虚貌 下 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2003年4月10日発売)
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本 ・本 (363ページ) / ISBN・EAN: 9784344403468

感想・レビュー・書評

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  • それは惨たらしい放火殺人事件から始まった。
    両親は殺害され、姉は下半身付随、風呂場に逃げ込んだ弟はガソリンをかけられて顔を失った。
    21年の時を経てあきらかになっていく事実。

    冒頭の放火のシーン、特にまだ幼かった弟への容赦ない暴力。
    私はこの子と同じ頃、自宅の風呂で大火傷を負いしばらく入院していた時期がある。
    小学生ながら瞬時に顔だけは庇い無事だった。
    自分の不注意を責め泣いていた母の顔も、皮膚の溶ける痛みもはっきりと記憶している程で、読んでいても身体が痛くなるようで、辛かった。
    顔を失った弟が大人になるまでの長い年月を思うとラストは切なすぎた。

  • 後半のスピーディーな展開は、さすが。
    一気読みで読了したが、結末はちょっとね。。
    明るい気持ちになれないので、面白かったけど評価はこんなもんで

  • 面白かった!

    やっぱり単独犯ではないのだろうけど、どんな風に共謀していったか…とか諸々??はあるのだけど。
    守年の目線から事件を見たら、十分納得。

    久しぶりに夢中になって読んだ。

    雫井脩介さんは、これで2つめ。これから色々読んでみたいと思う。

  • 途中で犯人とそのトリックが予測できたけれど、それを踏まえても読み応えがあり満足。

    殺人の手段はかなり惨く、想像しただけでも吐き気を覚えるようなものですが、犯人が心の底まで鬼と化していないことが唯一の救いでしょうか。

    怖いけれど、温もりを感じることもできました。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    嵌められた男の出所から、新たなる惨劇が幕を開ける―。二十一年前の事件の加害者たちが、何者かによって次々と惨殺された。癌に侵されてゆく老刑事は、この事件を最後と決意して命懸けの捜査に乗り出した…。それぞれの人生が交錯するクライマックスまで、一瞬たりとも目が離せない!これがエンターテインメント小説の最前線だ。

    最後は頭の中がこんがらがってしまった。本物そっくりって・・・そんなマスクは実際に出来るのか?という疑問は置いておいて、犯人の苦しい人生を思うとつい応援してしまった。
    しかし、刑事の娘はいい年していったい何を考えているんだ?熱中症?

  • 面白かった。
    ミステリーとしては、ちょっといまいちでしたが、エンターテイメントとしては楽しめました。
    本題の虚貌とある通り、本書のテーマは「顔」にまつわる物語。
    「顔」にもつコンプレックスや思いがあちこちに散りばめられています。
    人はそれぞれ仮面をまとっている。そんなところが根幹にある物語です。

    そして、いよいよ下巻です。
    滝中の娘は、事務所の社長から整形手術を強制され、そこから逃げ出します。
    彼女の心が壊れていくところが怖い。
    さらに、自分の付き合っている男が21年前の事件の共犯者の一人と知ってしまいます。

    一方で、捜査を進めていくうちに、見つかった荒の死体。
    誰が荒を殺したのか?
    一連の殺人事件の犯人は誰か?
    そして、いよいよ、犯人らしき人が明らかになりますが、その殺人のトリックというかネタがミステリーではちょっと禁じ手(笑)
    ちょっとそれは無いのでは?

    そして、その犯人は最終的に目的を達成するという事になります。

    そして、ラストの展開へ...
    この展開はちょっと切ない。

    下巻では、仮面というかたちで顔が語られます。

    ということで、ミステリーとしては、そりゃないよね。っていうところがありますが、エンターテイメントとしてはとても楽しめる物語でした。

    お勧め!

  • 最高

  • さすが雫井さん。結構ありえない展開の話ではあるが、細かいディテールのせいか、グイグイ読ませる。頭にラスト付近の河原のシーンが映像として焼き付いてしまっている。

  • 2024年13冊目。北見先生が下巻でもよく出てくるのでなんでだろうと思ったらこういうことか。伏線ありましたもんね。
    最後の、警察手帳がなくなったとか、人間の顔の相違がわからなかったとか、結末を合わせるためとしか言いようない気がしたかな。とはいえ、後半はスピード感があり、いろんな人間模様が明るみに出、一気読みでした。リベンジは良くない。けど、被害者の被害内容、その後の人生などを勘案すると一概に批判ができない。それと、自分が先に行くと思っていたのに、考えもしなかった人が先に行ってしまと言うのは忍びなかったな。

  • なるほど。
    犯人が用いた特殊な手法が徐々に明らかになり、後半になると誰が犯人なのか、そしてタイトルの虚貌の意味も腑に落ちるようになる。
    例の手法が有りか無しか議論が分かれるところでしょうが、それが無ければこの作品自体が成立しないので、わたしは有りだと思います。
    小説なので固いこと言わずに楽しんだ者勝です。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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