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本 ・本 (414ページ) / ISBN・EAN: 9784344401549
感想・レビュー・書評
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アニメを観てから20年以上経っているのではっきりとは覚えていないのですが、SFなのに人の業とか情念なんかの演歌的な世界が広がっていて私はこちら方が好きです。
終わり方も落差有って良かったな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良い終わり方であった。サイコミュ、ゼロシステム、トランザム、バグ等、往年の科学技術が盛り込まれているのも良い。ただこれらのいくつかは、ロストテクノロジーなのだろうな。
「普通に生き、普通に死ぬ。高い精神性を永続させるより、愚かでもいい、限られた生を思う存分謳歌したいと願うのも、人がしょせんは生身の動物であるからなのだろう。 業や欲を捨て去って穏やかに生き続けるなどできはしないし、できたとしても、やさしくなりすぎた人は自然に淘汰される運命をたどる」p329
全体主義の果ての一つの可能性がこの物語の結末だ。変化を望む=種のために新たな情報を集め続けろという欲動が人間にはある気がする。
「平和への希求はあっても、あなたにはこだわりがない。狭い原理主義に陥ることもなければ、個人の感情を大義や欲望に投影させることもない。いつでも中間に立って世界を概観できる立場にいたのですから」p357
絶対に間違えない王政、コスモ・バビロニア主義をなしえる存在、即ちニュータイプと呼ばれる人がこの特性を持つ。
しかし、それでもうまくいかなかった…。革新した人々による平和で自由な統治、宇宙世紀の歴史がこれは絵空事だと教えてくれる。すがりたい、導いてほしい、考えたくない…そんな思いの先に確固たる平和な未来はないのだろう。
甘えるな、悩見(なやみ)続けろ! 黙過を否定するところからしか、良い政治は生まれない。
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原典からは大きく外れるまさかまさかの展開。しかし間違いなく、同じ材料の違う料理の仕方の一つの答が表されていた。
同じ人が少しのたどる道を間違えるとこうなるということは現実世界の人間も少しのボタンのかけ違えの積み重ねで間違った生き方をしてしまう。いま間違った生き方をしている人も間違ってない生き方をしている世界もあるやもしれない。
この作品はいまの世界との共通点が多々ある。度々出てくる時代の揺り戻しという言葉。文明を捨てた時代。癒しや過去を懐古する人々。
なにが正しくて間違いなのか。それは分からないけれど、誰もがなにかを求めている。
人は美しい言葉だけで生きていけるけれど、反対に醜い言葉で死んでいくこともできる。 -
虚しい。地球を巻き込む宇宙戦争。長い世代を経て繰り返し戦争する。戦争に反対だった人達も。人の欲の行き着くところ最後は戦争になり全てを破壊し尽くす。それが人の宿命かのようで、救いがない。
これは小説の中のお話しだ、と思ってみても現実に戦争は世界のどこかで常に起こっているということに気付くと、とても虚しくなった。うーん… -
みんな死にすぎ
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福井さんにはまって片っ端から読みあさってたときに手に取った本。まさかガンダムとは知らずに読んでびっくり。ガンダムのことはよく知らないけどすごく面白かった。知ってたら10倍愉しめると思う。
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ノンストップで物語が終息したという感じです。言いたいことはいっぱいあるんだけど、この巻の注目は、なんと言っても、ハチクロ級の“みんな片思い”の結末でしょう。福井さんの作品で、1つの物語の中にいくつもの愛の形を描いたのは珍しいので、やたらと気になってしまいました。しかし、それらの多くが一方通行というかすれ違っているというか、伝えたい気持ちが伝わらない、相手の気持ちに応えられない、のです。“こんなにあなたのことを思っているのに、どうしてあなたは私のことを受け入れてくれないの?”そんな声にならない声が、文章から聞こえてくるようです。こうやって書くと、ただのわがまま、エゴだなと思ってしまいますが、愛なんてそんなものなのかもしれません。そして、戦争も、平和も、みんなそう。相手の気持ちなんて全部わかるわけないのだから、たとえそれがエゴだとわかっていても、一方的に自分の気持ちをさらけ出すしかない。そう考えたとき、物語中で一番感情を露にして自分の思ったことを言っていたソシエに、この結末があって良かったと思いました。この巻で好きな言葉は、“「愛されたい」と同義語の「役に立ちたい」。”うっ……、身に覚えが……。
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完結編。福井は終わり方がいいよねえ
著者プロフィール
福井晴敏の作品





