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Amazon.co.jp ・本 (190ページ) / ISBN・EAN: 9784344401563
感想・レビュー・書評
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オーパス・ワン
シャトー・マルゴー
ラ・ターシュ
ロス・ヴァスコス(白)
チェレット・バローロ
シャトー・デュケム
モンラッシェ
トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ(ロバート・ヴァイル醸造所)
このリストで涎を垂らす人はワイン愛好初級者と認めてもよいでしょう。(笑)
なお、自分もその一人です。じゅるじゅるじゅるじゅる。(笑)
上記8銘柄をお題にした村上龍の短編小説8編です。
この小説は1998年の刊行ということで、当時の第○次ワインブームに乗っかった形のお題という気がしないでもありませんが(笑)、お題の「ワイン」ということを除いても、あとがきの作者自身の言う通り、完成度の高い短編集であったと思います。
主人公はどれも「自分自身や人生に違和感を持っている女性」の一人称であり、「嘘で塗り固められた社会全体を拒否し、グラス一杯のワインの中に真実を見つけ」、「真実は一瞬の中に見え隠れし、必ず甘美で危険なものとして姿を現わす」ような物語の展開だったと思います。
主人公の女性たちは皆若く、しかし、社会から切り離された存在であり、また、彼女たちには必ず近いようで遠く遠いようで近い存在の男の影がちらついていて、そして、男たちは必ずといってよいほど外国の香りを持っています。まあ、お題が外国のワインだからそうなのかもしれないですが(笑)、作者の言う「ワインを飲んで風景が異化し」た中の一風景の象徴であったのかもしれません。
出だしの短編はどちらかというと心身ともに孤独な女性のストイックさが全面に出た小説だったのですが、次第に編が進むにつれて村上龍らしく(!)エロぽっくなっていき(笑)、そして終盤にはかなりのエロ度具合になっていき、最後は幻想ともつかない中で消えていくという配置になっています。これは、個々のワインテーマに沿った短編の内容に加えて、短編集全体としても一個のワインを口に含んで味わったかのような構成で、美しい女性たちをワインを飲んだかのように甘美に味わい尽くす趣向になっていたと思われます。で、自分は終盤のあたりが特に好みだったです。(笑)お尻を叩くところとか・・・。(笑)う~む、シャトー・デュケムかあ。(笑)
当時を反映してかブランド志向が如実に出ているワインリストですが(笑)、ヴィンテージの記載がないとか、特にモンラッシェには造り手表示がないなど、まだまだワイン愛好者としては詰めは甘いのですが(笑)、まあワインは抜きにして美しい女性たちのエロさを味わえたので(!)これは良しとしましょう!
解説はこれも当時を反映してかソムリエの田崎真也ですが、ワインの一般的なお題目を並べているだけでこれはあまり面白くない。 -
それぞれの名だたるワインに絡めた短編集。
いずれもどこか狂っている女性が主人公。
それは自分自身や人生に違和感を持つ女性、つまり普遍的な女性だと作者は言っているが、みんなこんな狂ってるものなのか?と少し疑問。
狂い方の方向性も度合いも人それぞれで、人に見せないだけでみんな狂ってるのだろうか。
久々にワインを味わいたくなった。 -
2020.4.11 読了
村上龍による、ワインを基にした短編集。
一流の作家だけあって、表現力が流石としか言いようがない。ここにあるワインを飲んでみたい。
ただ、村上龍の小説はのめり込むと精神が分裂しそうになる。 -
五分後の世界を読んで世界観の描き方が周到でリアルでそういう実質的なものを書く人なのかと思ってたら、物質的にも精神的にも距離感の曖昧な雰囲気でかつ周到に表現されてて短いのにとても濃かった。
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自分自身はワインには詳しくないが、旅行先やちょっとしたお祝いのディナーなどでボトルワインを頼むことはある。とはいえ食事に合う辛口のシンプルな白ワインを頼むことが多く、作中の彼女たちのような結びつきは皆無に等しい。
ワインと他のお酒の違いは何か?ビールは言わずもがな飲んだら全部しょんべんになって出ちまう。ウイスキーはどうか。軽やかなスコッチやスモーキーにすぎるアイラなど、世界の広がりや奥行きはあるものの、そのときの気分やバーテンの好みで選べてしまう、ある種のカジュアルさがある。外してもボトル全て飲むということにはならないしね。一方でワインを選ぶときは妙な緊張感を伴う。適度な値段と種類の豊富さ、相手のワインへの関心、提供される料理とのバランス、粗悪なワインが引き起こすの翌朝の頭痛。そのようなあらゆる基準をクリアして選ばれたワインなので、不思議といつどこで飲んだワインがこんな味をしたものだと思い出とセットになって紐づいているものだ。そもそも日常的に飲まないからという前提もあるが、そのときワインを注いでくれたスタッフのキャラクターや一杯目を飲んだ後の「これからこのボトルを空ける楽しい時間を過ごす」という高揚感、それらが不思議な記憶につながるのであろう。
作中の彼女たちはそれぞれにかなり特殊な事情を抱えている。そしてワインへの造詣が特段深いようにも見えない。否応にも関わってくる男との物語における重要な一場面に、おそらく非常に高級であろう一本のワインが働きかけ、彼女たちの記憶をより深く渋い色に染める。
話を作品に戻すと、ラ・ターシュ、チェレット・バローロ、トロッケンベーレンアウスレーゼが好みだった。香りに酔っていると舌触りに裏切られ、舌触りに酔っていると味に裏切られて、味に酔っているとまた香りに裏切られる、そのような複雑さと錯乱を象徴するワインをあの女がゆっくり飲んでいる一方でわたしに複雑な快楽を与えたあの男はハウスワインをがぶ飲みしていた。恐るべき対比構造が上手い。ワインショップで手に入るワインでも、この友人としか飲む気にならないというような一本に出会うこともまたとない価値。色や香りを明確に覚えているわけでもなく、どうにかしても飲みたいというわけでもなく、人生が充実するわけでもないのに、絶対的なものに接触してしまったと思わせる一本。そのような一本に出会う女と一本を提供する男(女友達もいるが…)。不思議なストーリーの中で強烈にワインの個性を結びつける村上龍がすごいと思った。 -
さりげなく、そして力強くワインをストーリーに絡めてくるセンスは流石である。ワインとはこんなにも人を魅了する飲み物なのか。私は良いワインを知らない。それは非常に損である事のような気がする。
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チェレットバローロがとくによい。
満足度7+ -
これといって印象的ではなかった。村上龍にしては驚くほどあっさり読める。
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どちらかというと、内容は暗い話しが多い。そのときの自分の気分次第で、静かな気持ちになれたり、暗くなったりしてしまう。でも、その描写から紹介されるワインは、是非とも飲んでみたい気分となった。
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往復3時間の通学時間には初めの頃は村上龍のこの類の小説と村上春樹のエッセイを読んでいたように思う。
2002年5月4日読了 -
この人はものすごく勤勉で、書く前にものすごい調べ物をするらしい。その調べたものをひけらかすのではなく、効果的に使うのがさすが小説家。
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★オーパス・ワン<br>
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ワインにまつわるエピソード。狂った女を書くのが好きであろう彼の、いつも通りの小説。<br>
現実と妄想との境界線の曖昧さが、快くもあり不快でもある。読み手のテンションを要求する作品。 -
ワインについての知識が皆無な為、どういう状況にどのワインがマッチするのか読み取れなかった。ただ深みのある短編一本一本は読む価値あり。
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エロティックな短編が8つ、おさめられた本です。
それぞれのものがたりに登場する計8本の名ワイン。
オーパス・ワン、シャトー・マルゴー、バローロ、ラ・ターシュ・・・etc
(たとえばラ・ターシュは、
「複雑さと錯乱の快楽そのもののワイン」
とされている。)
村上龍のものがたりで、「食べる」大人たちは、まるで口唇期の赤ちゃんみたい。
その痴性と攻撃性に、最高のエロティスムを感じます。 -
好き
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グロくないのに エロい。 前に一度借りて読んだはずなのだが そのときはあまり何も感じなかった。 わたしがワインを知ったのか、 それとも。<br><br>ラ・ターシュはあんまりかな と 思うけど ボルドーよりブルゴーニュのほうが 「肉」 を感じるのは確か。 女王といわれるボルドーよりも ブルゴーニュのほうが女性的では?と ずっと思っていたが そう考え直すと やっぱりブルゴーニュは男性的なのか。
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感想 :

この本かいた時代は どのワインも かなり高価だったのでは?(今でも高いけど)
最...
この本かいた時代は どのワインも かなり高価だったのでは?(今でも高いけど)
最近 日本酒も 焼酎でさえも めちゃくちゃ高いですよね
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
これから暑い季節になると、冷えた白とか泡~が美味しくなり...
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
これから暑い季節になると、冷えた白とか泡~が美味しくなりますよね。(^o^)
実はこの本に出ている超高級ワインについては、現在では2~4倍程度に高騰しているのです。(^_^;
相も変わらずお手頃価格なのは、ロス・ヴァスコスくらいでしょうか・・・。(>_<)
この業界はデフレなんのそので、右肩上がりに上昇し続けているのでコワイです。(笑)