月の裏側 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 3710
レビュー : 431
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402621

感想・レビュー・書評

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  • 九州の水郷都市で起こった複数の失踪事件。
    失踪した人たちは数日後、何事もなかったかのように戻ってくる。
    ただし記憶を失って…。
    その事件に興味を持ち、調べ始める元大学教授・その教え子・元教授の娘・新聞記者。


    主人公の一人である多聞が印象的だ。
    「僕は愛される男なんだ」
    こんなセリフをさらっと自分で言っちゃうような人。
    だからといってナルシストなのではなく、淡々としていて周りにも自分にも執着がなさそうな人。いろんな意味でマイペース。

    決意の夜の多聞の長靴は藍子が履かせたのかと思ったけれど、最終章の藍子の独白を読んだ感じでは藍子ではなさそう。

    このタイミングのこの状況下で多聞に再会した藍子はなんだか不憫だなぁ。


    まだ恩田作品を少ししか読んでいない身で「いつもの通り」というのも気がひけるけれど、いつもの通り大きな謎の解決・解明はなし。
    お話の風呂敷がだんだん広がっていくのを読みながら「コレちゃんとたためるのかしら」と心配してしまったのだけど、たたむどころか、広げる余地があるままラスト。

    登場人物の一人の言葉
    ―この世の中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかな

    この物語の謎もそれでいいような気がする。

  • 以下、ネタバレ含むので注意。



    箭納倉の地で連続して起きた失踪事件。
    その謎を解くべく、協一郎教授が多聞くんを呼び寄せるのであった……。
    とミステリー色強そうに見えて、途中からはもうホラー。怖すぎる。

    それ故?謎は謎として放り出されてしまう。
    まあ、何にでも理由を求めることは良くない。
    のだけど、ここまでひっそりと人を「盗んで」きた筈なのに、なんでまたこんな大規模な計画を企てたんだろう、と。
    それが日本各地で起きていて、なら分かるけど、箭納倉の地という規模で、果たして新たなる夜は身を結ぶのだろうか、と疑問。
    そもそも、「盗む」という言葉からは、何か意味を感じさせるんだけど、「盗む」ことの生物的利は、相手側に何をもたらすんだろう。
    などなど、割と読み飛ばしているだけかも分からないけど、分からないけど良かった!とまで言い切れないモヤモヤ感が残ったりする。

    藍子さんなんて、まさに巻き込まれ事故とも言えるもので。
    まさか多聞くんがテキパキと帰っちゃうわ、自分は最早取り返しのつかないことになってるわ、で。
    さて、箭納倉勢はここからどうするよ、って面白い終わり方でもあるとは思う。(けども。)

    今いる自分は、自分ではないのかもしれない。
    忘れただけと思っていた記憶は、そもそもなかっただけなのかもしれない。
    そんな自分への不安を掻き立てられる作品でした。
    ま。人類補完計画には反対!ということで。

    「だって、僕たち自身が遺伝子の乗り物なんだもの」

  • 表紙の印象から何故かずっと時代ものだと思い込み敬遠していたけど、全然違った。

    水路が張り巡らされた街、素敵だ。不気味さもあり美しさもありで夢中で読んでしまった。

    白雨みたいな猫が欲しい。

  • ふと思い出して無性に読み返したくなる一冊です。
    この作品のレビューを書いてらしゃる方の内容をざっと見てみましたら、ラストに不消化感を持っていらっしゃる方が意外に多くて驚きました。
    斯く言う私はと言うと、初読の時にラスト近辺で「ああ、こんな選択をしても許されるんだ!」と、目からウロコが10枚ほど落ちた気分にさせられました。
    アレの正体についても、かっちりと説明がされてないのが良かった。
    これから来る梅雨の季節。また読み返してみようと思います。

  • エンドゲームもそうでしたが、後味が・・・うーむ

  • 旅行のとき、移動中の時間つぶしに古本屋で買った、という出会い。
    こーゆう終わり方かー
    元凶を退治してめでたしめでたしなのかと思ったけど、これも1つと平穏な形で終わったってことなのかな。二人を除いて

    文学しりとりができるようになりたい

  • ◆ネタバレがありますので未読の方はご注意ください


    設定としては「向こう側」の存在が出てきてしまったが、ストーリー事態は相変わらずギリギリのところでこちら側に収まっていてうまい。自分達が「盗まれ」ないのはすでに「盗まれて」いるから、という逆説はよかった。

  • なんか、怖い。
    これが現実なら逃げ場はどこにもない。

  • なんだろう…妖怪?怪談?
    想像すると結構気持ちの悪い感じですが、
    不思議な話。

    梨木香歩さんのぬかみそを思い出した。
    「沼地のある森を抜けて」

    なんか、苔むした暗〜い空気を感じる
    そんなお話でした。ちょっとこわい。

  • 箭納倉という舞台が日本のどこかにひっそりと存在してるのではないか。
    また、日本のどこかで、こういうことが行われてるのではないのかと思ってしまうほど、妙にリアリティがあったなぁ。
    盗まれているのは自分なのか、周りなのか…

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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