活字狂想曲 (幻冬舎文庫 く 2-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402638

作品紹介・あらすじ

人気作家の著者にも食えない時代はあった。十六年前、年収(月収ではない)十四万円の限りなく無職に近い現実不適応者・暗坂が就職雑誌を見て選んだ仕事、それは印刷会社での「文字校正」だった。チラシ、社内報、カレンダー…押し寄せる印刷物と耐え難いカイシャ生活でついに鬱憤は爆発。読み始めたら止まらない、思わず噴き出す現代の奇書。

感想・レビュー・書評

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  • 抜群に面白い。作者の倉阪鬼一郎は同郷の三重県生まれの作家であり、名前は知っていて、『ブラッド』のエログロの印象が強すぎてある意味敬遠してたのですが、このエッセイは本当に、面白い。自分が変人であると自覚している人がどのように会社生活というサバイバル空間の中で生きていくか。どんな形で世間と妥協しながら生きていくか。そういうことが分からなくなったらこの本を読めばいい。苦しんでいる人は救われるし、腹を抱えて笑える。自分に素直に生きることはリスクを伴い、だがそれでいて人生の違った側面が見えるんだと感じた。おすすめ。

  • 著者が校正者として企業で働いていた時の話。仕事はできるが変わり者という扱いだったんだろうなぁ。

  • 会社の先輩に貸していただいて読んだ本。破天荒とも思えるかもしれないが、仕事を続けてきたからこその着眼点の面白さ。

  •  ブックマークイヌヤマ一箱古本市の出店者さんに、どれがおススメ?と聞いて、『コレ!』と、教えてもらって買った本。
     印刷業の校正の仕事をしている著者の不満、批判、愚痴、どうしようもない現実。
     同僚や上司の描写が面白い。
     サラリーマンって、日本の会社ってこうなんだよなと、思う。
     働くことにやりがい?求めない。
     どうしようもない上司や同僚や、不条理な会社のルール。

     私が日々おつきあいをしている会社や、働く個人というのは特殊であるという認識が大事。

     印刷・出版業の話も面白かったな。

     仕事で、チラシをつくって、同じようにデザイン会社とやり取りすることあるけど、こちらは素人だから、プロから見ると素人の要望もこんな風に映るのね・・。
     素人のばくっとした要望やイメージや、〆切など大変だよな。
     いつもご苦労をかけている。。


     
      


     

  • 作者が校正の仕事をしていた時のお話。
    辞めるときのセリフがすごい。

  •  抱腹絶倒。

     活字に「肩まで」いや「鼻面まで」埋まって生きている人に。

  • 怪奇小説、モダン・ホラー、本格ミステリとホラーの融合作、バカミス、時代小説などの著者である倉阪鬼一郎氏の文字校正者としての会社員生活を書いたエッセイ。

    早稲田大学第一文学部文芸科卒業。早稲田大学大学院日本文学専攻中退。

    ゴーストハンターと黒川シリーズ、事件シリーズ、ひらがな三文字シリーズ、上小野田警部シリーズ、美術調律者・影シリーズ、火盗改香坂主悦シリーズ、小料理のどか屋人情帖シリーズ、裏町奉行闇仕置シリーズ、人情処深川やぶ浪シリーズ、若さまシリーズ、品川人情串一本差しシリーズ、一本うどんシリーズ、品川しみづや影絵巻シリーズ、大江戸隠密おもかげ堂シリーズ、南蛮おたね夢料理シリーズ、藤掛右京シリーズ、大江戸秘脚便シリーズなどの多数のシリーズと、多数のシリーズ外作品がある。

  • 【本の内容】
    人気作家の著者にも食えない時代はあった。

    十六年前、年収(月収ではない)十四万円の限りなく無職に近い現実不適応者・暗坂が就職雑誌を見て選んだ仕事、それは印刷会社での「文字校正」だった。

    チラシ、社内報、カレンダー…押し寄せる印刷物と耐え難いカイシャ生活でついに鬱憤は爆発。

    読み始めたら止まらない、思わず噴き出す現代の奇書。

    [ 目次 ]
    校正者はなぜ漢字なのか
    印刷業界残酷物語
    まぬけな営業の話
    耐えがたいこと
    まぬけなオペレーターの話
    まぬけな製版屋の話
    オー、ミステイク!
    「待った」は遅かった
    驚異の逆効果
    文字禍は生きている〔ほか〕

    [ POP ]
    エッセイはよほどのことがない限り読み返さないが、これは笑えた。

    もう一度かいつまんで読んでもやっぱり笑えた。

    しかし、再び冷静になって読むと、ためになる。

    辞書で調べなければわからないような難しい言葉がふんだんに使われているし、印刷業界の舞台裏も描かれていて面白い。

    著者は、校正者として勤めた11年間の会社生活を、水槽の中の珍魚を見るような視点で書いている。

    あくまでも組織の一員としてではなく、一個人が会社というコンクリートの水槽のふちに立って、様子見しているような感じなのだ。

    それでも、ときに騒動に巻き込まれて、切れていたりする。

    どんな人物なのか、実に想像力がかきたてられる著者です。

    組織にはよさも悪さもあると思うけれど、会社で起きる「つまらないこと」を餌に、優雅な面持ちで知らん振りしてスイスイと泳いでいるような、どんなにおかしくても片口だけ上げて、絶対に声を出して笑わないような、そんな様子など。

    次回は、世間という大きな水槽を覗き見した様子を書いてくれることを待ち望んでおります。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 本を捨てる前に再読シリーズずっと前に買ったときに読んだときは,なんか自意識過剰の変なエッセイだと思っていたが,今読むとそれほど嫌悪感を感じない。どうしてなのか。自分が年をとって余裕ができたからなのか。もう少し笑えるところや,自分を落とす部分があると面白く読めるのになと思いました。

  • 2002年8月20日購入。
    2002年12月28日読了。

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著者プロフィール

1960年、三重県生まれ。
早稲田大学在学中に幻想文学会に参加、分科会の幻想短歌会を主宰。
1987年、短篇集『地底の鰐、天上の蛇』(幻想文学会出版局)でささやかにデビュー。
1989年、第一歌集『日蝕の鷹、月蝕の蛇』(同上)を刊行。
平成とともに俳句に転向、「豈」同人。句集に『アンドロイド情歌』『悪魔の句集』『怪奇館』など。俳句関連書に『怖い俳句』『元気が出る俳句』『猫俳句パラダイス』などがある。
1998年より専業作家。ホラー、ミステリー、幻想小説など多彩な作品を発表。近年は時代小説の文庫書き下ろしを多く手がけ、オリジナル著書数は130冊を超える。
趣味はマラソン、トライアスロン、囲碁・将棋、油絵、鉄道など。

ホームページ「weird world 3 倉阪鬼一郎の怪しい世界」
http://krany.jugem.jp/

「2017年 『世界の終わり/始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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