれた手触りがもたらしたとおもえる違和感が、的を射ていたわけではなかったけれど、作品のスリリングさを増す働きをしてくれたのがうれしかった。とちゅう「あれ?」と疑問を感じて、ある本を引っ張りだして読んだりもしつつ。「そうきたか!」と驚く真相は、麻耶さんの作品であることを考えるとかなり正統派というか、真っ向勝負な印象。ファン歴はまだまだ短いが、麻耶さんの作品はどんどん読んでいきたいと改めて決意するに至った。
    *****
    !!!以下、ネタバレ(?)注意!!!(ネタバレではないとはおもうのですが、一応コメントしておきます。)暴言かもしれないが……なんだかメルがまともな人間に見えた。本編を読んでいる最中、ずっと「こいつは本物のメルなのか?」と疑問を抱いたまま。さすがのメルも、じぶんの出自に関わることは中途半端にはできなかったのだろうか。メルカトルの出てくる作品はまだ読んでいないものがあるので、探して読み進めたい。そして「翼ある闇」も読み返そう。

  • 素晴らしい。シリーズの中ではかなり普通な部類だがそれでもやはり麻耶作品で、攻めた作りになっている。シリーズとしてはメルカトルのバックボーンが気になりすぎて眠れなくなりそう……彼は一体……。ミステリとしても優れた一作。

  • 実に麻耶雄嵩らしい一作。
    探偵小説家が固有名詞を伏せたら基本的に叙述トリックを疑うことにしているので、やはりといったところではあった。
    ただ、それを明かすのにくどい説明がないのがとても良い、やっぱりどんでん返しは数行でスマートに決まるとかっこいい。

  • 最後の最後で驚かされるパターンだってわかっているのに、毎回その罠に引っかかってしまう。二度読み必至。

    櫻花が弟を殺したシーンで中原中也(弟の死をうたったのが詩作の始まりである詩人)の詩を引用するまーや先生はある意味すごい。
    この時代にちゅーや先生がいたら酒席で絡まれていたことでしょう。

  • 摩耶雄崇らしさが全開だった。雰囲気好き。そしてまさかのメルカトルシリーズだったとは!

  • 大鏡と呼ばれる神様が支配する村で起こる連続殺人事件。閉鎖された空間では、外の世界での常識が通じることはなく、読みながらこの村の不気味さにどっぷりと浸っているうちに、最後には、えっ??と思わせてくれる!
    横溝ワールドに浸るのが好きな自分にとって、この世界観はとても好き。現代にもこんなに自分の好みに合う作家さんがいてるとは!

  • アベルとカイン

    そんなトリックありかー!!というね、確かに思わせるヶ所は多々あった。
    やるな…

    でも、なんだろういまいちスカッとしないのは

  • 地図に載っていない異郷の村が舞台で、登場人物の名前はルビがないと読めないような個性的な名前で、一風変わった独特な世界観にすぐに魅了させられました。外の世界から閉ざされた四方を山に囲まれた村だなんて、ミステリーの舞台にぴったり!
    本書は97年のNo1ミステリーにも輝いた作品だそうで、どこにどんな伏線が張られているのかと目を凝らして読んでいたんですが、読めば読むほど謎が深まるばかり。
    とはいえ、やっぱり伏線はいたるところに張られていたんですよね。読み返してみるとなるほどと思うところもたくさん。

    <ネタばれ>
    さて、犯人については「紙」がヒントになって宮の人が怪しい…と思いつつも、琢ちゃんの態度から、琢ちゃんが見たであろう橘花たちには言えないような近しい人…橘花のお兄ちゃんが実行犯か?!とか思ったり(あんなに兄目線のエピソードも出てくるし、何かあると思いますよね)したんですが、まさかあの人とは。

    それから、兄目線と弟目線の語りにはすっかり騙されましたね。読み返してみると、確かにどちらの視点からも橘花の兄が櫻花とは言っていないし、櫻花の弟が橘花とは言っていない…。名前から何の疑いもなく、兄弟のそれぞれの視点からの物語だと思いましたよ。兄弟の年齢もどちらも1つ違いだし、畑仕事とかも共通してるし…!ミスリードのさせ方がうまいですよね。
    弟の誕生日エピソードで「お寿司」を用意したという母のセリフがあって、海がないのにお寿司?とちょっと違和感はあったのに深く考えずに読み飛ばしてました。もちろん巻き寿司とかの可能性もあるけど、お寿司っていったら普通はお魚が乗ってるお寿司を思い浮かべますよね?それに蒸し鶏なんてちょっとハイカラな料理、なんだかこの村で作られなさそうに思ったのに、最後にネタばらしされるまで気付かなくて悔しい!

    そして、まさかみんなが○○というオチだったとは。閉鎖的なこの村の独特な色合いの背景にこんな秘密が隠されていたなんて。私たちに当たり前に見えているものが当たり前じゃない、ということを示すおもしろい着眼点ですよね。

    ミステリーとしてはすごく面白かったけど、やっぱりどこか現実味がなく感じてしまう。罪を犯すと浮かび上がるという痣についても、実際に見た人がいるからこそ信じられているけど、大鏡様の正体を知る側近までもが心底信じられる程吸引力のあるものには思えない。時を司ると言われている大鏡様の鐘は、大鏡様亡き後は側近が時計を見ながら撞いていたんでしょうか。なんだか、絶対的な信仰心と、大鏡様を軸とした政治的システムが自分の中
    でいまいち上手く両立できるものに感じられなくて、少しもやもや。俗世的な考えに塗れているところがありつつも、信仰心を建前として動いてるとは思えないくらい、みんな信じている様子だったので。
    側近にはいっそ、信仰心よりも村を守りたいというシステムの維持に重点を置いてほしかったかも。とはいえ、これは好みの問題ですね。

    そしてあべるとかいんが同一人物だったのいうのも最大の驚きポイント。最初はいくらなんでも同一人物と気付かないはずないだろうと思ったのですが、入れ物が同じでも中身が違えば立ち振る舞いや雰囲気が全く変わるし、そういうこともありえるのかな。主人公が現実と夢をゆらゆら彷徨っていて、何が本当なのか見失いそうにもなりましたが、わりとすっきりした読み心地です。しいていえば、タイトルにもなっている「烏」について、半年くらい前から始まった烏の襲撃に何か理由があると思いきや何もなかったことに謎が残るくらいでしょうか。

  • 弟の死について真相を求めて地図に無い村を訪れる兄のはなし。
    体現止め?を多用する文章が独特で慣れるまで少し違和感。
    外界と隔てられた村の不思議な信仰と、その只中に連続する殺人の真相が軸、と思いきや本当のトリックは堂々と横たわっているような。
    作品全体を通した違和感が、こんな結末につながるとは。確かにいっぺん頭から確認しなおしちゃいました。
    改めて追うと、服装や習慣が堂々と違う!気づかないもんだなぁ
    期待以上の伏線が隠され、つくりこまれたよくできたはなし。ただ、なんとなくのめりこんで楽しめなかったのは世界観や人間像に共感できなかったからかなー
    あと、題にまでなった鴉の存在感が微妙!結局意味深な凶暴化はなんだったの?

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