銀の雨: 堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫 う 4-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344401358

感想・レビュー・書評

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  • 2020/2/18
    大事に読むよ~宇江佐さん。
    主馬に何回もがっかりさせられるのだけどがっかりのまま終わらせないのよ。
    しかも大逆転にかっこよくさせるでもなく、リアルな成長というか丸くなった・世慣れた・人の痛みが分かって人間味が増した、というような方向にもっていくのが心憎い。
    醜女って言ったことはホントに忘れてるのかしら。
    全く男ってやつは。
    でもヒーローみたいにかっこいい!って崇め奉ってる人より全くしょうがないなぁこの人はって同じ目線で思ってる人の方が旦那としてよさそうよね。
    知らんけど。
    堪忍旦那はそのお手本。結局その采配がかっこいいもの。

  • 情深い取り調べをすることから、『堪忍旦那』と呼ばれる北町奉行所定町廻り同心為後勘八郎だが、若い同心の中には、面と向かって意義を唱える者もいた。それは勘八郎の一人娘小夜が慕う岡部主水の嫡男岡部主馬。融通がきかない。
    そして、場所を決めないで屋台の夜泣き呼ば屋を営む半吉は今は勘八郎から十手を渡され岡っ引きとして手伝っている。
    娘の手習所の町娘の友人や、勘八郎の家に出入りするしじみ売りの梅吉が慕う浪人や、そんな登場人物がそれぞれに物語の主人公となり、物語が紡がれる。

    文庫本になるのが作者宇江佐真理さんの最終形。目指すところというだけに。自分を吝嗇な主婦という宇江佐さんが千円を割る文庫本であるといえども、損した気分にさせないような作品を、、、という心意気が伝わる初期の秀作です!

  •  宇江佐真理「銀の雨 堪忍旦那為後勘八郎」、1998.4刊行、2001.8文庫。その角を曲がって、犬嫌い、魚棄てる女、松風、銀の雨の連作5話。「魚棄てる女」が小気味よかったです。

  • 宇江佐真理さんの初期作品の短編5話。
    「魚棄てる女」、表題作「銀の雨」いいお話だよね。
    いろんな作家の本を読んでいても、最期は宇江佐さんに戻ってくる。
    母親みたいな作家だよ。

  • 寛容なベテラン同心と厳正な青年同心の衝突を軸に、市井の人々の運命の転変をつづる端然として豊饒な人情捕物帳の白眉。北町奉行所の勘八郎は見廻りの道すがら、見慣れぬ露地の裏店に通う少女、おみちの姿を目にする。おみちはどうも、切見世の客引きの中年男、富蔵の許をたずねているらしい。おみちを案じた勘八郎がおみちと富蔵のいきがかりを調べると、そこには意外な真相があって…。男と女、家族の情を描いた『その角を曲がって』など珠玉の五編を収録。
    (1998年)
    — 目次 —
    その角を曲がって
    犬嫌い
    魚棄てる女
    松風
    銀の雨

  • 堪忍旦那がメインではあるけれど、どちらかというと軸は娘たちにあるのかなと思った。堪忍旦那は〆るところを〆る重要人物的な。なんといっても小夜のきっぱりとした態度が気持ちよかった。好いた男に「醜女の深情けか、、」なんて言われたら、そりゃあへこむし諦めもつくわ。なんて男だ。でもって当の本人は言ったことすら忘れているんだからたちが悪い。にもかかわらず小夜が他の男と仲良くなり始めると焦るって何。これがオトコゴコロなの??結局は円満解決だからいいけどさー。最近女性より男性のほうが我儘ではないかとつくづく思うのです。

  • 1998年4月刊。2001年8月文庫化。5つの連作短編。再読。宇江佐さんの3冊めの単行本で比較的初期の作品。人物造詣が旨く、江戸世界はいきいきとしている。シリーズ化されていれば、良かったと思うが、これ1冊というのは、とても残念。

  • 【本の内容】
    北町奉行所の同心、為後勘八郎は見廻りの道すがら、見なれぬ路地に通う近くの少女、おみちを目にする。

    おみちは客引きの中年男、富蔵のもとを訪ねているらしい。

    おみちを案じた勘八郎が探索すると、二人には意外な真相があって…。

    男と女、家族の情を描いた「その角を曲がって」ほか、市井の人々を温かくみつめた超一級の味、人情捕物帳。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    この小説を読んでいると、そっと差し伸べられた大きくて温かい手のように安心できる。

    シトシトと降る雨の中を行く赤い傘を差した人影が江戸の裏道を曲がって行く。

    少しぼやけていて、でも鮮やかで、その傘の持ち主は今、家に変えるところだろうか、それとも誰かを迎えに行くところだろうか。

    そんな心休まるような想像をしてみたくなる。

    この物語は人として無くしてはならない大切なものを守り、教えようとする。

    その論法は現実の世界に当てはめてしまえばどうしようもない甘さを感じるものだが、でもやはり読んでいて気持ちのいいものである。

    どこまで現実的かはひとまず置いておいて、とにかくホッとする、そんなお話だった。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 事件と恋愛が上手く絡み合い、人物描写も丁寧で楽しく読めました。
    恋愛の中心になるおみちが美人ではないという設定が上手くいきてるなぁと思います。

  • 「堪忍旦那」の異名を持つ同心が主人公の連作短編集。

    主人公以外の家族や関係者等々のキャラクターがとても丁寧に書かれていて、読んでいてとても心地よいです。
    殺伐としたところがあまりなく、気楽に読めました。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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