マネーロンダリング (幻冬舎文庫 た 20-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (556ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344403536

感想・レビュー・書評

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  • 金融ネタを絡めたサスペンス小説。


  • 2003年当時の合法的脱税を描いた小説。都市銀行の米国支店から投資銀行、ヘッジファンドへと転職したがついていけず香港でもぐりのコンサルをしていた自称工藤秋生。脱税指南を求める麗子と出会い、50億円とともに消えた麗子とその謎に迫る話。タックスヘイブン・オフショアを利用した脱税の話もさることながら、マコトが最終的に糸を引いてるなど小説としてもなかなか面白い。香港の裏社会の三合会の話やヤクザ関連の話もある。富裕層への脱税指南を生業とするプライベートバンカー田宮に対して、富豪である倉田を前に、脱税法指南するところも面白い。現国会議員で国税局上がりの玉木雄一郎の解説も面白い。

    調査にあたって身元を名乗るのが興信所、身分を伏せて隠密調査を行うのが探偵、尾行・張込みなどをせず情報を売買するだけなのが調査会社。NTTや携帯電話会社の職員には、会社で手に入る情報を金にしたくて仕方ない人間が一定数いて、サラ金や街金業者とともに来る情報屋に、利息の代わりに会社の顧客データベースを売るように脅される。自分から売り込む者もいる。PCを叩くだけなので罪悪感も薄いらしい。これが情報の卸元であり、銀行員・警察・役所も同じ。卸元と情報の消費者の間を結ぶのが、情報屋というブローカーであり、調査会社や興信所が消費者の窓口。
    オフショアの理論。国家主権というのは、大国でも小国でも理念の上では対等であるという原則に基づいている。そこで、観光くらいしか自国の経済を活性化することができない小さい島国などは、法人税や資産課税を無税にすることで国際企業や富裕層を集客し、雇用や観光業を活性化潤わす。これがあることによって他国の税収は打撃をうけるが、有害税制に対して主権の問題から解決は難しい。一方で、犯罪やテロなどのマネーロンダリングの温床になることは、オフショアにとっても本意ではないため、その部分の情報提供や規制は存在するが、脱税については課税国では犯罪だがオフショアにとっても犯罪ではないので何ら問題ない。これに対して、非協力的タックスヘイブンリストで、国や地域が公表されている。
    名前生年月日住所情報があれば、カード会社になくしました電話で、番号や有効期限などを聞き出し次の日にありましたということで、聞き出せるらしい。
    海外オフショアのドル建て預金に預けて5%以上の金利で資産運用するのは、当該国の安全性やインフレ率なども考慮しないといけない。

  • 序盤は事前情報の整理のようでなかなか展開がなく諦めかけたが、事件が起きてからはハマっていった。今どこまで通用するか分からないが悪用を含めた金融知識全般が面白かった。また、それらを巧妙に用いたサスペンスとしても楽しめた。

  • 面白かった!「未必〜」の、もっと経済的側面を強調したような感じ。難解な部分もあるけど、ゆっくりと読み進めていけば大丈夫。

  • 約2年前、オーストラリアの会社でなんとなーく働いてた時、海外で働いてるのにタックスヘイブンも知らないのか!と言われて読み始めた作品。 当時の
    わたしにはわからないことばかりで携帯で単語を調べながら読んだけど、めちゃくちゃ面白くてソッコーでタックスヘイブンも購入した。
    作者の作品は海外での生活の描写が細かく、イメージがつき、すぐに物語に入っていけます。

  • ページ数は多いがストーリーがどんどん進むので中弛みせずに読むことができた。香港が舞台の小説はハズレがないように思う。著者のほかの小説読みたくなる。

  • 工藤秋生の生き方を少し羨ましく思いながら、ハラハラドキドキしつつ最後まで一気に読み切りました。面白かった!

    読み始めは香港の地名に戸惑い、なかなかすんなりと読み進めなかったのだけど、気にせずどんどん読み進んでいくうちに、だんだん物語の中に引きずり込まれていきました。丸一日、朝から晩までかかりましたが一日で読み切って、たっぷり満足したという感じがします。最後はなんだかあっけなかったけれど、ここが落ち着きどころだよね、という納得感もあって、印象に残る作品でした。

  • 久しぶりにサスペンス小説
    後半の重厚感。

  • 再読すべきか迷う感じ。
    麗子がマコトに殺されたのは衝撃だった

  • 面白かったけど難しかった。金融の知識がない私にすべて理解できるとは思ってなかったけど、ストーリーや人間関係も複雑で何がどうなって何が主題なのか、まだよくわかっていない。でも面白かった。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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