ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.30
  • (89)
  • (167)
  • (691)
  • (35)
  • (7)
本棚登録 : 2055
レビュー : 163
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344401594

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「ハードボイルド」
    奇妙な夜の出来事が描かれている。
    人と別れることはすごくつらい。けどあらゆる罪悪感から抜け出して、ハードボイルドに生きなくちゃ、という前向きな気持ちにさせてくれる。
    奇妙だけれど、不思議と癒される。

    「ハードラック」
    姉の死と向き合う家族の物語。
    姉との思い出や、これからの日常について、時間について、主人公の立場になって考えてみると、自然と心が浄化されてゆくような気持ちになった。

  • ハードボイルド
    不思議な愛しかただなと思った。千鶴さんの気持ちはわかった。千鶴さんは素敵な人だと思った。サッパリとした物語だった。

    ハードラック こんな風に人を失くしたことはないので分からなかった。闇の中から抜け出す光の入り口に差し掛かった間合いの物語。「これから姉と同じで香水に変えよう」ってところが決別でも執着でもなくて良かった。境くんの放つ光が際立った。

  • 死んだ元恋人のことを繰り返し夢にみる奇妙な夜を描いた話と、死を待つ姉を前に少しずつ気持ちを整えていく人々を描いた話の短編集です。

    ひとつめのお話(『ハードボイルド』)で印象的だったのは、恋人との別れについて書かれた部分で、「季節が変わるように、時期が終わるのだ(p55)」とあります。そこに飽きたとか本人たちの意思は関係ないのだと。そんなふうに考えたことはなかったので、少し目からうろこです。

    反対に「あ、私もこんなふうに考えて悩んだことがある」という場面に何度も遭遇します。
    吉本ばななさんの本を読むたびに、この文章たちに全く共感するところがない女の子なんてほとんどいないのではないかと思います。
    少なくとも私はそれがクセになって吉本さんの本を次々と手に取っているところです。

    ふたつめのお話(『ハードラック』)で印象的だったのは次の文章です。「私はその古いマンションと、コンビニ弁当の暮らしの中で、じょじょに大人になるための心の筋肉をつけていった。(p55)」
    大人になるためにはまず大人になるための準備がいるのだなと、すとんと腑に落ちる部分です。大人になりたいと日々焦っているのですが、準備をしっかりしないといけないのかもしれません。今悩んでいるいろいろなことが、それに通じるといいなと思います。

  • 真夜中に読みたい本。





  • ハードトラック がすごく好きだった。よかった。

    〈ハードボイルド〉

    「あなたはまだわかっていない。いつだって、自分がいちばん大変で、自分さえ助かって、楽で、いちばん楽しければいいと思っているんだもの。」

    「人は、自分が相手に飽きたから、もしくは自分の意思で、あるいは相手の意思で別れたのだと思い込むものだ。でも、それは違う。季節が変わるように、時期が終わるのだ。ただそれだけだ。それは人間の意志ではどうすることもできない。だから逆に言うと、それが来るその日まで、楽しく過ごすことも可能だ。」
    ↑「食べ物に旬があるように、人と人との関わりにも旬がある」と例えてる?



    この台詞が好き
    「いろいろなことがあると思う。でも、自分を責めちゃだめだよ。ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」
    ※ハードボイルド…非情。無情。無感傷的。冷めている。感情を押し殺し、表面に出さない。固茹で。(⇄ソフトボイルド…半熟)



    〈ハードラック〉

    「世界はなんていい所なんだろうね!」

    「あのね、経験したことがないことを、わけ知り顔で語るのがすごくいやなんだ。あまりコメントしないけど、ごめんね 

    わからないけれど、どういうことが起こっているのか、一応自分の目と耳で見たこと、感じたことについてはつかんでいることもあると思う。すごく言いたいことがたくさんある。だけど、それは口からはどうしても出てこないんだ。」

    「誰にも、わかってほしいとも思わない。でも、優しくしてくれているのはわかるよ。」

    「俺も君もついていないわけじゃないよね? この空気にのまれているだけだよね? 今はだめだね。でも、とにかく、今はだめだというだけだよね?」

    「冬の星は誰と、いつ見上げても決して変わらないでそこにある。変わってゆくのは私だけだ。」


    吉本ばななの物語を読むと、ゾーンに入るというか。
    自分がその世界に行ってしまう。現実の世界、周りが全く視界に入ってこなくなる。いわゆる、引き込まれる。だから、疲れていて癒されたいとき、現実を見たくないとき、頭がいっぱいいっぱいで何かに没頭したい時、一度現実から離れてみたいとき、に読むのに合っている。
    語順が、正しくないので理解するのに時間がかかることがある。
    その正しくない語順が物語の味を出しているのかな。
    私はその正しくない語順と、言い回し、思わぬ!マーク、句読点(特に「、」)の使い方、台詞の言葉、長ったらしい台詞、彼女の物語に出てくる登場人物、がすごく好きだ。
    吉本ばななの物語は、純文学にも分類されることを最近知った。
    言葉や情景の表現、登場人物全てが美しい。
    やはり、彼女の物語が本当に好きだと改めて思い、彼女の物語は、彼女の独特の世界がある、他の何にも変えられない、唯一無二の、一つの文学だと思った。
    私にとって吉本ばななは、特別な小説家だ。

    次はエッセイも読みたい。
    彼女は一体どんな人生を歩んできたのかな。

  • H30.10.02 読了。

    不思議な読後感。
    さらーっと読んでさらーっと流れていく。

    初期村上春樹作品の様な気付いたら終わってた、という程ではないにしろ、なかなかの薄い感じ。
    多分、その余韻とかを楽しむ作品なんだろうが、あんまり響かないかな。

    面白くなくはないけど、ちゃんとした着地点がある作品が好きなのでうーむ、というところ。

  • あんまり入り込めなかった

  • 2017/12/21 誕生日に読んだ死の本。

  • ちょっとスピリチュアルな「ハードボイルド」と、脳出血を起こした姉が脳死になり亡くなっていくまでの、残された者たちのこころのありようをやさしく、哀しいことばで包み込む「ハードラック」の2編。
    「ハードラック」が特に好き。
    大好きな姉が亡くなることを主人公が受容していくその過程が、簡単だけど深いことばで綴られていく。
    吉本ばななの作品は、言葉の宝庫。なんということもない、エピソードも音もなく降る優しい雨のように、心にしみこんでくる。
    だから、読み終わったあとは、本を閉じてそっとため息をつきたくなるのだ。

  • 1999年に刊行された本書には、「お姉ちゃんが大好きだったスマップの中居くん」という行がある。
    2017年現在、その描写に何の違和感もない「スマップの中居くん」の現役スターっぷりに、異次元の凄さを感じた次第です。

全163件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)のその他の作品

吉本ばななの作品

ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする